Volume 230,
Issue 11,
2009
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あゆみ 皮膚科領域の特定疾患
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医学のあゆみ 230巻11号, 973-973 (2009);
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医学のあゆみ 230巻11号, 975-979 (2009);
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神経線維腫症1型(レックリングハウゼン病)は皮膚をはじめ中枢神経系,眼,骨など各種臓器に多彩な病変を生じる遺伝性の疾患である.すでに原因遺伝子は明らかになっているが,変異のホットスポットがなく根治治療はきわめて難しいのが現状である.そのため対症療法が治療の主体となるが,症状には個人差が大きく,合併する症候の初発時期もそれぞれ異なるため,注意が必要である.本稿では,2008年に日本皮膚科学会で作成された診療ガイドラインに基づいた神経線維腫症1型の診断および治療について紹介する.
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医学のあゆみ 230巻11号, 981-986 (2009);
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結節性硬化症は全身の過誤腫を特徴とする常染色体優性遺伝性の疾患で,全身の臓器に多様な症状を認める.原因遺伝子としてTSC1遺伝子(コード蛋白hamartin),TSC2遺伝子(コード蛋白tuberin)が同定されており,hamartin/tuberinは複合体を形成してmTORを抑制することにより腫瘍抑制効果を発揮する.古典的には,知能低下,癲癇発作,および顔面の血管線維腫を3主徴としてきたが,本症の遺伝子産物の解析に伴い,ここ10年で急速に病態が解明され,痙攣発作も知能障害もない軽症例が増加してきた.その結果,本症の予後を左右する病変として肺病変,腎病変に注目が集まっている.一方,細胞レベルでは本症由来細胞は巨大化し分化の異常を呈することが知られており,本症の肺病変や腎の血管筋脂肪腫などでは,perivascular epithelioidcell tumo(r PEComa)とよばれる分化異常を呈する細胞よりなる腫瘍が認められる.さらに最近では,mTORを抑制するラパマイシンなどによる本症の治療にもスポットが当てられつつある.
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医学のあゆみ 230巻11号, 987-990 (2009);
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表皮水疱症は,水疱の生じる部位により,1. 表皮基底細胞内に形成される単純型,2. lamina lucidaに形成される接合部型,3. lamina densaの直下に形成される栄養障害型,の3型に大きく分類される.その原因として10の遺伝子が同定されている.表皮水疱症のうち特定疾患に認定されているのが,重症型となりやすい接合部型と栄養障害型であるが,近年単純型でも死に至る重症型が報告されている.海外では重症型である劣性栄養障害型の治療として,同種の線維芽細胞を局所に投与したり骨髄移植が試みられはじめている.また,水疱形成のほかに,多形皮膚や光線過敏を特徴とするキンドラー(Kindler)症候群を表皮水疱症の範疇に加える動きも出てきている.
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医学のあゆみ 230巻11号, 991-996 (2009);
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膿疱性乾癬(汎発型)は通常,発熱と全身の潮紅皮膚上に多発する無菌性膿疱で発症し,病理組織学的にKogoj海綿状膿疱を特徴とする角層下膿疱を形成する.経過中に全身性炎症に伴う臨床検査異常を示し,しばしば粘膜症状,関節炎を合併するほか,まれに呼吸器不全,眼症状,二次性アミロイドーシスを合併することがある.膿疱性乾癬(汎発型)は全身炎症反応症候群(SIRS)としてとらえるべき病態であり,プライマリーケア,全身管理,皮膚病変治療,関節症などの合併症などが考慮されなくてはならない.厚生労働省研究班と日本皮膚科学会の共同事業として本症の診療ガイドライン(暫定版)が作成された.生物製剤の抗TNF-α製剤や抗IL-12/23p40抗体(ustekinumab)が期待されている.
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医学のあゆみ 230巻11号, 997-1000 (2009);
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天疱瘡は,表皮細胞間接着構造デスモゾームの接着分子であるデスモグレインに対する自己抗体を病因とする自己免疫水疱症である.その治療はステロイド内服が基本とされているが,難治例では血漿交換,大量IVIG,免疫抑制剤の併用など多岐にわたる.治療法の選択はいままでエキスパートの経験に基づくところが大きかった.生物製剤などの新しい治療が導入されつつある治療現場では疾患重症度を客観的に評価する指標が必要であり,それに基づいた治療法の選択および効果の判定が求められている.本稿では天疱瘡について概説し,また国際的に使用されている天疱瘡重症度判定基準であるPemphigus disease area index(PDAI),AutoimmuneBullous Skin Disoder Intensity Score(ABSIS)を紹介し,わが国でこれから使用する重症度判定基準PDAI (日本語版)について解説する.
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医学のあゆみ 230巻11号, 1001-1003 (2009);
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皮膚筋炎(dermatomyositis:DM)は皮膚および筋肉を標的とする自己免疫疾患である.その皮疹は,ヘリオトロープ疹,Gottron丘疹など特徴的であり,典型的皮疹を有しながら筋炎を欠くamyopathic DMという概念も提唱されている.成人例では悪性腫瘍の合併が多く,精査を要する.
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医学のあゆみ 230巻11号, 1004-1007 (2009);
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結節性多発動脈炎(PN)は全身の小〜中動脈を侵す壊死性血管炎であるが,他臓器症状が軽微で良性の経過をとる皮膚型結節性多発動脈炎(CPN)と区別されている.CPNは,1. 皮膚に限局した血管炎の症状を認めること,2. 皮膚生検でPNと同様の病理所見(皮下脂肪織に位置する小動脈に壊死性血管炎の存在)を認めること,3. 臓器病変を認めないこと,を特徴とする.CPNは生命予後のよい点でPNと区別されるが,ときにPNへ移行する例があり,十分に経過を追う必要がある.とくに潰瘍形成や壊疽を繰り返し,末梢神経障害を認め強い炎症反応を伴う症例では,PNへの移行を念頭におき経過観察する必要がある.
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医学のあゆみ 230巻11号, 1008-1012 (2009);
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全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc)において基礎治療として二重盲検試験で有効性が確認された薬剤はないため,皮膚を含めて障害された臓器やその程度を明らかにして,症例ごとに適切な治療を考えることが重要である.近年エンドセリン受容体拮抗薬,PDE5拮抗薬,免疫グロブリン大量静注療法などが新しい治療として注目されているため,各治療薬について概説した.またSScは皮膚の線維性変化を主徴とし,線維化の病態形成は血管内皮細胞傷害,リンパ球や単球の活性化にはじまり,線維芽細胞における細胞外マトリックス調節異常に至ると考えられていることから,線維芽細胞の活性化が線維化の過程で重要な役割を果たしているとみられている.本稿では,SScの病因に関する最近の知見も紹介した.
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フォーラム
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逆システム学の窓27
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医学のあゆみ 230巻11号, 1013-1016 (2009);
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アメリカのニューヨークの中心,マンハッタンの45 番街でオバマ大統領顧問で大富豪 D. E. Shaw の押し進めるコンピュータによる蛋白質の構造予測のミーティングに参加してきた.Shaw らは,蛋白質の3 次元構造を予測するコンピュータのシステム作りを進めている.蛋白質は,合成されるとともに,折り畳まれて 3 次元の構造をとる.この折り畳みには,ある程度大きい蛋白質では千分の一秒(ミリ秒)かかる.今の普通のコンピュータ 1 台で計算できるのはせいぜい十億分の一秒(ナノ秒)の構造変化のシミュレーションであるが,千台程度のコンピュータチップを連結させて,並列計算することによりスピードをあげることができ,マイクロ秒までの計算ができるようになっている.ところが Shaw 達は,蛋白質の動きの計算に特化したチップを作り,ミリ秒を達成しつつあるというのだ.これは 3 年後に神戸に稼働予定のわが国の次世代のスーパーコンピュータ(通称ペタコン)の百倍のスピードにあたる. ヒトゲノム解読から,がんやアルツハイマー病の薬が創られるといわれながら,実際にはゲノム配列は,ほとんど目にみえた薬の開発にはつながっていない.しかし,チェス名人がいつのまにかコンピュータに完敗するようになったように,薬の設計にもゲノム配列からのコンピュータ予測が必須の時代がやってこようとしている.
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連載
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がん診療連携拠点病院にみる工夫− レベルアップをめざして10
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医学のあゆみ 230巻11号, 1026-1031 (2009);
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TOPICS
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循環器内科学
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医学のあゆみ 230巻11号, 1021-1022 (2009);
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臨床検査医学
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医学のあゆみ 230巻11号, 1023-1024 (2009);
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消化器内科学
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医学のあゆみ 230巻11号, 1024-1025 (2009);
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