Volume 232,
Issue 4,
2010
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あゆみ 閉塞性細気管支炎をめぐって
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医学のあゆみ 232巻4号, 225-225 (2010);
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医学のあゆみ 232巻4号, 227-230 (2010);
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閉塞性細気管支炎(BO)は病理学的にはconstrictive bronchiolitisであり,臨床的にはステロイド治療などに抵抗性で不可逆性の閉塞性肺機能障害を伴う疾患である.1世紀以上前から,この疾患の存在は知られていたが,当初はBOOP(bronchiolitis obliterans organizing pneumonia)との区別が曖昧であった.その後,主として病理学的知見からの疾患分類が進み,本疾患の疾患概念が確立した.臨床的には,本疾患は膠原病,感染症,健康食品の副作用などに伴い発症することが知られるようになったが,近年は臓器移植の重篤な肺合併症として注目されている.肺移植後のBOについては臨床的診断によるBOS(BO syndrome)の概念が導入されているが,複数の異なる病態を内含している可能性もあり,今後の検討が待たれる.
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医学のあゆみ 232巻4号, 231-235 (2010);
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閉塞性細気管支炎は,骨髄移植,肺移植,膠原病,感染症,アマメシバなどに関連して発症する予後不良な疾患である.閉塞性細気管支炎の病理学的変化は,原因を問わず共通性が高い.その特徴は細気管支壁から内腔にかけての全周性の線維瘢痕化で,部分的または完全な閉塞を伴うことである.初期には炎症が主体の時期があると考えられる.病理学的診断のために,経気管支肺生検の有用性は低く,外科的肺生検が必要になることが多い.病理診断には弾性染色の併用がきわめて有用である.
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医学のあゆみ 232巻4号, 237-242 (2010);
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閉塞性細気管支炎(BO)とは,小気管支から膜性細気管支の内腔が肉芽組織や線維組織で閉塞し,あるいは壁の線維化によって内腔の著しい狭窄・閉塞が起こった状態である.原因として,有毒ガスの吸入,膠原病,とくに関節リウマチによるもの,マイコプラズマやウイルス感染などがあげられるが,最近では骨髄移植や肺移植などの臓器移植後の発症例が増加している.BOの病初期には自覚症状や他覚所見が乏しく,早期発見には呼吸機能検査が唯一の手段と考えられる.そのため国際心肺移植学会ではおもに呼吸機能検査を中心とした診断基準を設け,早期診断および早期治療を試みている1).治療はステロイド薬,気管支拡張薬,マクロライド療法などが試みられているが,細気管支の閉塞性変化は非可逆性で,予後はきわめて不良である.そのため,病態の解明ならびに有効な治療方法の確立が急務である.
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医学のあゆみ 232巻4号, 243-246 (2010);
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閉塞性細気管支炎(bronchiolitis obliterans)は,細気管支壁の線維性の肥厚により高度の閉塞性肺障害をきたす疾患である.薬剤性のものや特発性,膠原病に伴うものなどが知られているが,もっとも多く遭遇するものは,骨髄移植などの臓器移植後の慢性移植片対宿主病(GVHD)として起こってくるものである.その画像所見は肺の容積増加と透過性亢進である.CTでも細気管支炎を示す小葉中心性粒状陰影に乏しく,むしろ末梢気道の閉塞による中枢部気管支の壁肥厚と内腔の拡張が中心的所見になる.これは病理学的に,気管支壁の線維化が主体で,細胞浸潤に乏しいことを反映しているものと考えられる.
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医学のあゆみ 232巻4号, 247-251 (2010);
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閉塞性細気管支炎(BO)の基礎的研究は,主として移植後BOを対象として行われてきた.とくに最近,BOの動物モデルとして,ヒトのBOにきわめて類似したheterotopic tracheal transplant modelなどが開発され,本症の病態解明が飛躍的に進んだ.これらのモデルを解析することにより,本症の病態を3つの病期に分ける仮説が提唱されている.まず,1.細気管支上皮の傷害が起こり(傷害期),2.引き続いて種々の炎症細胞が周囲に浸潤し(炎症期),3.最終的に炎症の治癒過程で線維芽細胞などによる過剰修復・リモデリングが細気管支周囲に引き起こされ(リモデリング期),細気管支腔が狭窄・閉塞するという仮説である.それぞれの病期には,種々のサイトカイン,ケモカイン,growth factorなどが複雑に関与していることも明らかになった.今後のさらなる基礎的研究の発展によって,いまだ有効な治療法がないヒトBOのあらたな治療の開発につながることが期待される.
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医学のあゆみ 232巻4号, 253-256 (2010);
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肺移植は末期肺疾患の治療法として日本でも定着しつつあり,閉塞性細気管支炎も肺移植適応疾患に含まれている.日本国内で2009年10月現在までに実施された肺移植は,144例(脳死肺移植57例,生体肺移植87例)に達した.適応疾患で4番目に多いのが閉塞性細気管支炎20例であった.原因として多いのが造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(GVHD)として発症した閉塞性細気管支炎である.自験15例では,閉塞性細気管支炎に対する肺移植後の5年生存率は84.4%であった.一方,肺移植後に慢性拒絶反応として生じる閉塞性細気管支炎は,現在克服されていない肺移植のもっとも大きな課題である.明らかに有効な治療法はなく,その発症を予防することが重要とされている.生体肺移植では2人の異なった抗原性を有するグラフトが移植されるため,閉塞性細気管支炎が生じても片側性であることがしばしばであり,脳死肺移植よりも有利と思われる.
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医学のあゆみ 232巻4号, 257-259 (2010);
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同種造血幹細胞移植後の閉塞性細気管支炎(BO)は致死的合併症のひとつであり,細気管支領域の内腔が狭小化し閉塞性障害をきたす.BOは慢性移植片対宿主病(GVHD)との相関が強く,現在は慢性GVHDの肺病変と一般的には理解されている.しかし,移植前治療や感染症とBO発症との間に相関関係が認められていることや,通常の慢性GVHDの治療として用いられる免疫抑制剤に抵抗性であることなどから,その発症には複数の因子が関係していると考えられている.診断は臨床症状,肺機能検査,画像検査などから総合的に行われ,いずれも閉塞性障害を反映した所見を認める.治療はステロイドなどの免疫抑制剤が使用されるが,治療反応性は乏しく,新しい治療法の開発が望まれている.
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医学のあゆみ 232巻4号, 261-265 (2010);
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2003年,わが国で“アマメシバ”を服用していた女性が閉塞性細気管支炎というまれな重症呼吸器疾患を発症した.実はさかのぼること7年,1996年には台湾で200例以上ともいわれるアマメシバ関連閉塞性細気管支炎の発生が報告されており,日本でも同様の症例が全国で8例発生していたことが判明した.アマメシバは東南アジア原産の低木植物で,古くから葉を加熱調理して食されていたが,台湾や日本ではダイエット食品として大量かつ持続的に摂取されていた.アマメシバ関連閉塞性細気管支炎は摂取中止後も呼吸不全が進行するという特異な臨床経過を示し,また有効な治療法がみつかっていない.台湾でも多数の死者を出していたが,わが国でも3例が死亡し1例には肺移植が施行された.近年アマメシバ抽出成分がさまざまな免疫細胞に影響を与えることが示されてきており,また,宿主因子としてHLA A2が関連する可能性など,病態の解明がなされつつある.
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医学のあゆみ 232巻4号, 267-271 (2010);
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自己免疫水疱症は,表皮のさまざまな接着関連蛋白に対する自己抗体により,全身の皮膚に水疱を形成する皮膚科の代表的な自己免疫性疾患の一群である.大きく,1.抗表皮細胞膜自己抗体を示す天疱瘡群と,2.水疱性類天疱瘡を代表とする抗表皮基底膜部自己抗体を示す群の2群に分けられる.天疱瘡群では,主としてデスモソーム部の細胞接着分子であるデスモグレイン群に対するIgG自己抗体を示す.腫瘍随伴性天疱瘡(PNP)は天疱瘡の一型で,皮膚病変とStevens Johnson症候群に類似の粘膜病変を示し,悪性リンパ腫を主とする血液系悪性腫瘍を合併する.血中に抗デスモグレイン自己抗体のみでなく,デスモプラキン,エンボプラキン,ペリプラキンなどのプラキンファミリー蛋白に対する自己抗体を検出する.予後は一般に不良である.PNPの約20%に,致死的な閉塞性細気管支炎(BO)様肺病変が出現することが明らかとなった.著者らは培養肺胞上皮細胞を用いた免疫沈降法で,血中抗体が表皮と同様なプラキンファミリー蛋白に反応することを示し,皮膚病変と同様な機序で,肺病変が生じることが推定された.その後の著者らの約70例の日本人PNP患者の統計でも,20 30%に致死的なBO様肺病変が認められ,予後の改善のためにも今後の病態の解明と治療の開発が急がれる.
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フォーラム
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切手・医学史をちこち97
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医学のあゆみ 232巻4号, 273-273 (2010);
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医学のあゆみ 232巻4号, 274-276 (2010);
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医学のあゆみ 232巻4号, 277-278 (2010);
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医学のあゆみ 232巻4号, 279-281 (2010);
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 232巻4号, 285-286 (2010);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 232巻4号, 286-288 (2010);
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臨床検査医学
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医学のあゆみ 232巻4号, 288-289 (2010);
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連載
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がん診療連携拠点病院にみる工夫 − レベルアップをめざして20
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医学のあゆみ 232巻4号, 290-295 (2010);
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がん医療の均てん化に向けたさまざまな取組みが行われ,医師間格差,施設間格差1)の是正が進められている.当院は2007年2月に癌研有明病院のがん化学療法短期研修に参加し,“チーム医療体制の構築”と“標準治療の実践”に取り組んできた.その後,短期研修に参加した施設を中心とした地域ネットワーク“皆で化学療法を勉強する会”を立ち上げ,全体のレベルアップをはかるとともに,癌研有明病院化学療法科を核施設とした医療連携の強化,新規薬剤の速やかな導入に取り組んでいる.また,標準治療の底辺を広げる試みとして,鹿児島市医師会に所属する施設を対象に“化学療法研修会”を開催している.さらに,地域の薬剤師会と協力し保険薬局を対象とした“医薬研修会”を開催し,抗がん剤処方時の安全な連携の方法を模索している.