Volume 232,
Issue 7,
2010
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あゆみ 成人先天性心疾患 − 最新動向
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医学のあゆみ 232巻7号, 773-773 (2010);
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医学のあゆみ 232巻7号, 775-778 (2010);
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多くの先天性心疾患(CHD)患者が成人を迎え,社会的自立が可能となった.しかし,加齢により病態が修飾され,背景となる基礎疾患の病態変化以外に,就業,医療保険,生命保険,心理的社会的問題,結婚,出産,喫煙,飲酒,遺伝など成人期特有の問題を抱えるようになる.このため,成人後も観察,加療を必要とすることが多い.小児期は両親が病気を把握していたが,成人となる過程で本人が病気を認識することが必要となり,いつどのような形で本人に伝えることがよいかという問題も派生する.これらの問題を抱え成人したCHD患者に対しては,成人疾患の訓練を受けていない小児科医が継続して診ているか,小児慢性疾患の診療の訓練を受けていない循環器科医が経過観察を行っている場合が多い.循環器科医のこの分野への関心は低かった.しかし,患者数の増加・加齢は今後も確実に進むため,近い将来,この分野は循環器科のなかのひとつの分野となることは疑いがない.
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医学のあゆみ 232巻7号, 779-782 (2010);
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心血管疾患合併妊娠は妊産婦死亡にもつながる高危険性妊娠である.循環器医療や新生児医療の発展に伴って成人となる先天性心疾患患者が増加し,わが国における心疾患合併妊娠も増加する傾向にあり,年間約5,000〜10,000例と推定されている.これまでエビデンスに基づいた標準的治療の確立は不十分であったが,2005年,日本循環器病学会より『心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に関するガイドライン』1)が発刊された.本稿ではまず周産期における心血管・循環動態の生理的変化について,つぎに注意を要する疾患・病態について,最後におもな先天性心疾患ごとにみた妊娠出産の注意点について述べる.
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医学のあゆみ 232巻7号, 783-786 (2010);
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手術成績の向上や治療体系の整備により,先天性心疾患患者の多くは成人期に達するようになってきた1).しかし,単純な心房中隔欠損症(ASD)や心室中隔欠損症(VSD)などを除いて,複雑心奇形に対する心内修復はかならずしも根治的ではない.遺残症(residua)や続発症(sequela)は経年的に進行あるいは増加し,再手術の適応となることがある.形成された左室または右室流出路の狭窄,心外導管の機能不全,肺動脈弁逆流や房室弁逆流の進行は,術後遠隔期にしばしば認められる.これらの病変は心房性および心室頻拍性不整脈の基質となることがあり,心機能低下や突然死の原因となりうるため,同時に外科的処置を検討しなければならない.
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医学のあゆみ 232巻7号, 787-790 (2010);
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先天性心疾患(congenital heart disease:CHD)患者は,ここ50年での手術の飛躍的進歩により多くが成人まで生存可能となった.しかし,その管理はおもに小児科医師や手術を行った胸部外科医師によって行われているのが現状である.医師不足の状況下,現在40万人ともいわれる成人に達したCHD患者は今後,循環器内科医師の手で管理する必要性が生じているが,循環器内科医師の多くが(とくに複雑心奇形では),その病態に慣れていないと思われる.しかも手術を行ったCHD患者は年をとるにつれて心不全症状を呈することも珍しくなく,単に管理だけでは十分ではなくなっている.そういった現状を踏まえ,心不全のある成人先天性心疾患(ACHD)患者の病態と治療に関して概説してみたい.
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医学のあゆみ 232巻7号, 791-794 (2010);
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これまで心エコーと心臓カテーテル検査で評価されていた複雑心奇形の形態・機能は,多くの部分をCTやMRIで補えるようになってきた.経胸壁心エコーでは十分評価できない肺静脈や肺動脈の形態診断に優れ,心臓カテーテル検査より低侵襲である.周囲構造との関連も容易に把握でき,外来診療だけでなく,外科手術を予定する場合の必要性も高い.さらに,MRIでは複雑な心室の機能診断が可能であり,原疾患や術式の多様性にも十分対応できる.心臓画像診断は今後患者数が増加していく成人先天性心疾患診療には欠かせない領域である.
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【ayumi TOPICS】
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医学のあゆみ 232巻7号, 795-796 (2010);
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医学のあゆみ 232巻7号, 797-799 (2010);
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医学のあゆみ 232巻7号, 800-801 (2010);
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医学のあゆみ 232巻7号, 802-804 (2010);
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フォーラム
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逆システム学の窓30
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医学のあゆみ 232巻7号, 805-808 (2010);
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年間30日以上の不登校は急増し,中学生では3%と1980年の10倍になり,大きな社会問題になろうとしている.一般外来でもひきこもりの相談を受けることが増えている.ひきこもりは,バブル崩壊後,50代の自殺増加と並行して急増し,21世紀になり固定化した社会経済現象の面をもつとともに,ゲームやネットへののめり込み,昼夜逆転などの生活文化の面をもつ.しかし,齊藤万比古らの調査によると長期の予後は意外によく,7割以上は社会復帰することから,フィジカルな病気としてよりも,思春期の心理的的側面をよく理解した対応が重要である. 不登校が遷延化してひきこもりになると,将来への不安の影に覆われ,親子の間に大きな葛藤が生まれる.子供は社会のストレスに対して,自分を傷つけないため家庭に避難しながら,家庭からは自立したいという二律背反のアンビバレントな状態に置かれる.しばしば,子供の記憶は自分を合理化するため修飾されていき,親を非難するものになる.親は,自分の教育が間違いだったという自責の念に追われつつも,子供に強気な態度で出なくてはと,非難の応酬になる場合もある. 医師や臨床心理士が,これに対応するときには,安易に精神疾患の診断をつけたり,睡眠障害などの症候群と診たりすることには慎重である必要がある.親子を助ける“支持者”という脇役の立場が大事である.親子は将来の不安感と親子間の葛藤をもって相談にくる.予後はよいことを理解させ,不安感を抑え,“細い糸”のようでも現実的な出口を見つけていく支援が大事である.基本的な解決は,社会への復帰である.そのためには,本人と親,家族,周囲の社会の人,フリースクールや通信制などの学校など支援機関との関係を重視していくことが有効である.
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感染症法と保険診療5
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医学のあゆみ 232巻7号, 810-814 (2010);
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TOPICS
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解剖学
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医学のあゆみ 232巻7号, 817-818 (2010);
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膠原病・リウマチ学
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医学のあゆみ 232巻7号, 818-819 (2010);
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癌・腫瘍学
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医学のあゆみ 232巻7号, 819-821 (2010);
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注目の領域
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医学のあゆみ 232巻7号, 822-826 (2010);
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司法精神医学は精神障害にかかわる法律問題を扱う精神医学の応用分野であり,近年その課題は多様化している.禁治産を改正した成年後見制度(2000年)では認知症等の患者の判断能力を医師が評価する.精神障害の疑いのある人が刑事事件を起こした場合,刑事責任能力すなわち刑法39条で定められた心神喪失と心神耗弱について裁判官が判断するための資料を精神鑑定が提供する.医療観察法(2005年)では心神喪失・耗弱の状態で重大な他害行為を行った人について裁判所が治療を命じ,治療は専門医療機関で実施される.本法施行で触法精神障害者の治療に対する関心が高まった.新しく始まった裁判員制度では,一般国民である裁判員に精神鑑定結果を理解しやすく提示する方法が検討されている.それとともに責任能力をめぐる国民的な議論とコンセンサスが求められる.他方,近年の脳科学の進歩のもとで,道徳的判断の神経機構を解明する試みがなされている.従来は正常な意思決定に基づくとみなされてきた犯罪行動についても異常な神経基盤が見出され,善と悪,罪と罰をめぐって新しい問題が提起されている.