Volume 232,
Issue 11,
2010
-
あゆみ IgA腎症−最新動向
-
-
Source:
医学のあゆみ 232巻11号, 1099-1099 (2010);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 232巻11号, 1101-1106 (2010);
View Description
Hide Description
IgA腎症の臨床像を明らかにするために,全国疫学調査(1995年)と10年間の前向きコホート研究(1995~2005年)を行った.1994年のIgA腎症受療患者数は24,000人(95%信頼区間:21,000~27,000人)と推計された.学校や職場の健診により発見される無症候性の症例が多数を占めることが,わが国におけるIgA腎症の特徴のひとつであると考えられた.追跡開始時点からの10年腎生存率は85.0%(95%信頼区間:83.1~86.7%)であり,慢性透析療法導入の独立した危険因子は,1.男性,2.年齢30歳未満,3.腎不全の家族歴,4.慢性腎炎の家族歴,5.高血圧,6.尿蛋白,7.軽度尿潜血(赤血球30/視野未満),8.低アルブミン血症,9. eGFRの低下,10.初回腎生検異常所見,であった.IgA腎症の早期発見を予後の改善によりよく結びつけるために,予後予測と治療に関するエビデンスの蓄積が望まれる.
-
Source:
医学のあゆみ 232巻11号, 1107-1112 (2010);
View Description
Hide Description
IgA腎症は,糸球体メサンギウム領域にIgA1が優位に沈着するメサンギウム増殖性糸球体腎炎である.IgA腎症患者の血中には多量体IgA1が増加し,糸球体にはおもに多量体IgA1が沈着する.これまでの研究により,IgA腎症患者の血中および糸球体に沈着するIgA1には糖鎖異常IgA1が増加していることが明らかとなった.糖鎖異常IgA1はB細胞の異常によって産生される.骨髄や粘膜面での産生が議論されてはいるが,糖鎖異常IgA1の具体的な産生部位は同定されていない.糖鎖異常IgA1はIgA1凝集体や高分子の免疫複合体を形成することにより肝でのクリアランスが遷延し,糸球体に沈着することが示唆されている.実際,IgA腎症患者血中には糖鎖異常IgA1を特異的に認識するIgG抗体が増加し,その結果,糖鎖異常IgA1免疫複合体が増加している.免疫複合体がメサンギウムに沈着した後に組織障害を誘発するメカニズムはいまだ明らかではないが,糖鎖異常IgA1と免疫複合体がIgA腎症の病態において重要な役割をもっていることは間違いないと考えられる.
-
Source:
医学のあゆみ 232巻11号, 1113-1120 (2010);
View Description
Hide Description
IgA腎症の診療および治療方針の決定に際しては,どのような素因や所見が腎予後と関連するかを知り,個々の症例におけるその時点まで,あるいはその後の臨床像や病理組織像の変遷をイメージできることが重要である.IgA腎症は免疫学的異常により発症する疾患と考えられているが,本症の進行には免疫学的活動性の多寡に加えて,硬化性病変の程度と残存ネフロンの減少に伴う血行力学的機序が関与するため,進行するにつれて病態は複雑化し,難治性となる.したがって,本症の腎予後の改善には,将来的に進行するリスクの高い症例を病初期に判別するための早期マーカーの確立が望まれる.
-
Source:
医学のあゆみ 232巻11号, 1121-1126 (2010);
View Description
Hide Description
IgA腎症は幅広い臨床像を有し,これらの予後を予測するために,数々の組織学的分類が提唱されてきた.2008年,厚生労働省進行性腎障害研究班IgA腎症分科会があらたな病理組織分類を提案する一方,2009年,国際IgA腎症ネットワーク(International IgA Nephropathy Network)およびRenal Pathology Societyのワーキンググループより,いわゆるオックスフォード分類が発表されるに至り,その相違がわが国において混乱を招く危険性を帯びてきた.本稿ではそれぞれの分類の特徴を述べ,両者を比較検討することにより,双方の組織分類の問題点について考察する.
-
Source:
医学のあゆみ 232巻11号, 1127-1132 (2010);
View Description
Hide Description
IgA腎症には自然寛解例もあるが,20年後には30~40%の例が末期腎不全に至る.各種の治療法が試みられてきたが,いまだに各症例に適切な治療法は確立されていない.従来,病巣感染症として口蓋 扁桃摘出術(扁摘)や,免疫複合体病として経口ステロイド薬による治療も試みられてきたが,最近では 扁摘とステロイドパルスの併用療法(扁摘パルス療法)が治療選択肢のひとつとして注目を浴びている.軽症例では尿所見寛解率が高いと考えられるが, 扁摘パルス療法の適応や長期的効果は現時点では明らかとなっていない.現在わが国で,中等症に対する 扁摘パルス療法とステロイドパルス単独療法のランダム化比較試験が進行中であり, 扁摘を行うことの有用性の有無が明らかとなることが期待されている.
-
Source:
医学のあゆみ 232巻11号, 1133-1137 (2010);
View Description
Hide Description
慢性腎疾患の進展・増悪にはレニン-アンジオテンシン系(RAS)の亢進が深く関与していることが,数多くの基礎・臨床研究によって明らかにされている.近年のACE阻害薬(ACE-Ⅰ)/アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)を用いた大規模臨床研究において,これらのRAS阻害薬は糖尿病性腎症および非糖尿病性腎疾患の進行を抑制することが証明され,“降圧を超えた臓器保護作用”を有する薬剤としての位置を得ている.これらのエビデンスを背景に,『CKD(慢性腎臓病)診療ガイド―高血圧編』において高血圧を伴うCKD患者には原則としてRAS阻害薬が第一選択薬とされている.本稿ではIgA腎症におけるRAS阻害薬の有用性について,最近の知見を交えながら概説する.
-
Source:
医学のあゆみ 232巻11号, 1139-1145 (2010);
View Description
Hide Description
IgA 腎症の治療薬として臨床効果が検討されている免疫抑制薬には,アザチオプリン,シクロホスファミド, ミゾリビン,ミコフェノール酸モフェチル(MMF)がある.これらの薬剤に関して進行性 IgA 腎症に対する尿 蛋白量減少や腎機能悪化速度の低下などの効果が多くの報告で示されてきたにもかかわらず,IgA 腎症治療薬 としての有効性はほとんど確立されていない.その原因としては,有効性を示す研究報告のエビデンスレベル が低いことや,有効性を否定する報告が散見されることがあげられる.また,ステロイドを含む多剤併用療法 の有効性に関する報告が多く,免疫抑制薬自体の有効性を証明した報告は数えるほどしかみられないことも一 因と考えられる.MMF に関してはいくつかの無作為化比較対照試験が行われているが,当初期待されたほど の有効性は認められていない.今後のエビデンスの蓄積が待たれる.
-
座談会
-
-
がん診療連携拠点病院にみる工夫−レベルアップをめざして 21
-
Source:
医学のあゆみ 232巻11号, 1155-1164 (2010);
View Description
Hide Description
-
フォーラム
-
-
感染症法と保険診療 7
-
Source:
医学のあゆみ 232巻11号, 1147-1149 (2010);
View Description
Hide Description
-
マラリアのいま 2
-
Source:
医学のあゆみ 232巻11号, 1150-1152 (2010);
View Description
Hide Description
-
TOPICS
-
-
生化学・分子生物学
-
Source:
医学のあゆみ 232巻11号, 1165-1166 (2010);
View Description
Hide Description
-
免疫学
-
Source:
医学のあゆみ 232巻11号, 1166-1168 (2010);
View Description
Hide Description
-
臨床医学
-
Source:
医学のあゆみ 232巻11号, 1168-1169 (2010);
View Description
Hide Description