Volume 232,
Issue 12,
2010
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あゆみ 糖尿病関連遺伝子の現在
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医学のあゆみ 232巻12号, 1171-1171 (2010);
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医学のあゆみ 232巻12号, 1173-1177 (2010);
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一般の糖尿病の発症には複数の遺伝因子が関与しているが,一部の糖尿病は単一の遺伝子異常により発症する.そのような糖尿病の代表が,若年発症成人型糖尿病(MODY)である.MODYは常染色体優性遺伝形式をとり,現在までに6種類の原因遺伝子が同定されている.6種類の原因遺伝子のうち5種類は転写因子をコードしており,MODYは転写因子病と考えることができる.
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医学のあゆみ 232巻12号, 1179-1183 (2010);
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1型糖尿病は,膵β細胞の破壊によるインスリン欠乏により発症する糖尿病である.その成因がいまだ明らかではない“特発性”と,自己免疫的機序により発症する“自己免疫性”とに分類されるが,大部分は自己免疫性と考えられている.その発症には遺伝因子と環境因子が関与しており,しかも遺伝因子が複数の遺伝子によって構成されている多因子疾患であり,疾患に関与する遺伝子は“疾患感受性遺伝子”とよばれている.特定の遺伝子変異が発症の原因となる単一遺伝子疾患と比べると,多因子疾患の個々の疾患感受性遺伝子を同定するには多くの困難が伴うが,最近のゲノム情報の整備や遺伝子解析法のめざましい進歩により1型糖尿病疾患感受性遺伝子の解明は急速に進んでいる.1型糖尿病疾患感受性遺伝子の同定をめざしたゲノムワイドのアソシエーションスタディ(GWAS)の報告も含めたこれまでの1型糖尿病疾患感受性遺伝子に関する報告からは,1型糖尿病にもっとも強く関与している遺伝子座がHLA(human leukocyte antigen)であることが示されており,HLAにより糖尿病発症の遺伝因子の30~50%が説明できると考えられている.一方,非HLA(non-HLA)領域にも多くの疾患感受性遺伝子が存在する可能性が示されているが,その大半の効果は弱いものと考えられている(図1).本稿では1型糖尿病関連遺伝子の現状を,HLA領域の遺伝子とHLA以外(non-HLA)の遺伝子とに分けて概説する.
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医学のあゆみ 232巻12号, 1185-1188 (2010);
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2型糖尿病は,複数の遺伝素因に環境因子が加わって発症する多因子疾患である.これまでに2型糖尿病の候補遺伝子として,インスリン抵抗性に関連するアディポネクチン,レジスチン,PPARγや,インスリン分泌障害に関連するKir6.2,アミリン,HNF-4αなどの一塩基多型(SNP)が同定された.これらのSNPはわが国において2型糖尿病と関連することが報告されており,その機能的意義の解明と発症予防やオーダーメイド医療への応用が期待される.
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医学のあゆみ 232巻12号, 1189-1193 (2010);
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近年SNPsを高速にタイピングできる技術が進歩し,さらに国際Hapmapプロジェクトによる成果をもとにゲノムワイド相関解析(GWAS)を行うことで,現在も2型糖尿病関連遺伝子がつぎつぎと同定されようとしている.日本から報告されたKCNQ1は欧米人においてはオッズ比は比較的低いものの,東アジア人やその他の民族においてはオッズ比が高く,有力な関連遺伝子と考えられている.また,非肥満の糖尿病家系の疾患同胞対解析とSNP fine mappingの解析から,関連遺伝子としてKCNJ15が報告されている.欧米ではTCF7L2遺伝子がもっとも再現性が高い関連遺伝子であり,TCF7L2による遺伝素因は生活習慣で改善できる可能性も示されたが,今後の遺伝子解析では比較的まれなリスクの高い遺伝子を検出する工夫が必要であろうと考えられる.
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医学のあゆみ 232巻12号, 1195-1200 (2010);
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糖尿病腎症などの糖尿病合併症の発症あるいは進展には個人差があり,何らかの遺伝因子の関与が想定されている.現在までに,ACE,ELMO1,CNDP1などが複数の民族で糖尿病腎症の有力な遺伝因子として報告されているが,多くはいまだ同定には至っていない.最近,ゲノムワイド関連解析(GWAS)により2型糖尿病などの複数のcommon diseaseに関して多くの感受性領域が同定され,そのほとんどはその後の追試により確立した感受性領域として認識されている.糖尿病腎症に関するGWASも進行中であるが,十分な症例数の確保が困難であることから,満足な解析が行われているとはかならずしもいえない現状である.対象の診断基準も統一されていないなど糖尿病合併症感受性遺伝子研究には問題点も多いが,今後国際的な連携により,その同定が加速されることが期待される.
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医学のあゆみ 232巻12号, 1201-1206 (2010);
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現在の急速な糖尿病患者の増加には脂肪過量摂取,運動不足,ストレスなどのいわゆる生活習慣とともに,母体肥満,子宮内環境などの生前の環境因子も何らかの形で記憶され,生後の糖尿病や肥満症の易発症性を規定していると考えられている.これら環境変化の遺伝子への取込みの仕組みとして,塩基配列の変化を伴わないメチル化など可逆性のエピジェネティックな遺伝子発現制御機構が想定されている.全ゲノム関連解析(GWAS)によりTCF7L2,HHEX,CDKN2B,CDKAL1,IGF2BP2,KCNQ1などの遺伝子領域の多型で糖尿病発症との関連が認められ,人種を超えた糖尿病感受性アリルであることが証明された.しかし,従来の糖尿病危険因子(肥満,家族歴など)に比べて,遺伝子多型の糖尿病発症予測への貢献度はいぜん低いという報告もなされた.したがって,今後のありふれた生活習慣病の遺伝素因解明は,配列変異(SNPs)のみならず,ともにあるエピゲノム変化も含めて解析を進めていかねばならないと考えられる.
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【ayumi TOPICS】
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医学のあゆみ 232巻12号, 1207-1208 (2010);
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医学のあゆみ 232巻12号, 1209-1210 (2010);
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医学のあゆみ 232巻12号, 1211-1213 (2010);
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医学のあゆみ 232巻12号, 1214-1215 (2010);
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医学のあゆみ 232巻12号, 1217-1218 (2010);
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フォーラム
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医学のあゆみ 232巻12号, 1219-1220 (2010);
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患者アドボカシーの実践1
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医学のあゆみ 232巻12号, 1222-1224 (2010);
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速報
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医学のあゆみ 232巻12号, 1231-1232 (2010);
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TOPICS
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生化学・分子生物学
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医学のあゆみ 232巻12号, 1227-1228 (2010);
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移植・人工臓器
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医学のあゆみ 232巻12号, 1228-1229 (2010);
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産科学・婦人科学
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医学のあゆみ 232巻12号, 1229-1230 (2010);
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