Volume 234,
Issue 3,
2010
-
あゆみ 最近話題のワクチン
-
-
Source:
医学のあゆみ 234巻3号, 183-183 (2010);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 234巻3号, 185-189 (2010);
View Description
Hide Description
1997 年の香港に続き,2003~2004 年に東南アジアで発生した高病原性鳥インフルエンザ(highly pathogenicavian influenza:HPAI)を引き起こしたのは A/(H5N1)HPAI ウイルスであった.現段階ではトリからヒトへの感染は認められているが,このウイルスの特性からヒトからヒトへの感染はほとんど認められていない.今後,発生する新型インフルエンザに備え,H5N1 インフルエンザウイルスを用いてモックアップワクチンの開発が行われた.日本においてはウイルス粒子(全粒子)を不活化した不活化全粒子ワクチンに免疫増強剤(アジュバント)として水酸化アルミニウムを加えたアジュバント添加不活化全粒子ワクチン〔沈降インフルエンザワクチン(H5N1 株)〕が製造販売承認を受けた.承認されたワクチンを用いて,プレパンデミックワクチンとしての安全性と免疫原性を確認する臨床研究が行われた.また,クレードの異なる H5N1 ワクチン製造株を用いてワクチン原液の備蓄が行われている.このワクチンについては安全性および免疫原性のさらなる向上,供給能力の向上,迅速供給などの検討が求められている.
-
Source:
医学のあゆみ 234巻3号, 191-194 (2010);
View Description
Hide Description
パンデミック(H1N1)2009 ウイルスは,1918 年のスペインインフルエンザウイルスが北アメリカのブタに入り,そのなかで維持されつつ,トリ,ヒトのウイルスと遺伝子の交雑(リアソートメント)を起こしたトリプルリアソータントウイルスが,最後にユーラシア大陸のブタインフルエンザウイルスとの間で遺伝子の交雑を起こしたものである.世界中に拡大した現在も発生当初の A/California/7/2009 株とほとんど変化はなく,いぜんとしてヒトのウイルスとのリアソートメントも起こっていない.日本国内でこの A/H1N1pdm ウイルスに対して十分な免疫をもつものは多くとも 30%程度であろうから,現在でも感受性者が集まっているところにウイルスが入ればアウトブレイクは起こりうるし,今冬,国内で拡大すれば,ウイルスはハイリスク者や高齢者へも到達して被害が大きくなるかもしれない.現状と今冬を見すえて本ワクチンの使用方法を検討しなければならない.
-
Source:
医学のあゆみ 234巻3号, 195-200 (2010);
View Description
Hide Description
インフルエンザ菌 b 型(Hib)による髄膜炎は乳児期に好発する.早期診断が難しいこと,薬剤治療の効果が限定的なこと,および予後が悪いことから,古くからワクチン開発が試みられてきた.Hib の莢膜多糖であるポリリボシルリビトールリン酸(PRP)そのものを主成分とした第一世代のワクチンは乳児期の感染予防効果が不十分であったことから,PRP をキャリア蛋白に結合させた結合体ワクチンが開発された.Hib 結合体ワクチンのうち,PRP-D,HbOC,PRP-OMP,および PRP-T の 4 種は,抗体誘導能のみならず感染予防効果も明確であり,これらが定期接種に組み込まれた国では Hib 髄膜炎の発症をほぼ完全に抑制することに成功している.これらのうち,PRP-OMP は抗体産生の立ち上りが早いことから,ハイリスク群の感染予防に有用である.PRP-T は確実な感染予防効果および DTaP などとの混合ワクチン化が容易なことから,スタンダードなワクチンとして世界各国で使用されている.
-
Source:
医学のあゆみ 234巻3号, 201-204 (2010);
View Description
Hide Description
わが国ではじめて,乳幼児を接種対象とした 7 価肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー水性懸濁皮下注:PCV7)が 2009 年 10 月に承認された.本ワクチンは約 90 種類ある肺炎球菌莢膜血清型のうち,7 種類の血清型それぞれに,無毒化したジフテリア毒素キャリアたん白(CRM197)を結合させたワクチンである.肺炎球菌結合型ワクチンは,これまでにわが国に導入されている肺炎球菌ポリサッカライドワクチンと異なった作用機序であることから,乳幼児においてその有効性が期待されている.また,あらたに 6 種類の血清型が追加された 13 価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)が開発中であり,さらに高い侵襲性肺炎球菌性疾患の予防効果が期待される.PCV13 は乳幼児用ワクチンとして,まず 2009 年 12 月にヨーロッパで承認され,引き続き 2010年 2 月にアメリカにおいて承認された.しかし,わが国においては開発中である.PCV13 は,これまでにわが国で導入されている肺炎球菌ポリサッカライドワクチンとは異なった作用機序であることから,乳幼児だけではなく,成人についてもその有効性が期待されている.
-
Source:
医学のあゆみ 234巻3号, 205-208 (2010);
View Description
Hide Description
子宮頸癌発症の最大リスク因子は 15 種の高リスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染である.これらの HPV 感染を予防すれば子宮頸癌の発症を防ぐことができると考え,欧米の製薬会社が 2 種の高リスクHPV のキャプシド骨格を抗原とするワクチンを開発した.大規模臨床試験で安全性・有効性が示され,世界各国で導入されている.2009 年,わが国も一社のワクチンを承認し,接種がはじまっている.感染そのものを予防するワクチンで,感染防御の詳細な機構や効果の継続性などに不明な部分があるが,重大な副作用はなく,普及が図られている.
-
Source:
医学のあゆみ 234巻3号, 209-212 (2010);
View Description
Hide Description
日本脳炎はアジア地域におけるもっとも重要なウイルス性脳炎で,世界的に小児を中心に毎年約 50,000 人が発症し,およそ 10,000 人が死亡している.日本脳炎ワクチンはいまから半世紀以上前の 1954 年に,マウス脳由来の中山株を用いた不活化ワクチンとしてわが国で開発,実用化され,その製造技術はアジア諸国に供与された.わが国では 2005 年に“日本脳炎ワクチンに対する積極的な勧奨の差し控え”が行われ,接種率が急激に低下し,マウス脳由来不活化ワクチンは国内ではつくられなくなった.動物愛護の観点からも,1990年代から開発されてきた細胞培養不活化ワクチンが 2009 年に製造承認され,市場に供給された.そして,2010 年にはまず 3 歳児を対象に勧奨接種が再開された.
-
Source:
医学のあゆみ 234巻3号, 213-216 (2010);
View Description
Hide Description
23 価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPV23)の再接種が,わが国においても 2009 年 10 月に承認された.本ワクチンの効果が 5 年間程度とされることから,高齢化社会を迎えたわが国においても今後のPPV23 複数回接種についての議論の余地がある.
-
Source:
医学のあゆみ 234巻3号, 217-221 (2010);
View Description
Hide Description
近年の鳥型・豚型のインフルエンザの出現に伴い,従来型の不活化ワクチンの効果に対する懸念から,効果を増強させる目的で使用されるワクチンアジュバントの必要性が議論されるようになった.ワクチンアジュバントに関して,これまでその詳細な作用機序は明らかではなく,それゆえ安全性に関しても作用機序に基づく推測などはほとんどされてこなかった.しかし,この約 10 年間の自然免疫システムの解明に伴い,一部のアジュバントの作用の本質が明らかになるとともに,その必要性や安全性の推測もある程度可能になってきた.
-
フォーラム
-
-
異状死をさぐる③
-
Source:
医学のあゆみ 234巻3号, 223-226 (2010);
View Description
Hide Description
孤独死や突然死など異状死体として警察に届けられた場合,監察医制度がある地域を除き,警察医や警察から依頼された一般臨床医が死体検案を行う.その際,既往歴がないことや身元不詳のため,検案のみでは死因の決定が困難なことがある.死因究明のための解剖が実施されればよいが,諸般の事情により検案のみで死因を決定せざるをえない場合が多い.その際,死体から得られた血液の生化学検査などが実施され,その結果が死因の決定の材料となれば有用である.しかし,死後の血液検査については,死後変化のため生前の基準値をそのままあてはめて解釈できないことが多い.本稿では死後の血液検査について,その有用性と限界について解説する.
-
連載
-
-
動物の感染症から学ぶ
-
Source:
医学のあゆみ 234巻3号, 237-237 (2010);
View Description
Hide Description
-
動物の感染症から学ぶ 1
-
Source:
医学のあゆみ 234巻3号, 238-245 (2010);
View Description
Hide Description
2009 年に発生したインフルエンザパンデミックの原因ウイルスは,ブタインフルエンザウイルスに由来している.A 型インフルエンザウイルスは野鳥を自然宿主とする一方で,ヒトやブタやウマ,ニワトリなどの家畜に侵入して,健康被害や経済的被害を引き起こす.ヒトの季節性 A 型インフルエンザウイルスは,動物に存在しているインフルエンザウイルスがこれらの家畜を介してヒトに侵入し,パンデミックを引き起こした後にヒトで定着したウイルスである.このためパンデミックウイルスの起源は,動物に存在するインフルエンザウイルスに求めることができる.近年,世界的に流行している高病原性トリインフルエンザウイルスは,流行の拡大とともに遺伝的な多様性を獲得するとともに,家禽に対する病原性も変化している.動物におけるインフルエンザウイルスの生態の監視・研究は,パンデミックウイルスの起源の解明や,パンデミックの事前察知のためにたいへん重要な課題である.
-
TOPICS
-
-
生理学
-
Source:
医学のあゆみ 234巻3号, 231-231 (2010);
View Description
Hide Description
-
腎臓内科学
-
Source:
医学のあゆみ 234巻3号, 232-234 (2010);
View Description
Hide Description
-
整形外科学
-
Source:
医学のあゆみ 234巻3号, 235-236 (2010);
View Description
Hide Description