Volume 234,
Issue 9,
2010
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あゆみ 日本版FDAへの道のり
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医学のあゆみ 234巻9号, 819-819 (2010);
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医学のあゆみ 234巻9号, 821-825 (2010);
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医薬品の安全性への懸念や対策,また基礎医学研究の応用による社会への成果還元という 2 つの観点から,医薬品審査は重要な局面を迎えている.とくに多様性への対応ともいうべきレギュラトリーサイエンスと,その上位概念ともなる医薬品行政や臨床試験制度のあり方について,臨床研究と治験とを一本化した日本版IND 制度の導入を中心にした改革は不可欠である.
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医学のあゆみ 234巻9号, 826-830 (2010);
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21 世紀のグローバルな課題は, ①人口増による食料問題, ②高齢化社会の健康問題, ③地球温暖化問題,といわれている.日本の人口は 2050 年には 30%減の 9,000 万人になると予測されており,65 歳以上の比率は現在の 20%から 40 年後には 40%に達し超高齢化社会を迎える.このような背景のなか,日本における医薬品業界のおもな課題は,①医療費の増加,②革新的医薬品の創出, ③ドラッグラグ,である.ドラッグラグ解消のためには,国際共同治験は先進的な新薬を患者に届けるためのたいへん有効な手段であり,改善が進んでいる.今回提案したいことは“製造販売後調査等”の国際・アジア共同調査の実施である.本制度は日本独自のきわめて優れた制度であり,アメリカ,ヨーロッパの規制当局からも高い評価を受けている.国際共同治験を推進するのと同様に,厚生労働省,医薬品医療機器総合機構は日本のリーダーシップを発揮して,本制度を国際・アジアの標準として確立してほしいと願っている.
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医学のあゆみ 234巻9号, 831-835 (2010);
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バイオ医薬品におけるイノベーションは,新技術と,臨床試験および患者区分に基づく病態生物学そして病因学のさらなる進歩が導くものであり,個別化医療は,将来,この課題に取り組むことを約束するものである.昔と比べ,個別化医療を支える研究開発には,投資ファンド,薬事,薬価制度,保険償還といった領域で,実行可能かつ成功しうるさらなる協力体制と選択集中型の政策が求められている.日本の医薬品業界と国のバイオメディカル・イノベーションの仕組みは,昨今とてもうまく機能している.しかし,イノベーションを生む協業の進む新しいグローバル環境で成功を収めるには,制度の抜本的改革と企業によるイノベーションの新たなマネジメントスタイルが望まれる.
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医学のあゆみ 234巻9号, 836-839 (2010);
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ドラッグラグ(日本での新薬の発売開始が欧米諸国から遅れること)は製薬企業の世界・日本での臨床開発の進め方と直接に関係するが,その背景には「新薬の承認の際にエビデンスをどれだけ要求するか」という日本の規制当局の要求レベル,および,ギャンブルにもたとえられる新薬開発の成功率の低さがある.実効性があるドラッグラグ対策を講じるにはこれらの関係を正しく理解し,登場するプレイヤーごとに適切なインセンティブを与える必要がある.ただしドラッグラグ対策の真の目的はドラッグラグの短縮そのものではなく,新薬による社会の構成員の健康・厚生の増進にあることを忘れてはならない.
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医学のあゆみ 234巻9号, 840-843 (2010);
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日本の医学・薬学領域の基礎研究はきわめて高い水準にあるが,その成果を実用化するための治験や臨床研究は,もてる可能性にみあった成果をあげていない.21 世紀に入り,高齢化社会における福祉やあらたな成長の基盤として医薬品や医療が注目されるなか,臨床試験の振興に産官学の努力が注がれている.その過程のなかで医薬品規制のあり方がつねに話題となっているが,歴史や最近の事例をみても既存の機能は今後も保たれなければならない.そのうえで振興のための IND の機能が整えられることにより,はじめて充実した治験などの推進が可能になると考える.これがアメリカ FDA にあって日本にない働きであり,日本版 FDA が期待されるゆえんであろう.実現のためには,被験者保護などすべての立場による合意形成に向けた議論と,制度や組織,財政基盤を視野に入れた取組みが必要である.これにはたとえば行政・学問を横断する考え方と強力なリーダーシップが不可欠であるが,この日本版 IND の確立なくしては日本の明日を考えることは難しい.
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【ayumi TOPICS】
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医学のあゆみ 234巻9号, 844-845 (2010);
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医学のあゆみ 234巻9号, 846-848 (2010);
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生命科学の成果を医療の現場で用いるためには人を対象とした臨床研究の実施が不可欠であるが,現在,日本の臨床研究は低調であり,新しい医薬品や医療技術の応用は欧米などと比べて大幅に遅れている.世界に先がけて超高齢社会へと突入し,医療のさらなる高度化が早急に求められているわが国にとってこれは深刻な問題である.このような問題に対応するには,あらたな価値創出のため技術革新や制度改革を通じたさまざまなイノベーションが必要である. このような背景から,独立行政法人科学技術振興機構( JST)研究開発戦略センター(CRDS)臨床医学ユニットでは,臨床研究振興のための方策を検討し,各種提言を行ってきた.おもに臨床疫学,基礎研究,臨床試験の各ステップを統合的に進め,できるだけ迅速に臨床応用や企業化へつなげることを目的とした“統合的迅速臨床研究(integrative celerity research:ICR)”の推進1),ICR の考え方に基づいた医薬品または医療機器に関する法または規制の改革2,3),橋渡し研究や臨床研究の統一的かつ重点的な推進のための機関(健康研究司令塔)のあり方4)などについて提言し,実現に向けた働きかけを行ってきた.
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医学のあゆみ 234巻9号, 849-850 (2010);
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生命科学の成果を医療の現場で用いるためには人を対象とした臨床研究の実施が不可欠であるが,現在,日本の臨床研究は低調であり,新しい医薬品や医療技術の応用は欧米などと比べて大幅に遅れている.世界に先がけて超高齢社会へと突入し,医療のさらなる高度化が早急に求められているわが国にとってこれは深刻な問題である.このような問題に対応するには,あらたな価値創出のため技術革新や制度改革を通じたさまざまなイノベーションが必要である. このような背景から,独立行政法人科学技術振興機構( JST)研究開発戦略センター(CRDS)臨床医学ユニットでは,臨床研究振興のための方策を検討し,各種提言を行ってきた.おもに臨床疫学,基礎研究,臨床試験の各ステップを統合的に進め,できるだけ迅速に臨床応用や企業化へつなげることを目的とした“統合的迅速臨床研究(integrative celerity research:ICR)”の推進1),ICR の考え方に基づいた医薬品または医療機器に関する法または規制の改革2,3),橋渡し研究や臨床研究の統一的かつ重点的な推進のための機関(健康研究司令塔)のあり方4)などについて提言し,実現に向けた働きかけを行ってきた.
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フォーラム
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切手・医学史をちこち104
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医学のあゆみ 234巻9号, 851-851 (2010);
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生命科学の成果を医療の現場で用いるためには人を対象とした臨床研究の実施が不可欠であるが,現在,日本の臨床研究は低調であり,新しい医薬品や医療技術の応用は欧米などと比べて大幅に遅れている.世界に先がけて超高齢社会へと突入し,医療のさらなる高度化が早急に求められているわが国にとってこれは深刻な問題である.このような問題に対応するには,あらたな価値創出のため技術革新や制度改革を通じたさまざまなイノベーションが必要である. このような背景から,独立行政法人科学技術振興機構( JST)研究開発戦略センター(CRDS)臨床医学ユニットでは,臨床研究振興のための方策を検討し,各種提言を行ってきた.おもに臨床疫学,基礎研究,臨床試験の各ステップを統合的に進め,できるだけ迅速に臨床応用や企業化へつなげることを目的とした“統合的迅速臨床研究(integrative celerity research:ICR)”の推進1),ICR の考え方に基づいた医薬品または医療機器に関する法または規制の改革2,3),橋渡し研究や臨床研究の統一的かつ重点的な推進のための機関(健康研究司令塔)のあり方4)などについて提言し,実現に向けた働きかけを行ってきた.
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逆システム学の窓33
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医学のあゆみ 234巻9号, 852-856 (2010);
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千人に一人の赤ちゃんは,聴覚に障害をもって生まれる.その正確な評価のために,新生児に対して脳波を用いた聴覚スクリーニングが開始され,反応をみてパス(正常)かリファー(要再検査)に分けられる.乳幼児の言語の獲得には,母親が大きな役割をはたす.再検査の結果,重度の聴覚障害と診断されると,母親は耳の聞こえない子どもの言語能力をどのように育てていくか,大きな責任を負うことになる. 外部の音を電気信号に替え,蝸牛の神経細胞に伝える埋め込み型の人工内耳による治療が大きく進歩し,聴力が回復される成功例が増えてきた.一方,手話がろう者の基本的コミュニケーションとして認知されるにつれ,世界的に,学校や職場では,聴覚障害の人には視覚的な情報を与えることが義務化されつつある. こうした選択肢の広がりにもかかわらず,聴覚障害児と母親を長期に追跡した研究では,母親は専門的知識を得られないまま,重い責任感をもたされ,自責の念や疎外感をもっていることが報告されている.医師の不注意な発言がより大きな負担を母親に与える場合や,ろう者の専門家が不注意に介入して,母親を子育てから身を引かせてしまう場合のあることもわかってきた.新生児聴覚スクリーニングの始まった今,母親の悩みと希望を注意深く聞き,専門的知識をわかりやすく説明し,母親の側にたって権利を守るコーディネーターの配置など新たな対応が急がれる.
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医学のあゆみ 234巻9号, 857-861 (2010);
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医学のあゆみ 234巻9号, 862-863 (2010);
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医学のあゆみ 234巻9号, 864-866 (2010);
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連載
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連載動物の感染症から学ぶ 3
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医学のあゆみ 234巻9号, 875-880 (2010);
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ウシ白血病の報告は古く,100 年以上前までさかのぼる.ウシ白血病はウシ白血病ウイルス(BLV)が関与する地方病性(成牛型)と,発生原因はいまだ不明な散発性に分類される.地方病性ウシ白血病(EBL)は国際獣疫事務局(OIE)のリスト疾病にあがっており,わが国の家畜伝染病予防法に基づく届出伝染病に指定されている.ウシ白血病ウイルス(BLV)はヒト T 細胞白血病ウイルスやサル T 細胞白血病ウイルスと近縁であるが,その腫瘍化する細胞はヒトやサルとは異なり B 細胞である.BLV が感染すると約 30%に持続性リンパ球増多症が認められ,感染牛の 5%までのみが白血病を発症する.ウシ白血病の発生は平成 15 年(2003 年)以来その急激な増加がとまらず,平成 21 年(2009 年)には年間 1,369 頭の発生となっており,適切な対策が実施されなければさらなる増加が予想される.国家レベルの組織的なウシ白血病防疫プログラムを確立し,清浄化に向けて必要な対策を確実に実施していくことが大切である.
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TOPICS
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糖尿病・内分泌代謝学
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医学のあゆみ 234巻9号, 871-872 (2010);
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唾液中のコルチゾール測定は間脳-下垂体-副腎皮質系の機能および病態を評価する指標として簡便で再現性があり,信頼できる検査法である.ストレス反応や精神内分泌学的研究において 1960 年代から行われてきたが,1980 年代から Cushing 症候群や副腎不全の診断における有用性が報告され,またコルチゾール以外にテストステロンやアルドステロンなど他のステロイドホルモン測定の報告も散見されるようになってきた.
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生理学
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医学のあゆみ 234巻9号, 872-873 (2010);
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レプチンは脂肪組織から遊離されるホルモンで,脳に指令を送り食欲低下やエネルギー消費の増加をもたらす.レプチンの作用を媒介する視床下部弓状核の主要な細胞集団は,プロオピオメラノコルチン(POMC)ニューロンとagouti 関連ペプチド(AgRP)ニューロンである.インスリンもこれらの弓状核ニューロンに直接作用し,エネルギー消費を調節する.弓状核ニューロンにおけるレプチン/インスリン抵抗性の形成にかかわる細胞内シグナル伝達機序について,近年活発に研究が進められている.
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耳鼻咽喉科学
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医学のあゆみ 234巻9号, 873-874 (2010);
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