Volume 235,
Issue 2,
2010
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あゆみ 口唇口蓋裂診療Update
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医学のあゆみ 235巻2号, 145-145 (2010);
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医学のあゆみ 235巻2号, 147-151 (2010);
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先天性形態異常のなかでも外表奇形である口唇口蓋裂は,顔面の奇形であるため,その疾患のもつ重症度に比べてご両親に与える精神的インパクトが大きい疾患といえる.精神的インパクトが大きいおもな原因は,児に対する期待とのギャップと突然に受け入れを強要される時間的余裕のなさであると考えられる.もし,出生前に診断および情報提供されていれば,出生直後からスムーズに治療が継続できるうえ,ご両親が時間的余裕をもって疾患を理解・受け入れることができる.本稿ではその胎児診断の現状と,prenatal visit について述べたいと思う.
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医学のあゆみ 235巻2号, 152-156 (2010);
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口唇裂の初回手術法にはさまざまな方法があるが,現在術式が徐々に統一されつつある.すなわち片側唇裂においては,直線法+小三角弁法のような人中稜に沿った最終瘢痕が残る術式が好まれるようになった.両側唇裂においては Mulliken 法のように,やはり両側の人中稜に沿った瘢痕が残る方法が選択されるようになってきた.しかし,この方法を行うには被裂幅が広いと限られた組織のため張力がかかりすぎ,ときに最終瘢痕が広くなりめだつという結果を招いていた.最近はこの欠点を補うべき術前矯正法(PNAM 法)が発達し結果も格段に改善されてきたので,これらを十分に使いこなして最良の結果を得ることが期待される.
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医学のあゆみ 235巻2号, 157-161 (2010);
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口蓋裂治療の目的は 2 つあり,正常言語の獲得と正常咬合の獲得である.歴史的に口蓋裂に対する外科治療の目的は裂閉鎖を確実なものにすることからはじまり,言語成績の向上や正常咬合の獲得(顎発育への影響の最小化)をめざすようになった.従前より言語のためには早い手術,顎発育のためには遅い手術がよいといわれてきたが,現在ではより積極的に言語と顎発育の両立を指向するに至っている.そのために改良が加えられて多くの術式が報告されてきたが,わが国における現在の主流と思われる 2 つの手術法(粘膜骨膜弁後退法とFurlow 法)を取り上げ,両者の違いなどについて解説した.口蓋裂の治療は言語聴覚士,矯正歯科医をはじめとして関連他科医師,コメディカルによるチーム医療に加えて,家族との連携などをも含む総合的治療によって治療が完成するため,手術法だけで治療の善し悪しを決められない.しかし,手術は治療の予後を決める大きな要素である.
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医学のあゆみ 235巻2号, 162-165 (2010);
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唇顎口蓋裂患者を対象とした顎裂部骨移植は唇顎口蓋裂の治療体系のなかにおいて,不可欠な一治療部門としての役割を担ってきている.歴史的には 1950 年代以降に種々の試みがなされ,1972 年,Boyne and Sandsの secondary alveolar bone graft とその骨移植術後の良好な結果により,急速な普及をみせてきた方法である.骨移植術の目的は,上顎骨の連続性の獲得,顎裂隣在歯の誘導・萌出などにあり,術式は自家腸骨海綿骨細片を裂部に移植して閉鎖することである.顎裂部移植床はもともとの裂型や初回手術術式の違いなどにより,顎裂幅の広狭や瘢痕の程度を含めてさまざまな形態を呈している.そのため,切開デザインや鼻腔側の処理,口蓋側の処理に多少の工夫を加える必要性が出てくる.症例を供覧するとともに,現在の著者らの術式について報告する.
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医学のあゆみ 235巻2号, 167-172 (2010);
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口唇口蓋裂児における口唇口蓋形成前の術前顎矯正治療は,哺乳障害の改善を目的とした Hots 型口蓋床,顎裂に起因する非対称な歯槽の偏位の改善を目的とし,顎成長力を利用する術前顎矯正装置,さらに外鼻の矯正を目的とした PNAM(presurgical nasoalveolar molding)が紹介されている.乳歯列の咬合が完成した幼児期以降の口唇裂・口蓋裂児の口腔内の特徴としては,顎裂に起因する叢生と上顎骨の低成長に起因する骨格性反対咬合,術後の合併症としての上顎歯列の前方側方狭窄があげられ,歯列弓形態の修正と永久歯萌出に対する顎裂部骨移植の計画,上顎骨の成長促進,永久歯列への咬合誘導と顎関係に適応した歯の配列計画が必要となる.咬合にかかわる問題はおもに矯正歯科医が治療にあたるが,思春期以降の最終的な永久歯の配列,顎矯正手術,補綴治療を考慮した総合的な治療計画は,患児および保護者を中心としたチーム医療によって行われている.
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医学のあゆみ 235巻2号, 173-176 (2010);
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近年,口蓋裂の手術が早期に行われるようになり,鼻咽腔閉鎖機能が重度不全となる患者は減少している.それに伴い,構音(発音)障害の内容も古典的なものは減少し,あらたに口腔形態の不正から生じる構音障害が増大している.非口蓋裂児に比較して口蓋裂児にみられる構音障害の高い発生頻度は,乳児期(前言語期)の口腔状態に起因することが大きい,また,口蓋裂児の言語発達を支援するためにも,乳児期からの言語聴覚士の介入が必要である.一方,口蓋裂に合併症を伴う子どもや,症候群のひとつとして口蓋裂をもつ子どもが増大している.口蓋裂に知的障害,広汎性発達障害などを合併する子どもの言語指導は,言語発達,認知発達も含め,コミュニケーション能力全体を改善させることが重要となる.
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医学のあゆみ 235巻2号, 177-179 (2010);
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口唇口蓋裂術後顎変形に対する顔面骨への外科的治療は従来より,上顎骨骨きり術や下顎骨骨きり術1)により対処されてきたが,手術侵襲の大きな手術であり,いくつかの問題があった.これに対し最近の進歩として登場した上顎骨延長術2)は,より低侵襲の治療としてその効果をあげている.特殊装置を使用することや治療期間がやや長引くといった問題も残しているが,現在のところはきわめて有用な方法として定着している.そのうち,本稿では外固定型(ハロー型装置)延長器を使用した上顎骨の延長術について,その特徴と実際3,4)を記載した.
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フォーラム
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医学のあゆみ 235巻2号, 181-182 (2010);
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健康に関する考え方は,医療の進歩や社会的背景の変化に伴って変化している.伝統的な考え方では,健康は病気のない状態とされ,病気と健康とは質的に異なった状態にあると仮定されていた.ところが近年では,健康が“病気”→“病気でない状態”→“身体的・精神的・社会的に良好な状態”と連続線上に位置づけられており,健康と病気とが質的に異なる状態としては考えられていない.健康心理学は,このような健康に関する考え方を背景に生まれた心理学のなかでも新しい領域である.健康心理学は,精神的健康だけでなく身体的健康も対象とする点,病気の治療よりもむしろその予防,さらには心身の健康状態の維持・増進を心理学の視点から探究する点に,その特徴がある. 本稿では,健康心理学において中心的な研究課題である心理社会的ストレスに注目し,最近の研究動向を著者の研究成果を交えながら紹介する.
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新“事故調”のあり方―診療関連死調査モデル事業から
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医学のあゆみ 235巻2号, 183-183 (2010);
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新“事故調”のあり方―診療関連死調査モデル事業から1
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医学のあゆみ 235巻2号, 185-188 (2010);
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警察による検視時の見逃しやこれに基づく解剖の未実施から,連続殺人やガス器具の不具合による事故の再発が明るみになったことを端緒に,警察庁は死因究明制度の改革に着手している.一方,いわゆる“診療関連死”の警察届出とその後の司法解剖をめぐっては,医療への刑事介入が医療従事者の反感をかっている面がある.さらに,司法解剖の情報開示が制限されていることから,その後遺族との間で紛争化する事例も少なくない.医療関係者や遺族の強い要請を受けて,厚生労働省は「医療安全調査委員会」(仮称)の設立を検討しているが,政情から開始の目途はたっていない. 司法解剖は,司法警察員が鑑定受託者(解剖執刀医)に交付する鑑定嘱託書と,裁判官が発布する鑑定処分許可状に基づく強制的な処分(刑事訴訟法225 条,186 条)として行われ,遺族の同意は要しない.刑事司法手続きに則り進められることから,近時様々な問題点が指摘されてきた. 本稿では,現行の司法解剖に関する制度上の問題の分析を通して,異状死全般に対する死因究明制度,および診療関連死に対する医療安全調査委員会のあり方を考えることにしたい.
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連載
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連載動物の感染症から学ぶ 7
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医学のあゆみ 235巻2号, 196-202 (2010);
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Streptococcus suis はブタレンサ球菌症の原因菌として養豚産業に経済的被害を与えるだけでなく,養豚業や食肉処理業にかかわるヒトの労働安全や労働衛生を考えるうえでも非常に重要な病原体である.とくに,2005 年に中国四川省において 215 人が感染し 39 人が死亡するという集団感染事例が発生して以降,本菌感染症に関する注目度が世界的に高まっている.S. suis は遺伝学的にも生化学性状的にも多様な株の集団から構成されており,病原性も株によってさまざまである.しかし,近年の multilocus sequence typing 法による解析の結果,家畜衛生および公衆衛生上,とくに注意を払うべき株の集団が明らかになってきた.これらの株集団には特定の病原因子や線毛の遺伝子が偏って分布していることが明らかとなってきており,疾病リスクの高い株を識別するマーカーとしての,これらの遺伝子の利用が期待されている.
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注目の領域
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医学のあゆみ 235巻2号, 204-212 (2010);
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TOPICS
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遺伝・ゲノム学
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医学のあゆみ 235巻2号, 191-192 (2010);
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免疫学
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医学のあゆみ 235巻2号, 193-194 (2010);
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