Volume 235,
Issue 3,
2010
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あゆみ ALS Update
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医学のあゆみ 235巻3号, 213-213 (2010);
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医学のあゆみ 235巻3号, 215-219 (2010);
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筋萎縮性側索硬化症(ALS)全体の 5~10%を占める家族性 ALS の研究は近年,大きく進歩した.一方,ALSの 90~95%を占める孤発性 ALS の病因・病態は現在でも不明であるが,双生児研究により孤発性 ALS の発症に遺伝的要因が関与していることが示された.そこで,孤発性 ALS の発症に寄与する疾患感受性遺伝子(リスク遺伝子)を発見するため,種々の研究手法を用いて精力的に研究がなされた.しかし,研究間で結果が異なり,今後に大きな課題を残している.
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医学のあゆみ 235巻3号, 220-226 (2010);
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古典型筋萎縮性側索硬化症(ALS)の基本的病理は, ①上位運動ニューロン(UMN)と下位運動ニューロン(LMN)の選択的かつ進行性・非同期性の変性・脱落と, ②封入体の出現である.後者には Bunina 小体とTDP-43 抗体陽性封入体がある.Bunina 小体は主として LMN に出現し,ALS にのみみられる好酸性の小さな細胞質内封入体である.その構成蛋白は不明である.TDP-43 陽性封入体には円形封入体と糸束様封入体があるが,両者は形態的に移行がみられ,ユビキチン化の後に一部はオートファジーされる可能性がある.
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医学のあゆみ 235巻3号, 227-230 (2010);
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筋萎縮性側索硬化症(ALS)はほとんどが孤発性であるが,家族性のものが 5~10%程度存在する.家族性のうち原因遺伝子が解明されているのは 30%程度であり,大部分は原因遺伝子が不明である.今回著者らは血族婚家系を解析することにより,家族性 ALS の新規原因遺伝子として optineurin を同定した.これらの変異は optineurin の NF-κB 抑制作用を喪失させるように働くほか,細胞内の分布も変化させた.また,optineurinの抗体はこの遺伝子に変異のある症例ばかりでなく,孤発性および SOD1 変異をもつ ALS においても運動神経内封入体を染め,ALS 一般の発症に関与していることが示唆された.
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医学のあゆみ 235巻3号, 231-235 (2010);
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2006 年,筋萎縮性側索硬化症(ALS)において脊髄運動ニューロンに認めるスケイン様封入体の重要な構成成分として TDP-43 蛋白が同定された.2008 年以降,家族性および孤発性 ALS において TDP-43 遺伝子変異も多数報告され,TDP-43 の異常と ALS 発症との直接的な関係も証明されている.ALS に蓄積する TDP-43 はリン酸化,断片化,線維化しており,このような異常が病態の発症にかかわると考えられる.また,培養細胞において ALS 病変と類似の封入体を再現することが可能となり,治療薬開発などへの応用が期待される.
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医学のあゆみ 235巻3号, 236-240 (2010);
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筋萎縮性側索硬化症(ALS)は呼吸不全から死に至る難病である.しかし,その病態機序の多くは不明であり,有効な治療法も開発されていない.近年,DNA/RNA 結合蛋白である TAR DNA binding protein-43(TDP-43)や fused in sarcoma(FUS)が家族性 ALS の原因遺伝子として同定され,これらの分子間の機能的・構造的類似性から RNA 代謝の異常と運動神経細胞死との関連が注目されている.本稿では FUS の機能や,その異常とALS 病態との関連について概説する.
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医学のあゆみ 235巻3号, 241-245 (2010);
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筋萎縮性側索硬化症(ALS)の約 10%は遺伝性に発症し,分子病態の研究はその遺伝子異常を再現したモデル動物の開発により進展してきた.遺伝性 ALS のなかでもっとも頻度が高い SOD1 優性変異を再現した変異SOD1 トランスジェニックマウスは,運動ニューロンの選択的変性をきたすモデル動物として広く研究に用いられるようになった.変異 SOD1 モデルマウスを用いた研究で,ALS の運動ニューロン死は運動ニューロンに発現する変異蛋白質の毒性のみに起因するのではなく,その周囲のグリア細胞における病的変化も神経細胞死に深く関与することが解明された.このような非細胞自律性の神経細胞死とよばれる現象は,ALS だけでなく他の神経変性疾患においてもみられることが示されつつあり,神経疾患の研究動向に変化をもたらすものである.
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医学のあゆみ 235巻3号, 246-250 (2010);
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筋萎縮性側索硬化症(ALS)は 9 割以上が孤発性である.著者らは,孤発性 ALS の運動ニューロンではAMPA 受容体のサブユニットである GluR2 の本来 RNA 編集されるべき Q/R 部位の未編集のものが発現している分子異常が疾患特異的に生じていることを,患者剖検脊髄の解析から明らかにした.この GluR2 Q/R部位の RNA 編集は,adenosine deaminase acting on RNA type 2(ADAR2)により特異的に触媒される.そのため著者らは,孤発性 ALS は ADAR2 活性低下による GluR2 Q/R 部位の RNA 編集低下が神経細胞死を引き起こす,という仮説を立て,あらたに開発した ADAR2 コンディショナルノックアウトマウスの解析から検証した.このことは,GluR2 の RNA 編集異常が孤発性 ALS の病因と密接に関連する分子異常であることを示している.
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医学のあゆみ 235巻3号, 251-254 (2010);
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核蛋白の TAR DNA binding protein 43 kDa(TDP-43)は,筋萎縮性側索硬化症(ALS)の運動ニューロンやグリア細胞において,細胞質内に封入体として蓄積するとともに核での明確な発現低下を伴うことが特徴である.このことより,TDP-43 蓄積による gain of toxic function と,核からの逸脱に伴う機能低下による lossof function の両者が,神経変性の病態にかかわっている可能性が推定される.このような背景の下,TDP-43 の過剰発現モデルとノックアウト/ノックダウンモデルがあいついで作成されている.TDP-43 の過剰発現モデルのなかには,運動機能障害を呈し ALS に類似した病理学的変化を認めるものも報告されている.一方,TDP-43 のノックアウトやノックダウンモデルにおいても運動機能障害を呈することが報告されている.孤発性ALS の病態を反映したこれらの動物モデルの病態を詳細に解析することによって,孤発性 ALS の病態解明や分子標的治療などの画期的治療法の開発が期待される.
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医学のあゆみ 235巻3号, 255-260 (2010);
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筋萎縮性側索硬化症(ALS)は全身の骨格筋の進行性萎縮と機能低下を主体とする神経変性疾患である.1993 年にスーパーオキシドジスムターゼ 1(SOD1)の突然変異が家族性 ALS の 20%に存在することが判明し,変異 SOD1 トランスジェニック(Tg)マウスが ALS と類似の病態を示したことから,ALS のモデル動物として病態解析が精力的になされた.その結果,運動ニューロンのみに変異 SOD1 が発現しても神経変性は起こらず,周囲に変異 SOD1 を発現するグリア細胞が取り囲むことが必要であるという非細胞自律性運動ニューロン死の概念が確立した.著者らはその機序を研究するなかで,変異 SOD1 が神経分泌蛋白であるクロモグラニンと結合し,細胞外に分泌されることでミクログリアを活性化し,運動ニューロン死を傷害することを見出した.さらに,細胞外 SOD1 を標的としたワクチン療法と抗血清由来の抗 SOD1 抗体の脳室内投与によって変異 SOD1Tg マウスの進行を抑制することに成功した.一方,著者らは数種類の変異 SOD1 特異認識モノクローナル抗体の開発に成功し,そのひとつが ALS モデルマウスの他動免疫に有効であることが最近報告された.さらに近年,種々の神経変性疾患において病原蛋白の細胞外分泌や伝播性と疾患の進行との関連が注目されており,抗体による分子標的治療は有効な治療選択肢として期待されている.
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フォーラム
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医学のあゆみ 235巻3号, 261-262 (2010);
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2010 年 1 月 12 日,カリブ海に浮かぶ島国ハイチを震度 7.0 の地震が襲った.首都ポルトープランスでは約半数の建物が倒壊し,ハイチ全土での死者は約 20 万人にも上った. この未曽有の大惨事に対して,各国から数多くの医療チームがハイチに派遣された.NPO 法人TMAT からは,1 月 14 日に先遣隊 2 名がハイチへ向け派遣されることとなった.今回,私はTMAT の第 3 陣 9 名(一般外科 2 名,麻酔科 1名,形成外科 1 名,看護師 2 名,事務 2 名,栄養士 1 名)中の 1 人として 1 月 25 日に日本を発ち,現地時間 26 日にハイチ入りした.
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新“事故調”のあり方―診療関連死調査モデル事業から②
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医学のあゆみ 235巻3号, 263-266 (2010);
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2010 年 1 月 12 日,カリブ海に浮かぶ島国ハイチを震度 7.0 の地震が襲った.首都ポルトープランスでは約半数の建物が倒壊し,ハイチ全土での死者は約 20 万人にも上った. この未曽有の大惨事に対して,各国から数多くの医療チームがハイチに派遣された.NPO 法人TMAT からは,1 月 14 日に先遣隊 2 名がハイチへ向け派遣されることとなった.今回,私はTMAT の第 3 陣 9 名(一般外科 2 名,麻酔科 1名,形成外科 1 名,看護師 2 名,事務 2 名,栄養士 1 名)中の 1 人として 1 月 25 日に日本を発ち,現地時間 26 日にハイチ入りした.
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書評
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医学のあゆみ 235巻3号, 267-267 (2010);
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2010 年 1 月 12 日,カリブ海に浮かぶ島国ハイチを震度 7.0 の地震が襲った.首都ポルトープランスでは約半数の建物が倒壊し,ハイチ全土での死者は約 20 万人にも上った. この未曽有の大惨事に対して,各国から数多くの医療チームがハイチに派遣された.NPO 法人TMAT からは,1 月 14 日に先遣隊 2 名がハイチへ向け派遣されることとなった.今回,私はTMAT の第 3 陣 9 名(一般外科 2 名,麻酔科 1名,形成外科 1 名,看護師 2 名,事務 2 名,栄養士 1 名)中の 1 人として 1 月 25 日に日本を発ち,現地時間 26 日にハイチ入りした.
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連載
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動物の感染症から学ぶ 8
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医学のあゆみ 235巻3号, 273-279 (2010);
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センコウヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei )の 1 変種である S. scabiei var. hominis の寄生によるヒトの疥癬scabies は,数千年にわたって人類を悩ませてきた感染症(contagious disease)であり,現在も世界で 3 億人,日本国内でも年間 8~15 万人の患者が発生している公衆衛生上の重要疾病である.S. scabiei は家畜や野生動物にも寄生して世界的に大きな被害を与えているが,その本来の宿主はヒトであることが系統発生学的に判明している.すなわち,var. hominis が家畜化された動物に寄生するようになって,イヌ寄生性の var. canis やブタ寄生性の var. suis などの変種となり,これらの家畜寄生種が野生動物寄生性の変種に転じたと推測されている.動物に疥癬を起こすヒゼンダニ類(Psoroptidia)は多種多彩であるが,ヒトの疥癬はもっぱら S. scabieiに起因することから,本稿では S. scabiei に焦点を絞って分類や生態の解説を行う.
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TOPICS
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生理学
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医学のあゆみ 235巻3号, 269-270 (2010);
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免疫学
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医学のあゆみ 235巻3号, 270-271 (2010);
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皮膚科学
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医学のあゆみ 235巻3号, 271-272 (2010);
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