Volume 236,
Issue 3,
2011
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あゆみ IgG4関連疾患―日本発あらたな疾患概念
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医学のあゆみ 236巻3号, 173-173 (2011);
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医学のあゆみ 236巻3号, 175-181 (2011);
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ミクリッツ(Mikulicz)病とシェーグレン(Sjögren)症候群は,ともに 19 世紀後期よりはじまった疾患概念である.対称性の涙腺・耳下腺・顎下腺腫脹をきたすミクリッツ病と,慢性の眼乾燥・口腔乾燥をきたすシェーグレン症候群は,その異同に関して混乱が続いた.1953 年 Morgan らが,ミクリッツ病は独立した臨床的・病理学的疾患単位ではなく,シェーグレン症候群の一表現型であると結論以後,20 世紀の間はミクリッツ病に関する論文(とくに英語論文)はほとんど記載されなくなった.21 世紀に入り IgG4 関連疾患が発見され,ミクリッツ病の多くも IgG4 関連疾患であることが報告された.多施設共同研究で,IgG4 関連ミクリッツ病を中心とした IgG4 関連疾患とシェーグレン症候群とを比較検討した結果,臨床的病理的にこの 2 つはまったく異なった疾患であることが証明された.IgG4 関連ミクリッツ病はステロイド治療によって腫脹していた涙腺や唾液腺が劇的に改善することが特徴である.IgG4 関連ミクリッツ病診断基準を作成し承認され,さらに全身性の IgG4 関連疾患に関しても各分野の専門家が集い統一した基準を作成する試みが続けられている.IgG4 関連疾患の病因検索が行われ,根本的な病因の解明とそれに基づいた適切な治療指針を作成していくべく努力が続けられている.
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医学のあゆみ 236巻3号, 182-188 (2011);
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近年,自己免疫性膵炎(AIP)は新しい疾患概念として国際的にも認められつつあり,リンパ球と形質細胞の著明な浸潤と線維化を特徴とする特異な病理組織像は lymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis(LPSP)とも称され,とくに高 IgG4 血症や IgG4 陽性形質細胞浸潤を伴うことより,IgG4 関連疾患(IgG4-related disease)としても注目されている.本稿では,新展開をみせる AIP と IgG4 関連疾患について述べる.
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医学のあゆみ 236巻3号, 189-192 (2011);
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IgG4 関連消化器系病変は,自己免疫性膵炎の膵外病変の検索過程でその存在が明らかになってきた.自己免疫性膵炎と同様,血清 IgG4 高値,著明な IgG4 陽性形質細胞浸潤を呈し,ステロイド治療に良好に反応する.膵病変を認めない病態も存在し,IgG4 関連疾患の構成疾患として自己免疫性膵炎と独立して存在し,これらは従来,それぞれの臓器固有の疾患として診断・治療されてきた可能性がある.IgG4 関連消化器系病変としてほぼ認められている疾患は IgG4 関連硬化性胆管炎,IgG4 関連胆 *病変,IgG4 関連自己免疫性肝炎などがある.IgG4 関連 Vater 乳頭病変は膵病変が伸展した病変とも考えられる.胃病変も IgG4 関連疾患として報告されているが,IgG4 陽性形質細胞浸潤以外に花筵状線維化,閉塞性静脈炎などの特徴的な病理所見を認めない点から,IgG4 関連疾患に包括することに批判的な意見もある.
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医学のあゆみ 236巻3号, 193-197 (2011);
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IgG4 関連尿細管間質性腎炎(TIN)は,自己免疫性膵炎(AIP)をはじめとする IgG4 関連疾患の経過中に腎機能障害あるいは腎の画像による異常所見で発見される間質性腎炎である.IgG4 関連疾患の疾患概念の広まりとともに,一般の臨床医の間でもすこしずつ認識されてきたが,高齢者に好発すること,蛋白尿・血尿などの尿所見に乏しいことから,腎硬化症による腎機能低下と見誤らないことが重要である.他の IgG4 関連疾患同様にステロイド反応性がよいが,発見が遅れた場合,不可逆性の腎不全となり透析療法が必要になる場合もある.また,再発する可能性もあり,ステロイドを中心とした維持療法の確立が今後の課題である.本稿では,IgG4 関連 TIN を中心とした IgG4 関連疾患の腎病変を早期に診断するために,本疾患の臨床的・画像的・病理学的な特徴について概説する.
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医学のあゆみ 236巻3号, 199-203 (2011);
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高 IgG4 血症と諸臓器への IgG4 陽性形質細胞の浸潤を特徴とする IgG4 関連疾患(IgG4-related disease)は,時間的・空間的に全身の臓器に多様な病変をきたす疾患と考えられている.呼吸器領域においても気管支,細気管支,胞隔,胸膜,肺血管,縦隔内リンパ節など,さまざまな部位に多彩な病変をとることがしだいに明らかになってきた.IgG4 関連疾患を全身性疾患としてとらえる場合,膵病変(自己免疫性膵炎)や涙腺・唾液腺病変(ミクリッツ病)は頻度の高い病態である.しかし画像所見上,胸郭内病変も高率に認めるとの報告がなされており,呼吸器分野においても,これまで明らかにされてきた病変を IgG4 関連呼吸器疾患(IgG4-relatedrespiratory disease)というあらたな視点で見直すべき時期にきている.本稿では既知の呼吸器病変を整理したうえで,IgG4 関連呼吸器疾患とはどのような病態であるかを概説する.
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医学のあゆみ 236巻3号, 205-212 (2011);
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IgG4 関連疾患は全身性疾患であり,各臓器に異時性・同時性に病変を生じる.本疾患には血清 IgG4 値という非常に信頼性の高いマーカーがあるが,万能ではない.本疾患の診断において画像診断が最初に果たすべき役割は,さまざまな主訴で撮像される画像所見からまず本疾患の可能性を示唆することである.つぎに年齢や性別,既往歴などの臨床情報,血清 IgG4 値を合わせながら,類似の画像所見を呈する他疾患との鑑別を進めることである.いずれの場合においても各臓器別の画像所見に精通するとともに,画像診断の限界についても認識しておく必要がある.また,本疾患は各臓器で悪性腫瘍が重要な鑑別疾患としてあがり,つねに念頭においておく必要がある.各診断モダリティーを駆使し,個々の画像所見を詳細に解析して鑑別を進めるとともに,必要があれば生検を躊躇してはならない.
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医学のあゆみ 236巻3号, 214-218 (2011);
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近年,これまで原因不明とされてきた,全身諸臓器における腫瘤形成性の形質細胞を主体とする炎症性病変の多くが IgG4 関連疾患であることが判明してきた.IgG4 関連疾患の診断には臨床検査データのみならず,病理診断も重要となる.しかし,IgG4 関連疾患は各臓器によってその組織像が多様であるため,診断は容易ではない.リンパ節病変においても組織像が非常に多彩であり,臨床的にも悪性リンパ腫や多中心性 Castleman病との鑑別が難しい例も多い.そのため病理所見のみならず,血中 IL-6 など血液データを合わせて診断する必要がある.免疫染色で,IgG4/IgG 陽性細胞比>40%であれば IgG4 関連疾患である可能性は高いが,この診断基準を満たす“非 IgG4 関連疾患”が存在することも事実である.IgG4 関連疾患の診断は,臨床所見,臨床検査データおよび病理診断を合わせて総合的かつ慎重に判断することが重要である.
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連載
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動物の感染症から学ぶ 14
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医学のあゆみ 236巻3号, 223-229 (2011);
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トキソプラズマ(Toxoplasma gondii )は代表的な人獣共通寄生虫のひとつで,トキソプラズマ症の病原体である.ヒトでは免疫抑制剤によるトキソプラズマ症,AIDS における日和見感染,感染臓器の移植などの問題が注目されてきた.今回,獣医寄生虫病学的視点からみたトキソプラズマについて紹介したい.食肉衛生と近年のペットブームの観点から,産業動物としてのブタやヒツジ,小動物としてのイヌやネコなどのトキソプラズマ感染に対する防疫・治療問題は重要課題であるといえる.特筆すべきは,環境中へのトキソプラズマの拡散は生態系に影響を与え,トキソプラズマは感染動物の行動変化をもたらすことである.トキソプラズマとヒトとのかかわりを考えたときに,環境問題と宿主としての動物の存在は十分考慮されなくてはならない.トキソプラズマの対策には,動物の飼育環境の管理,農場の排水設備の整備,診断システムの確立,ワクチン・治療薬の開発が重要となり,これら総合的な対応が必要である.
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速報
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医学のあゆみ 236巻3号, 231-232 (2011);
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フォーラム
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医学のあゆみ 236巻3号, 233-236 (2011);
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新“事故調”のあり方―診療関連死調査モデル事業から 8
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医学のあゆみ 236巻3号, 237-239 (2011);
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TOPICS
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生理学
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医学のあゆみ 236巻3号, 219-220 (2011);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 236巻3号, 220-221 (2011);
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リハビリテーション医学
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医学のあゆみ 236巻3号, 221-222 (2011);
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