Volume 236,
Issue 13,
2011
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あゆみ 加齢黄斑変性―最新動向
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医学のあゆみ 236巻13号, 1149-1149 (2011);
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医学のあゆみ 236巻13号, 1151-1154 (2011);
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加齢黄斑変性(AMD)は多くの先進国において失明原因としておもなものとなっており,日本においても増加傾向にあることは確かなようである.加齢が最大のリスクとなる疾患であり,人口の高齢化が最大の原因であると考えられるが,環境や生活スタイルの変化が疾患の発生に関係している可能性が指摘されている.このような場合,遺伝的な要素を小さく考えがちであるが,外的変化に反応する遺伝子があると考えると,その遺伝的な要因は無視できない.特定の集団のなかで発症危険因子への曝露が少なければ他の集団に比べ疾患の発症率は低くなっていても,別の環境におかれればその遺伝的背景によっては大きく疾患の発症率が変わることが起こりうる.AMD は一般に思い描かれる典型的な遺伝性疾患ではないかもしれないが,近年のゲノム医学の進歩は,この疾患が大きく遺伝子に支配されている疾患であることを明らかにしている.
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医学のあゆみ 236巻13号, 1155-1159 (2011);
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加齢黄斑変性の主病変である脈絡膜新生血管は,光学的分水嶺である網膜色素上皮層(RPE)の前後にまたがる立体的構築を有するため,RPE に対する吸収特性が異なる螢光波長をもつ 2 つの螢光剤(フルオレセインとインドシアニングリーン)による同時螢光眼底造影が有効である.この際,走査レーザー検眼鏡が用いられる.また,光干渉断層計(OCT)がスペクトラルドメインへ進歩して高速化し,三次元撮影と効果的なノイズ除去が可能になった.これにより,従来明瞭な観察が困難であった RPE 後方のタイプⅠ脈絡膜新生血管が描出可能となった.さらには螢光眼底造影と OCT の同時撮影が可能になり,病変の動態と断層像を照合し,正確な病変診断が可能になってきた.
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医学のあゆみ 236巻13号, 1160-1163 (2011);
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萎縮型加齢黄斑変性(AMD)の研究の進歩はめざましい.発症・進展には酸化ストレス,加齢に伴う沈着物,慢性炎症が関連していると考えられている.現在,萎縮型 AMD に対する治療薬はないものの,抗酸化剤,ビジュアルサイクルの阻害剤,補体活性化阻害薬や,神経栄養因子などを用いた臨床試験が進行中である.数年後にはいずれかの薬剤の有用性が明らかになることが期待されている.
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医学のあゆみ 236巻13号, 1165-1167 (2011);
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加齢黄斑変性(AMD)は 50 歳以上の黄斑に生じる疾患であり,滲出型,萎縮型に分けられる.近年の細胞生物学的研究の進歩により,眼内血管新生の責任分子である血管内皮増殖因子(VEGF)を分子標的とした治療として複数の新薬が開発された.VEGF 分子に結合しその生物活性を阻害する方法は複数あり,さまざまなVEGF 阻害薬が開発された.これらの VEGF 阻害薬について,薬剤特性の相違点を理解しておくことが必要である.
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医学のあゆみ 236巻13号, 1168-1174 (2011);
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滲出型加齢黄斑変性(AMD)の現在の標準的治療は,1.抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の眼内注射と,2.光線力学的療法(PDT)である.抗 VEGF 薬の眼内注射は低侵襲で視力良好な段階から施行可能で,主病態である脈絡膜新生血管(CNV)の鎮静化に優れているが,複数回の投与による維持管理の難しさや経済的負担などの問題がある.PDT は光感受性物質であるベルテポルフィン点滴と非発熱性レーザーの病変部照射によって CNVを閉塞させる効果に優れているが,視力低下する場合がある.現在,病型別にいずれの治療または併用療法をどの時期に行っていくか模索中である.今後,新しい抗 VEGF 薬が登場するほか,海外を中心に抗 VEGF 療法との併用による治療効果の向上や維持管理方法の改善をめざして,数多くの新規薬剤が臨床試験中である.一方で,発生した CNV による黄斑部障害が不可避な症例はいぜん存在し,予防のための禁煙などの生活指導,サプリメント摂取が重要であるほか,予防薬の登場や黄斑部障害に対する再生医療の開発も期待したい.
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医学のあゆみ 236巻13号, 1175-1179 (2011);
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滲出型加齢黄斑変性に対する治療の主流は,本症に伴う脈絡膜新生血管の成長に強くかかわる血管内皮増殖因子を抑える治療である抗血管内皮増殖因子療法となっている.しかし,単独の抗血管内皮増殖因子療法は頻回の治療が必要である,わが国に多い病型への効果が不十分であることから,抗血管内皮増殖因子療法とレーザー治療である光線力学的療法の併用療法が広く行われるようになっている.光線力学的療法は単独で行うとレーザー照射部位に一致した網膜機能障害がみられるが,抗血管内皮増殖因子療法を併用することによりこの網膜機能障害が緩和され,良好な治療効果が期待される.
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医学のあゆみ 236巻13号, 1181-1184 (2011);
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色素上皮移植はいわゆる細胞による再生治療のもっともよい適応のひとつであり,また加齢黄斑変性など,色素上皮の加齢による機能低下が主要病態のひとつである疾患は色素上皮移植のよい適応である.著者らはこれまでに ES 細胞,iPS 細胞から視細胞や色素上皮細胞を分化誘導できることを報告してきた.色素上皮細胞の移植治療については,現在すでに臨床試験に向けて準備試験がはじまろうとしている.視細胞も適切な分化段階を選べば,外層構造の維持された大人の網膜に生着することが知られており,今後の臨床応用にむけて適切な移植適応症例や適応時期の検討とともに,効率的な視細胞の分化誘導,純化法を現在検討中である.
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医学のあゆみ 236巻13号, 1185-1189 (2011);
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加齢黄斑変性により視細胞が変性し重度視覚障害に至った場合,現在のところ有効な治療法は存在しない.しかし,本疾患では病態が進行しても網膜内層の神経細胞が一定の割合で残存するため,それらを電気刺激で直接刺激すると擬似的な光覚が生じることが知られている.この現象を利用して,失われた視機能を再建することを目的とした新しい医療機器が研究されている.これは“人工網膜”とよばれ,日本をはじめアメリカやドイツなどで精力的に研究開発が進められている.近年,患者に埋植可能な人工網膜の試作機が複数の研究グループで開発され,それに伴い慢性臨床試験が実施されるようになった.現時点ではまだ人工網膜で得られる視機能は低く,当面は全盲の患者が対象となると考えられる.しかし,今後開発が進めば人工網膜の解像度が向上し,周辺視野が残存する症例に対しても適応が広がると期待される.
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連載
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動物の感染症から学ぶ 21(最終回)
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医学のあゆみ 236巻13号, 1195-1203 (2011);
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牛疫は伝染力および死亡率の高さから,20 世紀に至るまでもっともおそれられた家畜の伝染病である.しかし,その一方で,近代家畜衛生の基礎というべき法律,教育,獣医資格,研究開発などを大きく進展させ,2011 年に FAO によって撲滅宣言を予定している.これは天然痘に続く快挙である.牛疫について 1920 年前後に現在の釜山で分離した牛疫ウイルスを用いた牛感染実験を含め,一般的概略を述べる.
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フォーラム
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切手・医学史をちこち 111
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医学のあゆみ 236巻13号, 1205-1205 (2011);
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新“事故調”のあり方―診療関連死調査モデル事業から 13
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医学のあゆみ 236巻13号, 1206-1208 (2011);
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医学のあゆみ 236巻13号, 1209-1210 (2011);
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医学のあゆみ 236巻13号, 1211-1216 (2011);
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TOPICS
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再生医学
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医学のあゆみ 236巻13号, 1191-1192 (2011);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 236巻13号, 1192-1193 (2011);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 236巻13号, 1193-1194 (2011);
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