Volume 237,
Issue 2,
2011
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あゆみ 肺炎―臨床と研究の最新動向
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医学のあゆみ 237巻2号, 159-159 (2011);
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医学のあゆみ 237巻2号, 161-165 (2011);
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肺炎球菌は世界中で成人の市中肺炎の起因病原体としてもっとも多い原因菌である.健常人においても上気道に定着しており,ウイルス感染などを契機に肺炎をきたすとされる.近年,肺炎球菌の定着にかかわる付着因子として pneumococcal surface adhesion A や choline binding protein,cell-wall phosphocholine などの役割が明らかになってきている.また,感染の成立や肺障害,全身への播種において重要な役割を示す病原因子として莢膜多糖,pneumolysin,autolysin,IgA1 プロテアーゼなどが注目されている.近年,肺炎球菌の治療において,ペニシリンのみならずマクロライドやキノロン薬への耐性も問題視されてきており,治療戦略やワクチンによる予防も重要視されている.
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医学のあゆみ 237巻2号, 166-170 (2011);
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肺結核症でときに肺炎様の病像を呈することがあり,これを結核性肺炎(tuberculous pneumonia)とよぶ.古典結核病学では乾酪性肺炎ともよばれ,その病態は一挙に散布された多量の菌体成分に対する宿主の強い免疫応答が主体とされ,免疫活動の活発な若年者に多いとされてきた.しかし近年,高齢者において,これら従来の結核性肺炎と異なる臨床像を呈する結核性肺炎がみられるようになった.画像上,散布性粒状影や空洞など肺結核症に特徴的な所見を欠き,菌量が乏しく検出が困難で,診断の遅れが懸念される.加齢に伴う免疫機能の変化,とくに細胞性免疫機能の低下が病態に深く関与しているものと推測される.高齢者の肺炎の診療に際しては肺結核症の可能性をつねに考慮しなければならず,難治性の肺炎に遭遇した場合,肺結核の除外が必須であるといえる.
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医学のあゆみ 237巻2号, 171-175 (2011);
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ニューモシスチス肺炎(PCP)は AIDS の代表的合併症として重要な疾患であったが,近年の診療技術の進歩に伴い,HIV 感染者に併発する PCP(HIV-PCP)は減少している.しかし,移植領域およびリウマチ膠原病領域の診療においてステロイドや新規の免疫抑制剤を用いる機会が多くなり,その合併症として非 HIV 感染者に併発する PCP(Non-HIV-PCP)が増加傾向である.病原体 Pneumocystis それ自身の組織傷害力は弱く,肺傷害はおもにこの菌が引き起こす宿主の過剰な免疫反応による.Non-HIV-PCP では HIV-PCP と比較して Pneumocystis の菌量は少ないが,炎症細胞球浸潤が強く死亡率はより高率である.Non-HIV-PCP は,早期に疑い,適切な治療を行えば治癒し得る疾患であるが,治療が遅れることで予後が不良になるため,早期に治療介入することが重要である.
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医学のあゆみ 237巻2号, 176-182 (2011);
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インフルエンザ感染に伴う肺炎は大きく 3 つに病型分類される.そのうち原発性ウイルス肺炎は,発生頻度はまれであるが急激に重症化するとされてきた.一方,2009 年の新型インフルエンザ(AH1pdm)の流行では,重症ウイルス肺炎の合併が多くみられ問題となった.その臨床病態は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)であり,剖検肺にはびまん性肺胞障害(DAD)の組織像が認められた.これは高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)肺炎での検討と同様であった.原発性ウイルス肺炎が生じるメカニズムとして, 1. ウイルスによる直接的な肺組織傷害,2.宿主の過剰な免疫応答,があげられる.事実,AH1pdm や H5N1 ウイルスは,肺胞レベルに発現している非ヒト型ウイルス受容体を介して肺胞上皮細胞に直接感染する.治療戦略としては,抗ウイルス療法に加え,宿主免疫の過剰応答を抑える治療をできるだけ早期に導入することが重要となる.
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医学のあゆみ 237巻2号, 183-187 (2011);
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今日,臨床現場でみられるほとんどすべての病原体において耐性菌が出現している.とくに呼吸器科領域では肺炎球菌,インフルエンザ桿菌,マイコプラズマなどの市中肺炎病原体から,院内肺炎の原因菌としての多剤耐性緑膿菌(MDRP)や MRSA,さらには基質拡張型βラクタマーゼやメタロβラクタマーゼ産生菌の増加が大きな問題となっている.そして 2010 年,多剤耐性アシネトバクター(MDRA)やニューデリー・メタロβラクタマーゼ(NDM-1)産生菌の話題が大きく報道されたのは記憶に新しい.本稿では,多くの耐性菌のなかから今もっとも注目されている耐性菌として MDRP,MDRA,そしてあらたに出現した NDM-1 産生菌の話題を概説する.
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医学のあゆみ 237巻2号, 188-192 (2011);
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肺炎の診療において,とくに起炎微生物の同定や治療方針の決定において,画像診断,とくに CT の果たす役割は従来低い評価しか与えられてこなかったが,近年の HRCT の技術的進歩,また肺の解剖学,肺炎の病理学を踏まえた読影法の進歩により,いくつかの疾患において CT が診断に有用であることが示されるようになった.著者の仕事を中心に近年の成果を紹介する.
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医学のあゆみ 237巻2号, 193-199 (2011);
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遺伝子解析技術は,検体から直接,微量な病原体の遺伝子を増幅・検出して感染症の迅速診断と治療に利用されている.しかし,遺伝子解析技術が今後どのように進歩しようとも,臨床情報の活用,塗抹鏡検所見,簡便な迅速抗原検出法,培養法,そして薬剤感受性試験の日常検査が感染症の診療に重要であることはいささかも変わらない.一方で,これらの日常検査だけでは起炎菌を決定できないケースがあることもまた事実である.そのため,遺伝子検査をどのような状況で活用するのかを知っておくことが肝要である.呼吸器感染症の診療において遺伝子検査を適用するケースとして以下の 5 つをあげたい.1.抗酸菌が観察されたものの結核菌やMycobacterium avium comple(x MAC)検出の PCR が陰性,2.グラム染色鏡検で細菌が観察されたが培養で発育しない,3.非定型肺炎の迅速診断,4.抗菌薬投与後あるいは投与中で細菌の培養が陰性,5.真菌の感染が疑われるも培養陰性.
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医学のあゆみ 237巻2号, 200-204 (2011);
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かつて,器質化肺炎(OP)は器質化(線維化)を残した細菌性肺炎と理解されていた.1983 年と 1985 年に非感染性かつステロイドが効果的な OP が報告され,それは 2002 年に特発性器質化肺炎(COP)と命名された.本疾患の提唱は肺炎の分野でのパラダイム転換ともいえる.現在,本疾患は呼吸器の診療でなじまれた疾患となった.臨床的には発熱,炎症反応高値や胸部 X 線での多発性浸潤影やすりガラス影など,細菌性肺炎同様の発症様式を示す.しかし,抗菌薬無効で,自然治癒あるいはステロイドで治癒する予後良好な疾患である.類似の病態を示す慢性好酸球性肺炎との鑑別にときに苦慮するが,無理に鑑別する必要はない.また,複数の間質性肺炎との鑑別が問題になる場合があり,ときに外科的肺生検を実施し,治療法を決定する必要がある.本疾患が間質性肺炎か肺胞性肺炎かで国内外で見解の相違があるが,著者は器質化した肺胞性肺炎との視点で解説する.
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くすり
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医学のあゆみ 237巻2号, 210-214 (2011);
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ヒトアデノウイルス(HAdV)迅速診断検査キットの新しい検出方法である,白金-金コロイドを用いたキットでの臨床的評価を行った.全国 10 施設にて HAdV 疑い患者の結膜擦過物 171 検体を対象とし,白金-金コロイドキットの感度および特異度を滴下後 3 分,10 分および 15 分で検討した.対照として金コロイドキット(対照キット)を用い,同じ反応時間での感度および特異度を比較検討した.また,全検体について PCR 法で HAdV の同定を行った.その結果,94 検体から PCR 法で HAdVDNAが検出された(55%).15 分後の判定では白金-金コロイドキット,対照キットともに 86 検体が陽性を示し,感度は 91.5%,特異度は 100%であった.白金-金コロイドキットでは 3 分後で 84 検体,10 分後で 86 検体全例が陽性を示したのに対し,対照キットでは,3 分後では 83 検体,10 分後では 85 検体,15 分後では 86 検体全例が陽性を示した.白金-金コロイドキットではバンドが黒色のため,金コロイドの赤色より目視が容易で判定しやすく判定時間が短縮したことから,眼科診療における HAdV 結膜炎診断に有用であることが示唆された.
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フォーラム
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遺伝医療と社会 1
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医学のあゆみ 237巻2号, 215-217 (2011);
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書評
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医学のあゆみ 237巻2号, 218-218 (2011);
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TOPICS
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薬理学・毒性学
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医学のあゆみ 237巻2号, 205-206 (2011);
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放射線医学
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医学のあゆみ 237巻2号, 206-207 (2011);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 237巻2号, 208-209 (2011);
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