Volume 237,
Issue 8,
2011
-
あゆみ 乳癌切除後の乳房再建
-
-
Source:
医学のあゆみ 237巻8号, 809-809 (2011);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 237巻8号, 811-815 (2011);
View Description
Hide Description
乳癌は女性の罹患率第一位の癌であるが,早期発見・早期治療の普及により根治しやすい癌となった.しかも比較的若年者に発症するため,術後の QOL 向上を求めて乳房再建術が普及しつつある.乳癌手術は乳房や大胸筋を含めて大きく組織を切除する手術が以前は主流であったが,最近では乳房部分切除術や乳房の皮膚を温存して中の乳腺だけをくり抜く skin-sparing mastectomy が多くなってきた.一方,乳房再建術は大きく分けて,自分の組織を使う場合と,シリコン製の人工乳房を使う場合がある.自分の組織は背中の脂肪や筋肉または下腹部の脂肪組織を使用することが多い.多様化した乳癌手術に対して,その個々人にもっとも適した乳房再建手術を選択して施行することが再建外科医の使命である.本稿では著者がよく使用している乳癌術式に応じた再建術式について述べる.
-
Source:
医学のあゆみ 237巻8号, 816-818 (2011);
View Description
Hide Description
有茎皮弁による乳房再建にはさまざまなものが報告されており,皮膚脂肪弁,脂肪筋膜弁,真皮脂肪弁,広背筋皮弁,腹直筋皮弁などがある119).広背筋皮弁は乳癌後乳房再建に広く用いられており,とくに拡大広背筋皮弁を用いると,皮弁と同時にインプラントを使うことなく乳房再建を行うことができる.皮膚脂肪弁や脂肪筋膜弁,真皮脂肪弁などは軽微な乳房の再建に適しており,また,腹直筋皮弁は大胸筋も切除されているような大きな欠損の乳房再建に適している.ここでは拡大広背筋皮弁について述べる.
-
Source:
医学のあゆみ 237巻8号, 819-822 (2011);
View Description
Hide Description
自家組織移植による乳房再建は,インプラントと比べると皮弁採取部の犠牲を伴うという短所がある.乳房再建でもっともよく用いられている腹直筋皮弁では,採取部の犠牲を少なくする目的で遊離皮弁が選択される.遊離腹直筋皮弁は有茎皮弁と比較して筋体の犠牲が少ない.さらには皮弁血行においても有茎皮弁より血流が豊富で,より多くの脂肪が安全に移植できる利点がある.近年では腹直筋の犠牲をなくすために,筋体を採取しない穿通枝皮弁が普及している.遊離皮弁は顕微鏡下で血管吻合を行うマイクロサージャリーを確実に行う技術の習得が必要であり,術後早い時期に血栓が生じると皮弁が壊死する危険性がある.有茎皮弁と比較して皮弁の自由度が高く,乳房の形態をつくりやすい利点がある.より安全に行うために,これらの特徴を理解しマイクロサージャリーの技術をもった医師が行うべき手術である.
-
Source:
医学のあゆみ 237巻8号, 823-827 (2011);
View Description
Hide Description
昨今,わが国でも乳癌の患者数は増加の一途をたどり,いまや 20 人に 1 人ともいわれている.一方で早期発見・早期治療が進み,乳房温存術が全摘術を凌駕し,Halsted 手術などの拡大手術は淘汰されてきた.乳房全摘術後の乳房再建には,乳癌手術と同時に行う一期再建と,乳房切除後時間がたってから行う二期再建がある.また,再建に使用する素材により,人工物による再建と自家組織による再建,両者の併用に分けられる.これらは乳癌手術の程度のみならず,患者の職業,ライフスタイルなどを考慮して選択されるべきものである.なかでも人工物再建は患者への肉体的負担が少ないことより,その需要は年々増加している.ここでは人工物による乳房再建について,その方法の実際と適応を述べる.
-
Source:
医学のあゆみ 237巻8号, 828-832 (2011);
View Description
Hide Description
脂肪注入法は,以前は移植後の嚢胞形成や石灰化など移植組織が壊死を起こすことによる問題点が多く指摘されていた.しかし最近の技術的な進歩により,海外においても乳房再建の重要な一選択肢とみなされるようになってきた.形態修正の自由度が高く,少量であれば日帰りの手術が可能であり,適切に行われれば十分な移植組織の永久生着により自然な組織に近い柔らかな脂肪組織が再現可能である.組織の予備能を著しく毀損する放射線照射を伴う温存療法が増加している現状では人工物単独による治療に限界がみられるが,脂肪移植を併用することにより,カプセル拘縮による変形,硬化,皮膚の阻血などの人工物による合併症を改善することが可能である.基礎的研究が進み,臨床的技術進歩が著しい脂肪移植法は,組織を量的だけでなく,質的に(予備能,血行)改善する 1 つの方法として普及しはじめており,今後の治療法のさらなる改良,標準化が期待されている.
-
Source:
医学のあゆみ 237巻8号, 833-838 (2011);
View Description
Hide Description
乳頭乳輪の再建は乳房再建の最後の仕上げである.乳房を再建した患者の多くは,「乳頭乳輪再建が終わってはじめて温泉やプールに入ることができ,女性として自信をとり戻せた」と話す.女性にとって乳頭乳輪は授乳に関係するとともに,性のシンボルとして特別な存在である.だからこそ,乳頭乳輪をできるだけ健側と対称性に合わせて再建することが重要である.手術方法として乳頭の再建は,健側乳頭を利用する方法と局所皮弁を用いる方法の 2 つに分けられる.乳輪の再建は,①健側の乳輪を利用する方法,②植皮,③刺青(tattoo)法の 3 つに分けられる.本稿では,著者が行っている乳頭乳輪の実際の再建術について簡潔に述べる.
-
Source:
医学のあゆみ 237巻8号, 839-843 (2011);
View Description
Hide Description
再建乳房の整容性自体を客観的に評価し,記載法によって再建術式の効果を明らかにし,異なる再建術式においても使用できる整容性評価法を作成した.この評価法は乳房温存術後の整容性評価に用いられる日本乳癌学会・沢井班の評価法をもとに,再建乳房の色調と皮弁採取部変形に関する項目を追加して 16 点満点とし,「(再建術前の点数)→(再建術後の点数)」という表記法で記述するものである.切除と同時に行う一次再建の場合も切除術式や欠損の状態から術前点数を評価することで,二次再建と同様の表記が行うことができる.また,適応が異なる再建術式であっても,どれだけ術前の点数から向上しているかを検討すれば,同一の尺度で比較することが可能である.さらに,矢印を追加して記載することによって,再建乳房・健側乳房の修正術や乳輪乳頭形成術の評価が行うことができるのも大きな特徴である.この評価法により,再建術式の異なる乳房再建症例 29 例の整容性評価を施行し,乳房再建術の効果を確認した.
-
連載
-
-
本当は子どもに“使えない”薬 の話―実際と,これをどう打開するか 4
-
Source:
医学のあゆみ 237巻8号, 849-856 (2011);
View Description
Hide Description
病院や診療所で処方された薬を患者が安全に使用するために,患者の薬の保管の状態を調査した.その結果,高温・多湿を避け,室内で比較的温度が低く(15~25℃)室温の変化の少ないという条件を満たしていなかった.そこで,小児用に調剤した薬剤(エナラート細粒 1%の予製品)について患者が保存可能となる期間を調査した.エナラート細粒の予製品を分包した場合,30 日までの処方にすべきとの結論を得た.今後も小児用に調剤した薬剤の安定性試験を実施し,保存期間を設定していく必要を強く感じた.
-
フォーラム
-
-
Source:
医学のあゆみ 237巻8号, 857-859 (2011);
View Description
Hide Description
-
書評
-
Source:
医学のあゆみ 237巻8号, 860-860 (2011);
View Description
Hide Description
-
TOPICS
-
-
生化学・分子生物学
-
Source:
医学のあゆみ 237巻8号, 845-846 (2011);
View Description
Hide Description
-
細菌学・ウイルス学
-
Source:
医学のあゆみ 237巻8号, 846-847 (2011);
View Description
Hide Description
-
腎臓内科学
-
Source:
医学のあゆみ 237巻8号, 847-848 (2011);
View Description
Hide Description