Volume 237,
Issue 13,
2011
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あゆみ 免疫のエピジェネティクス研究
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医学のあゆみ 237巻13号, 1147-1147 (2011);
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医学のあゆみ 237巻13号, 1149-1153 (2011);
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転写因子は,クロマチン構造のなかに点在している標的遺伝子を認識して結合し,転写活性を誘導する.STAT はサイトカインで活性化する転写因子で,T ヘルパー細胞の分化誘導に深くかかわっている.STAT4 とSTAT6 はそれぞれに特異的な T ヘルパー細胞サブタイプを誘導するが,その標的遺伝子の全容は近年のゲノムワイドの解析によって明らかになってきた.クロマチン構造を規定するヒストン修飾との関係に注目しながら,STAT による遺伝子制御の仕組みに関する最新の知見を概説する.
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医学のあゆみ 237巻13号, 1154-1160 (2011);
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ナイーブ CD4 T 細胞から分化する Th2 細胞は,寄生虫などの細胞外病原体の排除や花粉症,喘息などのアレルギー疾患発症に関与している.Th2 細胞の分化には T 細胞抗原受容体(TCR)からのシグナルとインターロイキン(IL)-4 受容体から STAT6 を介したシグナルの両方が必要である.それらにより発現上昇が誘導される GATA3 は,Th2 サイトカイン遺伝子座のエピジェネティックな変化を引き起こすマスター転写因子と考えられている.以前の研究は Th2 分化誘導に焦点を当てたものがほとんどであったが,著者らは一度分化したTh2 細胞がどのように機能維持されるかという疑問をもち,そのメカニズムに迫ろうとする研究を行ってきた.本稿では,ポリコーム(PcG)とトライソラックス(TrxG)複合体による Gata3 遺伝子の発現制御機構を中心に,Th2 細胞の分化誘導および機能維持についてエピジェネティックな観点から概説する.
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医学のあゆみ 237巻13号, 1161-1166 (2011);
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T 細胞は胸腺内において複数の運命決定・選択を経てつくられる.その過程は複数の転写因子が関与する複雑な転写因子ネットワークにより制御されている.GATA-3 は T 細胞産生に必須の転写因子であり,T 細胞分化成熟過程のすくなくとも 4 つのステージで重要な役割を担っている.その遺伝子発現パターンは未熟期から成熟期まで一定なのではなく,ステージごとにその発現量は巧みに制御されている.本稿では各ステージにおける GATA-3 蛋白質の機能と標的遺伝子,また Gata3 遺伝子の発現を制御するメカニズムに関して,とくに胸腺内での知見を中心に概説する.
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医学のあゆみ 237巻13号, 1167-1174 (2011);
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ヘルパー T 細胞はそれぞれ固有のサイトカイン産生パターンを有し,獲得免疫系の中心を担う免疫細胞である.2 型ヘルパー T(Th2)細胞は抗体産生,寄生虫の排除に寄与するとともに,アレルギー疾患にかかわるT 細胞サブセットである.これらヘルパー T 細胞は抗原刺激によりナイーブ T 細胞より分化し,Th2 サイトカインとよばれるインターロイキン(IL)-4,IL-5,IL-13 を産生する.また,それぞれをコードする遺伝子は哺乳類では同一の染色体上に近接し,かつ同調して発現する.この Th2 細胞分化を制御するマスターレギュレーターとして GATA-3 が知られているが,どのように GATA-3 がこれら Th2 サイトカイン遺伝子のスイッチを同時に制御するのか,そのメカニズムは明らかになっていなかった.今回著者らは,それぞれの Th2サイトカイン遺伝子には個別のエンハンサーが存在し,GATA-3 はそれらのエンハンサー領域に結合することにより Th2 サイトカイン遺伝子の発現を制御していることを明らかにした.つまり Il4 遺伝子座の第 2 イントロンに存在する DNaseⅠ hypersensitive site(HS)2,Il13 遺伝子座の conserved GATA-3 responsiveelemen(t CGRE)とよばれるエンハンサーが,Il4 遺伝子,Il13 遺伝子の転写をそれぞれ制御していた.また,GATA-3 はこれらの領域に結合してクロマチン構造を変化させることにより一度に複数のサイトカイン遺伝子のスイッチを制御していること,また HS2 がアレルギー病態形成に重要な役割を担っていることが明らかになった.
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医学のあゆみ 237巻13号, 1175-1180 (2011);
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ヘルパー T 細胞は種々のサイトカインを産生し,他の免疫細胞の機能を調節する重要な細胞群である.ヘルパー T 細胞は胸腺で成熟し,末梢リンパ組織に移動するが,この時点ではまだ特定の役割はもっておらず,ナイーブ T 細胞とよばれる.これが抗原と出会うと,その際に同時に刺激が入ったサイトカインの種類によって,Th1,Th2,Th17 などさまざまなサブセットに分化し,それぞれ特有のサイトカインを産生するようになる.サイトカインの発現がどのように制御されているのかを明らかにするために情報伝達系,とくに転写因子の誘導や活性化に関して非常に多くの研究がなされているが,サイトカイン遺伝子のエピジェネティックな制御も重要であることが明らかになってきている.著者らは,Th2 細胞への分化において DNA の脱メチル化がサイトカイン産生量の調節に重要であることを明らかにした.
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医学のあゆみ 237巻13号, 1181-1185 (2011);
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リンパ球抗原受容体遺伝子座は細胞系列と分化段階に特異的に V(D)J 組換えを起こすが,これはクロマチンの開閉状態により制御されている.インターロイキン 7 レセプター(IL-7R)は T 細胞抗原受容体(TCR)γ鎖遺伝子座の組換えを調節している.IL-7R により活性化された転写因子 STAT5 が,TCRγ遺伝子座のプロモーターとエンハンサーに結合し,ヒストンのアセチル化を誘導することで,クロマチンを開いた状態にする.この状態は転写酵素と DNA 組換え酵素に対して accessible になっており,転写と DNA 組換えが誘導される.
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医学のあゆみ 237巻13号, 1186-1193 (2011);
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自然免疫担当細胞であるマクロファージは,細菌やウイルス感染制御に重要であるのに加え,寄生虫感染,アレルギー応答,脂肪代謝,創傷治癒,癌転移などにも寄与していると考えられている.この応答は異なった性質のマクロファージにより担われていると考えられており,それぞれ M1 型と M2 型マクロファージとよばれている.著者らは,マクロファージ分化とエピジェネティックな遺伝子制御との関係性に焦点をあてて研究を行った.その結果,ヒストン H3K27 の脱メチル化酵素である Jmjd3 が,M2 マクロファージ分化や寄生虫感染応答に必須の役割を果たしていることを明らかにした.Jmjd3 は転写因子である IRF4 遺伝子のプロモーター領域のヒストン H3K27 を脱メチル化し,その遺伝子発現を正に制御することにより M2 マクロファージへ分化させていると考えられた1).
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医学のあゆみ 237巻13号, 1194-1198 (2011);
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Ikaros は血球分化,とりわけリンパ球の正常な分化に必須の転写因子である.Ikaros ノックアウトマウスの解析は血球分化のさまざまなステージにおける Ikaros の役割を明らかにするうえで重要な役割を果たしてきた.生理的役割の解明と比較すると,分子レベルでの Ikaros の機能解析はまだ途上にある.しかし,転写産物やクロマチン状態のゲノムワイドな解析技術の普及によって状況は大きく変わろうとしている.本稿では,最近明らかになってきた Ikaros による遺伝子ネットワーク制御や,クロマチン制御と白血病の関連について述べる.
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フォーラム
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切手・医学史をちこち 114
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医学のあゆみ 237巻13号, 1211-1211 (2011);
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医学のあゆみ 237巻13号, 1212-1214 (2011);
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医学のあゆみ 237巻13号, 1215-1216 (2011);
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医学のあゆみ 237巻13号, 1217-1221 (2011);
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 237巻13号, 1199-1200 (2011);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 237巻13号, 1200-1201 (2011);
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形成外科学
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医学のあゆみ 237巻13号, 1201-1202 (2011);
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