Volume 238,
Issue 9,
2011
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あゆみ 糖尿病性腎症―病態の解明と最新治療戦略
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医学のあゆみ 238巻9号, 819-819 (2011);
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医学のあゆみ 238巻9号, 821-824 (2011);
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近年2型糖尿病患者の増加に伴い,糖尿病性腎症による透析導入症例は増加しつづけている.糖尿病性腎症の病態はいまだ十分に解明されておらず,また進行した糖尿病性腎症に対して有効な治療法がないのが現状である.しかし,最近になり,早期であれば血糖や血圧を厳格にコントロールする集約的治療を行うことにより糖尿病性腎症が寛解することが明らかになってきた.また,現状では医療機関を受診していない糖尿病患者が非常に多く,いかに受診率を高めるかということが今後の解決すべき課題である.さらに,的確に糖尿病性腎症を診断し,早期から治療を開始することが腎不全への移行を阻止し,また心血管系疾患を予防する意味で非常に重要である.本稿では,糖尿病性腎症の現状と今後の課題について概説する.
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医学のあゆみ 238巻9号, 825-828 (2011);
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現在用いられている糖尿病性腎症病期分類とCKDステージ分類の間には,若干乖離が存在する.その理由は,前者が主にアルブミン尿,後者がeGFRのみにより分類されていることに起因する.今後,CKDステージ分類が改訂されこの乖離はある程度解消されると期待されるが,腎症病期分類で第1期,CKDステージ3以降の症例に関しては,その疾患概念(糖尿病性腎症か否か)を含め,解決しないといけない問題点が存在することも事実である.
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医学のあゆみ 238巻9号, 829-832 (2011);
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“糖尿病における血管合併症の発症予防と進展抑制に関する研究(JDCS)”において,尿アルブミン(Alb)/クレアチニン(Cr)が<150 mg/g Crの正常(<30)あるいは軽度-微量アルブミン尿(30-<150)の2型糖尿病患者1,558例を対象として,糖尿病性腎症(以下,腎症;尿Alb/Crが連続2回>300)の発症・進展を検討した.8年後までの腎症発症率は6.67/1,000人・年と低値であった.ライフスタイルへの介入の効果は明らかでなかった(ハザード比1.01).腎症発症の危険因子としてアルブミン尿が高値,HbA1cが高値,収縮期血圧が高値,喫煙があげられた.逆に,登録時の軽度-微量アルブミン尿群の452例中の30.3%が<30に正常化(remission)した.腎症発症の高リスク群である日本人でも,正常あるいは軽度-微量アルブミン尿の病期までに早期に診断をして現状のわが国の治療をすれば,腎症の発症・進展を低く抑えられることが示された.
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医学のあゆみ 238巻9号, 833-838 (2011);
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糖尿病性腎症は慢性腎臓病の最大の疾患であり,新規透析導入の原因疾患としてもっとも多い.したがって,その発症・進展機序の解明と克服は医学的・社会的に重要な課題である.糖尿病性腎症は主として高血糖により引き起こされる細胞内代謝異常,蛋白分子の修飾・構造変化,糸球体内血行動態的異常に遺伝的素因などが相互に作用しながら腎の機能的および構造的変化を引き起こし,発症・進展する可能性が考えられている.一方,分子病理学的には炎症に関与する分子群の発現とともに,単球・マクロファージに代表される骨髄由来の炎症・免疫担当細胞がみられる.このうち,骨髄由来細胞の遊走・活性化作用を有するケモカインは白血球走化性因子にとどまらず,腎局所において受容体を介し多彩な機能を示すことが判明してきた.本稿では,糖尿病性腎症の進展過程でみられる炎症性機序およびケモカイン・ケモカイン受容体の関与について概説する.
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医学のあゆみ 238巻9号, 840-845 (2011);
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糖尿病性腎症では高血糖のほかに肥満,高血圧,脂質代謝異常,加齢などさまざまな因子が複雑に加重され,展開する組織像はきわめて多彩となっている.しかし,糖尿病性腎症は基本的に内皮細胞が高血糖に持続的に曝露することを基盤として発症・進展する.糸球体,尿細管・間質,血管系と多岐にわたる場において形成される糖尿病腎の組織変化はその複雑さに目を奪われることなく,糸球体毛細血管,尿細管周囲毛細血管,細動脈などの微小循環系を中心にとらえることが重要である.
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医学のあゆみ 238巻9号, 846-850 (2011);
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近年,マイクロアレイ解析や二次元電気泳動,LC-MS/MS などの解析方法により,さまざまな疾患を対象に,血液・尿などの検体から疾患関連蛋白質が網羅的に探索されてきた.糖尿病性腎症のバイオマーカーについてもいくつかの新しい候補分子がみつかり,糖尿病性腎症の診断基準に用いられている尿中微量アルブミンに替わる疾患特異的なバイオマーカーの開発が進んでいる.診断上重要な要素は,対象とする分子が糖尿病性腎症の病理学的所見に基づいて変動するものでなければならない.著者らは糸球体硬化症の発症・進展において,転写因子 Smad1 を中心とする分子メカニズムが重要な作用を及ぼしていることを明らかにしてきた.本稿では,糸球体硬化症の診断を目的とした尿中 Smad1 の意義について概説する.
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医学のあゆみ 238巻9号, 851-856 (2011);
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糖尿病性腎症の治療戦略はさまざまな成因に基づく見解から種々の治療戦略が検討されているが,腎不全を完全に予防できる画期的な治療法がないのが現状である.糖尿病性腎症の患者数は増加し,慢性透析療法導入の最大の原因疾患となっており,その対策が喫緊の課題となっている.本稿では糖尿病性腎症の治療戦略に関する最近の知見を概説する.
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医学のあゆみ 238巻9号, 857-861 (2011);
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糖尿病性腎症(腎症)は,網膜症・神経障害とならんで糖尿病性微小血管障害のひとつである.また,腎症は代表的な進行性腎疾患でもあり,日本透析医学会の全国集計では 1998 年に慢性透析療法に新規に導入された症例のうち,腎症が慢性糸球体腎炎を抜いて第一位となり,その後 10 年あまり経過したがその増加には一向に歯止めがかかっていない.実際,2009 年では新規透析導入疾患のうち腎症が 44.5%を占め,第二位の慢性糸球体腎炎の 22.0%を大きく引き離している1).このように,腎症に対して適切な管理・可能なかぎりの進展抑制を行うことは現代の医学・医科学に残されている大きな課題と認識される.本稿ではとくに食事療法,蛋白制限食に重点をおいて考察を行い,実際われわれはいま,何をすることができるのかを考えてみたい.
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連載
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本当は子どもに“使えない”薬の話―実際と,これをどう打開するか 13(最終回)
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医学のあゆみ 238巻9号, 867-872 (2011);
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色素性母斑とは,神経堤由来の母斑細胞が増殖したものである.この母斑細胞は色素細胞メラノサイトに類似する形態や機能をもち,表皮,真皮,皮下脂肪組織で増殖する.先天性巨大色素性母斑は 2 万人にひとり程度の稀少疾患であるが,その 3~4%に悪性黒色腫を発症するとされており,早期に母斑を除去することが望ましい.また,患者,家族にとって整容的問題も大きい.治療の原則は母斑細胞の除去であるが,これには皮下脂肪層または筋膜レベルまでの切除が必要である.生じた欠損部の大きさによりさまざまな再建手術が行われるが,これらの方法は大きな瘢痕を残すなどの欠点がある.一方,皮膚レーザー治療,キュレッテージ法は真皮層を残して大半の母斑細胞を除去する方法である.母斑細胞を完全には除去できないが,真皮や皮膚付属器が残存するため,自然に上皮化が期待でき,早期に治療が行える利点がある.しかし,熱傷と同様な管理が必要であること,肥厚性瘢痕を生じやすいことなどが欠点である.この創面に再生医療の培養技術を利用した自家培養表皮を移植することで,より早期の上皮化が期待できる.しかし,JTEC 社より市販されている自家培養表皮の製品であるジェイスの使用目的は重傷熱傷の創の閉鎖であり,本疾患に使用することはできない.そこで薬事承認の適応拡大が必要とされるが,このような稀少疾患では医師自らが治験を行う医師主導型治験を行うことが有効な方策であろう.
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フォーラム
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医学のあゆみ 238巻9号, 873-876 (2011);
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書評
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医学のあゆみ 238巻9号, 877-877 (2011);
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医学のあゆみ 238巻9号, 878-879 (2011);
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医学のあゆみ 238巻9号, 880-882 (2011);
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TOPICS
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呼吸器内科学
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医学のあゆみ 238巻9号, 863-864 (2011);
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膠原病・リウマチ学
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医学のあゆみ 238巻9号, 864-865 (2011);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 238巻9号, 865-866 (2011);
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