Volume 238,
Issue 11,
2011
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あゆみ 血球貪食症候群の発症機構に迫る
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医学のあゆみ 238巻11号, 1033-1033 (2011);
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医学のあゆみ 238巻11号, 1035-1040 (2011);
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血球貪食性リンパ組織球症(HLH)は,さまざまな原因により異常に活性化した natural killer 細胞(NK 細胞)や細胞傷害性 T リンパ球(CTL)が多量の炎症性サイトカインを放出し,さらに活性化された組織球が自己の血球を貪食する病態の総称である.そのなかでも原発性 HLH は単一遺伝子異常により引き起こされるため,動物モデルの作成が可能であり,その詳細な解析により多くの情報が提供されてきた.その結果,CTL や NK細胞の免疫応答・細胞傷害機構の異常により,ウイルスなどの外来抗原に対する過剰な免疫応答が引き起こされ,HLH の病態がもたらされることがわかった.さらに近年,ヒト化マウスによる HLH モデルの出現でヒトに近い病態の解析が可能になり,今後さらなる診断や治療法の確立に結びつくものと期待される.
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医学のあゆみ 238巻11号, 1041-1047 (2011);
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血球貪食症候群(HPS)の基本的病態は,T 細胞やマクロファージの異常な活性化による高炎症性サイトカイン血症である.家族性血球貪食症候群(FHL)は細胞傷害惹起物質であるパーフォリンやその放出にかかわる分子の異常であり,HPS の病態解析に有用な知見を与える疾患である.FHL 患者の細胞傷害性 T 細胞や NK 細胞では,免疫学的シナプスを介した標的細胞の認識は異常がないため,刺激シグナルは伝達されるが,細胞傷害活性が低下しているため,T 細胞活性化が持続される.その結果,T 細胞活性化抑制のホメオスタシスに破綻をきたし,高炎症性サイトカイン血症,ひいては HPS を引き起こすと考えられる.
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医学のあゆみ 238巻11号, 1048-1052 (2011);
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血球貪食性リンパ組織球症(HLH)の病態の中心は,細胞障害性 T 細胞(CTL)ならびにマクロファージの異常な活性化と,それに伴う炎症性サイトカインの異常産生であり,感染や膠原病などに続発する二次性のものと遺伝的素因による原発性のものとに大別される.原発性 HLH の代表である家族性血球貪食症候群(FHL)の原因として,perforin や Munc13-4 など CTL や NK 細胞の細胞障害活性にかかわる分子の異常が同定されており,これらの分子は CTL を中心とした免疫応答の調節にも重要な役割を果たしていることが明らかになっている.FHL と二次性 HLH を臨床の場で区別することは容易ではないが,急性期の治療を行いながら蛋白発現解析などによるクリーニング検査で迅速に診断を確定する必要がある.
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医学のあゆみ 238巻11号, 1053-1057 (2011);
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EB ウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症/血球貪食症候群(EBV-HLH)は EBV 感染により T 細胞やマクロファージに異常な免疫反応が誘導されサイトカインストームを起こし,血球貪食組織球が増加する症候群である.EBV-HLH の診断には,①免疫不全症などの基礎疾患の除外や, ②EBV 感染標的細胞の同定,および,③初感染/再感染の確認を行うことが重要である.エトポシドを中心とする化学療法が必要な例も少なくないが,早期の免疫制御療法により,異常に活性化した免疫細胞をコントロールすることが必要である.
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医学のあゆみ 238巻11号, 1058-1064 (2011);
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X 連鎖リンパ増殖症候群(XLP)は,Epstein-Barr ウイルス(EBV)に対する特異的免疫応答の欠陥を有する先天性免疫不全症であり,致死的伝染性単核症,異常γ-グロブリン血症,悪性リンパ腫を臨床的三徴とする.ほとんどの症例(XLP タイプ 1)は SLAM-associated protein(SAP)をコードする SH2D1A 遺伝子変異によって生じるが,XLP タイプ 2 と称される患者で X-linked inhibitor of apoptosis(XIAP)をコードする XIAP 遺伝子変異が明らかとなった.XLP 患者ならびに Sap ノックアウトマウスの観察から,SAP の欠損によりナチュラルキラーおよび CD8+T 細胞による細胞障害活性,T 細胞からのサイトカイン産生,活性化によって誘発される細胞死,胚中心の形成,ナチュラルキラー T 細胞の産生が障害されることが明らかとなったが,XIAP の欠損による分子病態はまだ明らかではない.SAP 欠損症と XIAP 欠損症の臨床像ならびに分子病態を明らかにすることによって,EBV 特異的のみならず普遍的な免疫応答の異常が明らかになると思われる.
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医学のあゆみ 238巻11号, 1065-1068 (2011);
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リウマチ性疾患の経過中にウイルス感染や薬剤,原疾患の活動性により続発する血球貪食症候群は,マクロファージ活性化症候群(MAS)とよばれている.MAS は種々の炎症性サイトカインの異常高値であるサイトカインストームを生じ,全身の組織障害をきたす.MAS の病態を理解し適切な治療の選択をすることが治療上も重要である.
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医学のあゆみ 238巻11号, 1069-1073 (2011);
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近年,血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome:HPS),または血球貪食性リンパ組織球症(hemophagocyticlymphohistiocytosis:HLH)(以下,HPS/HLH)の病態理解が深まりつつあり,国内外で診断される例が増加しつつある.しかし,疫学的なデータは皆無の状態で,2005 年に行われたわが国での全国アンケート調査結果(過去 5 年間に 799 例)が世界的にも唯一のものである1,2).その内容であるが,ウイルス関連 HPS/HLHが最多の 40%を占め,ついでリンパ腫関連 HPH/HLH が 22%と多かった.リンパ腫以外の悪性腫瘍関連HPS/HLH は 4.4%で,同種造血幹細胞移植後 HPS/HLH はまれであった.この 10 年間に,小児科医や血液専門医には本疾患概念や診断基準が比較的認知されてきたように思われるが,他の専門領域における認知度の低さがなお問題である.
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医学のあゆみ 238巻11号, 1074-1078 (2011);
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血球貪食性リンパ組織球症(HLH)治療のあらたな方向性について概観した.これまで HLH の治療を組織的に論じることを可能にしたのは,国際治療研究としての HLH-94/-04 レジメンによるスタディだといえる.HLH-94/-04 レジメンに代わる新しいプロトコールは,これらのスタディで浮き彫りになった諸問題を念頭においたものになる.なかでも HLH の発症機序に関与する顆粒分泌異常症における中枢神経(CNS)異常の発症予防ならびに治療は,家族性血球貪食症候群(FHL)ならびに類縁疾患の予後を改善するうえで今後の最大の課題といえる.2010 年の時点でいくつかの pilot studies が提唱されている.
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注目の領域
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医学のあゆみ 238巻11号, 1083-1087 (2011);
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世界的な肥満人口の増加を背景に,肥満症に対する外科的治療が急速に普及している.現在の外科的治療の主流は,腹腔鏡下 Roux-en-Y 胃バイパス術,調節性胃バンディング術,スリーブ状胃切除術などの腹腔鏡下肥満外科手術である.いずれの腹腔鏡手術を行っても,確実な減量効果と健康障害の改善効果が認められている.現在,わが国ではいずれの腹腔鏡下肥満外科手術も健康保険で認められていないこともあり,先進諸国のみならずアジア諸国のなかでも,この分野ではやや立ち遅れた状況にある.
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フォーラム
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医学のあゆみ 238巻11号, 1089-1092 (2011);
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TOPICS
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神経内科学
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医学のあゆみ 238巻11号, 1079-1080 (2011);
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癌・腫瘍学
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医学のあゆみ 238巻11号, 1080-1081 (2011);
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糖尿病・内分泌代謝学
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医学のあゆみ 238巻11号, 1081-1082 (2011);
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