Volume 239,
Issue 9,
2011
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あゆみ 体内時計と疾病
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医学のあゆみ 239巻9号, 873-875 (2011);
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医学のあゆみ 239巻9号, 876-881 (2011);
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生体リズムの異常は高血圧の発症に関与するのであろうか.最近われわれは,生体時計を失ったCry-null マウスが食塩感受性の高血圧を呈することを見出した.病因はミネラロコルチコイドの産生をつかさどる新規のステロイド合成酵素Hsd3b6 の発現亢進にあり,この酵素はヒトでも機能的に保存されていることがわかった.高血圧症につながる時計異常,ならびにその原因酵素の発見は,これまでの高血圧症の疾患概念を塗り替えるばかりでなく,従来にはないあらたな作用機序の降圧薬の開発につながる可能性がある.
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医学のあゆみ 239巻9号, 882-885 (2011);
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糖・脂質代謝とサーカディアンリズムとの関係は古くから知られてきたが,近年,分子レベルでのリンクが徐々に明らかにされつつある.たとえば,サーカディアンリズムの調節因子であるBMAL1 欠損マウスは,脂質異常症の発症ならびに異所性脂肪の蓄積を示し,CLOCK 変異マウスは肥満を呈する.また,BMAL1,CLOCK およびCRY による膵でのインスリン分泌調節が報告されている.サーカディアンリズムと代謝制御との関係は,サーカディアンリズム調節因子(時計遺伝子)による代謝制御の方向に限定されず,AMP キナーゼやSIRT1 のような代謝制御分子によるサーカディアンリズム調節の例も報告されている.以上を踏まえ本稿では,栄養素の代謝制御とサーカディアンリズムとの関係を,これらキーとなる分子のノックアウトマウスの所見をもとに考察する.
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医学のあゆみ 239巻9号, 886-890 (2011);
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加齢に伴って血圧や睡眠などの日内変動が障害されることが知られており,その調節には時計遺伝子が重要な役割を果たしていることが明らかとなってきた.一方,生理機能の日内変動の障害は,加齢に伴う疾患(たとえば循環器疾患など)の発症に関与することが明らかとなっている.そこで本稿では,時計遺伝子がどのように老化と関連するかについて,とくに血管老化との関連に焦点を当て考察してみたいと思う.
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医学のあゆみ 239巻9号, 891-896 (2011);
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生体リズムの異常により発癌頻度が上がるとする疫学的データは多い.長らく謎とされてきたその原因が,時計遺伝子の発見により明らかになろうとしている.時計遺伝子が全身の細胞で時を刻んでいるという発見は,細胞代謝や細胞分裂など基本的な細胞機能がつねに生体リズムという大きな時間秩序の元で行われていることを明らかにした.多くの臓器で細胞周期のタイミングは規定されており,また時計遺伝子のなかには,cMyc の転写抑制,DNA 損傷からアポトーシスへの経路の促進など癌抑制機能をもつものがある.生体リズムの分子機構の研究は,今後の癌研究に新しい視点を提供するものと期待される.
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医学のあゆみ 239巻9号, 897-903 (2011);
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私たちの体のなかにはさまざまな自律振動系が存在している.たとえば,心臓の拍動は体外培養下の心筋細胞においても観察可能である.約24 時間周期の体内時計である概日時計も,体外培養下において,1 つの細胞のなかで自律的な振動として観察される.現代疾患の多くが,概日時計と生活リズムの不一致と深い関係があると考えられている.これらの疾患の予防・治療に加え,夜勤労働健康調査や,さらに客観的な時間医療の導入のためにも概日時計評価手法の確立には意義がある.概日時計の状態を把握するには,メラトニンのようなホルモンの血中濃度を調べるだけでなく,概日時計そのものである時計遺伝子活動リズムを知る必要がある.著者らは毛根に付着する細胞を利用することで,ヒトの概日時計診断が可能であることを報告した.
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医学のあゆみ 239巻9号, 904-906 (2011);
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哺乳類の概日時計は発生過程において獲得されるものである.しかし,全身の細胞に備わっている概日時計がどのように成立するのか,また,この過程に個体発生が必要なのか,これまでまったくわかっていなかった.著者らは万能細胞であるマウスES 細胞を用いて概日時計の成立過程を解析した.ES 細胞には概日時計の振動はみられず,in vitro でES 細胞を分化させると概日時計がしだいに形成されてくることがわかった.つまり,細胞レベルの概日時計の成立に個体発生は必要ではなく,個々の細胞にもともとプログラムされたメカニズムに従って自律的に約24 時間周期の時計が形成されることを明らかにした.しかも,この概日時計の成立は細胞分化と密接に関連しており,体細胞をリプログラミングしiPS 細胞にすると,概日時計の振動がES 細胞と同様に消失することを示した.これらの結果から,概日時計は細胞分化と密接に関連しており,再生医療や癌研究への応用が期待できることが示唆された.
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医学のあゆみ 239巻9号, 907-911 (2011);
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睡眠覚醒リズムの異常,不眠,過眠などの睡眠障害は,一般の生活者から精神・神経疾患患者まで幅広く認められる.とくに,睡眠覚醒リズムの異常は,うつ病などの気分障害から統合失調症,自閉症を含む多くの精神疾患で併存することが知られている.昼夜逆転による生活リズムの乱れは患者のQOL を低下させるのみならず,精神疾患の再発を助長し,社会復帰を阻害している大きな要因のひとつとなっている.また現代社会では,一般生活者の多くも生活の夜型化やシフトワークなど不規則な生活リズムに悩まされている.このようなリズム異常の背景には,生体リズムを制御する生物時計システムが密接に関係していると考えられており,精神疾患にみられるリズム異常の病態を正しく理解するためには,患者個人の生物時計機能の障害を正確に評価する必要がある.本稿では気分障害に伴うリズム異常の分子病態,ならびに生体組織を利用した患者の生物時計機能の測定法について紹介する.
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医学のあゆみ 239巻9号, 912-914 (2011);
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特別鼎談 Vol.2
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医学のあゆみ 239巻9号, 921-928 (2011);
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フォーラム
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医学のあゆみ 239巻9号, 929-930 (2011);
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医学のあゆみ 239巻9号, 931-935 (2011);
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TOPICS
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生理学
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医学のあゆみ 239巻9号, 915-916 (2011);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 239巻9号, 916-917 (2011);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 239巻9号, 918-919 (2011);
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