Volume 240,
Issue 3,
2012
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あゆみ 新生児医療―最近の進歩
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医学のあゆみ 240巻3号, 201-201 (2012);
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医学のあゆみ 240巻3号, 203-207 (2012);
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日本の周産期医療のレベルは世界最高峰にある.乳児死亡率,新生児死亡率,妊産婦死亡率などの数値がそれを物語っている.加えて,わが国では在胎22 週の児の生存率は40%,23 週で出生する児の生存率は60%に迫り,これらの超早産児の救命率は世界で群を抜いている.しかし,このような世界に冠たる治療成績を誇るわが国の周産期医療であるが,近年,携わる医師の不足による医療崩壊の危機が叫ばれている.このような時期にこそ,わが国の高度な周産期医療を支える原動力となる革新的な知見を総括し,新生児医療のもつ魅力について考えてみたい.一酸化窒素(NO)吸入療法は新生児以外の領域でも注目されている治療法であるが,新生児肺高血圧症に対する認可が他分野に先がけて得られた.新生児におけるNO 吸入療法の知見は,他分野においてもおおいに参考になることであろう.その他にも神経,栄養,内分泌代謝など多くの分野で革新的な動きがある.ここにその概略を記す.
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医学のあゆみ 240巻3号, 208-213 (2012);
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新生児一酸化窒素(nitric oxide:NO)吸入療法は,血管拡張作用のあるNO ガスを直接肺に吸入することで体血圧には影響を与えず肺動脈のみを選択的に拡張させる唯一の治療法であり,PPHN(persistent pulmonaryhypertension of the newborn:新生児遷延性肺高血圧症)の治療法として欧米を中心に世界中で行われている.わが国でも2008 年に薬剤として承認され,2010 年から保険診療が可能となった.その効果はわずか10~20 ppm のNO を人工呼吸器回路に流入させただけで酸素化が劇的に改善し,体血圧など循環動態には影響を与えないという理想的なものである.しかし,保険診療が可能となったことで,PPHN 以外の疾患への使用も増加してきており,われわれ新生児科医は適応基準を遵守し,生後間もない新生児の循環動態に留意しながらNO 吸入療法を安全かつ慎重に行っていく必要がある.
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医学のあゆみ 240巻3号, 214-220 (2012);
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2005 年以来,新生児脳症に対する低体温療法の第Ⅲ相試験結果があいついで報告され,メタ解析にてその有効性が証明された.これを受けて蘇生療法の世界的評議機関であるILCOR は,2010 年より低体温療法を新生児脳症に対する標準治療として推奨するに至っている.本病態における低体温療法の成功は,今後の脳保護療法の開発と臨床応用に大きな希望をもたらしたが,一方で,低体温療法の作用機序や,至適冷却法,有効性予測因子など,解決されていない問題も山積されている.本稿では,世界とわが国における低体温療法のこれまでを振り返り現状を整理するとともに,これから進むべき方向を明らかにする一助としたい.
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医学のあゆみ 240巻3号, 221-224 (2012);
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新生児医療において神経学的予後の改善はもっとも重要な事項であり,そのためには的確な神経学的評価をリアルタイムに行う必要がある.従来,頭部超音波検査が頭蓋内出血や脳室周囲白質軟化症などの中枢神経病変の画像評価に用いられている.機能的評価としてはベッドサイドで施行される脳波検査があるが,多くの新生児科医は脳波所見を自ら判読できないため,残念ながら新生児医療において脳波検査は普及していない.一方,amplitude integrated EEG(aEEG)は取扱いや判読が従来の脳波検査に比べてきわめて簡単であり,全国の新生児集中治療室(NICU)に普及しつつある.aEEG を用いることで,脳機能抑制の重症度評価,新生児痙攣の診断,中枢神経成熟の評価を行うことができる.連続モニタリングであるため,とくに脳機能抑制の重症度,新生児痙攣の診断には大きな力を発揮する.aEEG から得られる知見を臨床現場にフィードバックすることで,神経学的予後の改善につながることが期待される.
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医学のあゆみ 240巻3号, 225-227 (2012);
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新生児医療の分野において,エリスロポエチンは未熟児貧血の治療薬として広く使用されている.近年,その神経細胞に対する保護作用が注目されるようになり,新生児医療の領域でも脳性麻痺の発症予防効果が期待されるようになった.早産児における脳室周囲白質軟化症(periventricular Leukomalacia:PVL)は脳性麻痺の主要な原因であり,主として在胎33 週未満の低出生体重児の5~8%に発症し,下肢の痙直性麻痺を引き起こすことが特徴である.エリスロポエチンによりPVL の発症を減少させ,さらにはPVL に伴う脳性麻痺の発症が減少することを期待して検討が行われている.
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医学のあゆみ 240巻3号, 228-231 (2012);
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プロバイオティクスは,腸内細菌叢を改善することで宿主の健康に寄与する,ビフィズス菌をはじめとする生菌製剤である.とくに低出生体重児においては,正常な腸内細菌叢の確立が遅れることから,感染症や消化器疾患の発症が問題となることが多い.近年,新生児壊死性腸炎(NEC)や敗血症への予防効果を期待し,腸内細菌叢を改善することを目的に,多くの施設でプロバイオティクスの投与が行われ,海外ではその有効性も証明されている.わが国では,現時点で極低出生体重児を含む新生児・乳児へのBifidobacterium breve の投与の安全性は確立されているが,有効性や使用法などに関してはいまだ統一した見解が得られておらず,現在その検証が進められている.
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医学のあゆみ 240巻3号, 232-237 (2012);
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先天性高インスリン血症は新生児期の持続性低血糖症のもっとも多い原因で,適切に治療しないと重篤な神経後遺症を残す可能性がある.重症の本症は従来,膵亜全摘で治療され,術後糖尿病などの合併症をきたすことが多かったが,最近になって本症の遺伝背景の理解が進み,重症型の大部分を占めるKATPチャネル遺伝子異常の多くの症例では,病変が膵局所に限定していることが明らかになった.同時に,遺伝子診断や18FDOPAPET,選択的動脈内カルシウム注入法(ASVS)などの局在診断の手法も開発され,膵部分切除で後遺症なく治癒できるようになった.また,KATPチャネル遺伝子以外にもGLUD1,GCK,HADH,SLC16A1,UCP2 など多くの原因遺伝子が同定されてきている.これらの多くはジアゾキサイドで有効に治療できるため,治療の焦点は重症びまん性KATPチャネル異常症と切除の困難な膵頭部局所性病変の取扱いとなってきた.
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医学のあゆみ 240巻3号, 238-242 (2012);
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母乳性黄疸は,母乳栄養の新生児にみられる遷延性の非抱合型(間接型)高ビリルビン血症である.ときに血清ビリルビン値が20 mg/dL を大きく超えることがあり,核黄疸の危険もあり,管理・治療が必要である.発症のメカニズムとして,乳児側の原因としてビリルビンUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT1A1)の遺伝子多型G71R が存在することがこれまでに明らかになっていた.また最近の研究により,母乳に含まれる5β-pregnane-3α,20β-dio(l プレグナンジオール)が,G71R 変異をもつUGT1A1 のビリルビン抱合活性を阻害することが明らかにされてきた.母乳性黄疸の原因として,UGT1A1 のG71R とプレグナンジオールが存在することが明らかになった.
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連載
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これだけは知っておきたい接触皮膚炎の基礎知識
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医学のあゆみ 240巻3号, 249-249 (2012);
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医学のあゆみ 240巻3号, 250-256 (2012);
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接触皮膚炎とは,いわゆる“かぶれ”のことである.かぶれを起こすと,原因になった物質が触れた形に湿疹の病変をきたすので,なににかぶれたかは推測しやすい.たとえば,湿布にかぶれたときや時計にかぶれたときなどは自分で気づいて,それらに触れないようにすることができる.しかし,思いもよらないものが原因の場合には,なぜ湿疹ができたかについて推測することは難しく,さらにそれが慢性的に続くようになると皮膚科の専門医であっても,持続している湿疹がかぶれによるものかどうかを推測するのは難しくなる.しかし症状がひどかったり,かゆみが強かったりするので治療を待っていることは難しく,原因を推測できないままステロイド外用薬による加療が開始されることが多い.症状は外用薬によっていったんよくなっても,原因が取り除けなければ繰り返す.そのような問題を解決すべく,接触皮膚炎診療ガイドラインは作成された.
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フォーラム
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近代医学を築いた人々 1
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医学のあゆみ 240巻3号, 257-257 (2012);
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医学のあゆみ 240巻3号, 258-260 (2012);
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 240巻3号, 243-244 (2012);
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癌・腫瘍学
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医学のあゆみ 240巻3号, 244-245 (2012);
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脳神経外科学
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医学のあゆみ 240巻3号, 245-247 (2012);
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