Volume 240,
Issue 8,
2012
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あゆみ 頭蓋縫合早期癒合症と頭蓋顎顔面外科
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医学のあゆみ 240巻8号, 619-619 (2012);
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医学のあゆみ 240巻8号, 621-625 (2012);
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頭蓋縫合早期癒合症は比較的頻度の高い先天異常のひとつであり,すくなくとも90 種類以上の症候群の部分症状として記載される.これらの多くは,身体的特徴,成長発達,合併症,画像所見,家族歴などから総合的に臨床診断可能である.診断に苦慮する症例で,原因遺伝子が特定されている一部の症候群ではおもに従来からあるサンガー法によるキャピラリーシーケンサーを用いて臨床診断の精度を高める目的で遺伝子検査が検討される.現在の遺伝子検査では臨床医の鑑識眼に依存した臨床診断のもと,その疾患の遺伝学的特性と臨床症状を加味して効率的な解析戦略が立てられる.大量塩基配列決定にかかるコスト削減と解析時間短縮をめざす次世代シーケンサーは研究室レベルの解析方法ではあるが,遺伝子レベルの網羅的解析ツールとして,その臨床応用が期待されている.頭蓋縫合早期癒合症の遺伝子検査の将来像も,この次世代シーケンサーを用いた複数の疾患関連遺伝子を対象とする網羅的解析へ移行するものと予想される.個々の疾患を正確に鑑別する臨床医のクリニカルスキルとともに,家系内に影響しうる遺伝学的情報の取扱いに対する重要性は解析技術が進歩しても変わることはなく,遺伝カウンセリングの必要性はますます高まるものと思われる.
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医学のあゆみ 240巻8号, 627-631 (2012);
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頭蓋骨縫合早期癒合症とは頭蓋骨縫合が先天性に癒合した病態であり,早期癒合をきたす縫合線により特徴のある頭蓋形態を呈する.本疾患に関与する遺伝子や手術方法に関しては格段の進歩を得ている.また,異常頭蓋形態のメカニズムに関して,早期癒合した縫合におけるTGF-βなどの免疫学的な解析も進んでいる.それらと比較して異常形態形成のメカニズムに関しては,いまだ既存の説では十分に説明できないのにもかかわらず,十分な議論がなされていない.本稿では,これまで異常形態形成のメカニズムに関してどのような説が唱えられてきたのかといった歴史と,それらの問題点と,現在著者らが考えている変形理論を述べる.
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医学のあゆみ 240巻8号, 633-638 (2012);
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古くより頭蓋縫合早期癒合症に対しては,脳の発育を期待して縫合切除などの手術が行われてきた.手術には頭蓋の形態を改善するという効果があるものの,脳発達に好影響を及ぼすかという点に関してはいまだ不明な点が多い.一般に非症候群性の単純な頭蓋縫合早期癒合症では発達は正常であることが多いが,一部に頭蓋内圧亢進や精神発達遅滞を呈する症例がある.また,知能指数(IQ)が正常でも学習能力や書字学習能力の低下を認める症例が正常児より多いことなども明らかになってきた.手術により頭蓋内圧亢進を改善させるとの報告はあるが,発達障害に対し手術が有効か,あるいは手術により予防が可能かという点に関しては,明確なエビデンスが得られていないのが現状である.今後,より簡便な頭蓋内圧測定法やMRI およびSPECT に代表される脳血流量測定などの分野で進歩があり,より詳細な脳の機能評価が可能になれば,手術の影響についても明らかになる可能性はあると考えられる.
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医学のあゆみ 240巻8号, 639-646 (2012);
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頭蓋変形の低侵襲治療として,頭蓋縫合早期癒合症に対する内視鏡補助下縫合切除術とそれに続くヘルメット形状誘導法と,頭位性斜頭(DP)に対する著者らの取組みを紹介した.前者は有毛部内の小切開から内視鏡補助下に癒合した縫合とその近傍の頭蓋骨切除を行い,術後早期からヘルメットによる形状誘導を行うものである.適応は矢状縫合,片側冠状縫合などの早期癒合症で,生後4 カ月以内の症例である.自験例として冠状縫合早期癒合症例を提示した.DP とは胎生期や生後の外圧による頭蓋の変形で,一側後頭部の平坦化を主徴とするものである.基本的な治療方針として,向き癖をなおす,平坦部の除圧,形状誘導の3 つがあり,それぞれについて解説した.形状誘導ヘルメットについて著者らの導入したハンドヘルド型セルフポジショニングレーザースキャナーとMichigan cranial reshaping helmet を紹介した.小児科医,産科医があかちゃんの頭の形に関心をもつことで,頭蓋縫合早期癒合症が早期に診断されて低侵襲治療が広がることが期待できる.
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医学のあゆみ 240巻8号, 647-650 (2012);
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頭蓋縫合早期癒合症による中顔面の低形成に対しては,骨延長術を適応することが一般的な治療となっている.しかし,その適応時期や方法についての明確な統一見解はないが,現在一般的に行われている治療時期と方法を記載し,現時点における臨床の最前線について報告する.骨延長術は骨切り術を加えた後に延長器を装着し,1 日1 mm 程度の延長を行うことで,延長後間隙となった骨切り部に骨が早期に新生されるという新しい治療概念である.しかし,顔面という日常生活を営むうえできわめて特殊な部位に延長器を装着しておくためには,年齢の適合性や治療の安定性,さらには装着中の安全性などの点で,いくつもの器具が開発されている1-4).本稿では,本疾患における中顔面の低形成に対する骨延長,おもにLe Fort Ⅲ型骨延長術の適応時期と装置について記載する.まず,その目的は生命に関係のある乳幼児期における気道障害に対して行う治療として,小さな頭蓋顔面骨に装着できる器具で,しかも確実に延長が行える装置としてトランスフェイシャル・ピン型装置5)による延長が都合がよい.また,幼児から学童期に行う同手術ではハロー型の外固定型延長器と内固定型の延長器があり,いずれも一長一短があるが,日常生活上都合のよいのは内固定型の延長器である.さらには学童期,またはそれ以上の年齢における中顔面骨の操作では咬合を考慮した治療が必須となる.それにはハロー型の外固定型の延長器がきわめて確実な結果を期待できる.以上のように,骨延長法の最前線について記載したが,本治療は一律の治療とはなりにくく,適応年齢に応じた骨延長器の選択が重要である.
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医学のあゆみ 240巻8号, 651-653 (2012);
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現代における顔の機能は,摂食や構音,呼吸,視覚といった機能的なものだけではなく,健全な社会生活を営むことのできる整容的な要素も必要とされる.頭蓋顎顔面外科は,こうした顔のもつさまざまな機能が損なわれた場合に,それらの再建を行う外科領域である.Crouzon 症候群や顎変形症といった種々の先天的顔面形成異常や,外傷や癌切除などの後天的障害に対し,おもに顔面骨に対するアプローチにより治療を行っている.外科的治療にはLe Fort Ⅰ型骨切り術,Le Fort Ⅲ型骨切り術,下顎矢状分割骨切り術などの術式が用いられることが多い.近年はこうした技術が美容外科領域に拡大されつつあり,下顎角や頬骨の突出の形成に応用されている.できるだけ正常に近い顔面形態の再建は個人の豊かな社会生活には欠かせないものであり,昨今ではそれらの重要度が増していると思われる.
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連載
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これだけは知っておきたい接触皮膚炎の基礎知識 5
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医学のあゆみ 240巻8号, 659-665 (2012);
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現代社会において化粧品は生活必需品となっているが,装うための製品に加えて保湿目的や抗老化目的など,より幅広く種々の製品が使用されるようになってきている.化粧品をより効果的に皮膚に吸収させる目的の化粧品グッズ,あるいは整形目的で使用される製品の充足もみられる.種々の製品のなかから各自が自分の皮膚状況を踏まえて化粧品を日常生活に取り入れれば問題は起こらないはずである.自分の皮膚症状の把握が十分でないのに新商品を取り入れて,あるいは日常のストレス状況のなかで化粧品障害を起こしたと皮膚科を受診する患者は多い.化粧品皮膚炎であると正確に診断をするにはアトピー素因の有無を検索し,原因製品を用いて皮膚貼付試験(パッチテスト)を実施する.アレルゲン貼付による反応を刺激反応なのか,またはアレルギー反応であるのかを見きわめて皮膚科医は生活指導をする.検査で化粧品が原因でないことが判明すれば,基礎皮膚疾患治療に専念させることも可能になる.
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フォーラム
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医学のあゆみ 240巻8号, 667-670 (2012);
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放射線被曝と遺伝学 1
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医学のあゆみ 240巻8号, 671-677 (2012);
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書評
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医学のあゆみ 240巻8号, 680-681 (2012);
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医学のあゆみ 240巻8号, 682-683 (2012);
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医学のあゆみ 240巻8号, 684-687 (2012);
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TOPICS
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遺伝・ゲノム学
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医学のあゆみ 240巻8号, 655-656 (2012);
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癌・腫瘍学
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医学のあゆみ 240巻8号, 656-657 (2012);
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脳神経外科学
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医学のあゆみ 240巻8号, 657-658 (2012);
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