Volume 240,
Issue 10,
2012
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あゆみ 麻酔科からみた術後早期回復プロトコール
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医学のあゆみ 240巻10号, 817-819 (2012);
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医学のあゆみ 240巻10号, 821-826 (2012);
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術後回復能力強化プログラムはあらたな薬剤や手技を導入することではなく,エビデンスに基づき既存の医療行為やスキルを活用する周術期プログラムである.そのなかで,術後回復能力の強化をめざして,術前後の絶飲食期間の短縮が推奨項目としてあげられている.著者らは,経口補水療法(ORT)の簡便性・安全性および輸液療法に劣らない水分・電解質補給の効果に着目し,ORT を術前体液管理に活用する方法を考案した.そして,この体液管理方法を術前経口補水療法(Preoperative ORT)と呼称した.Preoperative ORT を活用することで,術前における患者および医療従事者のストレスを減弱することが可能である.そして,PreoperativeORT の実施により術前患者の脱水状態を改善できる.また,経口補水液はclear fluids に分類されるために,手術2 時間前までのPreoperative ORT の実施により麻酔導入時の胃液量が増加することはない.以上の理由から,著者らは術後回復能力強化プログラムにおいてPreoperative ORT を積極的に活用している.
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医学のあゆみ 240巻10号, 827-831 (2012);
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周術期の輸液管理については従来,膠質浸透圧活性物質を含まない細胞外液を比較的大量に投与する管理が一般的であり,間質への水分の貯留が避けられない.最近,間質への水分貯留が術後合併症発生に関与している可能性が注目され,術後回復力強化プログラム(ERAS)でも「水分およびNa の過剰投与を避ける」ことが推奨されている.本稿では,過剰な水分投与を回避しつつ,安定した血行動態を維持するための手段として最近注目を集めている目標指向型輸液管理(goal-directed fluid management)を紹介する.
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医学のあゆみ 240巻10号, 833-838 (2012);
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ERAS プロトコールの構成要素は術前,術中,術後管理を通じて種々のエビデンスのある介入方法により構成されている.麻酔科医の果たす術中麻酔管理としては,前投薬を使用しないこと,硬膜外麻酔を併用した鎮痛法の積極的な使用,短時間作用性の麻酔薬の使用,過剰な水分投与を避けること,非オピオイド性の鎮痛薬の使用,周術期を通した加温による体温維持の推奨,などがあげられる.ERAS を主導するLjunqvist のErsta 病院での研究では,なかでも手術侵襲に伴って生じるインスリン抵抗性の改善と過剰な輸液負荷を避けることが重要であるとしており,術前の炭水化物補水はインスリン抵抗性を改善することが報告されている.また,超短時間作用薬による鎮痛重視の麻酔法は手術侵襲によるストレスを抑制し,さらに術中少量糖液輸液は血糖値の増加をもたらすことなく蛋白異化を抑制できることを著者らは報告してきた.本稿ではこれら術中麻酔管理について,文献的考察も加え概説する.
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医学のあゆみ 240巻10号, 839-844 (2012);
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近年,手術患者の術後回復力を高めるための多くのエビデンスを集約して周術期管理を行うことで,術後合併症の減少,早期回復,在院日数の減少および医療費の削減をめざすERAS プロトコールが脚光を浴びている.本プロトコールの術後管理に際して麻酔科医が担う大きな役割は,術後痛管理および術後悪心嘔吐(PONV)への対応である.術後痛管理についてはオピオイドではなく,胸部持続硬膜外麻酔および非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が推奨されている.また,PONV については4 つのリスク因子を示し,発生リスクを評価したうえでの段階的な予防法が提案されている.術後は周術期管理の最終段階であり,ここでの管理は手術結果に直結するため,適切な術後管理を行うことはきわめて重要である.環境,マンパワー,教育などの問題でわが国に適応したERAS プロトコールが確立されるのはまだ先のことであろうが,多職種の医療従事者がその趣旨を理解し,同じ意識をもつことが必要である.
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医学のあゆみ 240巻10号, 845-849 (2012);
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わが国の麻酔科領域でもERAS プロトコールに対する関心は高まっているが,複数科・多職種が統合されたチーム医療としてERAS を実践するには困難な面も多いと考えられる.当院では,術後の早期回復という同じ目標をもつ大腸外科と麻酔科が協調して,大腸癌開腹手術の周術期管理にERAS の概念を導入した.術前の絶飲食期間を短縮し,術後の経口摂取開始を早め,術後鎮痛は硬膜外鎮痛を第一選択として積極的に離床を進めた.また,患者との信頼関係の強化も重要課題と考え,術前説明や術後回診にも外科と連携して取り組んだ.2010 年7 月より管理方法を変更後120 症例の術後在院日数は平均値8.9±6.2(5~44)日,中央値7日となった.それ以前96 症例では12.7±7.7(7~49)日,10 日であり,平均3.8 日短縮した.麻酔科として術中管理以外にも広くERAS にかかわることでチーム医療を実現し,アウトカムの向上に寄与することが可能である.
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連載
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これだけは知っておきたい接触皮膚炎の基礎知識 6(最終回)
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医学のあゆみ 240巻10号, 858-863 (2012);
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接触皮膚炎は通常,原因となるアレルゲンが直接接触した部位に局所的に起こる,いわゆるかぶれといわれる皮膚病変であるが,これらの接触皮膚炎を起こす抗原が強いアレルギー反応を起こすと,全身に汎発性の発疹がみられることがある.この場合,初期のアレルゲンの感作はすべて経皮的に行われるが,全身の皮疹を誘発する際,吸収経路によってつぎの2 つに分けることができる.1 つはアレルゲンが経皮的に吸収されて起こる接触皮膚炎症候群であり,もうひとつは接触アレルゲンが非経皮的に吸収されることにより生じる全身性接触皮膚炎である1).原因としては,古くからウルシや銀杏などのかぶれやすい植物による強い接触皮膚炎に引き続いて生じる接触皮膚炎症候群がよく知られるが,近年は医薬品である外用薬や点眼薬などの接触皮膚炎に併発する例が増えている.接触皮膚炎の頻度の高い外用薬は使用されなくなってきたものもあるが,一方でいまだにOTC にはかぶれやすい外用薬の成分が含有されている.また,近年開発されている化粧品や化学物質,手袋などの日用品で,あらたなアレルゲンによる接触皮膚炎を起こす可能性もある.われわれは今後も対症療法だけでなく,原因アレルゲンの究明を含めた診療を行っていく必要がある.
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フォーラム
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医学のあゆみ 240巻10号, 865-868 (2012);
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医学のあゆみ 240巻10号, 869-871 (2012);
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パリから見えるこの世界 2
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医学のあゆみ 240巻10号, 873-876 (2012);
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TOPICS
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遺伝・ゲノム学
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医学のあゆみ 240巻10号, 851-853 (2012);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 240巻10号, 853-855 (2012);
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臨床栄養学
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医学のあゆみ 240巻10号, 855-857 (2012);
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