Volume 240,
Issue 11,
2012
-
あゆみ 糖尿病フットケアUpdate
-
-
Source:
医学のあゆみ 240巻11号, 879-879 (2012);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 240巻11号, 881-887 (2012);
View Description
Hide Description
糖尿病性足潰瘍は重症下肢虚血と混同しやすい.前者ではその病因として,①末梢神経障害,②末梢血行障害(末梢動脈性疾患:PAD),③感染症があげられる.これらの複雑な混合病変が糖尿病性足潰瘍である.その病態を4 つに分類した(神戸分類). TypeⅠ:創傷のおもな病因は末梢神経障害である. TypeⅡ:創傷のおもな病因は末梢血管障害(重症下肢虚血)である. TypeⅢ:創傷のおもな病因は軟部組織感染症である. TypeⅣ: 上記3 つの病因が混在し,PAD に加えて趾間白癬からの細菌の二次感染となり,重症下肢虚血に陥った病態である. 一方,重症下肢虚血は上記のTypeⅡとⅣと同じであるが,糖尿病を合併していれば,血管障害がより末梢に及ぶため重症化する.加えて透析を合併していれば病態はさらに悪化し,予後も悪くなる.それぞれの治療の原則は, TypeⅠ: 変化した足の形態や歩行癖に合わせたフットウェアが重要で,手術加療を要するときには主要血管を犠牲にしない方法を選択する. TypeⅡ:SPP(皮膚灌流圧)とangiosome に基づいた末梢血行再建術と局所手術を施行する. TypeⅢ:積極的デブリードマンを施行する. TypeⅣ:末梢血行再建術とデブリードマンを施行しなければならないが,その時期設定が重要である.
-
Source:
医学のあゆみ 240巻11号, 889-894 (2012);
View Description
Hide Description
糖尿病性足病変は,虚血,感染,足部変形による複合的な病態で多様性に富んでいるため,創傷治療を始める前に,虚血と感染の程度,部位の範囲と大きさなどの病態を早期に評価し,治療のゴール設定と治療方針を決定することが重要である.虚血がある場合には,救肢を目的とした血行再建が必須である.一方,血行再建が適応にならないか,または不成功に終わった場合,全身状態の評価からミイラ化,もしくは大切断術の適応となる.血行再建後は感染が増悪することがあるため,感染制御目的に早期にデブリードマン,小切断術などによる壊死組織除去を行う.創傷治療では,洗浄や抗菌剤による保存的治療などによる感染制御後に,局所陰圧閉鎖療法や増殖因子製剤を用いて創傷治療の中間的な目標である肉芽形成をめざす.肉芽形成が得られれば,植皮術もしくは遊離皮弁移植術などによって足部を再建し,治癒に至る.
-
Source:
医学のあゆみ 240巻11号, 895-901 (2012);
View Description
Hide Description
近年,生活習慣病の増加と高齢化社会により末梢動脈疾患(PAD)は急増している.なかでも糖尿病増加に寄与する透析患者の増加は,臨床現場での大きな問題である.いずれの危険因子もPAD の発症に寄与し,その極型が重症虚血肢(CLI)である.CLI の自然予後はきわめて悪く,早期血行再建術が必須である.今回はわが国における糖尿病に合併したCLI 患者の特徴およびその治療戦略について報告する.
-
Source:
医学のあゆみ 240巻11号, 903-908 (2012);
View Description
Hide Description
①慢性腎臓病,とくに透析患者は糖尿病の有無にかかわらず末梢動脈疾患(PAD)の独立した危険因子である.PAD を有する透析患者は死亡リスクが高い.②透析患者のPAD 罹患率は一般人口と比較し高く,臨床症状によるPAD 頻度は15~23%でみられる.PAD 患者は同時に他の心血管障害も合わせてもつことが多く,これらの評価も同時に行うことが望まれる.③透析患者では膝関節以下の末梢に病変を伴い,さらに石灰化が高度である例が多い.間欠性跛行の症状出現が乏しく,重症虚血肢に至ってからの受診が多い.④症状の有無にかかわらず脈拍や皮膚の異常など定期的な足の観察が必要である.足関節上腕収縮期血圧比(ABI)を年1 回測定すべきである.ただし,透析患者の場合,偽陰性が多くこれのみに診断を頼ることはできない.⑤安易に薬物療法のみに頼らず,はじめに虚血の評価が行われなければならない.また,フットケアを含めた集学的治療が重要である.⑥治療は重症虚血肢とそれ以外に分けて考慮し,救肢と生命予後と生活の質を勘案して行う.重症虚血肢は栄養と感染対策が重要である.
-
Source:
医学のあゆみ 240巻11号, 909-916 (2012);
View Description
Hide Description
自己骨髄幹細胞を用いた血管再生医療は難病指定疾患であるBuerger 病および閉塞性動脈硬化症(ASO)の治療抵抗性症例に対して安全性が証明され,有効性にも優れ,現在わが国において第2 項先進医療技術に承認されている.さらに,末梢血単核球細胞,末梢血幹細胞を使用した血管再生治療も第2 項先進医療技術に追加承認され,血管再生治療(第2 項先進医療技術)は末梢動脈疾患(PAD)に対するPTA,バイパス手術に次ぐ第3 の治療法として認識されつつある.しかし,長期予後向上のためには重症下肢虚血(CLI)では全身血管病の一部分症であるという認識が重要であり,治療不能なCLI に対して血管再生治療はlimb salvage のための新しい戦略となりうると考えられた.また,膠原病のなかでも難治性潰瘍・壊疽を合併することがもっとも多い全身性強皮症(PSS)に対して安全性・有効性を示唆し,現在厚生労働省難治性疾患克服研究事業研究班としてデータをまとめ,厚生労働省に対して適応拡大申請中である.
-
Source:
医学のあゆみ 240巻11号, 917-921 (2012);
View Description
Hide Description
糖尿病患者の増加に伴い,その終末像のひとつである糖尿病足病変患者の増加が懸念されている.そこで糖尿病足病変予防策のひとつとして,ハイリスク患者に対する予防的フットケアが重要視されてきた.予防的フットケアとは,ハイリスク患者の足に生じた糖尿病足病変の誘因となりうる軽度皮膚病変を積極的に治療・ケアすることによって,糖尿病足病変発生のリスクを軽減する行為である.これは糖尿病足病変の誘因の多くが早期発見によって治療可能な軽度皮膚病変であるため,これの病変を積極的に治療・ケアすることが糖尿病足病変予防の発生・再発予防につながることによる.実際に,欧米における過去の取組みではとくにハイリスク群に対象を絞って予防的フットケア,スクリーニング,患者教育などを行った場合,再発率の低下や切断率の低下を認めている.また,患者自身のセルフフットケア能力にも限界があることが同時に指摘されており,ハイリスク患者には医療従事者が積極的にかかわる必要があるといえる.技術者の育成,施設のマンパワー,コストなど,その導入・継続にはさまざまな問題が存在するものの,予防的フットケアの提供は糖尿病足病変予防において非常に重要な要素であり,ひとつでも多くの施設が提供できるよう,環境の改善が期待される.
-
Source:
医学のあゆみ 240巻11号, 922-926 (2012);
View Description
Hide Description
フットウェアは靴,足底装具,靴下などの足部に装着するもので,一般用と医療用がある.医療用として使用される種類としては,靴下を除いて一次予防用,治療用,二次予防用があり,それぞれことなる.フットウェアを身近な物でたとえると,メガネである.フレームが靴,レンズが足底装具,目が足部である.フレームの役目をしている靴には,①神経障害と皮膚病変(胼胝・鶏眼)のみで変形や血流障害がない足に対して使用する医科向けの靴(足長と足幅を合わすことができ,足底装具を挿入することができる既製品),②軽度の変形や神経障害などに対しアッパー(靴の甲や足趾を覆っている部分)部分や靴底の調整を行って使用する靴,③変形や切断などの重度の足部に対し残存機能や使用目的に合わせてデザインや材料,縫い目の位置,ライニング(靴内部の革)など,細部まで考慮した靴型装具がある.また,レンズの役目をしている足底装具は,体重,疾患,病態,目的にあわせて材料を選択し,形状を変えて免荷・除圧に繋げていく.リスクに合わせて検査・評価→教育→装着→フォローアップを行い,身体から足部への圧,靴のなかでの機械的刺激,床・地面からの反力の3 つの圧力を抑えていくことで,傷の発症を予防できる.またこのプログラムを糖尿病の治療やフットケア・リハビリテーションとともに行っていくことにより,より効果的に発症・再発予防ができる.
-
Source:
医学のあゆみ 240巻11号, 927-930 (2012);
View Description
Hide Description
足潰瘍・壊疽は糖尿病の重篤な合併症で,患者のQOL 低下と生命予後に大きくかかわる.足病変が少ないといわれたわが国でも,足病変のリスクは増している.糖尿病足病変を予防するには医師が直接診ることが必要であるが,チーム医療を活用することも有効である.足潰瘍・壊疽の一次予防は,血糖,血圧,血清脂質のコントロールに努めることである.二次予防は,すでに糖尿病神経障害や末梢動脈疾患(PAD)を合併し,足趾の変形,胼胝,水疱,爪周囲の炎症などを有する患者の足を実際に診て進行を予防することである.三次予防は,発症した足病変が足潰瘍・壊疽にならないように他科の協力も得て治療し,再発予防することである.チームアプローチによる予防的フットケアにより,糖尿病患者の非外傷性下肢切断は減少する可能性が示されている.
-
注目の領域
-
-
Source:
医学のあゆみ 240巻11号, 936-941 (2012);
View Description
Hide Description
心エコーは超音波の歴史そのものである.超音波は水中音波伝搬研究からはじまり,戦争時のレーダー,金属探傷器へ応用してきた.これを医療の現場,つまり心臓の診断へと取り組みはじめたのは,わずか50 年前である.ここからパルスドプラ法,カラードプラ法が開発され,1990 年には経食道心エコーが誕生した.さらに21 世紀になると,3D エコーが登場し,画像の解像度もより鮮明になった.しかし,まだ解決されていない問題があり,それが壁運動異常の評価である.第一歩として組織ドプラ法の研究がはじまる.これはいままで早い速度成分(血流)に注目していたものから,視点を低速成分(組織の動き)に変えて着目した方法である.その後,組織ドプラ法の角度依存性やtethering の影響を除去すべく,心筋速度勾配法が考案された.いわゆるストレインレートであり,今後の研究に注目したい.
-
フォーラム
-
-
近代医学を築いた人々 3
-
Source:
医学のあゆみ 240巻11号, 943-943 (2012);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 240巻11号, 944-946 (2012);
View Description
Hide Description
-
TOPICS
-
-
細菌学・ウイルス学
-
Source:
医学のあゆみ 240巻11号, 931-932 (2012);
View Description
Hide Description
-
免疫学
-
Source:
医学のあゆみ 240巻11号, 932-933 (2012);
View Description
Hide Description
-
癌・腫瘍学
-
Source:
医学のあゆみ 240巻11号, 933-935 (2012);
View Description
Hide Description