医学のあゆみ
Volume 241, Issue 1, 2012
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【4月第1土曜特集】 インフルエンザUpdate―課題と問題点
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- Overview
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世界の新型インフルエンザ対策の課題と今後の方向性―新型インフルエンザA(H1N1)2009ウイルスによるパンデミックを振り返る
241巻1号(2012);View Description Hide Description2009 年,新型インフルエンザA(H1N1)2009 ウイルスによる世界規模の感染流行“パンデミック”が発生した.疫学的には季節外流行や死亡年齢の若年化などの特徴がみられ,ウイルス肺炎によるARDS を臨床像とする重症例が報告された.WHO は各国政府や関連機関と連携し,感染拡大や健康被害,社会的な破綻や混乱を最小限に留めるべく,ワクチン,抗インフルエンザ薬,サーベイランスなどのさまざまな対策を講じ,成果を得る半面,WHO や各国政府をはじめとする国際社会には今後取り組むべき課題も残された. -
新型インフルエンザウイルス発生のメカニズム
241巻1号(2012);View Description Hide Description2009 年,われわれは21 世紀に入ってはじめてのパンデミックを経験した.以前から危惧されたH5 亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスによるものではなく,ブタ由来のH1 亜型のインフルエンザウイルスによるパンデミックであった.本稿では将来のパンデミック対策のため,自然界におけるパンデミック出現のメカニズムについて概説する. - インフルエンザの基礎
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インフルエンザウイルスレセプターと宿主域変異
241巻1号(2012);View Description Hide DescriptionA 型インフルエンザは,世界でもっとも広く分布する人獣共通感染症のひとつといえるであろう.宿主域を図1 に示す.2009 年,ブタを起源とするA 型インフルエンザウイルス(H1N1 亜型)(以後,2009 pandemicH1N1と略記)はヒト世界で大流行を起こした.また,1997 年にホンコンで発生した高病原性A 型鳥インフルエンザウイルス(H5N1 亜型,以後H5N1 と略記)は,その後,世界の63 を超える国のニワトリを殺し,さらに,世界15 カ国でヒトへの伝播を果たしている.世界におけるH5N1 感染者は574 人,うち337 人が死亡(WHO,2011 年12 月21 日)しており,ヒトに対する病原性もきわめて高い.本ウイルスは幸いなことに,ヒト世界での流行はいまだきわめて限定的である.インフルエンザウイルスはどのような機構でヒト世界へ入り,さらにヒト間伝播能力を獲得するのであろうか.この機構解明にはウイルスレセプター結合特異性にかかわる変異が深くかかわる.本稿では,インフルエンザウイルスの感染成立に必須であるウイルスレセプター結合特異性変異と宿主域変異とのかかわりを,最新の情報を含めて解説する. -
インフルエンザ脳症の発症機序―CPT2遺伝子多型が解き明かす発症リスク
241巻1号(2012);View Description Hide Descriptionインフルエンザ脳症は,インフルエンザ感染による脳の血管内皮細胞膜の透過性亢進による脳浮腫の重篤な病態である.発症機序の解析から,インフルエンザ感染の高熱時に脳の血管内皮細胞膜の透過性が亢進しやすい患者のリスク因子として遺伝子多型が解明された.脳の血管内皮細胞は全身の血管内皮細胞のなかでもとくにエネルギー代謝の活発な細胞で,そのエネルギー源の約70%は脂肪酸代謝に依存している特徴をもつ.そのため重症化患者では,長鎖脂肪酸代謝酵素Calnitine Palmitoyltransferase 2 の熱不安定性遺伝子多型がリスク因子として集中していることが判明した.血管内皮細胞のエネルギークライシスが,脂肪代謝改善薬bezafibrate で改善されることが明らかになった.今後,脳症のリスク回避薬として期待される. -
インフルエンザウイルスの系統樹
241巻1号(2012);View Description Hide Descriptionインフルエンザウイルスの系統樹を作製するにあたって,その理論的基礎となっている中立進化について考えてみた.中立進化は木村資生(きむら・もとお)が確立した日本が生んだ理論であり,現在では分子生物学がその正しさを実証している.ここでは中立進化説について簡単に概説した.また,MEGA5 という解析ソフトを使い,どのようにすれば系統樹を描けるのかについて概説した.このソフトは中立説を支持する進化学者のペンシルベニア大学の根井教授のもとで首都大学東京の田村教授が開発し,現在のバージョンに至るものである.日本語での質問が可能であり,無償配布されている.最後に,同義置換を使った系統樹解析の例として,H5N1 鳥インフルエンザウイルスを例に示した.同義置換と非同義置換という言葉はペンシルベニア大学の根井教授と国立遺伝学研究所の五條堀教授が提唱された名称であり,同義置換は変異の前後でアミノ酸配列を変えないので,中立進化そのものといえる. -
インフルエンザウイルス感染症の病理
241巻1号(2012);View Description Hide Description毎年流行する季節性インフルエンザウイルスは,おもに気管・気管支・細気管支および気管支腺上皮細胞に感染し,肺胞上皮細胞には感染しないため,ウイルス性肺炎を併発することはまれである.季節性インフルエンザに併発する肺炎は,二次性の細菌性肺炎であることが多い.2009 年にパンデミックとなったA(H1N1)pdm09 ウイルス感染症の肺病理像の多くは季節性インフルエンザと類似していたが,呼吸不全で亡くなった例では硝子膜形成を伴うびまん性肺胞障害を呈し,肺胞上皮細胞や肺胞マクロファージにウイルス抗原が検出された.H5N1 高病原性鳥インフルエンザウイルスのヒト感染例ではウイルス血症となり,呼吸器官以外の臓器にも感染すると報告されている.H5N1 高病原性鳥インフルエンザウイルスはヒトの肺胞上皮細胞に感染するため,重篤なウイルス性肺炎をもたらす.肺病理像はびまん性肺障害を呈し,二次性細菌性肺炎を合併している例もあった.H5N1 高病原性鳥インフルエンザウイルスや一部のA(H1N1)pdm09 ウイルスのHA 蛋白は,ヒトの肺胞上皮細胞が発現するα2,3Gal-シアル酸に結合できる構造を有していると報告されている.著者らはA(H1N1)pdm09 ウイルス感染による重症肺炎の剖検肺において,ウイルス抗原をα2,3Gal-シアル酸を発現している肺胞上皮細胞に検出した.また,同剖検肺から増幅されるインフルエンザウイルスHA 遺伝子を解析し,α2,3Gal-シアル酸に結合しやすいHA 蛋白を有するA(H1N1)pdm09 ウイルスが優位に増殖していたことを示した. -
ウイルス分離と遺伝子検査
241巻1号(2012);View Description Hide Descriptionインフルエンザウイルスはヒトからヒトへと世界中を循環し,変異を繰り返している.インフルエンザ予防にはワクチンが有効であるが,つねに流行しているウイルスの性状を解析し,新しいワクチン候補株を探さなければならない.また,抗インフルエンザ薬の普及により薬剤耐性株の監視も重要となってきている.横浜市衛生研究所では,感染症発生動向調査としてインフルエンザウイルスの分離や遺伝子検査を実施し,解析や情報を還元している.ウイルス分離と遺伝子検査の特徴,およびこれらを組み合わせた検査について解説する. -
薬剤耐性インフルエンザウイルス―その出現機構とインパクト
241巻1号(2012);View Description Hide Description現在,インフルエンザ治療の主流は4 種類のノイラミニダーゼ阻害薬(NAI)である.日本はインフルエンザ感染症に対して早期診断・早期治療が行われており,世界でもトップクラスの経験と治療実績を誇る.しかし,一方で薬剤耐性ウイルスの出現にも注意を払う必要がある.薬剤耐性ウイルスの出現には2 つのメカニズムが考えられている.ひとつは抗ウイルス薬治療による薬剤圧力による選択圧耐性で,もうひとつは自然に出現する自然耐性である.薬剤耐性ウイルスはノイラミニダーゼ遺伝子の変異部位により亜型特異性をもち,さらに,薬剤への耐性度も異なる.薬剤耐性ウイルスは治療により一定レベルで出現するが,細菌学で考えられる薬剤耐性とは異なることを認識し,抗ウイルス薬治療が一般化したいま,耐性ウイルスの特徴や流行状況,そして出現予防法を再確認する必要がある. -
インフルエンザワクチンの歴史と展望
241巻1号(2012);View Description Hide Description2009 年のパンデミックインフルエンザにより,世界各国でインフルエンザワクチンの供給問題がクローズアップされた.現在,世界人口が70 億人を超す中で,インフルエンザワクチン製造能力は最大8 億人分とされ,発展途上国へのワクチン供給問題が浮上してきている.そうした中,長期の準備期間を要する現行の鶏卵培養法がワクチン製造の律速段階となっていることから,迅速性を向上させるために細胞培養法や遺伝子組換え法を用いたワクチン開発が行われている.一方,こうしたワクチン製造研究と並行して皮内接種や経鼻接種などの新規投与経路によりワクチンの有効性向上と抗原量の節減をめざした研究も実施されている.さらに,今後流行する可能性のある亜型ウイルスを予測し,プレパンデミックワクチンを個々に開発する方式ではなく,すべての亜型ウイルスを幅広く防御することを目的としたワクチン(ユニバーサルワクチン)の開発も進められている.本稿ではインフルエンザワクチンの歴史をたどりながら,パンデミック対策として進められているこれら新規ワクチン開発の現状を概説した. - インフルエンザの臨床
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成人・高齢者のインフルエンザ
241巻1号(2012);View Description Hide Description2009 年にいわゆる新型インフルエンザが流行したが,2010 年には季節性インフルエンザとして流行した.新型インフルエンザであるならば,全年齢層に罹患者が発生するものと考えられるが,加齢とともに罹患率は減少し,高齢者の罹患率はきわめて少ない.また,現行のHA ワクチンの1 回接種でも高率にHI 価が上昇することから,高齢者・成人にはH1N1pdm に対する基礎免疫があったと考えられる.H1N1pdm09 による死亡者はわが国では203 人と少なかったが,40 および50 歳代の死亡者数が多かった.死因としては肺炎によるものが多かったが,その原因として免疫過剰反応と考えられている.一方,高齢者は罹患率はきわめて低いが,致死率はもっとも高く,季節性インフルエンザと同様であった. -
小児のインフルエンザ―臨床現場での傾向と対応
241巻1号(2012);View Description Hide Description小児は,身体構造や免疫機能,基礎疾患,ライフスタイルなどが成人と異なり,さらに新生児から学童まで各年齢層でも多様性がある.インフルエンザの臨床像が小児と成人で異なる所以である.小児がインフルエンザに罹患すると家族内や集団施設内での感染拡大源となる.一般的な症状は成人と同様であるが,中耳炎や熱性痙攣,脳症など小児特有の合併症の頻度も高い.また,高齢者と同様,乳幼児そのものが重症化や合併症のハイリスクとなる.治療においてはReye 症候群の関連から解熱鎮痛薬の選択に注意し,年齢や薬剤コンプライアンス,重症度,ウイルス型などにより抗インフルエンザ薬を使い分ける必要がある.予防の基本となるワクチンは接種量や回数,有効性,卵アレルギーへの注意など,成人と異なる点が多い.本稿では小児のインフルエンザの臨床的特徴を中心に,パンデミックインフルエンザA(H1N1)2009 の知見も交えて概説する. -
インフルエンザ脳症
241巻1号(2012);View Description Hide Description急性脳症の誘因となる感染症の病原のうち,日本ではインフルエンザウイルスがもっとも高頻度で,全体の27%を占める.インフルエンザ脳症の近年の罹病者数は年100~200 人,致死率は7%である.インフルエンザ脳症には,臨床症状・病理(画像)所見に固有の特徴を有する多くの症候群(Reye 症候群,急性壊死性脳症,痙攣重積型急性脳症,脳梁膨大部に可逆性病変を有する軽症脳炎・脳症など)が含まれ,経過や予後を異にする.それらは主病態(代謝異常,サイトカインストーム,興奮毒性,その他)に基づいて整理・大別される.厚生労働科学研究の研究班によりインフルエンザ脳症ガイドラインの初版が2005 年に,改訂版が2009年に刊行され,初期対応,診断,治療,リハビリテーション,グリーフケアの包括的指針を示している.症候群に応じた診断・治療の個別化が今後の課題である. -
ノイラミニダーゼ阻害薬
241巻1号(2012);View Description Hide DescriptionA 型インフルエンザウイルスでは,ウイルス表面のヘマグルチニンとノイラミニダーゼの変異により新型が反復出現する.2009 年に出現したインフルエンザA(H1N1)pdm09 では,もっとも効果的に抗インフルエンザ薬を使用したわが国の被害が世界最小であった.インフルエンザウイルスの増殖は,(1)宿主細胞への吸着・侵入・脱殻,(2)ウイルスRNA・蛋白質の合成,(3)細胞からの出芽・放出,の3 段階を経るが,(1)ではウイルスのヘマグルチニンが作用し,(3)ではノイラミニダーゼが作用する.抗インフルエンザ薬はいずれかの段階に作用するが,細胞からの遊出を阻害するノイラミニダーゼ阻害薬がもっとも有用である.現時点で4 種のノイラミニダーゼ阻害薬が実用化されているが,既存のオセルタミビルやザナミビルは5 日間の投与が必要であるのに対し,新規のペラミビルとラニナミビルでは作用が長時間持続するため,原則として1 回投与で治療目的が達成され,服薬コンプライアンスの面で有利である. -
RNAポリメラーゼ阻害薬―ファビピラビルの有効性と安全性
241巻1号(2012);View Description Hide Descriptionファビピラビルは富山化学工業が独自に開発中の新規抗インフルエンザ薬である.その作用機序はウイルスのRNA ポリメラーゼ阻害であり,従来のM2 蛋白阻害やノイラミニダーゼ阻害とはまったく異なる独自性を有する.ファビピラビルは基礎研究の段階から,耐性ウイルスが出現しづらいことに加え,作用点が異なる従来の抗インフルエンザ薬に対する耐性ウイルス株にも十分な有効性が期待されている.事実,いままでの臨床治験ではオセルタミビル耐性株の流行時期にあっても臨床的な有効性が確認されており,また,安全性の面でもとくに大きな副作用の報告はない.また,抗ウイルス活性については,流行株によってはオセルタミビルを上まわる成績が確認されている.このようなファビピラビルの殺ウイルス作用は,インフルエンザウイルスの感染に伴う過剰な宿主反応による急性呼吸不全などを抑制する効果が期待できる.なお,本薬剤は現在日本では第Ⅲ相臨床試験が終了しており,早期の市販が待たれている. -
インフルエンザワクチン―その特徴と効果
241巻1号(2012);View Description Hide Description現在,季節性インフルエンザ対策に使われているワクチンの剤型はスプリットワクチンであり,プライミング効果は劣るものの,優れたブースティング効果が認められている.注射で接種したワクチンで誘導される免疫の主体は血中IgG 抗体であり,粘膜に滲み出ることで感染防御に働いている.赤血球凝集抑制抗体40 倍は50%の成人の発症を予防する抗体価である.IgG 抗体は変異したインフルエンザウイルスに対する反応がIgA抗体や細胞性免疫よりも劣る欠点がある.インフルエンザワクチンの効果が低いのは小児と高齢者である.今シーズン(2011/12)から小児への免疫原性を高めるために,接種量が世界標準量に増加した.アメリカでは高齢者の免疫原性を高めるために,成人接種量の4 倍量のヘマアグルチニンを含むインフルエンザワクチンが使用されている.インフルエンザ発症予防のためには,高い血中抗体価を誘導しておくことが大切である. -
インフルエンザの迅速診断―迅速診断キットの進歩と課題
241巻1号(2012);View Description Hide Descriptionインフルエンザの迅速診断は,患者の診療や感染対策の方針決定にきわめて重要である.わが国で広く使われているインフルエンザウイルス抗原検出試薬(迅速診断キット)は,ベッドサイドにおいて反応時間15 分以内という短時間でA 型とB 型の鑑別を可能とし,最近は亜型の鑑別やRS ウイルスとの同時検出のキットも開発された.臨床検体における偽陽性反応は少なく,特異度は非常に高い.一方,一定量のウイルス抗原の存在があってはじめて陽性反応を示す試薬であるため,その感度はウイルス量に影響する患者や検体のさまざまな条件によって左右され,また製品や流行ウイルスによっても異なる.適切な検体を採取し,偽陰性の可能性を考慮して総合的に判断することが重要である.また,最近は遺伝子検出検査の発展がめざましく,迅速診断キットの精度不足を補う確実な迅速診断の手段として使用できるまでになった.アウトブレイクの対策としてもキットを有効に使い,必要に応じて確認検査ができる態勢が求められる. -
インフルエンザ院内感染対策
241巻1号(2012);View Description Hide Description病棟においてはインフルエンザと診断がついた患者が入院する以外に,インフルエンザ以外の理由(検査や手術など)で入院している患者や医療従事者が院内でインフルエンザを発症することがある.インフルエンザの院内流行を事前に防ぐために医療従事者は,①秋のうちに予防接種を受ける,②咳や鼻汁のある患者・面会者にマスクを着用させる(咳エチケット),③インフルエンザと濃厚接触している患者の入院を延期したり入院させる場合でも患者にマスク着用させる,④面会者に症状がないかをチェックする,ことが重要である.また,インフルエンザ患者を入院させる場合には個室あるいはインフルエンザ患者用の多床室に収容する.潜伏期間中に別の理由で入院し,入院後にインフルエンザを発症した場合には速やかに発端者を個室あるいはインフルエンザ患者用の多床室に収容する.そのうえで,適応を十分吟味し,同室患者や濃厚接触患者にオセルタミビルあるいはザナミビルで速やかに予防する.マスクせず無防備にインフルエンザ患者と接触した職員には1 週間のマスク着用をさせ,二次感染源にならないようにする.インフルエンザを発症した医療従事者はただちに勤務中止・治療・静養を指導される.解熱後48 時間で就業許可されるが,気道症状がある間はサージカルマスク着用で勤務する(以上,おもに当院での対応方法を示した). -
学校でのインフルエンザ対策
241巻1号(2012);View Description Hide Descriptionインフルエンザの感染率が高い小児が集団生活をする学校は,インフルエンザ流行を増幅し,家庭や社会に伝搬する場となる.したがって,学校でのインフルエンザ対策は重要である.本稿では,著者らが勤務するA小学校,B 中高一貫校でのインフルエンザ対策について,2009/2010 シーズンの新型インフルエンザ対策を加味して述べる.重点項目は,①インフルエンザワクチン接種,②罹患した児童・生徒の出席停止,③流行時の臨時休業(学級閉鎖,学校閉鎖),である.インフルエンザワクチンは現在,日本では高齢者以外は任意接種ワクチンであるが,学校での流行防止には集団として接種率を高める努力が必要である.今回のパンデミックではワクチン接種は間に合わず,A,B 校では季節性インフルエンザよりも厳しい基準で学級閉鎖,学校閉鎖を実施した.シーズンの累積罹患者数を減少させるものではないが,流行拡大を遅らせる効果があったと考えられる.
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