Volume 241,
Issue 2,
2012
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あゆみ 膵内分泌腫瘍(PNET)
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医学のあゆみ 241巻2号, 123-123 (2012);
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医学のあゆみ 241巻2号, 125-128 (2012);
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日本における消化管・膵神経内分泌腫瘍の実態は過去に報告はあるが,疫学などに関しては十分に検討されていなかった.最近,日本で全国疫学調査(2005)が施行され,欧米との相違なども知りえてきた.年間受療者数は2,845 人と推定され,人口10 万人当りの有病者数は2.23 人である.新規発症率は1.01 人で同時期に報告されたアメリカの0.32 人に比べ約3 倍であった.発症平均年齢は57.6 歳で,無症状で健康診断などで偶然発見された症例は24%であった.MEN-1 の合併は10.0%であり,ガストリノーマがもっとも多く27.2%であった.非機能性膵内分泌腫瘍は6.1%であり,欧米に比較し低率であった.診断が得られたときに21%に遠隔転移を認めたが,欧米では64%と多かった.神経内分泌腫瘍の進行は緩徐で予後もよいと考えられているが,進行性神経内分泌腫瘍の5 年生存率は約35%と報告されている.予後を決定する因子は腫瘍の種類,進展度,腫瘍サイズ,組織型(分化度,Ki-67 指数),さらに患者のPS(performance status)および年齢などである.
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医学のあゆみ 241巻2号, 129-131 (2012);
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神経内分泌腫瘍(NET)の病理学的な悪性度因子については過去約20 年にわたり国際的な検討が進められ,近年,病理組織学的に信頼性の高い予後因子が示された.2010 年に改訂されたWHO 分類は過去のWHO 分類と異なり,すべての消化管および膵のNET に共通する組織学的分類方法である.この分類に基づき,近年開発の進む分子標的治療薬やソマトスタチンアナログを含む治療戦略が決定される.このため,WHO2010 分類を正確に評価することは診断・治療の両側面からきわめて重要である.本稿ではWHO2010 分類の判定方法,およびTNM 分類について解説するとともに,これらの新分類のもつ課題について述べる.
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医学のあゆみ 241巻2号, 133-136 (2012);
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膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)の診療にあたっては,良質なエビデンスが十分でないのが現状である.海外ではいくつかのガイドラインが示されてはいるものの,わが国では使用できない検査法や治療法が含まれているなどの問題があり,わが国でそのまま適応することは難しい.したがって実臨床では,医師個人の経験や論文を頼りに模索的に治療を行っているのが現状である.現在,2 つの委員会によりこの分野のガイドラインの作成が進められている.本稿では,海外における膵・消化管NET のガイドライン,およびわが国における現状について紹介する.
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医学のあゆみ 241巻2号, 138-143 (2012);
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膵神経内分泌腫瘍(PNET)は,サイズが5 mm 程度と小さい腫瘍も少なくない.そのため,腫瘍自体の検出が重要な課題となってくる.その描出能は空間分解能の高い超音波内視鏡(EUS)がMDCT を含め他の画像診断より優れている.このため,PNET の組織採取法としては,このEUS を利用した超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)がもっとも高い正診率をもち,かつ安全な手技である.また,EUS-FNA 検体を用いたPNETの悪性度診断や予後予測に関する研究も進んでおり,今後EUS-FNA は,PNET の診断と治療法の選択に必要欠くべからざる検査法となる可能性がある.
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医学のあゆみ 241巻2号, 144-148 (2012);
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膵神経内分泌腫瘍(PNET)はまれな腫瘍であるため,薬物療法の開発は行われる機会が少なく,PNET 患者の選択肢はきわめて限られているのが現状であった.しかし,2011 年にeverolimus およびsunitinib の有用性を示す論文が『N. Engl. J. Med.』に報告され,注目度が高まった.この2 剤のうち,everolimus がmTORinhibitor にあたる.everolimus はPNET に対する標準治療薬として,日本ではじめて(2012 年2 月現在,唯一の)保険承認となった薬剤である.本稿では,PNET 患者に対するeverolimus の有効性を示したランダム化比較試験であるRADIANT-3 試験の内容を中心に,PNET 患者に対するmTOR inhibitor の現状について述べる.
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医学のあゆみ 241巻2号, 149-153 (2012);
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Sunitinib は,血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)や血小板由来増殖因子(FPGFR)をはじめとする多くのチロシンキナーゼ受容体を阻害するマルチキナーゼ阻害剤である.神経内分泌腫瘍においてVEGFR やそのリガンドであるVEGF は多く発現しており,腫瘍の増殖にかかわっていることが示されている.また,PDGFRAは腫瘍細胞とその支持組織である間質にも多く発現しており,これらのシグナル伝達を阻害するsunitinibの治療効果が期待される.欧米を中心とした臨床試験により,高分化型の膵神経内分泌腫瘍に対するsunitinib の有効性と安全性が示されている.わが国においても臨床試験で有効性が確認されており,日常臨床で使用可能になるものと期待される.
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医学のあゆみ 241巻2号, 155-158 (2012);
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PNET は膵腫瘍の5%程度で悪性も35%に,機能性は約半数に認め,ガストリノーマ,インスリノーマなどが認められる.多くは散発性であり,遺伝性ではMEN1 がもっとも多く7.4%を占めている.散発性での遺伝子異常としては,K‒ras 変異はインスリノーマの15~40%に,p16 不活化はインスリノーマの20%程度,ガストリノーマの50%以上に認められる.またMEN1 の体細胞性変異がインスリノーマの17%,ガストリノーマの33%に認められる.最近の知見としてはDAXX/ATRA およびMEN1 遺伝子変異がそれぞれ43%,44%に認められ,これら変異は膵癌では全く認めず,両者の発癌,DNA 修復過程が異なることが報告されている.さらにmTOR 経路にかかわるPETN,TSC2,PIK3CA などに変異を認め,mTOR 阻害薬の治療効果も期待されている.遺伝性PNET では副甲状腺,下垂体,副腎皮質などの病歴,家族歴や若年発症などからMEN1 を疑うことが重要である.
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連載
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漢方医学の進歩と最新エビデンス 3
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医学のあゆみ 241巻2号, 163-169 (2012);
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日本の伝統的医学である漢方のなかでも大建中湯は山椒,乾姜,人参,膠飴という食材だけで構成されているにもかかわらず,臨床でもっとも高い使用実績と信頼性を得てきた漢方薬である.大建中湯の腸管血流改善作用を検討してきた結果,大建中湯の主要構成生薬である山椒の主成分hydroxy-α-sanshool,乾姜の主成分6-shogaol が直接または血中に吸収されて,腸管神経終末からカルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitoningene related peptide:CGRP),腸管上皮細胞からアドレノメデュリン(adrenomedullin:ADM)という2 つの強力な微小血管拡張作用を有するカルシトニンファミリーペプチドを動員することを明らかにし,その詳細な作用機序として標的細胞膜上にあるtransient receptor potentia(l TRP)チャネルを介していることも明らかにした.また,CGRP 減少が病因論的に関与しているCrohn 病への大建中湯の治療的効果を動物レベルで証明し,アメリカFDA によって臨床治験薬TU-100 として認知され,現在全米多施設プラセボ二重盲検試験が開始されていることを紹介する.
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フォーラム
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パリから見えるこの世界 3
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医学のあゆみ 241巻2号, 171-174 (2012);
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書評
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医学のあゆみ 241巻2号, 175-175 (2012);
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TOPICS
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遺伝・ゲノム学
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医学のあゆみ 241巻2号, 159-160 (2012);
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消化器内科学
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医学のあゆみ 241巻2号, 160-161 (2012);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 241巻2号, 161-162 (2012);
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