Volume 241,
Issue 4,
2012
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あゆみ オートファジーと疾患
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医学のあゆみ 241巻4号, 237-237 (2012);
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医学のあゆみ 241巻4号, 239-244 (2012);
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オートファジーとして一般的に知られる細胞内分解系は,近年その分解基質が選択的に認識され,細胞内の状況に応じて適切な分解を受けることがわかってきた.一方,パーキンソン病は神経変性疾患として長らく認識されてきたにもかかわらず,その発症機構や治癒法についていまだ解明すべき点が多く残る疾患のひとつである.パーキンソン病ではミトコンドリアの機能不全を認めることが多く,近年の研究からパーキンソン病因子(PARK 遺伝子)の多くがミトコンドリア機能維持に関与していることも明らかとなりつつある.そのなかでも若年性パーキンソン病因子のひとつであるParkin(PARK2)とPINK1(PARK6)は,それぞれユビキチンリガーゼ,ミトコンドリア型キナーゼとして報告されていたが,その機能とパーキンソン病発症の関係は未解明な部分が多く残されていた.本稿では,最近の著者らの研究により明らかとなった,損傷ミトコンドリアのPINK1/Parkin による選択的認識機構と,それに続くオートファジー(マイトファジー)がとりもつミトコンドリアの品質管理機構を紹介することで,選択的オートファジーの一例を説明したい.
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医学のあゆみ 241巻4号, 245-250 (2012);
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オートファジーは,莫大な量の細胞質成分を取り囲んだオートファゴソームがリソソームと融合することにより執行される大規模な分解経路である.1990 年代の出芽酵母におけるオートファジー必須遺伝子ATG(autophagy-related genes)の同定以降,さまざまなモデル生物において遺伝学的解析が行われ,現在オートファジーは飢餓応答だけでなく細胞内恒常性維持,自然免疫,獲得免疫,神経変性疾患や腫瘍の抑制にまで関与することが明らかになった.本稿では遺伝子改変マウスの解析から判明した,肝オートファジーの生理機能とその破綻による病態を中心に概説する.
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医学のあゆみ 241巻4号, 251-254 (2012);
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オートファジーは細菌,ウイルス,寄生虫などさまざまな病原体の侵入から細胞を防御する自然免疫機構としても機能しており,細胞内細菌をとらえて殺し,宿主内での細菌増殖を阻害する能力をもつ.本稿ではオートファジーが細胞を細菌感染から守っている例として,胃腸炎を引き起こすサルモネラを取り上げる.サルモネラは宿主細胞内でオートファジーによって捕捉され,菌の増殖が抑制される.しかし,サルモネラは感染時どのようにオートファジーに認識され,捕捉されるのであろうか? オートファジー関連遺伝子欠損細胞を用いた最近の著者らの研究から,サルモネラを捕捉するオートファゴソーム形成の分子機構が明らかになってきた.
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医学のあゆみ 241巻4号, 255-258 (2012);
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中枢神経の進行性神経細胞死を病因とするパーキンソン病,Alzheimer 病,Huntington 病,筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患において,各疾患の原因遺伝子の同定・機能の解析が1990 年代から進み,ユビキチンプロテアソーム系異常,小胞体ストレスの増加,転写異常,ミトコンドリア機能異常などさまざまな機能異常と疾患病態メカニズムとの関連が検討され,近年神経細胞での恒常的オートファジー(とくにマクロオートファジー)の重要性が証明されるにつれ,オートファジー機能異常が同疾患群の病態生理に深く関与することが明らかになりつつある.本稿では比較的知見のまとまりつつあるパーキンソン病,Alzheimer 病,Huntington病を中心に,各疾患原因遺伝子異常の分子病態メカニズムとオートファジーとの関連の最新の知見をreview する.
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医学のあゆみ 241巻4号, 259-263 (2012);
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膵β細胞はインスリン分泌に高度に特化した細胞であり,血糖のホメオスタシスを維持するべく,常時多量の蛋白質を合成しては分泌し,そして不要なものを分解している.膵β細胞でもっとも多く産生される蛋白質はインスリンであるが,インスリン蛋白質はその30%が折りたたみの悪い蛋白質として産生されるという.それゆえ膵β細胞は,普段から小胞体ストレス,酸化ストレスなどさまざまなストレスに曝されていることは想像に難くない.そこで著者らは,膵β細胞の予備能を規定する因子としてストレスを除去する能力,とくに蛋白質分解系に着目した.オートファジーは隔離膜によりオルガネラを含む細胞質成分を取り囲んで非特異的に除去するバルク蛋白質分解系である1,2).オートファジーが果たす膵β細胞の機能維持機構について,糖尿病発症とのかかわりについても触れながら概説する.
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医学のあゆみ 241巻4号, 265-270 (2012);
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不要になった細胞質の成分や細胞内小器官の処理,病原体の排除,自然免疫,獲得免疫,脂質代謝,炎症の制御,発癌抑制,抗老化,細胞死など,オートファジーは生体の恒常性維持のために実に多彩な役割を有している.これまで呼吸器疾患におけるオートファジーの役割はほとんど知られていなかったが,さまざまな呼吸器疾患における役割が徐々に解明されつつある.オートファジーに必須の蛋白質群であるautophagu-relatedproteins(Atg)の一つ,ATG7 がClara 細胞特異的に欠損したマウスにおいては,細胞の膨化,繊毛の消失,小胞体の消失,ミトコンドリアの形態異常が認められ,メサコリンに対する気道過敏性が亢進する.外界に直接接するために感染防御はもちろん,細胞増殖,細胞死,細胞老化,マクロファージの活性化など,肺癌,COPD,間質性肺炎の病態にオートファジーが関与する.さまざまな呼吸器疾患においてオートファジーの役割を解明することは,あらたな治療の開発につながることが期待される.
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医学のあゆみ 241巻4号, 271-274 (2012);
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炎症性腸疾患はCrohn 病,潰瘍性大腸炎に代表される.Crohn 病の疾患感受性遺伝子検索においてオートファジー関連遺伝子であるATG16L1 が抽出され,オートファジーがはじめて特定の疾患と関連することが示唆された.その他のオートファジー関連遺伝子もつぎつぎとCrohn 病・潰瘍性大腸炎の疾患感受性遺伝子であることが報告され,オートファジーと炎症性腸疾患の病態に密接な関連があると注目されている.その病態としておもに腸管上皮細胞でのオートファジー機能が解析され,パネート細胞における抗菌物質の細胞内貯留・分泌不全とNOD2 を介した外来抗原認識不全により腸管バリアー能が低下し,慢性持続性の炎症の原因となることがマウスモデルにより示唆されている.つまり,これまでの免疫担当細胞による免疫制御破綻を中心とした病態解明や免疫統御療法だけでなく,自然免疫における上皮細胞の役割が病態に大きく関与しあらたな治療ターゲットとなりうる可能性が期待される.
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医学のあゆみ 241巻4号, 275-279 (2012);
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腎は20 以上の構成細胞からなるが,このうち,糸球体上皮細胞(ポドサイト)は糸球体濾過におけるバリアーとして作用し,一方,近位尿細管細胞は糸球体で濾過された電解質や糖,アミノ酸などの小分子の再吸収を行っている.それぞれの細胞に特異的なAtg5 ノックアウトマウスが作製され,オートファジーの腎における役割についての研究が進められている.ポドサイト・尿細管特異的なオートファジー不全マウスでは加齢とともに,異常な蛋白や傷害を受けたミトコンドリアなどがそれぞれの細胞に蓄積し,細胞傷害や機能異常を呈するようになる.また,虚血再灌流傷害や薬剤性傷害ではオートファジー不全マウスは,より強い近位尿細管傷害が観察されることから,オートファジーは傷害を受けたミトコンドリアや異常蛋白を消去することにより細胞保護的に作用していると考えられる.
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フォーラム
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医学のあゆみ 241巻4号, 289-293 (2012);
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医学のあゆみ 241巻4号, 294-295 (2012);
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医学のあゆみ 241巻4号, 296-300 (2012);
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TOPICS
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 241巻4号, 281-282 (2012);
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耳鼻咽喉科学
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医学のあゆみ 241巻4号, 282-283 (2012);
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眼科学
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医学のあゆみ 241巻4号, 283-285 (2012);
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生理学
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医学のあゆみ 241巻4号, 285-287 (2012);
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