Volume 242,
Issue 11,
2012
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あゆみ サーカディアン・リズム―体温と睡眠
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医学のあゆみ 242巻11号, 843-844 (2012);
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医学のあゆみ 242巻11号, 845-850 (2012);
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脳や肝などの核心温にみられる24 時間リズムは生物時計の支配を受ける自律性のリズムである.運動や食事,睡眠などは体温を変化させるが,リズムの調節因子ではなく修飾因子である.ヒトの核心温は,臓器での熱産生と皮膚からの熱放散のバランスによってほぼ一定に保たれており,核心温の24 時間リズムは熱産生のリズムと熱放散のリズムの合成によってできている.その貢献度は,熱産生リズムが約25%,熱放散リズムが約75%と計算されている.中性温度域での体温調節は主として自律神経系による末梢血管の収縮拡張作用によるが,自律神経活動にも24 時間リズムがある.核心温の低下は眠りの質を高める作用があると考えられているが,生体リズムの内的脱同調下では睡眠と核心温リズムの位相が乖離する.この状態では核心温の低い時間帯に覚醒し,高い時間帯に就眠することがあり,その結果,睡眠の質が低下し,日中の覚醒レベルも下がる.
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医学のあゆみ 242巻11号, 851-855 (2012);
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哺乳類の生物時計(概日時計)は視交叉上核振動体(中枢時計)と全身の末梢組織に存在する概日振動体群(末梢時計)からなる階層的多振動体機構と考えられている.睡眠障害国際分類第2 版(2005)によれば,サーカディアン・リズム睡眠障害は以下の6 つの基本型に分類される.すなわち,①睡眠相後退型,②睡眠相前進型,③不規則睡眠-覚醒型,④自由継続型の4 つは生物時計そのものに障害があるもの(内因型)であり,また,⑤時差型および⑥交代勤務型の2 つは生物時計と社会・環境の時計(体外時計)との間のずれによるもの(外因型)である.本稿では,これら6 型のそれぞれの臨床的特徴と病態生理について概説する.
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医学のあゆみ 242巻11号, 856-860 (2012);
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「子どもの体温は大人に比べて高い」とされていたが,その定説を覆す報告が30 余年前からあいついで報告され,ヒトのバイタルサインの基本情報である体温のことだけに,その“真”と“偽”を含めて関係者に驚きと当惑を与えた.本稿では主として現代の子どもにおける体温の平均値と35℃台の子どもの数(頻度)の実態について明らかにするとともに,低体温化の成因についてまとめた.体温は年齢,測定の部位や時間,体温計の種類,測定手技などさまざまな要因に影響されるため,その標準値を求めたり測定値を比較することには困難を伴う.しかし,「現代の子どもの体温は起床時(朝)に腋窩で10 分間かけて求めた子ども(児童,生徒)の体温は36.2℃で,30 年以前の37.2℃に比べてほぼ1℃低下している」ことと,「35℃台の子どもの頻度(%)は16~20%」であることが比較的最近の諸家の報告から確認された.低体温化の成因については,①日常の不活動による筋肉などの活性組織の減少による熱産量の低下と,②睡眠や食生活の乱れによる体温リズムの変調などがあげられている.以上のことから本稿では,日頃から体温を測る習慣をもち,個々が“平常時の体温”を知っておくことの重要性を強調する.
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医学のあゆみ 242巻11号, 861-867 (2012);
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健康に毎日をすごし,仕事に取り組んでいくためには,快適な睡眠が重要である.しかし,現代は24 時間社会となり,夜と昼の区別が明確でなく,睡眠・覚醒のサーカディアン・リズムが不規則になりがちである.睡眠不足や睡眠障害は健康を損ない,生活習慣病を引き起こすなど心身への影響が大きい.最近では交代勤務者での癌の発生率にも関連することも明らかになっている.睡眠衛生とは,良質な睡眠のために生活習慣,睡眠環境を整えることを指す.睡眠は体内時計と恒常性維持の2 種類のシステムによって調節されているが,睡眠衛生指導は睡眠の調節機構などの基礎的なメカニズムの十分な理解のうえでなされる必要がある.
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医学のあゆみ 242巻11号, 868-872 (2012);
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睡眠と覚醒の規則的なサーカディアン・リズム,いわゆる“体内時計”が乱れると,睡眠障害を生じる.その原因は身体・精神疾患の場合もあるが,環境や生理的な変化,たとえば海外旅行や夜間勤務前後など,体内時計の直接の乱れも睡眠障害の大きな要因である.体内時計を調整するのは,おもに松果体で合成・分泌されるメラトニンである.メラトニンは周囲が暗くなると分泌されて睡眠を誘うため,睡眠ホルモンともいわれる.サプリメントとしてのメラトニンが時差ぼけに有効であると流布されたが,近年発売されたメラトニン受容体の選択的作動薬にはより高い効果があり,加齢に伴いメラトニン分泌量が減少する高齢者や生理的変化に伴う睡眠障害に対して安全な自然の眠りを提供することができるようになった.これまでは強力で速効性のあるベンゾジアゼピンが治療の基本であった睡眠障害に治療の選択肢が増えたことで,原因に応じた効果的な治療が期待される.
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連載
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漢方医学の進歩と最新エビデンス 16
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医学のあゆみ 242巻11号, 879-884 (2012);
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末梢神経障害に対する漢方治療において糖尿病性末梢神経障害,抗癌剤による末梢神経障害,胸郭出口症候群,帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛に関してのエビデンスがある.糖尿病性末梢神経障害には,とくに牛車腎気丸のエビデンスが豊富である.また牛車腎気丸は,抗癌剤のひとつであるオキサリプラチンの神経障害予防に効果がある.胸郭出口症候群は水滞を呈している症例が多く,疼痛改善に五苓散が有効である.帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛には柴苓湯,黄蓮解毒湯,当帰四逆加呉茱萸生姜湯,補中益気湯,越婢加朮湯など多くの薬剤にデビデンスがある.またラットによる研究では,抑肝散にも神経機能改善作用を認めている.いくつかの末梢神経障害に対し漢方治療のエビデンスが存在するが,今後は他の末梢神経障害に対する漢方治療のエビデンスの集積が必要であると考えられる.
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速報
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医学のあゆみ 242巻11号, 885-886 (2012);
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シリーズ対談 vol.2
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医学のあゆみ 242巻11号, 887-897 (2012);
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フォーラム
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近代医学を築いた人々 9
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医学のあゆみ 242巻11号, 898-898 (2012);
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医学のあゆみ 242巻11号, 899-902 (2012);
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TOPICS
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糖尿病・内分泌代謝学
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医学のあゆみ 242巻11号, 873-874 (2012);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 242巻11号, 874-875 (2012);
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神経精神医学
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医学のあゆみ 242巻11号, 875-876 (2012);
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