Volume 242,
Issue 12,
2012
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あゆみ 褐色脂肪細胞と白色脂肪細胞
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医学のあゆみ 242巻12号, 907-907 (2012);
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【基礎編】
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医学のあゆみ 242巻12号, 909-912 (2012);
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肥満は摂取と消費エネルギーバランスの破綻に起因する.白色脂肪細胞が余剰エネルギーの貯蔵庫として機能するのに対し,褐色脂肪細胞はエネルギーを消費して熱を産生する機能をもつ.したがって,褐色脂肪細胞における熱産生機能の活性化や,白色脂肪細胞の“褐色化”を誘導することにより消費エネルギーを亢進するというあらたな抗肥満治療戦略の可能性が示唆されている.本稿では,近年明らかになった褐色脂肪細胞の分化・発生と,それにかかわる調節機構を紹介する.
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医学のあゆみ 242巻12号, 913-917 (2012);
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褐色脂肪組織における熱産生(褐色脂肪熱産生)は体温の調節,感染による発熱,エネルギー消費(肥満予防),心理ストレスによる体温上昇などに機能する.こうした熱産生反応は,脳の視索前野にある体温調節中枢からの指令によって交感神経活動が亢進し惹起されるものである.体温調節中枢からは遠心性の神経経路があり,視床下部や延髄の交感神経調節ニューロンを常時抑制するが,熱産生が必要な状況ではこの抑制を弱めることで交感神経出力を亢進させ,褐色脂肪熱産生を惹起する.最近では心理ストレスが褐色脂肪熱産生の中枢神経システムを活性化することで,体温の上昇を引き起こすことが見出された.今後,情動などの精神状態が褐色脂肪の熱産生機能に影響を与える仕組みについて,興味深い発見があるものと期待される.
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医学のあゆみ 242巻12号, 918-923 (2012);
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肥満症,メタボリックシンドローム,糖尿病の急増は社会的な問題である.白色脂肪細胞は余剰なエネルギーの貯蔵臓器として,アディポカインを分泌する内分泌細胞として全身のエネルギー代謝において重要な役割を果たしている.近年のゲノムサイエンス分野の革新的な技術である次世代シークエンサーにより転写因子やエピゲノムの網羅的な解析が可能となり,既存の方法ではわからなかった新しい視点から脂肪細胞の転写調節機構が明らかにされつつある.本稿では,著者らが最近行った脂肪細胞特異的なオープンクロマチン領域解析(FAIRE-seq)を含めて最新の脂肪細胞のエピジェネティックス研究をレビューする.
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【応用編】
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医学のあゆみ 242巻12号, 924-929 (2012);
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褐色脂肪組織がエネルギー代謝や体脂肪量の調節に寄与することは,マウスなどで確立しているにもかかわらず,ヒト,とくに成人ではその意義が疑問視されてきた.しかし最近,FDG-PET/CT を利用して,成人の褐色脂肪組織を同定し活性を評価する方法が確立された.本稿ではヒト褐色脂肪組織のエネルギー消費活性とそれに影響する要因について,寒冷刺激や食事摂取の効果と年齢や肥満度による変動に焦点を当てて紹介し,褐色脂肪組織の活性化による肥満予防の可能性を考察する.
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医学のあゆみ 242巻12号, 930-936 (2012);
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褐色脂肪組織(brown adipose tissue:BAT)は寒冷刺激時や食後の熱産生に寄与する.また,近年ではメタボリックシンドロームの抑圧効果を示唆する臨床データが蓄積し,代謝異常性疾患の治療標的としても注目されている.このように肥満・メタボリックシンドロームの病態解明と治療開発のための重要な組織でありながら,成熟機能を保持したまま十分量の検体を入手することが困難であるために,ヒトBAT に関する研究開発は遅れている.この問題に対処すべく,著者らはヒト胚性幹(ES)細胞およびヒト人工多能性幹(iPS)細胞から高純度に機能的褐色脂肪細胞(BA)を作製するための技術開発を行った.ヒトES/iPS 細胞から作製されたBA は,βアドレナリン受容体刺激に応じて酸素消費と熱産生を増大するのみならず,マウスへの移植実験で耐脂能と耐糖能を顕著に向上した.さらに,肥満に起因する耐糖能障害に対してヒトES/iPS 由来BA が治療効果を発揮することを示すデータも得られており,メタボリックシンドロームの治療開発に向けたあらたな展開がみえはじめている.著者らの開発した技術は,今後のヒトBA の基礎および臨床研究の発展に貢献すると期待される.
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医学のあゆみ 242巻12号, 937-941 (2012);
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中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)は,わが国の心臓移植症例より見出された新規疾患概念であり,心筋細胞,冠状動脈硬化巣に中性脂肪が蓄積する結果,重症心不全,不整脈をきたす難病である.原発性TGCV の原因はadipose triglyceride lipase(ATGL)の遺伝的欠損であり,そのホモ接合体は心症状の発症から数年~10数年で死に至る例が報告されている.細胞内への中性脂肪(トリグリセリド:TG)の蓄積の進行に伴い,若年から重度な心病変を呈するほか,四肢のミオパチーが現れると患者のQOL に大きく影響するため,本症の診断は重要である.これまでのところATGL 欠損症ホモ接合体はわが国で8 例,海外で16 例が見出されているが,今後疾患概念,診断方法や検査方法が確立されるに伴い,心不全や心筋症と診断されている患者のなかから,さらに多くのTGCV 患者がみつかるものと予想される.本稿では本症の病態,臨床像,診断上のポイントについて述べる.
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医学のあゆみ 242巻12号, 942-946 (2012);
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ヒトは食品を摂取する際,その食品自体の温度に由来する熱量以上に,体温の上昇を体験している.このような食後に体温が上昇してエネルギーが消費される現象は食事誘導(性)体熱産生(DIT)といわれている.DITには,①味覚,嗅覚などの感覚神経を介する経路と,②食品の消化吸収による経路がある.最近のPET などの測定技術の進展により精密なエネルギー代謝像の解析が可能となった結果,前者には食事摂取に伴う多様な因子が褐色脂肪の機能発現と関係することが明らかとなってきた.エネルギー性食品成分のみならず,匂いや味などの非エネルギー性食品成分が感覚(神経)刺激を介して,褐色脂肪での脂肪燃焼を伴うDIT の発現亢進に深く関係しているのである.このエネルギー消費は全体の10%程度にすぎないが,この機能が不完全になりエネルギー消費が低下すると肥満に至る.本稿では,食品摂取に伴う種々の要因と褐色脂肪における脂肪燃焼,体熱産生の関係を解説したい.
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連載
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漢方医学の進歩と最新エビデンス 17
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医学のあゆみ 242巻12号, 951-957 (2012);
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関節リウマチの治療は,メトトレキサートや生物学的製剤の登場により革新的に変貌した.古くから漢方薬は関節リウマチ患者の苦痛を抑えるために使用されてきた歴史はあるが,現在においてはより確かな効果を示すエビデンスが求められる.関節リウマチに用いられる漢方薬は多岐にわたるが,いくつかの漢方薬に関しては,基礎実験,臨床試験により作用機序が明らかにされている.近年は漢方治療が有効な患者をあらかじめ予測し,より効率の高い治療を行うための研究も行われている.たとえば,桂枝二越婢一湯加苓朮附は抗CCP抗体価が低値を示す患者で有効性が高く,桂枝茯苓丸は血漿プロテオーム解析の結果,ハプトグロビンαの遺伝子型がレスポンダーの予測因子となりうることが示されている.また,桂枝茯苓丸は酸化ストレスを軽減する作用により,リウマチ患者の動脈硬化進展の前段階である血管内皮障害を改善する可能性があることも示されている.
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注目の領域
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医学のあゆみ 242巻12号, 959-962 (2012);
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近年,患者自身のQOL(quality of life)向上へ貢献するなどの医学的なメリットに加えて,社会・経済に対する大きな貢献も見込まれるため,患者の身体的負担を最小限に抑制する手術(低侵襲手術)に対する取組みが盛んに行われている.手術の低侵襲化をめざして,手術支援ロボットなどのさまざまなコンピュータ技術を用いた手術支援機器が開発されており,未来医療の主役を担うと期待されている1,2).著者らは,数ある治療法のなかでも今後の低侵襲治療としてもっとも期待されている手技のひとつであり,さまざまな治療に応用される穿刺治療に着目した.穿刺治療の手術支援ロボットで現在もっとも研究として注目されていることとして,特性が未知で柔らかい対象に対するロボットの動作計画手法に関する基盤技術である.本稿では術前の穿刺経路計画方法,術中のロボットの動作手法や穿刺後の癌治療方法など手術支援ロボットの最先端技術について述べる.
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フォーラム
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医学のあゆみ 242巻12号, 963-965 (2012);
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医学のあゆみ 242巻12号, 966-968 (2012);
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医学のあゆみ 242巻12号, 969-970 (2012);
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医学のあゆみ 242巻12号, 971-974 (2012);
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TOPICS
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循環器内科学
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医学のあゆみ 242巻12号, 947-948 (2012);
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脳神経外科学
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医学のあゆみ 242巻12号, 948-949 (2012);
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産科学・婦人科学
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医学のあゆみ 242巻12号, 949-950 (2012);
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