Volume 243,
Issue 8,
2012
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あゆみ 口腔ケアと疾病予防
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医学のあゆみ 243巻8号, 649-649 (2012);
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医学のあゆみ 243巻8号, 651-655 (2012);
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ややもすると口腔ケアの論点は口腔内の保清の方法とその効果になりがちであるが,周術期の口腔内管理では口腔衛生管理はもちろんのこと,適切な歯科治療やさらには摂食・嚥下機能評価および訓練といった,多角的かつ包括的な観点も必要であり,歯科医師および歯科衛生士の専門性はよりよい周術期管理に役立つと考えられる.周術期の感染予防の観点からみた場合,歯性感染巣の除去や口腔衛生状態を良好に保つことは,口腔近傍の手術における手術部位感染対策や術後肺炎対策へ直接的に寄与する.さらに,咀嚼機能の改善による経口栄養摂取の促進は,栄養状態の改善により間接的に感染予防へつながりうるものと考えられる.摂食・嚥下機能評価および訓練は,①誤嚥性肺炎対策という直接的な感染予防と,②経口栄養摂取の促進による栄養状態の改善,という間接的な感染予防の両者の意義をもつととらえられる.平成24 年度(2012)の診療報酬改定で,周術期における口腔機能の管理などに診療報酬が新設された.口腔内の適切な管理による,よりよい周術期医療の創造への動きが今後加速すると考えられる.周術期における口腔ケアは,口腔衛生管理はもちろんのこと,周術期管理にあたり口腔を全身の一臓器としてとらえ,多角的な観点から最善な状態に整えることへ,その意味合いを変えていきそうである.
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医学のあゆみ 243巻8号, 657-662 (2012);
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がんにおける口腔管理の目的は,化学療法・放射線治療による口腔領域の合併症の予防と合併症に対するケア・治療である.合併症にはいくつもの種類があるが,何でも安易に口内炎と診断され,またステロイド外用薬の誤用がカンジダ性口内炎を引き起こしている場合もあり,難治化の原因のひとつになっていると考えられる.逆に,種々の口内炎を適切に評価・診断できれば対応も的確になり,がんに対する治療効果の向上,治療による有害事象による症状の緩和も期待できる.口内炎のなかでもっとも一般的で,抗がん剤や放射線の直接作用によって生じる口腔粘膜炎の発症自体を予防するのは難しいが,いずれの口内炎においても二次感染を予防するために口腔清掃は必須である.患者のセルフケアレベルが予後に大きく影響するため,適切な口腔ケア用品の選択,ケアの必要性についての動機づけも含めた歯科での指導が重要である.また,歯性感染症の急性化の予防,発症リスクの評価には歯科での精査が必要である.これらの歯科的介入は合併症が生じてからでは手遅れの場合が多く,がんの診断・治療の合間を縫って,できるだけ早期から開始すべきである.
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医学のあゆみ 243巻8号, 664-668 (2012);
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癌の治療期における口腔ケアは重要で,その効果や重要性については広く知られつつある.一方,緩和ケアを必要とする終末期癌患者においても多くの口腔合併症が出現し,口腔ケアや歯科的対応が必要であるが,十分な対応がとられているとはいいがたい.終末期癌患者の口腔合併症には一般的に看護師対応がほとんどである.しかし,歯科的知識が求められる合併症も多く,歯科医師や歯科衛生士を含めたチーム医療が重要と考えられる.口腔合併症のおもなものとしては口腔乾燥,口渇,口腔カンジダ症,口内炎,義歯不適合,動揺歯,摂食・嚥下障害などであり,それぞれについて対症療法的な対応が求められる.その際に歯科の果たすべき役割は大きい.しかし,一般的には医科・歯科双方の問題により,現状では口腔領域に関しては十分なサービスを患者に提供できておらず,問題の解決はけっして容易ではない.しかし,口腔合併症の頻度は間違いなく多く,緩和ケア領域においては医科側の口腔への理解,歯科側の積極的参加が望まれる.
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医学のあゆみ 243巻8号, 669-673 (2012);
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高齢化の進展に伴い,肺炎で命を落とす人が増加している.一方,歯科保健の推進により高齢者になっても多数の歯を維持する人が増加している.歯の存在は口腔内の微生物を増加させることにつながり,歯を多くもつ人の口腔内の管理は重要となる.さらに,誤嚥をしない環境をつくるためには摂食への配慮も重要である.
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医学のあゆみ 243巻8号, 674-679 (2012);
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糖尿病と歯周病との共通点は,①生活習慣病,②日本人での高い罹患率,③治療には本人の努力による行動変容が必要,④重篤な病気の発症と関連する,という点である.そして,この2 つの疾患は,これまで以上に密接な関係にあることもわかってきている.すなわち,糖尿病患者では歯周病が発症・増悪しやすく,歯周病患者の糖尿病は改善しにくい,というものである.これらのつながりを紐解く鍵は,歯周病という感染症に伴う慢性炎症の存在である.近年,歯周病の治療を行うことで糖尿病患者の血糖値のコントロールが改善するという研究報告が多く出てきている.本稿では歯周病という感染症と糖尿病との意外な関係を解説するとともに,医科歯科連携の現状についても紹介する.
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医学のあゆみ 243巻8号, 680-683 (2012);
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日本人の死因の第1 位は悪性新生物で,2 位が心臓血管疾患である.心臓血管疾患の治療や療養に要する費用は高額であり,医療社会資源の大きな支出となるため,心臓血管疾患の予防・治療は日本の医療の大きな課題のひとつとなっている.口腔細菌の温床となるプラークは,齲蝕や歯周病の直接的なリスクファクターであると同時に,誤嚥性肺炎や感染性心内膜炎など全身感染症の原因菌のリザーバーとしての役割を果たす可能性が高い.近年,歯周病が動脈硬化など全身疾患と大きくかかわっていることが示唆され,歯周病はメタボリックシンドロームの主要因子のひとつとしても注目されている.最近の研究の結果,口腔ケアは心臓血管疾患の発症と進展を抑制するうえで大きな利益をもたらす可能性が示唆されている.口腔ケアは単に口腔を清潔にするという意味だけでなく,口腔感染症および全身感染症の予防に有効であり,咬合・咀嚼・嚥下機能や発音機能の維持・改善なども含めた幅広い効果があり,高齢者・要介護者のQOL 向上への視点から口腔ケア普及はきわめて重要な課題である.本稿では歯周病やプラークの定義を説明するとともに,心臓血管疾患との関連から口腔ケアの重要性を検討した.
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医学のあゆみ 243巻8号, 684-688 (2012);
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齲蝕,歯周病は二大歯科疾患である.齲蝕や歯周病は歯の喪失の大きな原因であり,齲蝕や歯周病を予防することは咀嚼機能を保持するうえで重要である.齲蝕と歯周病は口腔細菌による感染症であり,予防には口腔清掃(プラークコントロール)が重要である.歯の喪失により義歯やブリッジなどの補綴装置を装着することになるが,補綴装置装着者の口腔の健康を維持するためには歯や粘膜,補綴装置に対する口腔清掃が重要である.唾液は口腔粘膜や歯を保護するとともに食塊形成や嚥下を容易にする.したがって,口腔乾燥に対応することも重要である.咀嚼機能を維持するための要件として,①歯の存在,②咀嚼に必要な筋力,③咀嚼の巧緻性,④唾液分泌などがあげられている.要介護高齢者でみられる問題は,歯の欠損が関与した咀嚼機能の低下というよりも筋力の低下などの口腔諸器官の運動障害を起因とした障害であり,要介護高齢者の栄養の改善には,摂食・嚥下機能の維持・向上をめざした機能的なケア,食事の介助方法や食事の環境整備を主体とした栄養改善の取組みが有効である.
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連載
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疾病予防・健康増進のための 分子スポーツ医学
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医学のあゆみ 243巻8号, 693-693 (2012);
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医学のあゆみ 243巻8号, 694-700 (2012);
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生活習慣病を主体とする大腸がんなどは原因が複雑であり,有効な予防方策が見出されておらず,その確立は重要な課題である.一方,身体活動は一般にがんのリスクを低下させることが広く知られているものの,そのがん予防メカニズムに関する機構解明はまだ十分ではない.近年,メトホルミン,アスピリンやPPAR リガンドなどの糖・脂質代謝異常の治療薬に大腸がん予防効果があることが報告された.また,その標的分子が運動によって活性化される分子と同じであることがわかってきた.分子スポーツ医学からのこれら知見を活用することで,身体活動や運動にかかわる分子を明らかにすることが可能であろう.さらに,それら分子を活用していくことで,より有効ながん化学予防剤が開発され,有効な予防方策が確立されることが十分期待される.
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フォーラム
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ノーベル経済学賞2012 によせて
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医学のあゆみ 243巻8号, 701-703 (2012);
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医学のあゆみ 243巻8号, 704-706 (2012);
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ヘルスプロモーションの国際的動向 2
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医学のあゆみ 243巻8号, 707-708 (2012);
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医学のあゆみ 243巻8号, 709-713 (2012);
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 243巻8号, 689-690 (2012);
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消化器内科学
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医学のあゆみ 243巻8号, 690-691 (2012);
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脳神経外科学
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医学のあゆみ 243巻8号, 691-692 (2012);
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