Volume 243,
Issue 10,
2012
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あゆみ 皮膚からみえる膠原病
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医学のあゆみ 243巻10号, 871-871 (2012);
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医学のあゆみ 243巻10号, 873-877 (2012);
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全身性強皮症(以下,強皮症)の皮膚病変は,線維化による硬化と末梢循環障害に伴う四肢末端の皮膚症状が特徴的である.皮膚硬化は手指から出現し,進行する症例では四肢の近位や体幹にも拡大する.皮膚硬化の顕著な症例では硬化部位に一致した色素沈着や脱失,仮面様顔貌,手指関節の屈曲拘縮が高率にみられる.皮膚硬化の重症度評価にはmodified Rodnan total skin thickness score が用いられている.末梢循環障害に伴う皮膚症状のうち,Raynaud 現象は強皮症のほとんどの症例に初発症状として出現する.また,爪郭部出血点も早期からみられる所見であり,早期診断に有用である.末梢循環障害が進行すると,指尖部の虫食い状瘢痕や手指の潰瘍・壊疽を生じる.強皮症では爪郭部の毛細血管に特徴的な形態学的異常がみられ,キャピラロスコピー(毛細血管顕微鏡)やダーマスコピーを用いて観察することは,診断に役立つだけでなく,血管障害の重症度や活動性の評価に有用である.
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医学のあゆみ 243巻10号, 879-882 (2012);
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全身性強皮症(SSc)は血管障害と皮膚および内臓諸臓器の線維化を特徴とする全身性の自己免疫疾患である.その病態はいまだ不明であるが,最近Fos-related antigen-2(Fra-2)とFriend leukemia virus integratin-1(Fli1)という2 つの転写因子について,それぞれの遺伝子改変マウスが,本症の血管障害や線維化の病態を反映したモデル動物となりうる可能性が報告された.Fra-2 トランスジェニック(tg)マウスは,皮膚および肺において“血管障害が先行して線維化が続発する”という強皮症の自然経過を再現した疾患モデル動物である.一方,Fli1ΔCTA/ΔCTマウスでは強皮症に類似した細胞外基質の蓄積と高次構造の異常がみられ,血管内皮細胞特異的Fli1 欠失マウスでは強皮症に特徴的な皮膚の小血管における構造と機能の異常が認められる.細胞種依存性に多様な作用を示す転写因子を標的とした治療は強皮症の疾患修飾薬となる可能性を秘めており,今後さらなる研究の発展が期待される.
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医学のあゆみ 243巻10号, 883-888 (2012);
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皮膚筋炎は皮膚症状を必発とする膠原病のひとつであり,その診断には皮疹の正確な評価が必須の要件となる.診断基準に採用されている特異的な皮疹のほかにも,皮膚筋炎に比較的特徴とされる皮疹の種類は多岐にわたる.たとえばヘリオトロープ疹のみを有する症例,Gottron 徴候のみを有する症例というのは実際にはきわめてまれで,丹念に皮膚症状を追っていけば,本稿にあげた数々の皮疹のいずれかの重複を確認できるはずである.逆にヘリオトロープ疹のみ,Gottron 徴候のみといった症例に遭遇した場合は,他の鑑別疾患の可能性を考えることも重要である.きわめて多彩ともいえる皮膚筋炎の各皮疹を,とくに疾患急性期と慢性期に分けて理解しておくことは,皮膚筋炎の診断のための何よりも近道といえる.
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医学のあゆみ 243巻10号, 889-894 (2012);
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近年,皮膚筋炎ではあらたな疾患特異的自己抗体が同定されてきた.これらの自己抗体,とくに抗MDA5抗体,抗TIF1 抗体は間質性肺炎や悪性腫瘍などの臨床症状と強く相関するため,診断のみならず,経過の予測や治療方針の決定に有用である.抗MDA5 抗体はわが国の皮膚筋炎患者の10~20%に陽性となり,とくに急速進行性間質性肺炎を伴い筋症状の軽微な例には高率に陽性となる.抗TIF1 抗体は小児皮膚筋炎の20~30%,成人皮膚筋炎の15~20%に陽性になり,成人例では悪性腫瘍合併例のマーカーとなる.このほかに,抗NXP-2 抗体や抗SAE 抗体も報告されている.抗NXP-2 抗体も小児皮膚筋炎で20~30%に検出され,石灰沈着との相関が報告されている.成人例ではわが国では2~5%に陽性となり,悪性腫瘍と相関する可能性がある.抗SAE 抗体は成人皮膚筋炎の2~8%に陽性となり,わが国の例では間質性肺炎が高頻度であった.
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医学のあゆみ 243巻10号, 895-898 (2012);
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全身性エリテマトーデス(SLE)の皮疹を,特異的皮疹と非特異的皮疹に分けて考えた.特異的皮疹は確定診断に重要である.慢性型(DLE 型皮疹),亜急性型(SCLE 型環状紅斑など),急性型(蝶形紅斑など),に分類できるが,これらはつながりのある一つのスペクトラムとして考えることができる.これら特異的皮疹と全身症状との関連について言及した.全身症状を規定する皮疹型は急性型皮疹である.非特異的皮疹は,SLE の早期診断,他のLE との鑑別において重要である.多くは循環障害を基盤とする皮疹であり,その相互関係,意義を中心に述べた.
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医学のあゆみ 243巻10号, 899-903 (2012);
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シェーグレン症候群(SjS)は涙腺や唾液腺をはじめとする外分泌腺をおもな標的とした比較的臓器特異性の高い自己免疫性疾患ととらえられているが,全身に症状を有することも多く,いまだその病態が不明な点も多い.それはSjS が可視化されにくい免疫異常という病態を有するためである.ブラックボックスにもたとえられる免疫異常を起因とする病態を早期に診断し,治療を行い,その効果を判定することは困難なことも多い.膠原病を診療する臨床医はブラックボックスのなかを覗くためのツールをひとつでも増やしたいはずである.血液検査データや画像データの解析と同様に,医師の目の前にある皮疹も有効なツールとならないであろうか.本稿ではSjS の概論から,特異性と疾患活動性を軸に据えた皮疹の考え方まで,膠原病の診療最前線においてSjS の診断,病勢判断のツールとなるであろう皮疹を中心に解説する.
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医学のあゆみ 243巻10号, 905-908 (2012);
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関節リウマチ(RA)の皮疹は多彩であるが,そのなかには皮膚科医だけでなく,RA 診療に携わる他科の医師にも重要な意味をもつものがある.ここでは主にRA の特異疹,リウマチ性血管炎,生物学的製剤による皮膚症状について概説する.また,成人Still 病に伴う皮疹として従来よく知られてきた定型疹以外にも非定型的な皮疹がみられることが明らかになってきた.そのなかでも,persistent pruritic papules and plaques と呼ばれる持続性の茶褐色斑が最近注目されており,診断にも重要である.
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医学のあゆみ 243巻10号, 909-912 (2012);
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B 細胞は単なる抗体産生細胞としてだけでなく,各種サイトカイン産生やT 細胞の活性化などを通じて免疫反応において重要な働きを担っている.さらに近年になり,レギュラトリーB 細胞と呼ばれるB 細胞サブセットが,過剰な免疫反応の制御に重要な役割を果たしていることが明らかにされてきた.今後,膠原病を中心としたさまざまな疾患に対してB 細胞をターゲットとした治療が行われていくことが予想される.しかし,B 細胞の膠原病における役割は多彩であり,いまだに不明な点も多い.たとえば,すべてのB 細胞を除去した場合,レギュラトリーB 細胞も失うことになるため,一部の疾患では病勢の悪化を招いたり別の疾患を発症するおそれもあるため注意を要する.本稿ではB 細胞の膠原病における役割と,B 細胞を標的とした治療の最新の知見を概説する.
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連載
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疾病予防・健康増進のための 分子スポーツ医学 2
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医学のあゆみ 243巻10号, 918-922 (2012);
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運動が糖尿病を予防・改善することは,最近になって広く認識されるようになってきた.その効果が発生する場が骨格筋であり,筋収縮がそれをつくりだしているといえる.骨格筋は血液中の糖(グルコース),すなわち血糖を細胞内に取り込んで消費してくれる生体内最大の器官でもある.一般にはインスリンが糖取込みを促進する唯一の因子として認識されるが,じつは筋収縮もインスリンに比肩する糖取込み促進刺激である.運動による糖代謝機能の改善は,筋収縮によって糖が骨格筋細胞内に取り込まれ使用されること,および筋収縮によってインスリン感受性が亢進すること,によってもたらされる.これらの作用を生む細胞内分子がAMPactivatedprotein kinase(AMPK),Sucrose nonfermenting AMPK-related kinase(SNARK),Liver kinase B1(LKB1)であることが明らかになってきた.
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フォーラム
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医学のあゆみ 243巻10号, 923-925 (2012);
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医学のあゆみ 243巻10号, 927-928 (2012);
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パリから見えるこの世界 11
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医学のあゆみ 243巻10号, 929-933 (2012);
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よくわかるゲノムワイド関連解析 3 (最終回)
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医学のあゆみ 243巻10号, 934-936 (2012);
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TOPICS
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循環器内科学
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医学のあゆみ 243巻10号, 913-914 (2012);
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消化器内科学
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医学のあゆみ 243巻10号, 914-916 (2012);
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脳神経外科学
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医学のあゆみ 243巻10号, 916-917 (2012);
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