Volume 244,
Issue 8,
2013
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あゆみ AGE/RAGEと心血管疾患
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医学のあゆみ 244巻8号, 645-645 (2013);
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医学のあゆみ 244巻8号, 648-652 (2013);
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慢性的な高血糖状態では,循環血液中や組織で終末糖化産物(AGE)が促進的に形成・蓄積される.AGE は細胞表面受容体であるRAGE(receptor for AGE)によって認識され,酸化ストレスや炎症反応を惹起させて糖尿病性血管障害の発症・進展にかかわることが報告されている.最近著者らは,アディポサイトカインのひとつである色素上皮由来因子(PEDF)がNADPH オキシダーゼによる酸化ストレス産生を抑えることで,in vitroの系でAGE-RAGE 系を遮断することを明らかにした.さらに,PEDF を投与したり過剰発現させることで,糖尿病網膜症,腎症の初期病変が抑えられ,バルーン障害後の血管再狭窄や血小板の凝集亢進,線溶低下や心筋梗塞後の心筋リモデリングを抑制できることも見出されている.PEDF は糖尿病性血管障害に対する新しい治療戦略となりうるかもしれない.
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医学のあゆみ 244巻8号, 653-658 (2013);
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腎不全患者の死亡原因として心血管疾患(CVD)は主要なものであり,透析患者においては約50%を占める.透析患者の心血管死亡率は年間9%にも達し,これは一般集団の30 倍にも達する.これらの患者に対してLDL コレステロールやC-reactive protein などに対する強力な治療介入はかならずしも心血管系のイベント抑制効果を示しえず,慢性腎臓病の進行過程に蓄積されたリスク要因(酸化ストレスなど)の影響を凌駕しえないとも考えられる.このような慢性的な酸化ストレスの影響により,末期腎不全においてはadvancedglycation end-products(AGEs)の蓄積が引き起こされる.著者らは386 名の血液透析患者(男性243 名,女性142 名)を対象に血中pentosidine 値を測定し,最大51 カ月の追跡期間に113 名の心血管イベントを観察した.血中pentosidine 値に応じて高値群(n=128),中間群(n=129),低値群(n=129)に分け,Kaplan-Meier 解析を行ったところ,高値群で心血管イベントの有意な増加を認めた.また,AGE 受容体RAGE(receptorfor AGEs)は動脈硬化進展に直接関与し,その分泌型(endogenousely secretory RAGE:esRAGE)の血中レベルは心血管イベントの発症予知因子となる可能性がある.
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医学のあゆみ 244巻8号, 659-665 (2013);
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尿毒症(腎不全)では,advanced glycation end products(AGE)の遊離型の腎クリアランスが腎機能障害により低下し,AGE の血漿濃度が増加し,組織への沈着も増加する.皮膚の自己螢光測定は組織AGE 沈着を反映する.尿毒症におけるAGE 蓄積は心血管疾患,透析アミロイドーシス,腹膜硬化などの合併症の発症・進展に関与している.とくに腹膜透析においては,AGE の腹膜への蓄積が腹膜硬化に関与していることが明らかになり,AGE の前駆物質であるグルコース分解産物(GDP)の濃度が低い腹膜透析液が開発され,腹膜機能の維持効果が期待されている.
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医学のあゆみ 244巻8号, 667-670 (2013);
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糖尿病で動脈硬化症の発症リスクが高いことはよく知られている.日本人心疾患ハイリスク群を対象としたJ-ACCESS 試験では,糖尿病で心疾患の既往のない症例の心血管疾患の初発率は,非糖尿病者の再発率とほぼ同等であることが報告されている1).この糖尿病患者における動脈硬化症の増加の一因として,リポ蛋白の酸化・糖化の亢進とともに,糖尿病状態におけるAGE(advanced glycation endproducts)産物の増加と,糖尿病合併症ことに動脈硬化や糖尿病腎症,網膜症進展との関連性が示されている.本稿ではAGE とその生体内受容体であるRAGE(receptor for AGE)の動脈硬化および糖尿病腎症との関連性について概説したい.
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医学のあゆみ 244巻8号, 671-673 (2013);
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正常な神経機能の維持には血液脳関門の維持が必要不可欠である.これらの機能の中心を担っている細胞は脳血管内皮細胞であるが,血管内皮細胞は加齢に伴いその機能が低下するとともに,高血圧や糖尿病などの循環器疾患危険因子によっても持続的な障害を受けている.本稿では糖尿病によるAGE/RAGE 経路の活性化による血液脳関門の障害と,Alzheimer 型認知症や脳血管性認知症などの認知症との関連を中心に概説する.
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医学のあゆみ 244巻8号, 675-679 (2013);
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血管石灰化は加齢,糖尿病,慢性腎不全などにおいて,虚血性心疾患,脳血管障害,末梢循環障害を誘発し生命予後を著しく悪化させる.血管石灰化は糖尿病や血液透析歴の長い症例に多くみられ,糖尿病症例の増加に伴い今後は新しい合併症として増加していくことが予測され,その管理は非常に重要である.しかし現在,血管石灰化に対する治療法は十分に確立されていない.著者らは糖尿病患者における血管石灰化発症機序として,長期間の高血糖状態に曝された場合に産生され,合併症の大きな原因である糖化蛋白終末物(AGE)が関与することを報告している.本稿では,当科におけるAGE/RAGE 系を介する血管石灰化の発症機序,およびビスホスホネート(BPs)の血管石灰化に対する有効性に関する基礎・臨床成績を概説する.
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医学のあゆみ 244巻8号, 681-684 (2013);
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RAGE(receptor for AGE)は当初AGE の受容体として同定されたが,その後さまざまなリガンドと結合することがわかってきた.最近,グラム陰性菌外膜の構成物質であるLPS もRAGE に結合することが明らかになった.リガンドの種類により自然免疫,炎症,癌,老化などさまざまな病態におけるRAGE の役割が明らかになっている.本稿ではそのなかでも,RAGE と敗血症性ショックについて概説する.
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医学のあゆみ 244巻8号, 685-690 (2013);
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近年,蛋白質の終末糖化産物(advanced glycation end-products:AGEs),なかでも糖代謝中間体のグリセルアルデヒドに由来するAGEs〔Glycer-AGEs,toxic AGEs(TAGE)と命名〕がその受容体であるRAGE(receptor for AGEs)を介し,糖尿病血管合併症の発症・進展に強くかかわっていることが明らかになってきた.最近では高血圧症,認知症,癌,非アルコール性脂肪肝炎などの多様な疾患にも関与することが示されており,TAGE-RAGE 系の影響を抑えることが生活習慣病の予防,および治療戦略上必要なことがわかってきた.また血中TAGE レベルの変動は,現代の生活習慣が引き金となって生じるインスリン抵抗性や食後高血糖,脂質代謝異常などと関連していることが明らかになってきており,血管障害を評価する有用なバイオマーカーとしての可能性も秘めているものと思われる.
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シリーズ対談 vol.4
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医学のあゆみ 244巻8号, 705-714 (2013);
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連載
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疾病予防・健康増進のための 分子スポーツ医学 9
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医学のあゆみ 244巻8号, 696-703 (2013);
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超高齢社会に突入しつつある現在の日本にとって,高齢者の日常生活の質を低下させるサルコペニア(加齢性筋肉減少症)への対策が社会的要請の強い重要な課題になってきている.したがって科学的根拠に基づいた早期予防,リハビリの有効性および効果判定,新しい運動処方の開発基盤のためにサルコペニアのメカニズム解明が必須である.サルコペニアの発症機序は複雑で,さまざまな要因が関連していると考えられているが,近年は筋と運動神経の関係が注目を集めるようになってきた.著者らは原因不明の重症筋無力症の発症機序を解析する過程で,筋と運動神経は双方向的にたがいの機能・形態を維持しており,その機構に神経筋接合部が重要な役割を果たしていることを示してきた.重症筋無力症とサルコペニアは発症の引き金となる原因は異なるが,これら2 つに共通した筋萎縮・筋力低下の症状は神経筋接合部の機能・形態の維持機能の破綻によって生じていると考えられる.それゆえ,神経筋接合部の維持機能や可塑性の改善がサルコペニアの発症・進行の抑制につながる可能性が高く,今後の対策を考えるうえで神経筋接合部は重要な標的となっていくであろう.
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フォーラム
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医学のあゆみ 244巻8号, 715-716 (2013);
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ヘルスプロモーションの国際的動向 5
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医学のあゆみ 244巻8号, 717-719 (2013);
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医学のあゆみ 244巻8号, 720-721 (2013);
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医学のあゆみ 244巻8号, 722-724 (2013);
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TOPICS
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再生医学
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医学のあゆみ 244巻8号, 691-692 (2013);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 244巻8号, 692-693 (2013);
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臨床検査医学
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医学のあゆみ 244巻8号, 693-695 (2013);
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