Volume 245,
Issue 2,
2013
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あゆみ COPD―病態と治療の最新情報
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医学のあゆみ 245巻2号, 149-149 (2013);
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医学のあゆみ 245巻2号, 151-154 (2013);
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)は喫煙曝露を主体とする環境因子による肺気腫と慢性炎症を特徴とし,急性増悪や肺炎,肺癌などを合併する疾患である.多くの患者が存在するが,多因子が関与するためにその発症機序はいまだ解明されていない.喫煙誘導性の肺気腫に関連した多くの研究が報告されており,喫煙曝露を起点として発症期,増悪期,固定期に分けてそれぞれを概説する.喫煙初期から肺には炎症が起こるが,オキシダントや宿主因子(NF-κB,RTP801)を介して肺胞細胞はアポトーシスへと進む.さらに,喫煙は炎症細胞からのプロテアーゼ生成を活性化し,肺胞の弾性線維を破壊,肺の修復・増殖因子を障害し,肺のアポトーシスやオートファジーを活性化する.各種メディエーター(セラミド,EMAP,VEGF)がそれらを助長することによって肺胞腔の拡大を起こす.肺気腫ができた後も肺の加齢は進み,自己免疫反応や急性増悪を起こし,全身性慢性炎症が持続する.COPD のフェノタイプと発症機序には何らかの関連があると考えられ,発症機序の解明が患者個々に合った治療を可能にするかもしれない.
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医学のあゆみ 245巻2号, 155-158 (2013);
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)の主症状は労作時呼吸困難であり,そのほかに咳,痰,睡眠障害などがあげられる.他覚症状として視診上,口すぼめ呼吸,ビア樽上の胸郭と称される胸郭前後径の増大,吸気時肋間腔が陥凹するフーバー徴候(Hoover’s sign),呼吸補助筋緊張があり,聴診上,肺胞呼吸音が減弱し喘鳴を認めることもある.また動脈血液ガス上,高CO2血症を認める場合もある.本稿では,COPD の生理学的病態が臨床上どのような所見を呈するかについて記載する.
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医学のあゆみ 245巻2号, 159-163 (2013);
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)の適切な診断と管理のためには,各種画像検査が必要不可欠である.胸部単純X線写真では,全肺野のX 線透過性の亢進や肺野末梢血管陰影の狭小化,横隔膜の平低化,肋間腔の開大,側面像での胸骨後腔の開大,胸郭前後径の開大,滴状心などの特徴的な所見を呈する.胸部CT では気腫性病変を反映する低吸収域(LAA)や気道病変を反映した気道壁肥厚・気道内腔の狭小化などが認められる.それらの病変に対して画像解析ソフトウェアを用いた定量的評価が進んでおり,各種指標と呼吸機能との関連についても多くの報告がなされるようになってきた.また,COPD そのものの評価に加え,COPD 患者の重要な合併症である肺癌や骨粗鬆症の評価においても画像検査は重要な役割を果たしている.
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医学のあゆみ 245巻2号, 165-168 (2013);
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COPD 自然経過に関する研究は多数あるが,Fletcher らにより発表された大規模観察研究はとくに重要である.この研究により,①喫煙に伴う肺障害には個人差があること,②一度COPD になると気流閉塞の進行が避けられないこと,などの重要な知見が報告され,COPD 自然歴の礎となっている.しかし,2000 年代に行われた大規模研究の結果,Fletcher らの提唱した「GOLD stage が悪いほど一秒量の低下が大きい」という仮説は否定され,GOLD stage 分類のみでは一秒量の進行を説明できないことがわかった.また,COPD 増悪が肺気腫などを含めた臨床指標を悪化させることがわかり,COPD 治療の主ターゲットは増悪の予防や抑制になり,多数の大規模研究で各薬剤の増悪抑制効果が報告されるに至った.本稿では以上の話題について,大規模研究の結果を踏まえながら概説する.
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医学のあゆみ 245巻2号, 169-173 (2013);
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代表的な自然免疫であるToll 様受容体(TLRs)は,病原体などの外来因子の特定の構造パターンである病原体関連分子パターンを認識し,初期免疫応答を誘導するだけでなく,細胞障害時に放出される内因性分子(“ダメージ”関連分子パターン)も同様に認識し,感染を伴わない肺障害時の炎症病態への関与も示唆される.COPD は慢性炎症性疾患であるが,TLRs の反応性低下が易感染性を生じ,持続感染や増悪への関与を示唆する報告がある.一方で,喫煙や炎症細胞由来の酸化ストレスによりTLRs の反応性が亢進し,COPD の病態形成を促進する可能性があることから,その制御はCOPD 治療のうえで有用なターゲットと考えられる.
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医学のあゆみ 245巻2号, 175-178 (2013);
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COPD は全身性疾患としてとらえられ,動脈硬化症,高血圧,心血管疾患(狭心症,心筋梗塞,脳血管障害),骨粗鬆症,糖尿病,栄養障害,睡眠障害,貧血などを併存する頻度が高い.これらのおもな併存症は,TNF-αやIL-6 などの炎症性サイトカインがかかわる慢性low-grade の全身性炎症において病態が共通する.さらに,COPD に起因する身体活動性の低下は全身性炎症を増強することが示唆されており,併存症の発症リスクやCOPD および併存症の重症化に影響する.併存症の評価や治療も含めた総合的なCOPD の管理が求められる.
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医学のあゆみ 245巻2号, 179-183 (2013);
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)では,息切れによって身体非活動性と廃用の悪循環に陥りやすくなり,状態をますます悪化させる要因となる.それを防ぐためには薬物治療と並行して,呼吸リハビリテーションを行って運動療法を導入し維持することがきわめて重要である.運動療法は呼吸リハビリテーションの中核であり,呼吸困難緩和,QOL 改善などのエビデンスを有する.筋力・持久力トレーニング,コンディショニング,ADL トレーニングを重症度にあわせて行う.呼吸リハビリテーションを導入しても,維持されなければその効果は消失してしまう.毎日の身体活動は生命予後の強い予測因子でもあり,生活習慣的に身体活動を維持させることが臨床的に意義が大きい.万歩計による身体活動量の自己管理や,フライングディスクなどの楽しいイベントなどを通して身体活動の維持をはかっていくことは,COPD患者にとって大切な要素となっていくと思われる.
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医学のあゆみ 245巻2号, 184-188 (2013);
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喘息とCOPD は閉塞性換気障害を示す代表的呼吸器疾患で,わが国ではそれぞれの患者数が700 万人に達すると推定されている.一方,これらの疾患病態が併存する状態としてオーバーラップ症候群が近年注目をされており,その頻度は40 歳以上の閉塞性患者のおよそ50%とする疫学調査もある.オーバーラップ症候群の正確な病態や予後については十分な検索がなされておらず不明であるが,COPD に活動性の喘息が合併した患者の予後が悪いことは知られている.現時点ではこれらの患者に対して,気管支拡張薬とともに早期の吸入ステロイド薬の使用により喘息病態の改善をはかることが求められる.
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連載
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疾病予防・健康増進のための 分子スポーツ医学 13
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医学のあゆみ 245巻2号, 195-200 (2013);
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体重調節にかかわる因子は多岐にわたり,遺伝的要因,代謝内分泌的要因,行動科学的要因,心理学的要因,環境的要因などが含まれる.なかでも遺伝的要因については,近年の分子生物学ならびに科学技術の進歩により遺伝子多型,とくに一塩基多型(SNP)に関する研究が飛躍的に発展してきた.The Human Obesity GeneMap と呼ばれるレビューで取り上げられている肥満関連遺伝子の数は,1996 年の10 個から2006 年の127個へと年々増加した.科学技術のさらなる進歩によって可能となった全ゲノム関連解析によって,その数はさらに増加している.一方,関連があるといわれてきたSNP が期待されるほど明確な表現型の差異をもたらさないことも数多く報告されるようになった.減量に対する遺伝的要因の検討も国内外で進んでいるが,肥満関連遺伝子と同様の問題点を有しており,一般にSNP 情報が活用されるようになるためにはさらに多くの研究成果が必要であると考えられる.
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フォーラム
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医学のあゆみ 245巻2号, 201-202 (2013);
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パリから見えるこの世界 15
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医学のあゆみ 245巻2号, 203-206 (2013);
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TOPICS
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循環器内科学
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医学のあゆみ 245巻2号, 189-190 (2013);
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脳神経外科学
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医学のあゆみ 245巻2号, 190-192 (2013);
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耳鼻咽喉科学
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医学のあゆみ 245巻2号, 192-194 (2013);
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