Volume 245,
Issue 10,
2013
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あゆみ 近視研究の新展開
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医学のあゆみ 245巻10号, 839-843 (2013);
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医学のあゆみ 245巻10号, 845-848 (2013);
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近視はアジア人に多いとされており,なかでも強度近視における近視性網膜症は先進諸国において失明原因の上位を占める疾患である.近視性網膜症の有病率について調査した報告は少なく,日本人での調査はこれまで行われていなかった.今回著者らは,日本人一般住民を対象とした久山町研究において近視および近視性網膜症の有病率と危険因子を調査した.その結果,視力低下の原因となる近視性網膜症は1,890 人中33 人に認め,有病率は1.7%であった.高齢になるほど近視性網膜症の有病率が増す傾向を認め,また女性のほうが男性より有病率が高かった.この傾向は他の2 報と一致しており,近視性網膜症の発症には眼軸の延長だけでなく,加齢や遺伝要因,環境要因なども関与している可能性が示唆される.
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医学のあゆみ 245巻10号, 849-853 (2013);
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近視は環境因子と遺伝因子の両方が関与することによって発症する多因子疾患である.その遺伝性については古くから知られていたが,近視の発症にかかわる遺伝子が判明しはじめたのはこの2~3 年前からで,今後数年間のゲノム研究によって近視の発症メカニズムが急速に解明されていく可能性がある.近視のなかでもその程度が強い強度近視では合併症によって失明することも少なくなく,最近のゲノム研究によって強度近視に至る原因となりうる遺伝子や,合併症が生じる際に関与していると考えられる遺伝子がわかってきた.近視・強度近視の発症メカニズムや,合併症の発症メカニズムが解明されることによって,失明の予防が可能になるかもしれない.
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医学のあゆみ 245巻10号, 854-857 (2013);
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病的近視にみられる黄斑部の病変は実に多彩で,近視性牽引黄斑症や,引き続いて生じる黄斑円孔や黄斑円孔網膜剝離,近視性脈絡膜新生血管や単純型出血といった網膜の出血,びまん性や限局性の近視性網膜脈絡膜萎縮,dome-shaped macula などがあげられる.これらにみられる症状は,中心がゆがむ,見づらくなった,黒いところが見えるなどであるが,症状の変化が強い場合はかならず何らか新しい病変が生じており,近視性脈絡膜新生血管や単純型出血,近視性牽引黄斑症,黄斑円孔を疑って検査する必要がある.光干渉断層計(OCT)の登場により,強度近視眼ではそれまで把握できなかった黄斑部病変の観察が可能になり,これら病変の早期発見に非常に有用であり,鑑別や治療選択,予後について考える際にも必須となった.
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医学のあゆみ 245巻10号, 858-865 (2013);
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近視と緑内障との関連について,わが国をはじめとして多数の研究がなされ,報告されている1-5).日本人64,394 名を対象としたYoshida ら5)の報告では,ある特定の性・年齢の集団では近視度と緑内障の頻度に有意な正の相関があることが報告されている.このように,近視は緑内障の重要な危険因子であるが,病的近視と緑内障あるいは視神経障害の関連についての研究は少なく,Chihara らの詳細な検討をみるのみである6,7).研究が困難であった理由として,病的近視眼では視神経乳頭の高度の機械的変形のために,緑内障特有の乳頭変化を判定しづらいこと,さらに乳頭周囲コーヌスや近視性黄斑部病変の合併により,視野所見が緑内障によるものかどうかの判断が困難であること,網膜が菲薄化しているため神経線維束欠損が観察しづらいことなどがあげられる.さらに近年,光干渉断層計(OCT)による,乳頭周囲の網膜神経線維の厚みの計測は,緑内障の早期診断に有用であるが,病的近視眼で大きなコーヌスを伴う症例では適用できないといった問題点もある.しかし,病的近視患者の多くは視神経障害による視野障害を合併することが臨床的に知られており,視神経障害による失明は病的近視の重要な問題である.さらに最近,OCT のさらなる進歩により,病的近視眼の視神経にどのような解剖学的変化が生じて,それが視野障害を起こすのかがすこしずつ明らかになってきた.本稿では,病的近視患者における視神経障害の特徴とその病態について,最新の研究成果を紹介したい.
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医学のあゆみ 245巻10号, 867-871 (2013);
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病的近視はわが国での失明原因の上位を占める疾患である.病的近視眼の本態は眼球形状変化であり,著しく球状から逸脱した眼球形状変化によって強膜および網脈絡膜の菲薄化をきたし,種々の近視性病変に影響すると考えられている.近年,光干渉断層計(OCT)やMRI などの機器の進歩によって,眼球形状をより微細にあるいは俯瞰的にとらえることが可能になった.これらを用いた解析の結果,特定の眼球形状変化が近視性病変に大きく関与していることがわかった.今後は眼球形状変化を予防する治療の開発が必要と思われる.
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医学のあゆみ 245巻10号, 872-876 (2013);
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視性刺激遮断近視とレンズ誘発性近視が主要な実験近視モデルである.サル,ヒヨコ,マーモセット,モルモットやマウスがモデル動物として用いられてきた.メカニズムとしては,ボケ像が網膜に結ばれることがトリガーになり,そのボケを減少させるようにフィードバック機構が働いて眼軸の延長が促進され,近視化すると考えられ,網膜内の何らかの因子が近視化に一次的な役割を果たしていると考えられている.近視化に影響を及ぼす細胞としては,アマクリン細胞,双極細胞,視細胞,網膜色素上皮細胞が考えられ,ON/OFF 経路に関係する特定の網膜内情報伝達系の寄与や,特定波長の光の関与も示唆されている.また,周辺部網膜のデフォーカスが引き金になっているとの説が支持されている.近視化関連因子としてはドーパミン,VIP,ムスカリンアンタゴニスト,一酸化窒素,ソニックヘッジホッグ,FGF-2,レチノイン酸,インスリン/グルカゴンなどが知られている.
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医学のあゆみ 245巻10号, 877-879 (2013);
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近視の本態は眼球形状変化であり,近視の進行には強膜の変化が大きく関与している.以前から近視進行を予防するための研究は数多く報告されているが,強膜変化を抑えるという,強膜を標的とした予防法が近年着目されている.一方,近視研究に不可欠な実験近視動物モデルの分野についてもマウスを用いるなどの進歩がある.本稿では,今後発展が期待される近視進行予防のための強膜標的治療,および実験近視動物モデルについて最新の知見を含めて概説する.
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医学のあゆみ 245巻10号, 880-884 (2013);
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持続する網膜後方へのデフォーカスが眼軸を過伸展させ,クリアな網膜像は眼軸を安定させるとする“眼軸長の視覚制御”の概念が,異なる研究分野から支持され,学童期の近視進行を説明する統一的コンセプトとなっている.十数年間にわたり,このコンセプトに基づいた近視進行抑制治療がランダム化比較対照試験(RCT)を通じて繰り返し吟味されてきた.Evidence-based medicine(EBM)を実践するための情報インフラとして名高いCochrane データベースによれば,近視進行や眼軸の過伸展を抑制することが判明しているのは,①累進屈折力眼鏡レンズ,②ムスカリン受容体拮抗薬の点眼,③多焦点コンタクトレンズ,である.しかし,抑制効果の確実性や安全性などの問題から,現在の標準的治療法である単焦点眼鏡・コンタクトレンズに代わる治療法にはなりえていない.
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連載
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Brain‒Machine Interface(BMI)の現状と展望 5
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医学のあゆみ 245巻10号, 889-894 (2013);
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脳と機械を直接つなぐ革新的なインターフェースであるブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の利点は,体を介さずに機械を操作できることである.したがって,BMI の利用者は第一に体の不自由な人になると考えられる.外科手術を必要とせずに頭表面から脳活動信号を取り出す非侵襲式BMI は,体の不自由な人のなかでも比較的軽度な人も対象とできる.脳から機械に信号を伝達し,機械を制御する出力型BMI において体の運動を代償させる機能代償型だけでなく,運動機能の回復をめざす機能回復型が提案されている.非侵襲式の脳活動計測装置として脳波計(EEG)と近赤外光脳機能イメージング装置(NIRS)とがあり,それぞれ神経細胞の活動に伴う電位変化および血液変化を計測する.NIRS とEEG を同時計測するNIRS-EEG などを使って機能回復型BMI のリハビリテーション医学への展開をめざした研究開発が進められている.
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フォーラム
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パリから見えるこの世界 17
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医学のあゆみ 245巻10号, 895-899 (2013);
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がん患者の就労支援 5
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医学のあゆみ 245巻10号, 900-902 (2013);
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第77 回日本循環器学会学術集会レポート 3
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医学のあゆみ 245巻10号, 903-905 (2013);
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心房細動(AF)は,不整脈分野はもちろん,心機能/心不全,血栓止血と抗血栓療法,脳卒中など,多くの分野で注目されている病態である.わが国では人口の高齢化とともにAF 患者はさらに増加し,もっとも重要かつ重篤な合併症である心原性脳梗塞患者も増加することが予測され,AF への対策はきわめて重要となっている.本プレナリーセッションではAF の治療に関し,とくにカテーテルアブレーションと抗凝固療法に焦点をあて,最先端の情報が供覧・討議された.
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TOPICS
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再生医学
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医学のあゆみ 245巻10号, 885-886 (2013);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 245巻10号, 886-887 (2013);
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耳鼻咽喉科学
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医学のあゆみ 245巻10号, 887-888 (2013);
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