Volume 246,
Issue 11,
2013
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あゆみ 生活習慣病におけるマクロファージ
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医学のあゆみ 246巻11号, 937-937 (2013);
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医学のあゆみ 246巻11号, 939-942 (2013);
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マクロファージは自然免疫に重要な要素であり,炎症や生体防御反応に不可欠である.また,その機能は多岐にわたり,免疫応答や組織修復だけでなく発生分化や組織恒常性の維持にも重要である.細菌の膜成分やウイルスなどによって活性化されたマクロファージ(M1)は,NF-κB やAP-1 などの転写因子を活性化して炎症反応を惹起する一方,alternatively activated macrophage(M2)は,STAT6 やPPARγを介してマクロファージ機能を安定化させ,炎症を収束する.さらに最近の研究から,マクロファージの機能の迅速な調節にはヒストンのアセチル化などエピジェネティックな制御も重要であることが明らかとなっている.
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医学のあゆみ 246巻11号, 943-949 (2013);
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腎疾患の原因はさまざまであるが,原因にかかわらず,尿細管間質障害が腎の予後とよく相関すると考えられ,間質障害の発生機序の解明がunmet needs となっている.尿細管間質障害の主体は,組織障害とそれに引き続く細胞浸潤,線維化である.浸潤する細胞のうちマクロファージには多様性が存在し,もともと腎に存在するresident マクロファージに加えて,尿細管間質障害モデルでの検討では骨髄からLy-6C 陽性単球が腎に動員され,集合管上皮細胞内から転写因子KLF5 により転写されたS100A8,S100A9 が分泌されることで,腎臓内で細胞障害性のM1 マクロファージに分化し,M1 マクロファージから分泌されたインターロイキン(IL)-1βにより尿細管細胞のアポトーシスを増加させる.一方,M1 マクロファージに分化しなかったLy-6C 単球はM2 マクロファージに分化し,腎線維化を亢進させる(「サイドメモ」参照).腎障害の早期にはKLF5-S100A8/S100A9 軸の活性化亢進からM1 マクロファージ優位となるため,細胞障害が主たる腎リモデリングとなり,後期にはM2 マクロファージ優位となることから,組織線維化を中心とする腎リモデリングが生じる.このように,骨髄由来の単球を組織(腎)自体が単球からマクロファージへの分化時の極性を決定させ,組織リモデリングを進めているという機序が存在している.
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医学のあゆみ 246巻11号, 951-953 (2013);
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肥満患者の脂肪組織において慢性炎症状態が認められ,これがメタボリックシンドロームの病態にかかわっていることが明らかとなってきた.また肥満の脂肪組織ではマクロファージの浸潤が著明に上昇し,加えて脂肪組織から分泌されるアディポサイトカインの調節障害が生じ,肥満における慢性炎症を修飾していることが明らかとなってきている.本稿では,最近報告された炎症性アディポサイトカインであるangiopoietin-like protein-2(Angptl2),fatty acid binding protein-4(FABP4),Resistin について概説するとともに,抗炎症性のアディポサイトカインとしてアディポネクチンとアディポリンについて,マクロファージに対する作用を中心に自験例を含めて概説する.
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医学のあゆみ 246巻11号, 954-959 (2013);
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潰瘍性大腸炎やCrohn 病といった炎症性腸疾患は,食生活やライフスタイルの欧米化に伴いわが国において急激な増加傾向を示す難治性疾患である.これまでに,獲得免疫系におけるTh1/Th2 バランスの破錠によるT 細胞の機能異常やTh17 の活性化が慢性炎症性腸疾患の発症に深くかかわることが報告されている.近年,腸管粘膜固有層内において多様な自然免疫細胞の集団が同定され,各細胞集団がT 細胞活性化を誘導あるいは抑制することにより腸管免疫系の恒常性維持に関与することが明らかとなった.さらに,腸内細菌や食餌抗原に対する自然免疫応答の異常が獲得免疫系の異常を誘導することで炎症性腸疾患の発症に深く関与することが示唆されている.また,腸管免疫系を構成する多彩な細胞集団による生体恒常性維持機構の破綻が,炎症性腸疾患だけではなくアレルギーや自己免疫疾患にも関与することが明らかとなっている.そのため,腸管免疫系の恒常性維持機構の解明は多様な疾患に対する治療および予防法の確立に貢献することからも,きわめて大きな意義をもつものとして注目されている.
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医学のあゆみ 246巻11号, 961-965 (2013);
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中枢神経系は,神経細胞と,より多数で多種のグリア細胞をはじめとする非神経細胞から構成されている.ミクログリアはグリア細胞の一種であり,免疫学的特権部位として知られる脳の防御機構の中心的な役割を果たすことが知られている.ミクログリアは,細胞表面抗原プロファイル,炎症性サイトカインなどの放出能,貪食能などその機能的共通性から中枢神経系におけるマクロファージに相当する細胞であると考えられてきた.ところが,最近の研究によりその起源は異なることが判明した.さらに,生理機能や病態における役割について多くの知見が集積している.これまでは神経病態におけるミクログリアの活性化は神経変性に伴う二次的な現象であり,脇役として考えられてきたが,神経変性疾患のモデルマウスを用いた研究により病態を積極的に修飾する細胞であることが明らかとなってきた.本稿では,ミクログリアの正常機能とともに,神経病態,とくに神経変性疾患におけるミクログリアの役割を概説する.
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医学のあゆみ 246巻11号, 966-970 (2013);
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糖尿病の発症にかかわるインスリン抵抗性,分泌障害の両面でマクロファージの関与が報告されている.肥満に伴うM1/M2 マクロファージのバランス破綻や,M1 マクロファージの分泌するIL-1βがインスリン抵抗性の増悪や膵β細胞障害にかかわるとされる.マクロファージがIL-1βを分泌する経路にはインフラマソームというシステムが関与しており,糖尿病を悪化させる種々の刺激がインフラマソームの活性化にかかわっているとの報告もある.近年,M1/M2 マクロファージのバランス改善,IL-1β産生のブロック,IL-1βの競合阻害などマクロファージの作用に介入することで糖尿病を治療する試みがはじまっている.これらの介入は糖尿病の根本治療につながることから,今後のさらなる展開が期待される分野である.
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医学のあゆみ 246巻11号, 971-976 (2013);
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生活習慣病の病態にマクロファージは深くかかわっている.とくに肥満症例の脂肪組織には多くのマクロファージ集積を認め,インスリン抵抗性を惹起する一因と考えられている.メタボリック症候群に合併する心血管合併症の多くは動脈硬化を基盤に発症するため,とくに動脈硬化を中心とする血管病を対象にマクロファージの分子イメージングは発展してきた.MRI においては磁性鉄ナノ粒子を中心にプローブ開発が進められており,頸動脈プラーク内のマクロファージ定量やスタチン治療の効果判定などではすでに臨床での使用例も報告されている.核医学領域においてはFDG-PET により糖代謝の盛んなマクロファージを描出する試みがなされており,炎症性プラークの同定が可能となった.近赤外線イメージングにおいてはMMP やカテプシンなどのプロテアーゼ活性を可視化することが可能であり,不安定プラークの同定に役立つことが期待されている.いずれの撮像手段においても実際に臨床応用へ至るためには深部血管の描出や安全性の面でさらなる技術革新が必要であり,基礎・臨床医学の融合,産学官の連携に基づく迅速な技術開発が期待される.
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連載
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Brain-Machine Interface(BMI)の現状と展望 13
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医学のあゆみ 246巻11号, 983-988 (2013);
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肢体不自由者の自立を妨げている問題を解決する手段として,インターネットをブレイン・マシン・インタフェース(BMI)で操作する技術が注目されはじめている.この技術の開発により,物の売買,エンターテイメント,教育,さらには雇用といった機会を生み出すことができると考えられているが,有効な技術はまだ確立されていない.著者らは,インターネットにアクセスするためのBMI システムとして,頭のなかで手足の運動をイメージすることによりインターネット上の三次元仮想世界“セカンドライフ”を自由に移動できる技術を開発し,慢性期筋ジストロフィーにおいて臨床応用を行った.結果として,BMI が重度肢体不自由者の運動代替に有効であることを示したほか,BMI の長期使用によって運動関連の神経ネットワークを変化させることを明らかにした.今後さらなる技術開発によって総合的な支援システムに発展させたい.
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フォーラム
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パリから見えるこの世界 20
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医学のあゆみ 246巻11号, 989-993 (2013);
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医学のあゆみ 246巻11号, 995-996 (2013);
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サバイバーの時代“地域におけるがん患者仲間同士の支えあい” 2
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医学のあゆみ 246巻11号, 997-999 (2013);
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TOPICS
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遺伝・ゲノム学
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医学のあゆみ 246巻11号, 977-978 (2013);
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細菌学・ウイルス学
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医学のあゆみ 246巻11号, 978-980 (2013);
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免疫学
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医学のあゆみ 246巻11号, 980-981 (2013);
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