Volume 247,
Issue 3,
2013
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あゆみ 血液事業の現状と問題点
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医学のあゆみ 247巻3号, 229-229 (2013);
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医学のあゆみ 247巻3号, 231-235 (2013);
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日本赤十字社は唯一の血液事業者として県単位で採血,検査,製剤,供給を行ってきたが,規模の小さな県では適正な在庫を確保するのが難しく,採血や製造のコストが割高となって財政的にも困窮し,施設や人材の不足により安全性や品質の確保も困難になった.これらを解決するため,検査,製剤の集約に引き続き,2012年4 月,7 つのブロックセンターを設置し,域内の需給管理,管理運営を行い,財政も県単位の独立採算制を廃止して一元化する広域事業体制を導入した.これにより全国で均質で安全な血液の製造が可能となり,規模の小さな県でも在庫が安定し医療機関の需要に応えられるようになり,県境を越えた供給も容易となった.ブロックセンターへの集約により検査,製剤部門と距離が遠くなった医療機関へのサービスの低下を極力抑え,広域事業運営体制を活用して安全な血液を効率よく安定的に供給し,“国民に信頼される持続可能な血液事業”をめざしていきたい.
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医学のあゆみ 247巻3号, 237-241 (2013);
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日本赤十字社血液センターにより2012 年に達成された検査および製造業務の集約化,血液事業の広域化が医療現場に及ぼしている影響について,その現状を考察した.施策途中の2008 年の輸血総合的調査では医療機関はそのメリットを実感せず,血液の供給遅延や,検査サービスおよび技術協力サービスの低下が指摘された.施策達成1 年後の現在,医療機関への総合調査はなされていないが,断片的な報告から医療現場の実感に変化はなく,とくに中小の医療施設への影響が危惧された.血液事業の透明化を推進して,医療機関が広域化のメリットを享受できるように期待する.そのためには,日本赤十字社と医療機関がたがいの情報を共有し,相互理解を押し進める仕組みを構築するとともに,エビデンスに基づいた血液製剤の標準化を推進すべきである.また,医療機関の検査技術の向上への協力体制を他の団体と共同で体系化してほしい.
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医学のあゆみ 247巻3号, 243-246 (2013);
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企業の社会的責任が注目されるなか,製薬業界では日本製薬工業協会が示したガイドラインに基づき,多くの企業が医療機関とのかかわり方を公開し,“透明性”の確保に努めている.日本赤十字社においても献血者の善意のもとに成り立つ血液事業の実施にあたり,必要な情報公開や事業運営状況の確認・評価を行い,事業の透明性の確保をはかっている.また,無償の献血に支えられている血液事業を適正かつ効率的に運営するため,赤十字血液センターの業務の集約化など事業運営体制の整備を進めるとともに,会計制度の見直しや財政一元化をはかり,健全な財政基盤の確立に努めてきた.本稿では血液事業の透明性の確保および財政の健全化の観点から,これまでの日本赤十字社の取組みについて述べる.
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医学のあゆみ 247巻3号, 247-251 (2013);
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少子高齢化社会を迎え,献血可能人口の減少と輸血用血液の需要増が見込まれるなか,将来の献血基盤の確立のため,若年層(10~20 代)の献血啓発と推進は喫緊の課題となっている.日本赤十字社としては“安全な血液製剤の安定供給の確保などに関する法律”(新血液法)の採血事業者としての責務遂行とともに,国民運動のひとつである“献血運動”の柱として,とくに近年は若年層啓発に力を注いでいる.しかし,厚生労働省が平成23 年10 月に調査した“若年層献血意識調査”によると,献血未経験者のうち“献血に関心なし”とする人が56.3%を占めているなど,若年層の献血に関心のない状況が数多く報告されている.本稿では,今後の献血推進対策や安全面の強化策も踏まえて近年における日本赤十字社の取組みについて報告する.
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医学のあゆみ 247巻3号, 252-256 (2013);
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安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律および改正薬事法などの施行に伴い,血液製剤の安全,品質および製造基準が厳格化されるなかで,日本赤十字社では血液製剤の安全性の向上,安定供給および効率的な事業運営を推進し,社会環境などの変化に耐えうる持続可能な広域事業運営体制の構築に努めているところである.これまでの都道府県単位から都道府県の枠を越えた広域的な需給管理に移行し,計画的な採血種別の役割分担や在庫の一元管理などの体制を取り進めている.さらに,供給体制については供給施設の新設や供給エリアの見直しなど体制整備を推進している.このような方策により,地域性や事業規模などに起因して適切な管理が困難であった血液センターなどの改善をはかることで,安定的な広域事業を運営していく.
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医学のあゆみ 247巻3号, 257-260 (2013);
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愛知県赤十字血液センター(愛知C)は,献血者数・供給単位数で東海北陸ブロック血液センター(ブロックC)全体の約40%を占めている.したがって,ブロックC と愛知C とが密接に連携することが強く求められる.ブロックC が構想した事柄を地域C が実践することが重要であり,そのひとつとして地域C 相互間の連携による県境を越えた供給エリアの変更を全国ではじめて開始した.一宮市,江南市を含む西尾張地域は愛知C から岐阜C へ変更され,多治見市,中津川市などを含む東濃地域は岐阜C から愛知C へ変更された.円滑な変更のために両C 間の職員異動を行い,供給体制の充実化をはかった.つぎに需給計画に伴う採血量の調整であるが,血小板製剤(PC)は固定施設の少ない県では需要の増加についていけず,愛知C はその分のPC採血も要求される.献血者200 人/day のルームと20 人前後/day のルームでは職員の仕事量に多大な差が生じ,モチベーションの低下をきたす.県境を越えて応援などの人的調整も考慮すべき課題である.
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医学のあゆみ 247巻3号, 261-265 (2013);
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現在確認される輸血感染症の発生頻度は,HBV 感染が年に10 例前後,HCV,HIV 感染が数年に1 例,細菌感染が毎年1 例程度である.HBV については低力価HBsAb のHBcAb 陽性血液を排除したことにより,オカルトHBV 感染者血液からの感染は以後激減すると思われる.細菌感染症は,初流血除去の導入,血小板製剤の有効期限を短く保つこと,臨床現場での外観検査を施行することなどによって安全性を高めている.デングウイルス,ウェストナイルウイルス,チクングニヤウイルスなどの新興・再興感染症のリスクは,現状では問診によるスクリーニングに頼るしか方法がない.標的病原体に特異的な検査でスクリーニングする現在の体制には限界があり,病原体の核酸を複製不可能とする不活化法が種々開発されている.それらは病原体の種類によって不活化の程度が異なり,また血小板や凝固因子に障害を与える点においていまだ理想的なものではない.しかし,未知の感染症の侵入に備えてコスト/ベネフィットを考慮しながらその導入を検討しなければならない.
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医学のあゆみ 247巻3号, 267-271 (2013);
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輸血による免疫学的副作用として問題となっているのは,アナフィラキシーと輸血関連急性肺障害(TRALI)である.アナフィラキシーは原因不明の場合が多いが,ハプトグロビンの欠損者に起こる場合など少数例では原因が判明しており,欠損者からの輸血製剤の製造や,洗浄血による対策が立てられつつある.TRALI は血液製剤中の白血球抗体がその発症に関与している可能性が高く,経産婦に多く認められる白血球抗体を排除するために男性由来血液からの血漿製剤の優先製造がその発生数の減少に功を奏しているが,いまだ供給と需要のバランスの取れていないAB 型の血漿製剤に関しては課題が残っている.また,血小板製剤に関しては女性の血液を排除することは供給不足を招く可能性もあり,スタンダードな予防対策が立てられていない.世界の動向を見据えながら今後わが国がとるべき対策を見極める必要がある.
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医学のあゆみ 247巻3号, 272-276 (2013);
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わが国の骨髄バンク事業は厚生労働省の主導のもとに,骨髄移植推進財団が主体となり,日本赤十字社および地方自治体の協力により行われている.日本赤十字社の骨髄データセンター事業は国からの依頼により,ドナー登録希望者の受付とHLA 型検査の実施,およびドナー登録者のデータ管理などを実施してきた.現在では骨髄ドナー登録者のほとんどを献血現場で受け付けている.また,臍帯血バンクについては,各血液センターでの研究的な取組み,という扱いであったが,2012 年度,臍帯血バンク事業を血液事業の関連事業と位置づけ,4 カ所のブロック血液センターに設置した.日赤系の臍帯血バンクより提供した臍帯血による移植は2012 年度の臍帯血移植の6 割であった.2012 年9 月に“移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律”が制定・公布され,この法律で日本赤十字社は造血幹細胞提供支援機関として想定されている.今後は,より積極的に造血幹細胞関連事業にかかわることとなる.
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連載
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Brain‒Machine Interface(BMI)の現状と展望 17(最終回)
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医学のあゆみ 247巻3号, 283-289 (2013);
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平成20 年度開始の文部科学省脳科学研究戦略推進プログラムの課題A“日本の特長を活かしたBMI の総合的研究開発”では,基礎研究,革新技術開発,臨床応用の3 つの柱を研究拠点のネットワーク化を通して緊密に連携させ,低侵襲型機能代償BMI,頭皮脳波BMI リハビリテーション,非侵襲デコーディング技術,デコーディッドニューロフィードバック法など世界をリードする複数の成果が得られた.今後も上記の3 つの柱の,これまで以上に緊密な連携が日本がフロントランナーとして走り続けるために必須である.とくにデコーディッドニューロフィードバック法を中心にBMI 研究の今後の展望を行う.
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初学者のための医療経済学入門 2
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医学のあゆみ 247巻3号, 291-296 (2013);
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わが国の支払方式は,一部,定額払い方式が導入されているが,原則は出来高払い方式である.より具体的には,医療行為ごとに点数を付与し,それによって診療報酬の額を算定する仕組みになっている.また,現物給付制度を採用するわが国の健康保険方式では保険外併用療養費を除いて“混合診療”は原則禁止とされている.つまり“一物一価”を原則に公定価格となっているわけだが,その結果,①原価からの乖離,②分配上の弊害という大きな構造上の問題を有する.可及的速やかに,努力する者が報われる診療報酬体系の構築が望まれる.
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フォーラム
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近代医学を築いた人々 22
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医学のあゆみ 247巻3号, 297-297 (2013);
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社会の“痛み”を癒す―ケアの心理と病理 2
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医学のあゆみ 247巻3号, 299-301 (2013);
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本シリーズでは現代社会におけるさまざまな痛みとそれに対するケアにアプローチしている方々にケアにかかわる実践や研究を紹介いただく.本稿では前号(247 巻2 号)に引き続き,本シリーズのオーバービューとして企画者の視点からケアを受ける側と与える側の間にみられる論点をまとめる.
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サバイバーの時代 “地域におけるがん患者仲間同士の支えあい” 6
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医学のあゆみ 247巻3号, 303-304 (2013);
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TOPICS
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生理学
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医学のあゆみ 247巻3号, 277-278 (2013);
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免疫学
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医学のあゆみ 247巻3号, 279-280 (2013);
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消化器内科学
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医学のあゆみ 247巻3号, 281-282 (2013);
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