Volume 247,
Issue 6,
2013
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あゆみ バゾプレシンと疾患
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医学のあゆみ 247巻6号, 525-525 (2013);
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医学のあゆみ 247巻6号, 527-531 (2013);
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下垂体後葉ホルモンとして知られるバゾプレシンは,視床下部に局在する神経分泌ニューロンの細胞体で産生され,下垂体後葉に投射した軸索終末から血中に分泌され,血管収縮,抗利尿作用を有する.一方,バゾプレシンは脳内でも分泌され,中枢神経系を介して体液調節はもとより自律神経系からストレス,社会認知まで多彩な生理機能に関与していることが明らかになりつつある.本稿では,線虫でのバゾプレシンに相当するネマトシンの役割,緑色蛍光蛋白を用いたバゾプレシンの可視化,バゾプレシンニューロンの浸透圧センサー,ストレス,自律神経,概日リズム,社会行動との関連など,バゾプレシンの基礎研究における最近のトピックスを概説する.
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医学のあゆみ 247巻6号, 533-536 (2013);
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リンパ球性漏斗下垂体後葉炎(LINH)は,病理所見で漏斗部および後葉にリンパ球や形質細胞が浸潤する慢性の炎症像が認められ,中枢性尿崩症を呈する疾患で,特発性中枢性尿崩症の主たる原因であると考えられている.その病因に自己免疫機序が関与すると推察されているが,詳細は不明である.特発性尿崩症の多くの症例で抗バゾプレシン細胞抗体(AVPcAb)が存在し病態に関与する可能性が報告されている一方,他の中枢性尿崩症を呈するLangerhans 細胞組織球増加症や胚細胞腫でも高率にAVPcAb が認められたという報告もあり,特異性および病態との関連は不明の点が多い.著者らは,LINH 患者血清中にラブフィリン3a 抗体が高率に存在し,血中ラブフィリン3a 抗体はLINH の有用な診断マーカーとなる可能性を見出した.
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医学のあゆみ 247巻6号, 537-541 (2013);
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バゾプレシン分泌過剰症(SIADH)はバゾプレシン(AVP)の過剰分泌から体液貯留を生じ,希釈性の低Na 血症をきたす症候群である.急性では脳浮腫による意識障害を呈するが,慢性では無症状のことも多い.原因として頭蓋内疾患,肺炎,異所性AVP 産生腫瘍,薬剤などがある.検査所見としては,低Na 血症,尿中Na 排泄亢進,尿浸透圧>血漿浸透圧,血清尿酸低値などを認める.低浸透圧血症にもかかわらず,血漿AVP は抑制されていない.中枢性塩類喪失症候群との鑑別が重要であるが,臨床の場での体液量の正確な評価は難しく,実際には鑑別困難な場合が多い.治療は急性で意識障害を呈する場合は高張食塩水を投与して速やかに血清Na を上昇させる.ただし,浸透圧性脱髄症候群の発症を避けるため,24 時間の血清Na の上昇は10 mEq/L 以内に抑える.慢性低Na 血症の場合は水分制限とNa 補給が基本となる.異所性AVP 産生腫瘍ではV2 受容体拮抗薬であるモザバプタンが保険適用となっている.
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医学のあゆみ 247巻6号, 542-548 (2013);
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水利尿不全は,過剰に分泌されたバゾプレシン(AVP)が腎集合尿細管での水の再吸収を促進させる結果,体液貯留を招く病態である.循環血液量が増加するが,体内のナトリウム(Na)含量には大きな変化がないため希釈性低Na 血症を呈する.AVP が尿濃縮の律速因子になるので,AVP の分泌あるい腎作用を調節できれば水利尿不全・低Na 血症の治療につながる.AVP V2受容体拮抗薬はAVP のV2受容体結合を競合的に阻害するので,水利尿を促進して増加した循環血液量を補正できることから,AVP の分泌過剰の病態の治療に有用なことが期待できる.
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医学のあゆみ 247巻6号, 549-552 (2013);
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中枢性尿崩症の治療薬としてデスモプレシンスプレーあるいは点鼻薬が日本において使用されてきたが,使用方法の煩雑さや鼻炎などの際に効果が不十分などの問題があった.一方,海外ではデスモプレシンの錠剤が25 年以上前に承認され,これまでに多くの国で使用されてきた.これに対し,日本では2011 年にデスモプレシン口腔内崩壊錠の治験がはじめて行われ,その有効性および安全性が確認されて,2012 年に中枢性尿崩症の治療薬としてようやく承認された.今後は日本においても,デスモプレシン口腔内崩壊錠がスプレーや点鼻薬に代わって中枢性尿崩症治療の第一選択になることが予想される.ただ,患者の病態によっては点鼻製剤のほうが口腔内崩壊錠より適している場合もあることから,個々の患者に合わせた治療が望まれる.
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医学のあゆみ 247巻6号, 553-557 (2013);
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腎性尿崩症は腎での尿濃縮力が障害され,多量の低浸透圧尿が排泄される疾患である.結果として多飲を伴い,飲水が制限されると高Na 血症,高浸透圧血症が認められる.原因は先天性(遺伝性)と後天性に分けられ,先天性では腎集合管に存在するバゾプレシン受容体2 型(V2R)とアクアポリン2 水チャネル(AQP2)をコードする遺伝子に変異が認められる.その頻度はV2R が約8 割の家系で認められ,AQP2 が1 割で,残り1 割では不明であり,他の原因遺伝子が存在する可能性もある.後天性の原因としては躁うつ病の治療薬のリチウム製剤によるものの頻度が高く,AQP2 の障害や集合管のリモデリングが認められ,この副作用は薬剤服用中止後も長く続くことが多い.
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医学のあゆみ 247巻6号, 559-564 (2013);
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家族性中枢性尿崩症(FNDI)は,生後数カ月から数年で進行性にバゾプレシン(AVP)の分泌が低下し,多飲・多尿を呈する常染色体優性遺伝疾患である.これまでのin vitro,in vivo における解析により,FNDI が2型糖尿病や各種神経変性疾患などと同様の小胞体ストレス疾患であり,その発症・進展において変異AVP 前駆体蛋白による正常前駆体蛋白の合成・分泌阻害と,AVP ニューロンの細胞死が関与することが判明した.著者らが作成したFNDI モデルマウスはさらに,①FNDI 発症初期にはAVP ニューロンの細胞死を認めないこと,②AVP ニューロンに形成される小胞体内凝集体の増加が病態の進行と相関すること,③Poly(A)鎖の短縮を伴ったAVP mRNA の発現低下を認めることなどを明らかにした.そしてマウス視床下部器官培養における検討は,小胞体ストレスによるPoly(A)鎖の短縮がAVP ニューロンに特異的な現象ではないことを証明した.これらの結果より,Poly(A)鎖の短縮という,mRNA の安定性と翻訳効率の低下を介して小胞体負荷を軽減するあらたな小胞体ストレス応答の存在が示唆され,それがFNDI において凝集体の形成とAVP ニューロンの細胞死を抑制している可能性が推測された.
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連載
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初学者のための医療経済学入門 4
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医学のあゆみ 247巻6号, 571-576 (2013);
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“予防に勝る良薬なし”といわれるが,疾病管理の経済評価はあまりなされていない.そこで保健指導が医療費に及ぼす効果に関して検討したところ,体重の増減,保健指導参加の有無がその後の医療費に一定の影響を及ぼすことが示唆された.より具体的には,体重減少に一定の医療費削減効果があることが判明した.さらに,保健指導の生活習慣病医療費低減効果は完了後1 年間がもっとも高く,同一のリスク判定の未参加者と比較して2,310 円/年(±595 円)低いこともわかった.しかし,その効果は短期的で2~3 年後は効果が低くなる.実際,保健指導該当のリピート率は保健指導完了者では21.7%で,全体の58.9%よりも低い.今後は,がん検診にワクチン政策も含めた総合的な予防戦略が求められる.
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フォーラム
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パリから見えるこの世界 22
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医学のあゆみ 247巻6号, 577-581 (2013);
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書評
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医学のあゆみ 247巻6号, 582-583 (2013);
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社会の“痛み”を癒す―ケアの心理と病理 4
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医学のあゆみ 247巻6号, 584-586 (2013);
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サバイバーの時代 “地域におけるがん患者仲間同士の支えあい” 7
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医学のあゆみ 247巻6号, 587-589 (2013);
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 247巻6号, 565-566 (2013);
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神経内科学
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医学のあゆみ 247巻6号, 566-567 (2013);
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皮膚科学
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医学のあゆみ 247巻6号, 568-569 (2013);
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