Volume 247,
Issue 12,
2013
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あゆみ 花粉症―研究と治療の進展
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1201-1202 (2013);
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1203-1207 (2013);
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CD4 陽性T 細胞は,B 細胞の分化成熟および抗体産生の誘導といった他の細胞の機能誘導を行うことからヘルパーT 細胞とよばれ,細菌やウイルスなどの微生物病原体の感染から宿主を守る細胞集団である.一方で,ヘルパーT 細胞の量的・質的異常はさまざまな自己免疫疾患や気管支喘息などのアレルギー性疾患の原因となりうる.アレルギー性疾患のなかでもアレルギー性気道炎症はマウスを用いた疾患モデルが確立しており,精力的な研究が行われている疾患のひとつである.近年の研究結果から,アレルギー性気道炎症の発症にはさまざまな免疫細胞が関与していることが明らかになってきた.本稿では,それらの細胞でもとくにヘルパーT 細胞に注目し,近年あらたに同定された多様なヘルパーT 細胞サブセットがアレルギー性気道炎症の病態形成にどのように関与しているかを概説する.さらに,気道炎症の慢性化に深く関与しているメモリーT細胞について近年得られた最新の知見を中心に紹介する.
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1208-1212 (2013);
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好塩基球は末梢血白血球のわずか0.5%を占めるにすぎない極少の免疫細胞集団であるが,進化的に多くの動物種で保存されており,その存在も古くから知られている顆粒球の一種である.しかし,アレルギーの原因細胞として注目されていたマスト細胞と共通した特徴が多いため,好塩基球はマスト細胞のバックアップ的存在であると考えられ,好塩基球にユニークな機能が備わっているとはあまり考えられてこなかった.ところが,近年,好塩基球を対象とした研究解析から好塩基球はマスト細胞とはまったく異なる固有の機能を有した免疫細胞であることがわかってきた.生体内において好塩基球はTh2 型反応のキープレーヤーとして働くことがわかってきており,アレルギー疾患をはじめ,さまざまな炎症においてこの細胞が関与していることもわかってきている.
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1213-1218 (2013);
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鼻粘膜は気道において最初に環境外来因子と接する部位であり,生体防御機構におけるファーストディフェンスラインとしてきわめて重要な役割を果たしている.なかでも気道上皮細胞は機械的なバリア機能だけではなくさまざまな外部の刺激に応じ,サイトカイン,ケモカインを放出することによって炎症のコンダクターとして働いていることが最近の研究によってわかってきた.とくにアレルギー炎症において気道上皮は肥満細胞や樹状細胞をはじめとした炎症細胞との間に綿密なサイトカインネットワークを形成し,積極的に病態の形成に関与するという報告があいついでおり,この分野における研究は黎明期を迎えている.近年,鼻粘膜上皮細胞から放出されるIL-33,TSLP,IL-25 が花粉症の発症や悪化に深く関与するという研究データが示されており,Th2 炎症を誘導する炎症細胞との相互作用の詳細も徐々に解明されつつある.本稿では,気道上皮由来のサイトカインが花粉症の病態形成にどのように関与するのか,著者らの研究結果も含め概説し,今後の展望についても解説する.
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1219-1224 (2013);
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従来,IgE は鼻粘膜から離れたリンパ組織で産生され,鼻粘膜に移動すると考えられてきた.しかし,近年アレルギー性鼻炎において鼻粘膜局所でIgE が産生されていることが明らかとなってきた.IL-4 などのTh2サイトカインとCD40 リガンドの刺激を受けると,B 細胞はスギ花粉などの抗原結合部位を保持しながら重鎖の定常領域をスイッチすることにより特異的IgE 抗体を産生する.また,近年これまで非アレルギー性鼻炎と考えられてきた症例のなかで,鼻粘膜局所に原因となる抗原に対する特異的IgE が証明され,鼻誘発テストで陽性となるものの,血中IgE や皮膚テストでは陰性である患者群が認識されるようになり,local allergicrhinitis(LAR)とよばれるようになってきた.これら局所でIgE が産生されることの意義については不明な点が多いが,血清総IgE 値に比べて局所でのIgE の存在は疾患特異性が高いと考えられ,今後は局所でのIgE 抗体産生を念頭において診療を行うことが望まれる.
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1225-1229 (2013);
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アレルゲン免疫療法は高い割合での症状改善と治療終了後も効果の持続が期待でき,アレルギー性鼻炎の自然経過を改善し根本治療となることが期待できる現在唯一の治療法である.原因抗原による症状を抑制するだけでなく,さらに新規抗原に対する感作の抑制効果や,喘息の発症を予防する効果も期待できる.近年,重篤な副作用が少なく安全性の高い舌下免疫療法が開発され,ヨーロッパを中心に普及が進んでいる.国内ではスギ花粉症に対する舌下免疫療法の治験が終了し,その効果と安全性が確認されたことから,現在,保険適応がまたれている.また,治療効果を客観的に判定するバイオマーカーや効果を早期に予測するマーカーは治療の普及や患者の負担軽減に有用であり確立へ向けた研究も進められている.
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1231-1238 (2013);
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花粉症に対する薬物治療には初期治療と発症後治療がある.とくに初期治療,すなわち症状が本格化・重症化する前のシーズン早期に治療を開始する治療法に関しては,スギ花粉の自然曝露あるいは人工曝露を利用したプラセボ対照二重盲検比較試験によるエビデンスの集積が進みつつある.これまでに抗ヒスタミン薬,抗ロイコトリエン薬および鼻噴霧用ステロイド薬については,複数の臨床試験によって初期治療の有効性と安全性が示されている.一部の抗ヒスタミン薬については花粉の本格飛散後早期からの初期治療でも効果を示す可能性が示されるようになった.一方,エビデンスの解釈においては統計学的な有意性のみならず,臨床医療的に意味のある結果であるか吟味する必要がある.現在,各種疾患のエンドポイントについて臨床的に意味のある最小の差(Minimal clinically important difference:MCID)が調べられている.花粉症においては,フェーススケールの最小変動をアンカーとした場合,アレルギー日記の総症状スコアでのMCID は約1.5(1 項目あたり約0.3)となった.
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1239-1244 (2013);
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リポソームワクチンはスギ花粉症の根本治療を目的に開発された.リポソームはリン脂質とコレステロールで形成される脂質二重膜の人工カプセルで,ワクチンには活性成分として不変ナチュラルキラーT(iNKT)細胞リガンドのアルファ・ガラクシルセラミド(α-GalCer)化合物が脂質二重膜に埋め込まれている.iNKT 細胞はさまざまなサイトカインを産生し,IgE 抗体産生の抑制に働くヘルパーⅠ型T(Th1)細胞や制御性T(Treg)細胞の分化を誘導する.また,リポソームワクチンの免疫抑制応答にスギ花粉に対する特異性をもたせるため,リポソーム内腔には組換えスギ花粉抗原(Cryj1/2 融合蛋白質)が封入される.リポソームワクチンの開発はα-GalCer 含有リポソームとCryj1/2 融合蛋白質の2 つの成分に分けて進められている.α-GalCer 含有リポソームはアメリカFDA の希少病用医薬品の指定を受け,血液癌患者を対象とする骨髄移植後GVHD の予防薬として第Ⅰ相臨床試験を開始している.リポソームワクチンは花粉症以外のさまざまな免疫疾患への応用が可能である.
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【ayumi TOPICS】
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1245-1246 (2013);
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連載
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初学者のための医療経済学入門 8
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1253-1259 (2013);
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一部のがん治療について“規模の経済”が働くことが,大阪府立成人病センターがん予防情報センターの分析で検証されている.諸外国では“量的効果”仮説が実証的に分析されてきたが,こうした先行研究はわが国では少ない.そこで日本の病院から患者データを回収して,経皮的冠動脈形成術(PTCA)症例数と急性心筋梗塞(AMI)患者の医療成果との間に一定の相関があるかどうかを検証した.その結果は,病院レベルでは量的効果は観察されなかったが,医師については有意な量的効果が認められた.しかし,その関係は非線形であり,症例数が多いほど医療成果がよくなるのは一定の症例数までである.同様に,歯科医についても“齲蝕治療”において一定の量的効果が認められた.これに対して他の医師からの波及効果あるいは病院全体の“組織としての技術”の証拠は見当たらなかった.これは,わが国ではよい同僚やチームワーク,経験を積んだ指導者などからの外部効果は,症例数と従来無関係だったことを示唆するものである.
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フォーラム
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近代医学を築いた人々 24
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1261-1261 (2013);
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ノーベル化学賞 2013
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1262-1263 (2013);
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社会の“痛み”を癒す―ケアの心理と病理 8
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1264-1267 (2013);
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1268-1269 (2013);
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1270-1273 (2013);
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TOPICS
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生化学・分子生物学
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1247-1248 (2013);
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神経内科学
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1248-1250 (2013);
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皮膚科学
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医学のあゆみ 247巻12・13号, 1250-1251 (2013);
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