Volume 248,
Issue 2,
2014
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あゆみ mTORと悪性腫瘍
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医学のあゆみ 248巻2号, 119-119 (2014);
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医学のあゆみ 248巻2号, 121-127 (2014);
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ラパマイシン標的蛋白質であるmTOR(mammalian target of rapamycin)は,腫瘍で変異がみられる癌遺伝子や癌抑制遺伝子産物のシグナルの下流に位置する一方,細胞増殖,細胞周期や蛋白質・脂質代謝を調節する分子の発現や,血管新生を誘導する転写因子HIF1,オートファジーなどのシグナルの上流に位置する.種々の癌組織においてさまざまな癌遺伝子や癌抑制遺伝子の変異の結果,mTOR キナーゼ活性が亢進している.現在,ラパマイシン誘導体,mTOR キナーゼ阻害薬やPI3K/mTOR 同時阻害薬が開発され,抗癌剤としての有用性が期待されている.本稿では,mTOR の上流および下流シグナル経路と発癌メカニズムとの関連性,およびmTOR 阻害薬の開発について概説する.
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医学のあゆみ 248巻2号, 129-132 (2014);
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近年,肺癌における分子標的治療薬の開発はめざましい進歩を遂げている.わが国でもEGFR やEML4-ALK などのいくつかの分子を標的にした治療薬が承認され,すでに実地診療で使用されている.しかし,これらの分子標的治療薬の恩恵を受ける患者はその一部であること,たとえ奏効した患者でも一定の期間を経て薬剤耐性を示すことがつぎのあらたな課題である.肺癌患者の多くではPI3K/Akt/mTOR 経路が活性化し,その上流に位置するチロシンキナーゼ受容体阻害薬耐性などに関与していることから,腫瘍細胞の生存・増殖や腫瘍血管の新生作用に深くかかわるmTOR は有望な治療標的と期待されている.本稿では肺癌領域におけるmTOR を標的としたあらたな治療薬開発の現状や薬剤耐性後の治療標的としての可能性などについて,これまでに報告された前臨床試験および臨床試験の成績を中心に概説する.
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医学のあゆみ 248巻2号, 133-137 (2014);
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mTOR(mammalian target of rapamaycin)は,乳癌においてはエストロゲン受容体(ER)などさまざまなシグナルとクロストークをしながら腫瘍増殖にかかわっている.このクロストークがホルモン療法耐性やトラスツズマブ耐性にかかわっていると考えられている.これまでに乳癌ではシロリムス,テムシロリムス,エベロリムスといったmTOR 阻害剤が開発されている.これらの薬剤のうち,乳癌で有効性が示されているのはエベロリムスのみである.エベロリムスはアロマターゼ阻害剤に耐性となったホルモン受容体陽性乳癌ではエキセメスタンとの併用で,HER2 陽性乳癌のファーストライン治療ではトラスツズマブおよびビノレルビンとの併用で,有効性が示された.
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医学のあゆみ 248巻2号, 138-140 (2014);
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進行肝細胞癌に対する全身化学療法としてソラフェニブが承認され,世界的に標準治療薬となっている.しかし,ソラフェニブ不応症例,不耐症例に対する二次治療薬は存在しない.これらの患者に対してはソラフェニブとは異なる作用機序を有する新規分子標的薬が有効である可能性があり,PI3K-AKT-mTOR 経路はその標的のひとつである.肝細胞癌においてはmTOR 阻害薬エベロリムスの開発治験が行われたが,第Ⅲ相試験の結果はNegative であり,エベロリムス単剤としての進行肝細胞癌に対する臨床応用は難しくなった.一方で,臨床的にはmTOR 阻害剤(シロリムス)の肝移植後の肝細胞癌再発抑制効果の報告がみられ,免疫抑制剤の付加効果としてのmTOR 阻害剤の有効性が期待されている.また,TACE の補助化学療法としてのmTOR阻害剤の有効性をみる臨床試験がいくつか行われており,従来の治療の補助療法としての可能性が期待されている.
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医学のあゆみ 248巻2号, 141-145 (2014);
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卵巣癌は女性の癌死の原因として第5 位に位置づけられている癌であり,過去30 年間で5 年生存率は36~46%と改善は認められているものの,現在でも難治性悪性腫瘍のひとつである.その理由として,腹腔内臓器であるゆえ自覚症状に乏しく,約75%の症例で転移・播種を伴う進行癌として診断される点,症例によりさまざまな組織像・臨床像を呈する点,化学療法に対する抵抗性を獲得しやすい点があげられる.そのため分子標的治療薬をはじめとするあらたな治療戦略が求められている.卵巣癌においてはPTEN/PI3K/AKT/mTOR シグナルの異常が20~40%存在していると推定されるが,mTOR 阻害剤の臨床試験において効果は予想されたほどではなかった.本稿では卵巣癌の分類,それぞれのPTEN/PI3K/AKT/mTOR シグナル異常について述べ,mTOR 阻害剤の臨床試験から浮かび上がった課題について述べる.
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医学のあゆみ 248巻2号, 147-151 (2014);
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わが国において進行性腎癌治療は,1987 年にインターフェロンα(IFN-α),1999 年にインターロイキン2(IL-2)といったサイトカインによる治療が開始されてきたが,その有効性,忍容性,簡便性の観点からはより有用性の高い治療法が切望されていた.そこに分子標的治療薬が現れ,わが国においては2008 年に2 つのVEGER TK(I vascular endothelial growth factor receptor tyrosine kinase inhibitor)が,さらに2010年に2つのmTOR 阻害剤(molecular target of rapamycin inhibitor)が1),その後2012 年に次世代のVEGER TKI であるアキシチニブが保険収載され2)使用可能となった.本稿では,おもにmTOR 阻害剤の現状と課題について概説する.
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医学のあゆみ 248巻2号, 152-156 (2014);
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多くの造血器悪性腫瘍において,PI3K-AKT 依存的あるいは非依存的経路の活性化によるmTOR シグナルの亢進がみられる.また,本シグナルは白血病治療の標的としても注目されている.最近,mTOR シグナル関連分子の遺伝子改変マウスの解析が進み,造血幹細胞の未分化性維持および血球分化など,造血組織の恒常性制御において本シグナルの繊細なチューニングがきわめて重要な役割を果たしていることが明らかとなった.また,白血病の生存・増殖などのmTOR 依存性は細胞種により大きく異なることも判明しつつある.このような組織・細胞特異性や活性阻害時の適応反応など,mTOR シグナルはがんの特性を制御する重要な経路であると考えられる.本シグナルの理解はがん病態の本質に迫ることにつながり,将来のがん治療法の開発に寄与すると考えられる.
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連載
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初学者のための医療経済学入門 9
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医学のあゆみ 248巻2号, 163-169 (2014);
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わが国では10 年前からドクターフィーをつくろうとする動きがあるが,はたして現行の診療報酬点数表は医師の技術料を適正に反映しているのであろうか.現行の診療報酬点数表(手術料)と外科系学会社会保険委員会連合(外保連)試案において対応可能な1,185 項目について両者に相関関係があるか否かを調べたところ,強い相関(相関係数r=0.9396)があることが判明した.しかし,その倍率には相当開きがあり,4.0~4.5 倍が最頻値であった.さらに,眼科,一般外科,整形外科の3 診療科について,①現行の診療報酬点数表,②外保連試案の手術報酬,③RBRVS の関係を調べると3 つの診療報酬体系には一定の相関があった.国情が異なるので,単純比較は危険であるが,診療報酬体系の抜本的見直しと併せて適正な医師の技術料評価を真剣に議論すべき時期が来たといえる.
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フォーラム
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医学のあゆみ 248巻2号, 171-173 (2014);
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パリから見えるこの世界 24
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医学のあゆみ 248巻2号, 174-178 (2014);
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社会の“痛み”を癒す―ケアの心理と病理 9
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医学のあゆみ 248巻2号, 179-182 (2014);
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TOPICS
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再生医学
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医学のあゆみ 248巻2号, 157-158 (2014);
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医学のあゆみ 248巻2号, 158-159 (2014);
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生化学・分子生物学
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医学のあゆみ 248巻2号, 159-160 (2014);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 248巻2号, 161-162 (2014);
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