Volume 248,
Issue 6,
2014
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あゆみ がん疼痛に対する鎮痛薬の進歩
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医学のあゆみ 248巻6号, 433-433 (2014);
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医学のあゆみ 248巻6号, 435-439 (2014);
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世界保健機関(WHO)が提唱するWHO 方式がん疼痛治療法の1st step の薬剤として,長らく非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)が選択されてきたが,わが国において2011 年1 月からアセトアミノフェン(APAP)の用量が拡大され,高用量での使用が可能となり,がん疼痛に対しても海外同様の使用が可能となった.札幌医科大学附属病院(当院)における使用量や緩和ケアチーム介入患者での使用動向をみても,APAP は1st stepにおける薬剤として第一選択とされるケースが増加している.APAP は末梢性の抗炎症効果はもたず中枢性に作用するため,NSAIDs のような消化器症状や心血管系の副作用がなく,安全性の高い薬剤といえる.さらに,APAP 高用量使用が認められたことで,NSAIDs に引けをとらない除痛効果をもたらすと期待され,NSAIDs の有害事象を回避する目的でもAPAP 使用例数が伸びていくことが十分予想される.今後は症例を積み重ねることで長期投与に関する安全性を確立していく必要がある.
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医学のあゆみ 248巻6号, 440-444 (2014);
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オピオイド鎮痛薬はがん性疼痛に対するWHO 3 段階鎮痛ラダーでも第2,3 ステップの薬剤に位置づけられ,がん患者のQOL 改善に大きく寄与してきた.第2 ステップの弱オピオイド鎮痛薬に位置づけられるトラマドールは,μオピオイド受容体完全作動薬としての作用に加え,セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害作用による疼痛下行性抑制系の賦活作用を有し,さらに精神依存の発現が非常に少ないことから,他のオピオイド鎮痛薬とは明らかに異なる有用性が期待できる.強オピオイド鎮痛薬でもコントロールに難渋する疼痛に対してトラマドールを併用することによって鎮痛効果が強化されることが示されており,トラマドールは終末期がん性疼痛だけでなく,がん治療期の痛みに対しても認容性が高く,また,薬理作用としてがん治療自体を支持する効果が期待されている.
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医学のあゆみ 248巻6号, 445-452 (2014);
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2013 年,わが国でもモルヒネ,オキシコドン,フェンタニルの注射剤・徐放製剤・速放製剤のすべてが使用可能となった.オキシコドンは腎機能障害患者,高齢者,神経障害性疼痛・骨転移痛患者や,モルヒネに対する副作用や拒否感が強い場合などに積極的使用されている.このような症例で,徐放錠から同一製剤の注射薬に切り替えることが可能となったことは,治療効果・医療安全の面からその意義は大きい.しかし,生体内利用率が高いため,切替え時の換算には注意が必要である.また,short acting opioids とは異なるrapid onsetopioids,フェンタニル口腔粘膜吸収剤が導入されたことで,予測不能な突出痛への速やかな対応が可能となった.しかし,タイトレーションにより至適レスキュー量を決定する,レスキュー使用回数が1 日4 回,1回最大投与量800μg まで,などの用法用量に注意が必要である.種々のオピオイドが導入されてきたが,それぞれの特徴や使用法の留意点を考慮し適正使用を心がけることが大切である.
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医学のあゆみ 248巻6号, 453-457 (2014);
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2012 年,わが国においてメサドン製剤が薬価収載され,現在臨床でも使用量が増加している.しかし,メサドンは非常に特徴的な薬物であり,実際の使用においては深い知識と繊細な注意が要求される.そこで本稿ではメサドンを安全かつ適正に使用するべく,薬物の特徴を慎重に整理しながら概説したい.一方,メサドンを加えた新規オピオイドローテーションをより効果的に行うためには,個々のオピオイドの特徴を正確にとらえる必要がある.近年,同じμオピオイド作動薬であるのにもかかわらず,個々の薬物の薬理学的プロファイルが異なることが重要視されてきている.こうした背景を踏まえて,本稿では,μオピオイド作動薬の薬物特異的プロファイルについて概説したい.
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医学のあゆみ 248巻6号, 459-463 (2014);
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メサドンはわが国においても2012 年9 月に製造承認を得て,すでに使用が可能となっている.しかし,血中半減期が長く調節性に乏しいことに起因する呼吸抑制の可能性,QT 延長といった,生命を脅かす可能性のある副作用など安全面で危惧する声も多い.したがって,流通管理下の全例調査のもとに,わが国で開発に携わった医師を中心とした安全委員会の作成したe-learning を受講し,それに伴う試験に合格した医師のみを処方可能医師と認定する方式をとっている.しかし,メサドンは,NMDA 受容体拮抗薬の作用を合わせもつ,強力な鎮痛効果をもつオピオイドであり,これまで緩和できなかったがん性神経障害性疼痛患者のすべてではなくとも,かなりの割合の患者に対して福音をもたらす可能性がある.適正使用にあたっては,その薬理作用,実際の使用にあたってのオピオイドローテーションにおけるポイントなど,知っておくべきことが多い.適正使用に向けて,そのメリットを最大限に生かすために,現場での医師,薬剤師を中心としたチームによるマネジメントが必要である.
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医学のあゆみ 248巻6号, 464-468 (2014);
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がん疼痛においてキーとなる薬剤はオピオイドであり,このオピオイド導入においては,眠気,悪心・嘔吐,便秘が3 大副作用とされており,しっかりとした副作用対策が必須であると強調されている.この点に関してはオピオイドが非がん性慢性疼痛にも適応が拡大されたことで,さらに重要性を増していると考える.なかでも便秘に関しては,オピオイドを経口投与した場合,腸管がつねにオピオイドに曝露されることになり,恒常的な便通対策が必要であるとされている.今日まで,便通対策に関しては浸透圧下剤と大腸刺激性下剤の2 種類をうまく併用する対応が推奨されてきたが,最近になってあらたな機序をもつ緩下剤(ルビプロストン)が登場した.ルビプロストンはクロライドチャネルアクチベータとよばれ,腸液の分泌を促すことで便性を軟化させ腸管内輸送を促し便通の改善が見込める薬剤であり,がん患者でのオピオイド誘発性便秘に有効性が十分期待できると考える.本稿では札幌医科大学附属病院での臨床使用状況も含めて,ルビプロストンを中心にオピオイド誘発性便秘(OIC)に関する対策を概説する.
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シリーズ談vol.7
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医学のあゆみ 248巻6号, 481-490 (2014);
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連載
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初学者のための医療経済学入門 12
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医学のあゆみ 248巻6号, 473-479 (2014);
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セルフメディケーションの代表例としてOTC 医薬品,ワクチン,PET がん検診を題材に社会経済の視点からその現状と課題を考察した.まず,OTC 医薬品については国民の約6 割が医学的にみて賢明な選択をしていることがわかった.かりに残り4 割が正しい受療行動をとると,国民一人当り1,854 円のコストが節約可能である.つぎにOTC 医薬品より予防効果が大きいとされるワクチンだが,任意接種の普及が世界的にみて遅れている.ちなみにわが国と類似した社会保険方式を採用しているフランスやドイツでは費用対効用が高いことから,ワクチンの医療保険の給付対象にしている.これに対してわが国は障害と疾病のみに限定しているため,ワクチンは原則,被接種者の自己負担で自治体の財政力によって助成されるという“ワクチン格差”が生まれている.今後は一定の経済評価に加えて国策的見地からのワクチン政策が求められる.そして最近急増しているPET がん検診だが,一定の悪循環に陥っている.その理由はPET の保険点数が低いため,その赤字は自由診療であるPET がん検診による穴埋めを余儀なくされ,これがかえってPET 施設の過当競争と効率性の低下を招いたからである.今後は保険診療の範囲内で健全経営が可能な水準まで,現行の保険点数を引き上げる必要がある.
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フォーラム
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パリから見えるこの世界 25
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医学のあゆみ 248巻6号, 491-495 (2014);
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TOPICS
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生化学・分子生物学
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医学のあゆみ 248巻6号, 469-470 (2014);
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麻酔科学
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医学のあゆみ 248巻6号, 470-471 (2014);
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神経精神医学
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医学のあゆみ 248巻6号, 471-472 (2014);
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