Volume 248,
Issue 12,
2014
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あゆみ 炎症と神経変性
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医学のあゆみ 248巻12号, 879-879 (2014);
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医学のあゆみ 248巻12号, 881-886 (2014);
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神経傷害部位における活性化したミクログリアの集簇(ミクログリオーシス)は多くの神経疾患に共通の病理学的特徴であり,慢性的な神経炎症が神経変性の主要な病態機序である一証拠とされている.最近,活性化ミクログリアのギャップ結合ヘミチャネルから放出される過剰量のグルタミン酸が神経炎症や神経変性の病態形成に重要な役割を担っているという知見が,脳卒中,炎症性神経疾患,てんかん,神経変性疾患など数多くの神経疾患において得られてきている.また,神経変性の中枢神経系の細胞間のギャップ結合を介して傷害された細胞からの死のシグナルが,周囲の細胞に波及・伝播することで病巣の拡大をきたし,傷害された細胞からの放出因子が炎症細胞の浸潤を惹起し,さらなる神経炎症を形成していく悪循環が想定されている.ギャップ結合・ヘミチャネルの阻害は神経炎症の悪循環を断ち切る,神経疾患のあらたな治療法として有望であると考えられる.
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医学のあゆみ 248巻12号, 887-890 (2014);
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那須・ハコラ(Nasu-Hakola)病は,Trem2 遺伝子またはDAP12 遺伝子の機能喪失変異による多発骨囊胞と白質脳症を主体とする稀少常染色劣性遺伝疾患である.2013 年,そのTrem2 遺伝子の一塩基変異が,代表的な神経変性疾患であるAlzheimer 病発症のリスク上昇に有意に関連しているという論文が発表された.Trem2 の発現や機能についてはいまだ解明されていない部分が多く,今後それらが明らかにされれば,Trem2はAlzheimer 病の新規治療標的となる可能性がある.
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医学のあゆみ 248巻12号, 891-896 (2014);
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TAR-DNA binding protein(TDP)-43 を主要な構成成分とする細胞質内封入体を蓄積する家族性の前頭側頭葉変性症(FTLD)の原因として,プログラニュリンの遺伝子変異が報告された.プログラニュリンの異常がTDP-43 の蓄積や神経変性を誘起していることが考えられるが,いまだその機序は解明されていない.プログラニュリンは脳内において神経細胞とミクログリアでおもに発現しており,これらの細胞の機能調節に関与している.ミクログリアは脳内の主要な免疫担当細胞として重要な役割を果たしているが,一方でミクログリアの過剰な活性化は神経細胞を傷害することが知られている.著者らは,ミクログリアに発現するプログラニュリンがリソソームの生合成を制御し,その過剰な活性化を抑制することを見出した.本稿では活性化ミクログリアにおけるプログラニュリンの役割を中心に,プログラニュリンと神経炎症の関係についての研究の現状を紹介したい.
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医学のあゆみ 248巻12号, 897-900 (2014);
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Alzheimer 病(AD),筋萎縮性側索硬化症(ALS),Parkinson 病(PD)などの神経変性疾患の病態進行・増悪において,グリア細胞の関与する慢性炎症が寄与することが近年の研究により明らかになりつつある.PD 分子病態と免疫学的機序の関連については,疾患発症そのものとの因果関係の確証は得られていないものの,いくつかの炎症性サイトカイン/細胞外α-synuclein によるミクログリア活性化が病勢進行に重要な役割を果たすことが,疾患モデル動物,患者剖検脳,および生体試料の検討から明らかになりつつある.本稿では炎症のPD 分子病態への関与について,臨床的エビデンスと実験的エビデンスに分けて最新の知見をレビューし,著者らの検証結果を加えてまとめる.
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医学のあゆみ 248巻12号, 901-905 (2014);
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筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)においてグリア細胞の活性化やT 細胞の浸潤が病理学的に認められるが,近年の研究成果によりALS 病態へのグリア細胞やT 細胞の積極的な関与が示されている.これらの細胞群により神経炎症が惹起され,ミクログリアによる神経栄養因子や炎症性サイトカインの産生,アストロサイトによるグルタミン酸のクリアランスの低下や傷害因子の放出といったさまざまな機能的変化が生じ,運動ニューロン変性に関与すると考えられる.活性化ミクログリアには神経保護と神経傷害の二面性が存在し,それを制御する細胞群としてT 細胞の重要性も示されている.さらに著者らは,ミクログリアやT 細胞による神経保護性の炎症反応の制御因子としてアストロサイト由来のTGF-β1 の重要性を見出した.このようなグリア細胞やT 細胞が関与する病態機序の解明を通じ,これらの細胞群を標的とした治療法の開発が期待される.
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医学のあゆみ 248巻12号, 907-911 (2014);
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Alzheimer 病やParkinson 病など中枢神経の特定の神経細胞が脱落していく神経変性疾患では,脳内における炎症の進行が神経細胞死を招く重大な要因になっていることが示唆されている1).疫学研究によれば,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期使用者はAlzheimer 病の罹患率が低いとされているが2),ヒト臨床研究から得られたデータは一貫しておらず,詳細なメカニズムや治療のターゲットとしての有用性についてはいまだわからない点が多い.最近著者らは,脳内における神経炎症の役割を明らかにするために,NSAIDs を11C標識したPET プローブを開発し,神経炎症時のミクログリアの活性化をイメージングすることに成功した3,4).本稿では,このNSAIDs による神経炎症のPET 分子イメージングについて紹介する.
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連載
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エコヘルスという視点 1
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医学のあゆみ 248巻12号, 919-925 (2014);
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本連載では21 世紀における新しい健康概念になるであろう“エコヘルス”について紹介する.近代においては,社会の発展とともに近代科学の一部としての医学とそれに依拠した近代医療が発展した.医学・医療の発展と並行して,近代以前の儒教的な“養生”に代わって,客観的・科学的・普遍的な“健康”概念が導入された.健康概念の導入は医学・医療によって病気を予防・治療し,健康を増進させるという方法を社会に定着させ,その方法によって健康転換と人口転換(「サイドメモ」参照)が推進された.その結果,日本をはじめとした先進諸国では多くの人が長寿を謳歌できるようになった.しかし,健康転換が進むと医療による健康改善の効果は逓減し,医療費が高騰し,その持続可能性が疑問視されだした.先進国と発展途上国,富者と貧者の健康格差も縮まらず,先進国モデルが途上国に馴染まないことも明らかになった.また,地球規模の環境破壊は人びとの生存を脅かすまでになった.そこで健康転換後の21 世紀には健康観そのものを見直す必要が生じた.そのひとつの候補が環境・社会・健康を一体としてとらえるエコヘルスである.エコヘルス概念の深化は21世紀における世界観の構築にも寄与するであろう.エコヘルスの特徴は,①医学を中心にしながらも他領域を広範に統合するアプローチの重視,②地域ごと,生態系ごとの健康の多様性の重視,③その多様性を包括した地球レベルでの統合の重視の3 点に要約される.本連載ではその紹介をしたうえで,さまざまな学問領域の専門家にエコへルス研究の可能性を語ってもらう予定である.
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フォーラム
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医学のあゆみ 248巻12号, 927-928 (2014);
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医学のあゆみ 248巻12号, 929-930 (2014);
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ゲノム人類学の最先端 3
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医学のあゆみ 248巻12号, 931-933 (2014);
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医学のあゆみ 248巻12号, 935-936 (2014);
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医学のあゆみ 248巻12号, 937-942 (2014);
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TOPICS
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病理学
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医学のあゆみ 248巻12号, 913-914 (2014);
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産科学・婦人科学
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医学のあゆみ 248巻12号, 914-915 (2014);
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耳鼻咽喉科学
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医学のあゆみ 248巻12号, 916-917 (2014);
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