Volume 249,
Issue 4,
2014
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あゆみ メタボローム解析の進歩
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医学のあゆみ 249巻4号, 285-285 (2014);
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医学のあゆみ 249巻4号, 287-292 (2014);
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近年,生体内の分子を網羅的に測定するオミックス測定技術を活用したバイオマーカーの探索研究が盛んである.本稿では,簡便に採取できる唾液を用いて口腔癌の検査方法を開発する研究を紹介する.とくに,マーカー探索のためのさまざまな分析技術と,ここから得られる大規模データの統計,およびデータ解析技術のノウハウを紹介する.マーカー探索の対象として,分子群としては多くの研究例が報告されているmRNAや蛋白質,さらに著者らが取り組んできた代謝物と呼ばれる低分子の研究例を対象とする.
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医学のあゆみ 249巻4号, 293-297 (2014);
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2014 年1 月の国会においてメンタルチェック義務化法案が提出されたように,わが国における精神疾患患者の増加は重大な問題となっている.一方,実際の医療現場での診断は患者の問診票と医師による面接結果によって決定される場合が多く,どちらも個人の主観に左右されやすいという問題を含んでいる.そのため,精神疾患診断においては血液診断のような客観的で,かつ簡便な診断法の開発が望まれる.本稿では,精神疾患における疾患診断マーカーを中心とし,一部にコンパニオン診断(CoDx)マーカーに関して述べる.
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医学のあゆみ 249巻4号, 299-303 (2014);
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日本国民の半数以上が日常から疲労・疲労感を自覚しており,40%が6 カ月以上続く疲労,すなわち慢性疲労に悩まされている.また,そのなかには日常生活に重篤な支障をきたす原因不明の慢性疲労症候群(CFS)患者も含まれている.著者らは疲労時の代謝病態を明らかにするために,疲労負荷した実験動物モデルを作成し,生体代謝において重要な肝を対象にメタボローム解析を実施した.また,代謝病態がCFS 診断の指標のひとつとなるのではないかと考え,CFS 患者の血漿を対象にメタボローム解析を実施し,診断バイオマーカーの探索を行った.こうした網羅的代謝物解析から,エネルギー代謝および尿素回路を中心とした疲労特有の代謝病態(疲労代謝回路)を見出した.疲労代謝回路研究は疲労関連疾患の客観的診断技術をもたらすだけでなく,疲労の予防・治療に資する食薬開発にもつながるものと期待される.
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医学のあゆみ 249巻4号, 305-310 (2014);
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ヒトの腸内には多種多様な腸内細菌が生息しており,それら腸内細菌叢は宿主と相互作用することで複雑な腸内生態系,すなわち腸内エコシステムを形成している.腸内エコシステムの恒常性がヒトの健康維持・増進に大きく寄与していることが近年明らかになりつつあるが,逆に腸内細菌叢のバランスが崩れることで腸内エコシステムが大きく乱れると,腸管関連疾患や全身性疾患につながることも報告されている.したがって,腸内細菌叢をひとつの臓器としてとらえ,その機能を理解し制御することが,あらたな疾患予防・健康維持戦略として重要と考えられる.近年,とくに腸内細菌叢の16S rRNA 遺伝子の網羅的解析やメタゲノム解析,さらにはメタトランスクリプトーム解析により,腸内細菌叢の遺伝子機能に関する研究は盛んに行われている.しかし,腸内細菌叢による宿主への直接的な作用を理解するうえで重要な鍵を握るのは,腸内細菌叢から産生される種々の代謝物質と考えられる.本稿では,腸内細菌叢由来の代謝物質が宿主の健康状態をどのように左右するのか,メタボロミクスによる全容理解に向けた近年の取組みについて紹介する.
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医学のあゆみ 249巻4号, 311-317 (2014);
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本稿では低分子量の代謝物質を対象とした分子イメージング法として,イメージング質量分析(IMS)を紹介する.質量分析を検出原理としたこのイメージング法は,生体組織切片または培養細胞において多種多様な代謝物質の局在を一挙に可視化するユニークなものである5).近年,試料調整のプロトコール開発が進むとともにイメージング可能な分子種が拡大し,ATP/ADP/AMP のようなエネルギー代謝にかかわるヌクレオチドから有機酸,アミノ酸,さらにはペプチドといった多くの代謝分子種をカバーするに至った(図1).これに加えてキャピラリー電気泳動質量分析(CE-MS)を用いたメタボロミクスの手法で得られる網羅的な代謝物定量データと相互補完することで,局所のエネルギー代謝の変化を視覚的に提示することができる.最近ではとくに医学・生物学分野において,この分析パッケージを用いた動物個体の疾患代謝(たとえば神経興奮毒性,虚血や低酸素)の研究が成果をあげている6-8).
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医学のあゆみ 249巻4号, 318-322 (2014);
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生体内には多くの種類の脂肪酸が存在し,その質の違いや代謝バランスの変化が,さまざまな炎症・代謝性疾患の背後に潜む重要な要素であることが示唆されている.本稿では液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析計(LC-MS/MS)による脂肪酸代謝物の包括的メタボローム解析システムについて概説し,そこから明らかになった脂肪酸代謝系による炎症の制御機構について,さらにn-3 系脂肪酸由来の抗炎症性代謝物について最近の知見を紹介する.
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医学のあゆみ 249巻4号, 323-328 (2014);
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拡張型心筋症(DCM)は難治性疾患に指定され,心臓移植しか根本的治療法がないことから,その進行を止める薬物療法の開発が望まれる.本稿ではDCM の動物モデルであるJ2N-k ハムスターについて,著者らの心筋組織に関する脂質メタボローム解析の成果を概説するとともに,最近の論文報告を紹介する.J2N-k の左心室心筋組織では,健常対照であるJ2N-n に比べて,DCM 発症前に細胞膜機能の変化を示唆する特定の脂肪酸側鎖を有するグリセロリン脂質の相違を,発症後ではグリセロリン脂質に加え,β酸化機能の低下を示唆する多くのトリアシルグリセロール分子種の顕著な減少や心臓保護作用などを有する複数のアラキドン酸のシクロオキシゲナーゼ代謝物の増加を認めた.ヒト血液の解析でも特徴的な変化が報告されており,DCM のメタボローム解析により得られた知見は,DCM の診断,発症機序の解明,およびあらたな創薬標的の同定に有用と考えられる.
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医学のあゆみ 249巻4号, 329-332 (2014);
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疫学研究へのメタボローム解析の適用は疾患の発生機序の理解とともに,バイオマーカー探索に有用であると期待が寄せられている.また,ゲノム解析と組み合わせた多層オミックス研究により環境要因と遺伝要因の相互作用への理解も可能となる.2011 年以降,疫学研究でも妥当性の高いデザインであるコホート研究の枠組みを利用し,メタボローム解析によって代謝プロファイリングを行った結果,リスク予測へとつながる事例がみられつつある.今後,個別化予防医療や健康増進,あるいは重症化予防の実現へ向け,さらなる発展が期待される.
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連載
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エコヘルスという視点 4
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医学のあゆみ 249巻4号, 341-347 (2014);
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人口学は人口静態および人口動態の法則性の研究とヒトの集団について数の増減を指標として用いる多様な研究からなる.人口学の視点からみると,現代の地球において約72 億人,今後2050 年までに96 億人に達すると予測されている地球人口は,①途上国での増加が大きい,②都市部の増加が大きい,③感染症のパンデミックにより激減する可能性がある,④地球の人口支持力から考えるとエコロジカル・フットプリントを小さくしなくては支えきれない,⑤人口増加率を下げる過程では高齢化が起こる可能性が高く,そのことが疾病構造をさらに変化させる可能性がある,⑥資源枯渇によりカタストロフを起こす可能性がある,といった特徴をもつ.環境と感染症と人口の関係のモデル分析により将来予測を行い,さまざまなシナリオの対策効果を見積もり人びとの健康を守るうえでの公衆衛生学的な資源配分やインフラ整備を効果的に計画するためにも,人口学的な研究の進展が求められる.
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フォーラム
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第78 回日本循環器学会学術集会レポート 1
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医学のあゆみ 249巻4号, 349-351 (2014);
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成人先天性心疾患(ACHD)は内科外科の進歩により長期生存が可能となったが,加齢に伴い心不全や不整脈などの合併症を伴うことが少なくない.心不全の病態は後天性心疾患の心不全と類似しており,成人先天性心疾患は慢性心不全症候群ともよばれる.ACHD の心不全は肺動脈下あるいは体心室右室機能不全が特徴的であり,治療法は確立していない.術後創部,人工材料,疾患ごとに特有の血行動態や心不全の合併により,不整脈も臨床的に大きな問題である.上室性頻拍や徐脈性不整脈の合併が多く,心室頻拍は突然死を生じる場合もある.修復術後例に心室再同期療法,植込み型除細動器治療も行われているが,再手術(外科的不整脈治療を併用することも多い)が広く行われている.術後の継続的な肺高血圧やEisenmenger 症候群もACHD に特徴的である.Eisenmenger 症候群はチアノーゼによる全身系統的合併症がみられ,罹病率も高い.しかし,最近は肺血管拡張療法が用いられ,生命予後が改善することが期待されている.このシンポジウムではACHD に認められる長期遠隔期の合併症を取り上げ,その病態と実態を明らかにし,それに基づいた最新の管理治療法に関する討論が行われた.
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ゲノム人類学の最先端 6
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医学のあゆみ 249巻4号, 353-356 (2014);
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医学のあゆみ 249巻4号, 357-358 (2014);
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医学のあゆみ 249巻4号, 359-364 (2014);
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TOPICS
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循環器内科学
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医学のあゆみ 249巻4号, 333-334 (2014);
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消化器内科学
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医学のあゆみ 249巻4号, 335-337 (2014);
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脳神経外科学
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医学のあゆみ 249巻4号, 338-339 (2014);
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