Volume 249,
Issue 13,
2014
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あゆみ 子宮内膜症・子宮腺筋症治療の新展開
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医学のあゆみ 249巻13号, 1281-1281 (2014);
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子宮内膜症
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医学のあゆみ 249巻13号, 1283-1288 (2014);
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子宮内膜症の病巣および疼痛に対して内分泌療法が有効であるが,短期間の治療ではしばしば再発する.再燃を長期間抑制するためには内分泌療法を長期間継続する工夫が必要である.Gn-RH アゴニスト(Gn-RHa)は,もっとも治療効果が高い反面,その低エストロゲン症状に由来する骨塩量低下を防ぐために6 カ月以内に投与を中止する必要がある.そこで,エストロゲンを同時に投与しながらGn-RHa を長期に投与するアドバック療法がある.Gn-RHa 先行投与法は,Gn-RHa に引き続き低用量ダナゾール,中用量/低用量経口避妊薬・低用量エストロゲン-プロゲスチン製剤,あるいはジエノゲストを長期間にわたって投与する方法であり,Gn-RHa によってもたらされた疼痛の抑制を維持する.Gn-RHa 先行投与後のジエノゲスト療法は,ジエノゲスト投与初期の不正子宮出血量を減少させる.アロマターゼ阻害剤はプロゲスチン,低用量経口避妊薬,Gn-RHa との併用により,排卵周期を抑制しながら投与する.
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医学のあゆみ 249巻13号, 1289-1292 (2014);
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子宮内膜症性卵巣囊胞に対する腹腔鏡下摘出術後において,1~5 割の高い再発率が報告されている.再発・再手術による妊孕性の低下が問題となるため,再発抑制治療が望まれていた.当科では2005 年5 月より,術後患者のうち希望者に低用量エストロゲンプロゲスチン製剤(LEP)を使用する治療方針を導入した.術後24 カ月時点でLEP 服用を継続した患者,途中で中止した患者,まったく服用しなかった患者の再発率は1.9%,15.0%,32.8%であった.LEP を継続して服用した群とそれ以外の群を比較し,再発の相対危険度は0.064 であり,術後LEP 服用は低い再発率に関連する独立した因子であることが示された.同様の結果は諸外国からも報告され,ガイドライン上も推奨されるに至っている.LEP は忍容性が高く長期服用に向くが,血栓症を引き起こすことが問題である.血栓症の危険性がないジエノゲストの再発抑制効果の報告も散見されており,今後LEP との効果の比較が期待される.術後薬物療法の継続期間に関してはいまだ統一した見解がなく,今後薬物治療中止後の再発状況の解析により検討する必要がある.
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医学のあゆみ 249巻13号, 1293-1297 (2014);
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子宮内膜症に対する治療には薬物療法と手術療法があり,不妊症を合併する場合は生殖補助医療を含む不妊治療を組み合わせていくことになる.子宮内膜症の病変は大きく,①腹膜病変,②卵巣チョコレート囊胞,③深部内膜症に分類されるが,卵巣に発生するチョコレート囊胞は卵巣卵管周囲の癒着を伴い不妊症の原因となることも多く,手術に際し卵巣機能を障害するリスクがあり,妊孕能温存の観点から対応に苦慮することも少なくない.チョコレート囊胞に対しては囊胞摘出術が囊胞壁焼灼術に比べ,術後妊娠率,再発率などの点で有利とされるが,近年,チョコレート囊胞摘出術が卵巣予備能を低下させることが注目され,機能温存の観点から手術適応,術式,止血法などが再評価されつつある.
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医学のあゆみ 249巻13号, 1298-1302 (2014);
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わが国の疫学調査により,臨床的卵巣子宮内膜症性囊胞(チョコレート囊胞)から0.72%の頻度で癌化(とくに明細胞腺癌と類内膜腺癌)すること,とくに45 歳以上で,サイズの大きい囊胞(6 cm 以上)が癌化しやすいことなどが報告された1).発癌機序は,子宮内膜症で繰り返される出血に含まれる鉄による酸化ストレス(鉄のフェントン反応とヘモグロビンの自動酸化)が内膜症細胞の遺伝子変異をもたらすことにより,前癌病変を介して卵巣癌が発生すると考えられている.本稿では,酸化ストレスによる発癌メカニズム,臨床的に癌化を見逃さないコツ,治療の要点について概説する.
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医学のあゆみ 249巻13号, 1303-1306 (2014);
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近年,子宮内膜症の発症にエピジェネティクス異常が関与していることが報告されている.とくにヒストン修飾については研究が進んでおり,ヒストンのアセチル化によって発現が亢進している遺伝子としてG protein-coupled estrogen receptor,steroidogenic factor-1,hypoxia-inducible factor-1 α,脱アセチル化によって発現が抑制されている遺伝子としてestrogen receptor α,homeobox A10,CCAAT/enhancer-bindingprotein α,death receptor 6,p16INK4a,p21Waf1/Cip1,p27Kip1,cell cycle checkpoint kinase 2,E-cadherinが報告されている.Histone deacetylase 阻害剤は,ヒストンの脱アセチル化を抑制することにより子宮内膜症に対して治療効果を示すことが確認されており,今後の臨床応用が期待されている.
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医学のあゆみ 249巻13号, 1307-1311 (2014);
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子宮内膜症の病因・病態についてはいまだ不明な点が多いのが現状である.そこで,著者らはin vivo 実験を中心に内膜症研究を続けてきた.ヒト子宮内膜の分散細胞を重度免疫不全マウスの腎被膜下に移植すると内膜様組織が再生され,エストロゲン投与により長期間増殖し,ホルモンの周期性投与に反応し周期的な月経現象が起こる.このことより,子宮内膜における組織幹細胞の存在が強く示唆され,正所性内膜には異所性に内膜再構築を行うポテンシャルがあることも判明した.また,再生された内膜様組織からの新生血管は,マウス腎実質の毛細血管と吻合することでキメラ血管をつくり血流を得ていることが示された.一方で,子宮内膜幹細胞の研究より,内膜幹細胞は腺上皮細胞や間質細胞以外にも血管内皮細胞に分化することが明らかになった.内膜症の発症・進展に血管新生は必須であると考えられ,それには子宮内膜のもつユニークな血管新生能力が寄与している可能性がある.これら幹細胞や血管新生をターゲットにした新規治療が期待される.
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子宮腺筋症
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医学のあゆみ 249巻13号, 1312-1315 (2014);
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子宮腺筋症はその発生原因がいまだ明らかにされていない婦人科疾患であり,卵巣ホルモンに依存し経年的に進行する疾患のひとつと考えられている.従来は生殖期年齢を過ぎた40~50 代以降が好発年齢帯であると考えられていた.しかし,近年の晩婚化による卵巣ホルモン曝露年数の増加やMRI 画像診断能力の向上がみられるなか,より若い年齢帯で診断されるようになっており,不妊との関連もさまざまな観点から指摘されている.著者らは,MRI 上の病巣局在部位の違いにより子宮腺筋症をいくつかのタイプに分類できることを報告し,あわせて手術療法の治療成績を検討してきた.子宮腺筋症は診断時の年齢が妊孕性の低下してくる年齢と重なることから,現時点では十分な治療成果を期待できないことも多い.子宮腺筋症の早期診断が,子宮腺筋症を有する女性に対する不妊治療の成績を向上させる鍵になると考えられる.
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医学のあゆみ 249巻13号, 1316-1324 (2014);
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子宮腺筋症は子宮内膜が子宮筋層内にびまん性に浸潤した病態で,重症例では月経痛や過多月経のために長期にわたるホルモン療法や鎮痛薬の服用を余儀なくされ,最後には子宮摘出に至る場合もある.子宮腺筋症の治療には対症療法としてホルモン療法が行われてきたが,最近では妊孕能温存を目的とした新しい手術が試みられている.子宮腺筋症摘出術後には一定の臨床症状の改善は認められるが,術後の合併症として縫合不全,創部の菲薄化などがあり,術後妊娠例に子宮破裂,癒着胎盤など周産期管理上の問題が提起されている.著者は重症子宮腺筋症に対して子宮腺筋症の徹底的な摘出を行い,月経痛や過多月経などの臨床症状の改善のみならず妊孕性温存,とくに妊娠に耐えうる子宮壁の再建を目的とした子宮筋3 重フラップ法による子宮腺筋症手術療法を開発してきた.
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連載
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エコヘルスという視点 10
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医学のあゆみ 249巻13号, 1331-1336 (2014);
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人類生態学は人間集団とその生存環境との相互作用を調べる学問である.人間の健康を考える際に,生態系の健康という視点からとらえるという意味において,人類生態学はエコヘルスとの共通点を多くもっている.両者の違いはおもに研究の進め方である.人間の生態系を把握するために,エコヘルスが強調しているのは,トランスティシプリンのチームワークである.これまでの人類生態学の重点は個人による総合調査研究であった.しかし,個人総合研究のスタイルは,生態系の全体的把握や,対象集団の近代化につれて生まれてきたさまざまな健康問題に対してうまく対応できていない面もある.このような局面を打開するために,人類生態学研究にはトランスティシプリンの研究スタイルを導入する必要がある.本稿では,エコヘルス研究の経験を通して今後の人類生態学の進め方を考えてみる.
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フォーラム
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ゲノム人類学の最先端 12
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医学のあゆみ 249巻13号, 1337-1339 (2014);
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医学のあゆみ 249巻13号, 1341-1342 (2014);
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医学のあゆみ 249巻13号, 1343-1346 (2014);
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 249巻13号, 1325-1326 (2014);
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癌・腫瘍学
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医学のあゆみ 249巻13号, 1326-1327 (2014);
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糖尿病・内分泌代謝学
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医学のあゆみ 249巻13号, 1328-1329 (2014);
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