Volume 252,
Issue 3,
2015
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あゆみ 重粒子線がん治療Update
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医学のあゆみ 252巻3号, 215-215 (2015);
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医学のあゆみ 252巻3号, 217-221 (2015);
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◎頭頸部領域のがん治療では,根治性はもとより機能や整容性の維持が重要な治療選択因子となるため,放射線治療はとくに期待される治療法である.頭頸部の固形悪性腫瘍としては扁平上皮癌がもっとも多いが,放射線治療や化学療法の感受性が比較的良好であり,近年化学放射線治療の発展により治療成績の向上がみられる.その一方で,扁平上皮癌以外の悪性腫瘍の多くは放射線治療抵抗性であり,手術困難あるいは手術拒否の場合,根治が期待できる治療法はないのが現状である.通常の放射線(X線)と比較して高い生物学的効果と線量集中性を併せもつ重粒子線治療は,これら放射線抵抗性腫瘍に対して機能温存をはかりつつ根治をめざすことが可能である.これまでに腺様囊胞癌,悪性黒色腫,肉腫,脊索腫などの非扁平上皮癌に対して有望な治療成績を示してきた.本稿ではこれら疾患の治療成績,また今後の課題について概説する.
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医学のあゆみ 252巻3号, 223-226 (2015);
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◎手術によって根治が期待できるⅠ期非小細胞肺癌であっても,手術ができない,あるいは希望しない症例がある.このような患者に対して安全で確実な治療を開発することが,肺癌死亡を低減させるために重要な課題である.当院における肺癌に対する重粒子線治療は1994年11月から開始され,2012年12月までにのべ1,304名に行ってきた.末梢型Ⅰ期肺癌に対しては治療期間を6週間(18回分割照射)から3週間(9回分割照射),1週間(4回分割照射)としだいに短縮した.2003年から2012年にかけて1日で照射を終了する1回照射の線量増加試験を行い,36 GyE以上では5年局所制御率がT1で85.0%,T2では71.2%という結果を得た.中枢気道の早期扁平上皮癌や気管支外に腫瘤を形成する肺門部近接型肺癌,局所進行肺癌に対しても良好な局所制御が得られており,重粒子線治療は手術ができない患者にとって手術に代わりうる局所療法として,肺癌死亡の低減に貢献すると考える.
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医学のあゆみ 252巻3号, 227-232 (2015);
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◎膵癌に対する唯一の根治治療は手術であるが,診断時に切除不能な進行膵癌として発見されることが多く,切除可能であったとしても術後の再発率は高く,難治癌のひとつである.放射線医学総合研究所(放医研)では,2003~2011年に切除可能膵癌に対する術前短期重粒子線治療,および2007~2012年に切除不能局所進行膵癌に対するゲムシタビン(GEM)併用重粒子線治療の線量増加試験が行われた.術前短期重粒子線治療では手術合併症を増加させることなく局所再発のリスクを低減するとともに,生命予後に寄与することが示唆された.局所進行膵癌に対する重粒子線治療ではfull dose GEM併用で安全に治療可能であり,局所制御,生命予後を向上させることが示唆された.今後の照射技術の進歩によりさらなる線量増加,治療成績向上が期待される.
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医学のあゆみ 252巻3号, 233-237 (2015);
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◎重粒子線(炭素イオン線)治療は1994年に臨床利用がはじまり,2014年で20年を迎える.これまで通算8,000例以上が治療を受け,なかでも前立腺癌治療症例は2,000例を超え,疾患別では当施設でもっとも多く治療されている.初期は線量増加試験から徐々に症例数を増加して一定の効果を示したことで,2003年秋に高度先進医療(現:先進医療)に認定された.有償の先端医療となったものの,患者増加は衰えることなく治療選択肢のひとつとして現在も定着しつつある.従来よりも少ない副作用で悪性度の高いがんにも高い効果が示され,年々出されるあらたなエビデンスによっても治療実績が裏づけられている.そのはじまりから今日までの歩みを本稿で解説する.
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医学のあゆみ 252巻3号, 238-242 (2015);
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◎重粒子線治療の施設が増加し,ようやく複数の施設が参加する共同研究を実施する環境が整ってきた.多施設共同研究により高いレベルでの臨床研究が進捗すると予想され,粒子線治療の有用性がこれまで以上に明確となることが期待される.実際に,2014年度になって重粒子線治療実施中の4つの施設が,前向き臨床研究の推進を目的とした研究グループ(J-CROS)を設立した.具体的な臨床研究の実施はこれからであるが,すでに物理的な線量比較などの作業ははじめられており,データベースの準備など下地は整いつつある.重粒子線治療の有用性が明確な放射線感受性の低い腫瘍はもとより,罹患率の高いがんでも,多施設共同研究を行うことで効率的に高いレベルで重粒子線の有用性を証明できるものと考えられる.そのさきには本格的な普及の可能性もあり,さらに小型化が進んで,より多くの患者が容易に粒子線治療の利点を享受できる日が来ることが望まれる.
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医学のあゆみ 252巻3号, 243-248 (2015);
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◎放射線医学総合研究所(以下,放医研)では,これまでの重粒子線治療装置に関する臨床運用の経験および研究開発の成果に基づき,治療成績のさらなる向上をめざすために,360度最適な方向から腫瘍の日々のサイズ・形状変化に合わせて重粒子線照射を行えるあらたな治療装置の研究開発を行ってきた.この研究開発のなかでは,呼吸同期照射が可能な高速三次元スキャニング照射装置,あらたな生物モデルに基づいた高精度スキャニング治療計画装置,超伝導電磁石を使用した重粒子線回転ガントリー装置,治療時間を短縮化するための自動X線患者位置決め装置,金属マーカーを必要としないX線透視型呼吸同期装置,効率のよいワークフローを実現する治療管理システムなどが開発されてきた.これらの技術は,放医研にあらたに建設された新治療研究棟の治療室に順次導入され,臨床に使用されはじめている.本稿では,これら最近の研究開発成果の概要を紹介する.
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医学のあゆみ 252巻3号, 249-254 (2015);
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◎重粒子線に陽子線もあわせた粒子線がん治療の研究はすでに60年以上に及ぶが,世界初の医用施設である1991年のアメリカ・ロマリンダ大学の陽子線治療施設と1994年の放射線医学総合研究所の重粒子線がん治療装置(Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba:HIMAC)の建設からはまだ20 年あまり,そして量産型の施設の稼動からは10年あまりしか経過していない.陽子線では商用機の開発が1990 年代末から行われ,それらの普及は2000年代半ばからようやく進んで現在,6社が世界シェアを分けている.一方,重粒子線では2010年に群馬大学,2013年に九州国際重粒子線がん治療センター,2014年に上海市の施設が稼動し,商用機の普及の緒についたといえる.本稿では重粒子線がん治療施設の普及について,その歴史と現状,今後の展望について報告する.
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連載
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iPS細胞研究最前線―疾患モデルから臓器再生まで 12
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医学のあゆみ 252巻3号, 260-266 (2015);
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◎生殖細胞系譜は次世代に遺伝情報を伝達する役割を担う細胞系譜である.その起源は雌雄ともに始原生殖細胞(Primordial germ cells:PGCs)であり,その発生過程で体細胞系譜への分化抑制,潜在的多能性の再獲得,そしてエピゲノムリプログラミングが起こる.これらの現象はPGCsに特徴的であるが,その分子機構および生物学的意義については不明な点が多い.本稿では,マウス多能性幹細胞からエピブラスト様細胞を経てPGC様細胞を誘導する体外培養系について詳説する.本培養系で誘導した雌雄のPGC様細胞はそれぞれ卵母細胞と精子へと分化し,次世代の個体発生に寄与することが示された.この培養系を利用し,PGCs運命決定および発生機構の解析を行った結果,T,Blimp1,Prdm14などの遺伝子の寄与が明らかとなった.最後に,これまでマウスにおいて蓄積された知見からヒトPGCsの体外培養系を用いた誘導についても展望する.
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フォーラム
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近代医学を築いた人々 36
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医学のあゆみ 252巻3号, 267-267 (2015);
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医学のあゆみ 252巻3号, 268-269 (2015);
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医学のあゆみ 252巻3号, 270-272 (2015);
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TOPICS
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細胞生物学
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医学のあゆみ 252巻3号, 255-256 (2015);
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生化学・分子生物学
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医学のあゆみ 252巻3号, 256-257 (2015);
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加齢医学
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医学のあゆみ 252巻3号, 258-259 (2015);
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