Volume 252,
Issue 8,
2015
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あゆみ 膵癌診療Update
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医学のあゆみ 252巻8号, 849-849 (2015);
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医学のあゆみ 252巻8号, 851-856 (2015);
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◎高品質の研究試料を収集する目的で,“迅速解剖プログラム”がアメリカでは行われている.そのプログラムを活用することで,さまざまな臨床学的・ゲノム生物学的な膵がんの特徴が解明されてきた.膵がんは診断時と同様に,解剖時にも,①全身転移型(約70%)と,②局所破壊型(約30%)に分類できる.そのキーとなる遺伝子はSMAD4である.さらに,同一患者の原発巣や転移巣の遺伝子変異シグネチャーを比較することで,膵がんのゲノムの進化が明らかとなった.その後に他のがん腫でのゲノムの進化に関する論文があいつぎ,それらと比較しその進化を“木(幹と枝)”にたとえることで(Trunk-branch hypothesis),がんゲノムの進化が各種のがん腫の臨床的特徴を強く反映し,それを理解するうえできわめて重要であることが判明した.膵がんにおけるTrunk mutationは,KRAS,CDKN2A/p16,TP53,SMAD4 の4つの主要な遺伝子が含まれ,その後にBranch mutation を蓄積しながらがんクローンは進化し系統樹のなかで枝分かれしていく.しかし,他のがん腫と比較すると,膵がんではBranch mutation として既知の重要なDriver遺伝子の変異が起こることはまれである.これらの所見は膵がんが太い幹(Trunk)と細い枝(Branch)で構成されるがん腫であり,膵がんが難治がんである所以である.
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医学のあゆみ 252巻8号, 857-860 (2015);
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◎膵癌早期診断の現状と新しい取組みと展望を概説する.これまで日本の消化器医は比較的多くのモダリティーを用いて,径1cm未満の小膵癌(TS1a 膵癌)を発見すべく努力をしてきたものの,日本膵臓学会30年間のデータではTS1a膵癌の割合はわずか0.8%であった.こうした現状を打破すべく,膵癌早期診断に向けてpublic には「膵癌診療ガイドライン2013」による診断アルゴリズムが提唱され,individual では血液,唾液のトランスレーショナルリサーチやERCP や超音波内視鏡(EUS)による膵液や採取組織を用いた早期診断の検討が行われており,今後が期待される.
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医学のあゆみ 252巻8号, 861-865 (2015);
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◎膵癌の画像診断では,腫瘍の同定,他疾患との鑑別ならびに腫瘍の進展度診断が重要である.いずれにも造影剤を急速静注した後に撮影するMDCTを用いた造影ダイナミックCTが有用である.本稿では,膵癌の診断のためのMDCTの撮影法と進展度診断を中心に解説する.
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医学のあゆみ 252巻8号, 867-871 (2015);
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◎膵癌は全悪性腫瘍のなかでももっとも予後不良の悪性腫瘍であり,他の消化器癌と同様に,長期生存のためには手術による腫瘍の完全切除が必須である.外科的切除の対象となる膵癌は遠隔臓器に転移を伴わない症例が対象であるが,膵周囲には上腸間膜静脈・門脈,上腸間膜動脈,腹腔動脈,肝動脈などの重要血管が存在するため,これら重要血管に浸潤する膵癌は局所進行膵癌と呼称され,外科的切除の効果が期待できない症例も多く存在する.したがって,術前に血管浸潤を主とする局所の進行度を判定し,根治的手術が可能かどうかを評価することは,手術により非根治切除となり長期予後を期待できない患者群を除外するうえでもきわめて重要である.膵癌の局所進行度の分類としては,National Comprehensive Cancer Network(NCCN)の膵癌切除可能性の判定基準が全世界で頻用されているが,血管合併切除などの拡大手術を施行してきたわが国においては,NCCN による膵癌切除可能性分類では不十分とする意見も多い.本稿では,NCCNによる膵癌切除可能性分類を紹介するとともに,わが国独自の切除可能性分類についても私見であるが提案する.
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医学のあゆみ 252巻8号, 873-879 (2015);
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◎膵癌において手術は長期生存が期待できる唯一の治療法であるが,術後生存期間中央値は約20カ月,5年生存率20%前後と不良で,切除単独による治療成績向上には限界がある.このためさまざまの補助療法が試みられ,大規模な臨床試験を経て,S-1,ゲムシタビン,5FUなどによる術後化学療法の有効性については高いエビデンスが存在している.補助療法としてはこれら薬剤の使用が推奨されるが,新規レジメンによる治療を行う場合には臨床試験として有効性を検証していくことが望ましい.近年,腫瘍内のhENT1発現程度によりゲムシタビン治療効果に有意差があることが報告され,膵癌でも他癌腫同様,バイオマーカーに基づいた個別治療の道が開きつつある.一方,課題として膵切除術後は合併症の発生や体力回復の遷延のため,補助療法の実施率,完遂率が低いことがあげられ,今後は術前治療を含む,有効性とfeasibility の高い補助療法の開発が望まれる.
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医学のあゆみ 252巻8号, 881-886 (2015);
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◎局所進行膵癌は切除先行では治療成績に限界があるため,近年では化学(放射線)療法を手術に先行して施行する施設が増加してきている.局所進行膵癌は局所切除可能境界(BR)膵癌と局所切除不能(UR)膵癌に分けられ,切除可能性分類の定義は各施設により異なるが,上腸間膜動脈,腹腔動脈および門脈と腫瘍の解剖学的な位置関係から,ほぼ一定の見解に近づきつつある.BR 膵癌に対しては術前化学(放射線)療法が用いられてきており,治療成績の向上に寄与する可能性がある.UR膵癌に対しては,化学(放射線)療法が奏功した症例に膵切除が可能となる症例,いわゆるadjuvant surgery が報告されてきているが,症例選択など十分な検討が必要である.
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医学のあゆみ 252巻8号, 887-892 (2015);
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◎切除不能膵癌患者に対して化学療法を行う際は,長らくゲムシタビン(GEM)が標準治療薬であったが,現在はGEM に加え,S-1,GEM+エルロチニブ,GEM+ナブパクリタキセル,FOLFIRINOX が一次治療の選択肢として提案できるようになった.これらはいずれも,GEM をコントロールアームにしたランダム化比較第Ⅲ相試験にて全生存期間の非劣性あるいは優越性が証明された治療である.膵癌に対しては有効な薬剤が限られていることが長年の課題であったため,近年の治療選択肢の増加はたいへん喜ばしいことである.しかし,個々の患者が選べる一次化学療法はひとつしかないため,臨床の場ではあらたな悩みが生じている.複数の選択肢のなかからその患者にとって適切と思われる治療を選択するためには,それぞれの治療のリスクベネフィットを十分に検討し,それを患者がよく理解していることが重要である.
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連載
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iPS細胞研究最前線-疾患モデルから臓器再生まで 15
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医学のあゆみ 252巻8号, 899-903 (2015);
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◎人工多能性幹細胞(inducible pluripotent stem cells:iPS細胞)とは,京都大学の山中らによって樹立された体細胞より誘導可能な多能性幹細胞の一種である.疾患をもつ患者から血液や皮膚線維芽細胞などの体細胞を採取し,これらからiPS細胞を樹立すると(疾患iPS細胞),このiPS細胞を患者の罹患細胞へ分化させることにより患者由来のさまざまな分化細胞を得,疾患解析や創薬へ応用することができる.血液・免疫疾患の解析にiPS細胞を用いるためには,iPS細胞樹立以外に血球細胞,つまり造血前駆細胞や成熟血球(白血球・赤血球・血小板)を分化させる系や機能解析系を確立する必要がある.すでに,骨髄不全症,遺伝性貧血,先天性免疫不全,白血病,自己炎症性疾患などさまざまな疾患でiPS 細胞が樹立され,解析例が報告されている.本稿では,疾患特異的iPS細胞を用いた解析に適した血球分化系の開発とそれを用いた血液・免疫疾患に対する疾患特異的iPS細胞を用いた研究について紹介する.
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輝く 日本人による発見と新規開発 13
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医学のあゆみ 252巻8号, 905-908 (2015);
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フォーラム
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近代医学を築いた人々 37
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医学のあゆみ 252巻8号, 909-909 (2015);
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 252巻8号, 893-895 (2015);
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加齢医学
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医学のあゆみ 252巻8号, 895-896 (2015);
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臨床検査医学
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医学のあゆみ 252巻8号, 896-897 (2015);
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