Volume 252,
Issue 10,
2015
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【3月第1土曜特集】 心筋症Update
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医学のあゆみ 252巻10号, 991-991 (2015);
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心筋症分類の変遷
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医学のあゆみ 252巻10号, 995-1002 (2015);
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◎心筋症は心筋に病変の首座がある一連の疾患を包含する概念と考えられる.しかし,その概念,定義,分類は時代とともに大きく変遷してきており,そのため臨床の現場に混乱をもたらしている側面がある.病因がしだいに明らかになってきたことに加えて,遺伝子解析や遺伝子工学,免疫学による研究が進んだことが背景にある.最近発表されたアメリカ心臓学会(AHA)とヨーロッパ心臓病学会(ESC)の分類には大きな相違がある.
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心筋症の病態解明方法の進歩
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医学のあゆみ 252巻10号, 1005-1014 (2015);
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◎原因不明の心筋機能異常に基づく疾患として定義されていた特発性心筋症には,肥大型心筋症(HCM),拡張型心筋症(DCM)などの病型がある.心筋症は家族性に発症することが知られており,その病因が遺伝子異常であることが判明している.これまでの研究で明らかになった原因遺伝子は多種多様であるが,心筋収縮要素,Z帯要素,I帯要素,筋膜要素,筋小胞要素,核膜要素などの心筋細胞の機能発現や,機能維持にかかわる要素をコードする.病因変異による機能異常は,筋収縮のカルシウム(Ca)感受性制御異常,ストレッチ反応異常,シグナル伝達異常,エネルギー代謝反応異常などに分類されるが,HCM変異とDCM変異では機能異常の様態が異なっている.また,病因変異そのものの治療ではなく,変異がもたらす機能異常を制御することで,心筋症の発症遅延が可能であることが動物モデルで示されている.さらに,心筋症病態の性差をもたらすメカニズムとして,男性ホルモンによる心筋リモデリング異常亢進の関与が示唆されている.
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医学のあゆみ 252巻10号, 1015-1019 (2015);
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◎心筋症に対する病態解明や診断・治療法の確立などの課題が未解決である.これらの課題を解決するため,心筋症に対する臨床・基礎研究が行われている.そのひとつのアプローチとして,心筋症患者から摘出した不全心筋における分子の発現程度を網羅的に調べるオミックス研究が進められ,特にマイクロアレイを用いたトランスクリプトームが精力的に行われてきた.最近では解析技術の進歩とともに,プロテオーム,エピゲノム,メタボロームなどのさまざまなオミックス研究が行われている.蛋白の発現レベルを解析するプロテオーム解析は病態,診断,治療に直結するため,期待されている.本稿では心血管疾患,中でも心筋症におけるプロテオーム解析に焦点をあて概説する.
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医学のあゆみ 252巻10号, 1021-1026 (2015);
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◎拡張型心筋症(DCM)は厚生労働省の難治性疾患に指定され,現在,心臓移植に至る理由としてもっとも多くなっている.DCMの発症機序はまだよくわかっておらず,病態メカニズムの解明が強く望まれている.本稿では,DCMモデル動物であるJ2N-kハムスターの心筋組織中の親水性代謝物をメタボローム解析した結果について紹介する.DCMの心筋組織においては,エネルギー産生の停滞による心臓のポンプ機能の減弱,酸化ストレスの増大,一酸化窒素産生ならびに尿素回路機能の低下を示唆するような結果が得られた.これらの現象がヒトでもあてはまるかは今後の研究が必要であるが,DCMの診断法の開発や新規治療標的の同定に役立つのではないかと考えている.
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医学のあゆみ 252巻10号, 1027-1031 (2015);
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◎心筋症は,心筋の構造異常により心臓の機能低下をきたし心不全を呈する疾患の総称である.とくに重篤例では心臓移植が唯一の治療法となる深刻な病気であり,病態解明や治療法開発が求められている.これまでに,分子遺伝学的解析により多くの原因遺伝子が同定され,自然発症マウスモデルの探索に加え,遺伝学的知見をもとにした遺伝子改変技術により多数のマウスモデルがつくられてきた.本稿では,さまざまな遺伝子変異により生じる心筋症に対応したマウスモデルの一覧を示すとともに,著者らが独自に開発した拡張型心筋症モデルマウスが,発症率100%であり,ヒトの拡張型心筋症の多くの症状を呈し,あらたな視点からの病態解明に役立ち,さらに治療法開発にも有効に利用されていることを紹介する.
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医学のあゆみ 252巻10号, 1032-1036 (2015);
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◎体細胞から多能性幹細胞(誘導多能性幹細胞:iPS細胞)を作成する技術が開発され,iPS細胞から分化誘導した細胞を利用することで再生医療や創薬研究,病態解析研究などのさまざまな分野の研究が発展することが期待されている.心筋症は,心機能障害を伴う心筋疾患と定義されている難治性疾患である.ゲノム異常が原因で心筋細胞に起こる異常のために発症することが推測されているが,その病態については不明な点が多く,病態に根ざした治療薬の開発は進んでいない.心筋症患者の心臓から心筋細胞を単離して体外で培養し,解析することは倫理的・技術的に不可能であったことから,心筋症患者からiPS細胞を作成し,そこから分化誘導した心筋細胞を解析することで心筋症の病態解明と治療薬開発が飛躍的に進むのではないかと考えられる.
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心筋症診断の現状
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医学のあゆみ 252巻10号, 1039-1046 (2015);
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◎病理学的な心筋症の診断は経カテーテル的心内膜心筋生検(EMB)で行われ,通常は右室から採取されることが多い.ほかには外科手術的に採取されるサンプル,剖検時などがある.心筋症はWHO/ISFC合同委員会では“心機能障害を伴う心筋疾患”と定義1)され,①原因不明の原発性(DCM,HCM,RCM,ARVC,分類不能)と,②原因または全身疾患との関連が明らかな二次性(虚血性,弁膜症性,高血圧,炎症性,代謝性,薬剤性や蓄積病など)に大別される.特徴的な所見から容易に診断できる例もあれば,非特異的で評価困難な例も少なくない.EMBは有益な検査である反面,侵襲的であり得られる検体は少量であることから,診断には既往歴・家族歴などの病歴や,臨床画像などの情報が非常に重要である.また,剖検は死後の検査となるが,剖検ではじめて明らかになる二次性心疾患も少なくなく,本稿では剖検例も含めて心筋症を概説する.
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医学のあゆみ 252巻10号, 1047-1054 (2015);
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◎心臓超音波検査は心筋症の形態異常のみならず,心機能,僧帽弁逆流,心室内狭窄や心室内血栓などの合併症も非侵襲的に評価することが可能であり,治療方針の決定や治療効果の判定にも有用である.本稿では,最近の特発性心筋症における心臓超音波評価について解説する.拡張型心筋症(DCM)の特徴的な所見は左室拡大とびまん性の壁運動低下である.左室拡張能,僧帽弁逆流,心室同期不全や右心機能の評価も重要である.肥大型心筋症(HCM)は左室の非対称性壁肥厚が特徴である.心筋の肥厚部位,心室内閉塞の有無,左室拡張能についての評価も重要である.拘束型心筋症(RCM)の特徴的な所見は左室壁肥厚のめだたない左室高度拡張障害と両心房の拡大である.収縮性心膜炎との鑑別は重要である.催不整脈性右室心筋症(ARVC)の特徴的な所見は右室の局所的または全体的な拡張や機能障害である.
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医学のあゆみ 252巻10号, 1055-1060 (2015);
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◎心臓MRI検査は,さまざまな撮影シーケンスを用いて心臓の壁運動や心機能評価,心筋の虚血診断,心筋バイアビリティ診断,心筋の組織性状などの異なる複数の情報が得られる.心不全患者においてその原因となる疾患や病態を知ることは,治療方針の決定や予後を評価する際に不可欠である.心不全を呈する心臓疾患は虚血性心筋症(ICM)だけでなく,拡張型心筋症(DCM),肥大型心筋症(HCM),心サルコイドーシス,心アミロイドーシスなどさまざまである.心不全患者の原因の特定において心臓MRI検査は確定診断への重要な一助となる.心臓MRI検査は各種心筋疾患の病態を総合的に診断・評価できるだけでなく,リスクの層別化や予後予測にも有用である.本稿では,心筋疾患の評価に欠くことのできない壁運動評価と心筋性状評価に用いられる心臓MRI 検査で必要な知識について解説する.
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医学のあゆみ 252巻10号, 1061-1067 (2015);
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◎心筋症の診断における心臓核医学検査の貢献は,第一には心筋血流イメージング法を利用したもので,合併する虚血病態の観察に基づいて重症度評価(予後評価)を行う.その代表が肥大型心筋症(HCM)への応用である.心筋症では冠動脈疾患と異なりびまん性の心筋血流障害が多いため,SPECTによる相対的な血流評価には限界があり,今後はPET による定量的局所血流量計測が重用されるであろう.第二は病態因子に特異的なイメージング法を利用して心筋症の鑑別診断を行うものである.現在のところ,心臓サルコイドーシスへの炎症イメージング(Ga-67 イメージング,F-18 FDG PET)の応用,心臓アミロイドーシスへのTc-99 m ピロリン酸(PYP)イメージングの応用に有用性が認められる.本分野はトレーサー医学としての核医学がもっとも威力を発揮する分野であり,難病とされる各種心筋症に対して効果的なトレーサー診断の技術開発が進むことに期待したい
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二次性心筋症
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医学のあゆみ 252巻10号, 1071-1075 (2015);
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◎周産期心筋症(peripartum cardiomyopathy)とは,心疾患の既往がなく,ほかに心不全を発症する原因のなかった女性が,妊娠・産褥期にあらたな心不全を発症し,拡張型心筋症に類似した病態を示す心筋症である.約1/3の症例は分娩後から約1週間の間に発症する.発症の機序はまだ不明な点が多いが,ウイルス感染の関与や16kDaの異型プロラクチン,sFLT-1,microRNA-146a,VEGF などが関与した血管新生の障害が病態形成に寄与することが報告されており,ブロモクリプチンを用いた治療や診断マーカーとしての研究が進められている.転帰としては半~1年後に約半数の症例で左室駆出率の改善を認めるが,心臓移植を必要とする症例もある.診断時の左室駆出率の低い症例は改善の可能性が低く,再妊娠時の再発のリスクが高いと考えられている.
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医学のあゆみ 252巻10号, 1076-1081 (2015);
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◎糖尿病と心不全は密接な関係にあることが以前から知られており,糖尿病患者では心不全発症率が糖尿病が合併しない心不全患者に比べ有意に高く,また生命予後も有意に不良となることが国内外で広く報告されてきている.興味深いことに,心不全の無作為大規模臨床試験のサブ解析結果から,糖尿病の合併率は心不全患者で有意に高いことも明らかとなっており,糖尿病を合併した心不全患者に対する医療介入をどのようなアプローチで行うべきかの議論が国内外で高まってきている.本稿では,基礎研究結果から徐々に解明されつつある分子メカニズムや臨床研究の現状について紹介し,二次性心筋症としての糖尿病性心筋症についての理解を深めることを目的とする.
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医学のあゆみ 252巻10号, 1082-1086 (2015);
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◎たこつぼ心筋症は,当時広島市民病院に勤務されていた佐藤光先生が1990年にはじめて報告したのがはじまりである.高齢女性に好発し,多くは身体的・精神的ストレスを背景として胸痛を訴え,冠動脈の支配領域を越えて壁運動異常が心尖部を中心に一過性に存在し,数週間の経過でほぼ正常化する.原因として交感神経緊張の関与,多枝攣縮,微小血管攣縮などが考えられている.胸部症状と心電図変化から急性心筋梗塞との鑑別がまず重要であるが,褐色細胞腫,くも膜下出血,脳出血でも類似の一過性心筋壁運動異常が知られており,それらの鑑別も重要となる.ときに心基部その他のパターンの一時的心筋障害が,“たこつぼ心筋症”の亜系として報告されている.
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医学のあゆみ 252巻10号, 1087-1092 (2015);
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◎心アミロイドーシスは,心筋細胞間質にアミロイド線維が沈着することにより心臓に形態的・機能的異常をきたした状態を示す.一般的に全身性アミロイドーシスにおいて,心病変は患者の予後規定因子として重要であることが知られている.心病変の重症度を評価することは,患者の予後予測や治療を考慮するうえで重要である.沈着するアミロイド蛋白の種類により予後は大きく異なり,とくに原発性(AL)アミロイドーシスの予後は心病変に大きく左右される.一方,非AL(non-AL)では心病変の進行が比較的緩徐で,AL に比べ心予後はよいことが多い.アミロイドーシスのタイプを明らかにすることが重要である.標的臓器,あるいは皮下脂肪,腸管生検などからアミロイド蛋白の沈着を証明することが確定診断に必要で,免疫染色や心筋シンチグラムでアミロイドーシスのタイプを知ることができる.
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医学のあゆみ 252巻10号, 1093-1100 (2015);
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◎サルコイドーシスは,全身の諸臓器に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫をきたす原因不明の炎症性疾患である.日本人における心臓病変の合併例は欧米人に比べ高く,高度房室ブロック,心室性不整脈や心不全などの臨床症状を呈し,サルコイドーシスの死因の多くを占める重要な合併症である.心サルコイドーシス(心サ症)は早期の診断と治療開始が重要であるが,心筋生検の診断感度の低さなどから診断に苦慮する例も少なくない.最近では心臓MRIやFDG-PETの有用性が報告されている.また,心臓以外の臓器にはサルコイドーシス所見を認めない心臓限局性心サ症が存在することが知られ,どのように診断するかも課題としてあげられている.治療においては,ステロイドによる免疫抑制療法に加え,心不全に対してACE 阻害薬やβ遮断薬などの薬剤や,不整脈に対して植込み型除細動器(ICD)を適切に使用することによって予後の改善が期待されている.
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医学のあゆみ 252巻10号, 1101-1105 (2015);
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◎Fabry病は,リソソーム加水分解酵素のひとつであるα-galactosidase A(α-gal A)の遺伝的異常により生じる先天性スフィンゴ糖脂質代謝異常症である.皮膚病変や消化器症状,循環器症状,腎障害,神経系の異常など,多彩な症状を呈し,多臓器障害をきたす.一方,Fabry病の亜型である心亜型Fabry病は全身の臓器障害を認めず心障害のみを呈する.Fabry 病・心亜型Fabry病ともに,酵素補充療法により根本的な治療が可能であるが,心筋の線維化を合併した心障害が進行した症例には十分な効果が望めない.そのため,いかに早期に診断・加療を行うかが重要である.
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医学のあゆみ 252巻10号, 1106-1111 (2015);
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◎近年,頻発性心室期外収縮のような頻脈誘発性心筋症のいくつかのあらたな病因も判明してきた.心機能低下は,リズムの不整や心室興奮の非同期を生じる不整脈によっても生じることから,不整脈誘発性心筋症という概念も報告されている.また,最近の心房細動や心室性不整脈に対するカテーテルアブレーションの進歩は頻脈誘発性心筋症の治療にあらたな局面を加えている.さらに,これまで予後良好と考えられていた頻脈誘発性心筋症でも再発時には突然死をきたす可能性が示唆されており,注意が必要である.
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医学のあゆみ 252巻10号, 1112-1116 (2015);
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◎化学療法の進歩に伴い,薬剤性心筋症の発症が問題となっている.アントラサイクリン系薬剤は活性酸素種の過剰産生,トポイソメラーゼⅡの機能障害により容量依存性に心筋障害を発症させ,心筋細胞死を伴う不可逆的な心筋障害をきたすことが多い.分子標的療法はチロシンキナーゼに対する薬剤が多いが,同キナーゼは心筋細胞においても多様なシグナルにかかわるため,薬剤性心筋症の原因となる.トラスツズマブは容量非依存性に心筋障害を発症させるが,薬剤中止により心機能は回復する症例も多く,再投与が可能な場合がある.化学療法剤は心筋障害以外にも高血圧や血栓塞栓,不整脈など多様な循環器合併症を起こしうることに留意する必要がある.薬剤性心筋症の治療は一般的にβ遮断薬,ACE阻害薬を中心に治療を行うが,いまだエビデンスとしては確立していない.化学療法の遂行にあたっては,がん専門医と循環器内科医の連携が重要と考えられる.
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心筋症非薬物療法の進歩
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医学のあゆみ 252巻10号, 1119-1124 (2015);
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◎心筋症が進行し重症の心不全に陥り,最大限の内科的治療および既存の外科的治療をもってしても改善しない場合の治療法として期待されているもののひとつが,補助人工心臓治療である.1990年ごろから補助人工心臓は心臓移植待機中の循環維持装置,いわゆる心臓移植への橋渡し(ブリッジ)として大きな役割を果たしてきた.2005年ごろから拍動流型ポンプから定常流ポンプが主役の時代となり,ポンプの耐久性も向上し,長期の補助が安定して行えるようになった.また,心臓移植に代わる治療のひとつとして,補助人工心臓による心臓移植代替治療(DT)にも期待が集まっている.一方,小児の心筋症に対する補助人工心臓治療は長年の問題のひとつであったが,現在の植込み型定常流ポンプは体表面積1.0 m2以上ならば使用可能であるのに加え,近年では小児用の植込み型人工心臓の開発も進みつつある.
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医学のあゆみ 252巻10号, 1125-1131 (2015);
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◎重症化した心筋症に対し心臓移植や人工心臓など,いわゆる置換型治療が積極的に行われているが,世界的にもドナー不足や合併症など課題も多い.わが国においては極端なドナー不足から普遍性のある医療には至っていないのが現状である.最近,心機能回復戦略として再生型治療の研究が盛んに行われ,自己細胞による臨床応用が開始されている.著者らは温度感応性培養皿を用いた細胞シート工学の技術により,細胞間接合を保持した細胞シート作製技術を開発し,心筋再生治療の臨床研究を開始した.さらに,iPS細胞を用いた心血管再生治療も期待され,iPS細胞の樹立をきっかけとして世界中で幹細胞研究が活性化され,iPS 細胞を用いた心血管再生医療が現実的なものとなると思われる.さらに,疾患別iPS 細胞の樹立も盛んに行われており,近い将来,自己細胞移植や組織工学的技術を駆使することにより,心臓移植や人工心臓治療とともに,再生治療による重症心筋症治療体系も確立されるであろう.