Volume 254,
Issue 13,
2015
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あゆみ NKT 細胞標的療法の新展開
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医学のあゆみ 254巻13号, 1151-1151 (2015);
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医学のあゆみ 254巻13号, 1153-1156 (2015);
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◎NKT細胞は,末梢血液単核球に占める割合が約0.01~0.1%と個人差があるものの非常に少ない分画である.抗原提示細胞上のCD1d 分子に提示された抗原を認識することで活性化され,早期の免疫応答に関与する.さらに樹状細胞の活性化などを介して獲得免疫の誘導にも影響を及ぼすため,悪性腫瘍や感染症,自己免疫疾患などにおける免疫応答に重要な働きをすることが報告されている.これらのことから,担がん患者のNKT 細胞を活性化させ,より強力な抗腫瘍効果を得るために,著者らはあらたな免疫細胞治療の開発を行っている.本稿では,頭頸部がん患者を対象としたNKT 細胞を標的とするα-GalCer パルス樹状細胞療法の安全性,NKT 細胞特異的免疫反応,臨床効果について概括する.
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医学のあゆみ 254巻13号, 1157-1161 (2015);
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◎がん細胞は,遺伝子変異によりがん化が起こるが,細胞学的背景からもがん細胞はかならずしも均一な集団ではなく,不均一性を呈することが知られている.実際,HLA を発現しているものと,欠損しているものがある.このような腫瘍細胞自身の多様性とHLA クラスⅠ分子の欠損が,がんワクチン療法を不十分にしている要因である.生体防御を担う免疫系には,抗原非特異的に初期防御を担う“自然免疫”と,細胞性免疫によって特定の抗原を認識し強力に排除する“獲得免疫”がある.自然免疫系はHLA を欠損しているがん細胞により効果的であるのに対し,獲得免疫系,とくにキラーT 細胞はHLA を発現したがん細胞に対し有効である.がん細胞を免疫回避させないためには,いかにして自然免疫と獲得免疫の両者を誘導するかが鍵である.著者らはこの両者を誘導しうる細胞ワクチンシステムとして“人工アジュバントベクター細胞”を考案し,開発研究を進めている.本稿では,この新規がんワクチンとしての“人工アジュバントベクター細胞”の概念を紹介する.
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医学のあゆみ 254巻13号, 1163-1168 (2015);
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◎NKT細胞は,CD1d により提示される脂質抗原を認識するT 細胞である.NKT 細胞は活性化後,多様なサイトカインを迅速に産生することにより感染防御反応,自己免疫反応などのさまざまな免疫反応を制御している.腫瘍免疫においてはこれを増強するtypeⅠ NKT 細胞と,抑制するtypeⅡ NKT 細胞とが,機能的に異なる亜集団として相互にその機能を制御しながら,他の免疫細胞とともに大きなネットワークを形成している.したがって,NKT 細胞亜集団間のバランスの変化は,腫瘍免疫制御における他の細胞の役割にも影響を与え,免疫制御細胞を標的とした腫瘍免疫療法の効果を変化させる.このことから,NKT 細胞の制御は腫瘍免疫療法の開発において重要な役割を担う可能性がある.さらに,NKT 細胞の制御と近年臨床開発が活発な他の免疫標的薬を組み合わせることにより,より効果的な腫瘍免疫療法の開発が期待できる.
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医学のあゆみ 254巻13号, 1169-1174 (2015);
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◎NKT細胞は脂質抗原を認識して活性化することから,脂質代謝異常症や生活習慣病とのかかわりが深いと考えられている.NKT 細胞はTh1/Th2 サイトカインをどちらも産生するため,病態形成を促進あるいは抑制するという両方の側面をもつ.その機能を左右するものは微小環境や内因性抗原の違いが考えられ,NKT 細胞を活性化する内因性抗原については多くの議論がなされている.最近では,脂肪細胞もNKT 細胞に対する内因性抗原を発現し,NKT 細胞を活性化することが報告されている.細胞特異的または疾患特異的な内因性抗原の存在が明らかとなれば,NKT 細胞を介したあらたな治療法も期待できる.本稿では,脂質代謝異常症・肥満・糖尿病・非アルコール性肝炎などとNKT 細胞の関連について,最新の報告を含めて紹介する.
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医学のあゆみ 254巻13号, 1175-1178 (2015);
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◎NKT細胞は自然免疫に関与するリンパ球で,糖脂質抗原を認識する.おもなサブセットは多様性に乏しい(invariant:i)T 細胞受容体(TCR)を発現することから,iNKT 細胞またはⅠ型NKT 細胞とよばれる.感染マウスモデルでの解析からiNKT 細胞が種々の感染症に対する防御免疫に関与することが明らかになった.また,iNKT 細胞は糖脂質抗原の認識によりインターフェロン(IFN)-γなどのサイトカインを大量に産生し,自然免疫を増強する.さらに,糖脂質抗原刺激により活性化したiNKT 細胞は樹状細胞の成熟を介して獲得免疫の誘導をもたらす.このように,iNKT 細胞は自然免疫に関与するのみならず,自然免疫と獲得免疫の橋渡し役も担うことから,iNKT 細胞を標的とした感染症治療の有効性を示唆する基礎的研究成果が報告されている.本稿では,感染防御におけるiNKT 細胞の役割について概説するとともに,感染症に対するiNKT 細胞標的治療の研究知見を紹介したい.
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医学のあゆみ 254巻13号, 1179-1183 (2015);
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◎人口の高齢化などにより,心不全患者数は増加の一途をたどっている.近年の薬物療法・非薬物療法の進歩によって心不全患者の予後は改善してきたが,長期的には患者の身体機能は徐々に低下して死に至るため,心不全はいまだに予後不良の疾患である.慢性心不全は心筋リモデリングを基盤に進行し,慢性炎症が重要な役割を果たす.著者らは,梗塞後心不全モデルマウスを用いて検討した結果,心筋に存在するNKT 細胞の機能低下が局所での慢性炎症を惹起し,心筋リモデリングが進行することを明らかにした.さらに,NKT 細胞を特異的に活性化するα-ガラクトシルセラミドを樹状細胞を担体として投与すると,心筋リモデリングの進行を有意に抑制し,心不全に対する有効性を証明した.これらの基礎的研究の成果に基づき,現在NKT 細胞活性化によるあらたな重症心不全治療の実用化をめざし,医師主導治験の実施を予定している.
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連載
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補完代替医療とエビデンス 14
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医学のあゆみ 254巻13号, 1191-1198 (2015);
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◎本稿では,医師患者間の一般的なコミュニケーションと補完代替医療(CAM)に関するコミュニケーションの特殊性を説明する.2013 年の調査では,医療機関の受診前にCAM を利用していた285 名の患者のうち,198 名(69.5%)が医師にCAM の利用を話していた.患者が話した理由は,医師に尋ねられたから:34.3%,医師に話すことが重要だと思ったから:41.4%,医師が治療法を判断するのに関係があると思ったから:39.4%,であった.話さなかった理由は,医師が尋ねなかったから:67.8%,話すことが重要なこととは思わなかったから:37.9%,医師の治療とは関係がないと思ったから:29.9%,であった(複数回答).米国の調査でも医師が尋ねることでコミュニケーションを促進する可能性が示されている.また,患者のヘルスリテラシーの高低もCAM による副作用への対処や医師への報告などと関連する.最後に,医師側からCAM に関して話す場合の尋ね方や会話のコツを著者の臨床経験から紹介する.
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フォーラム
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医学のあゆみ 254巻13号, 1199-1201 (2015);
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医学のあゆみ 254巻13号, 1202-1203 (2015);
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医学のあゆみ 254巻13号, 1204-1207 (2015);
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TOPICS
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細胞生物学
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医学のあゆみ 254巻13号, 1185-1186 (2015);
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生化学・分子生物学
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医学のあゆみ 254巻13号, 1186-1187 (2015);
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麻酔科学
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医学のあゆみ 254巻13号, 1188-1189 (2015);
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