Volume 255,
Issue 7,
2015
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あゆみ めまい診療の進歩と展望
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医学のあゆみ 255巻7号, 727-727 (2015);
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医学のあゆみ 255巻7号, 729-732 (2015);
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◎video head impulse tes(t vHIT)は,温度刺激検査と比べ低侵襲,短時間で実施でき,半規管本来の機能であるVOR をそのものを検査対象とし,VOR gain の平均値を算出し機能低下を定量的に評価できるという大きな特徴がある.そして従来の肉眼での検査head impulse test では検出しずらかった,catch up saccade(別名;refixation saccade)をも正確に検出できるといった優れた機能を有する検査法である.国内外で温度刺激検査を再評価すること,すなわちvHIT との比較検討はとても重要な課題となっている.両側前庭機能低下症を対象とした著者らの検討では,vHIT のほうが診断に有用であると考えられる.海外では温度刺激検査を実施せずvHIT のみに切り替えた施設もあり,今後,めまい平衡医学分野にあらたな発展をもたらす検査と期待されている.
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医学のあゆみ 255巻7号, 733-737 (2015);
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◎内耳前庭感覚器には,角加速度を感知する半規管と直線加速度を感知する耳石器がある.耳石器は,ヒトの場合球形囊と卵形囊があり,左右の内耳に一対ずつ存在する.前庭誘発筋電位(VEMP)は耳石器の機能検査である.頸部,胸鎖乳突筋より記録するcVEMP,外眼筋より記録するoVEMP に分けられる.cVEMP は球形囊-下前庭機能の機能を反映し,oVEMP は卵形囊-上前庭神経の機能を反映すると考えられている.VEMP はこれまでの耳石器機能検査と違い,巨大な検査装置は必要とせず施行できる検査である.今後,耳石器機能検査の発展により原因不明とされてきためまいの解明,耳石器障害のめまいの解明が期待される.
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医学のあゆみ 255巻7号, 739-744 (2015);
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◎ Ménière 病は回転性めまい発作,変動性低周波数難聴,耳閉感,および耳鳴りが特徴の内耳障害である.内リンパ水腫は,長い間,Ménière 病の病理学的基礎であると考えられてきた.Ménière 病の診断ガイドラインに完全には合致しない一部の内耳症状をもつ患者も,内リンパ水腫に関連すると考えられている.内リンパ水腫の診断は従来,耳鼻科的機能テストの補助のもと臨床症状に基づいて行われてきた.しかし近年,技術的進歩に伴いMRI による内リンパ水腫の客観的診断が臨床的に可能となっており,撮像方法,評価方法,画像処理,画像所見と耳鼻科的機能テストとの相関関係,および画像所見と臨床症状との相関関係などについてすでに多くの報告がなされている.本稿では,MRI による内リンパ水腫の客観的診断について,画像取得方法,評価方法,画像処理および臨床的な意味付けを簡潔にまとめた.内リンパ水腫のMRI による診断は,臨床的に今後,急速に広がると思われる.
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医学のあゆみ 255巻7号, 745-749 (2015);
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◎今後の医療において遺伝子に基づく診療がますます介入してくることは疑う余地がない.耳鼻咽喉科領域については,とくに難聴に関して非症候群性遺伝性難聴の原因遺伝子がすでに70 以上同定され,臨床における遺伝学的検査の有用性が示されている.しかし,末梢性めまいのみを引き起こすような“めまい”遺伝子はいまだ発見されていない.一方,遺伝性難聴のなかにはめまいを伴うものがあり,常染色体優性遺伝性難聴DFNA9,Usher 症候群のほか,前庭水管拡大症を随伴する常染色体劣性遺伝性難聴DFNB4 やPendred 症候群などがあげられる.また,Ménière 病や両側性末梢性前庭機能低下症においても分子遺伝学的研究が進められている.原因となる,あるいは関連する遺伝子を同定することはめまいの分子病態の解明に重要であり,将来の新しい治療法の確立に貢献しうるものと考えられる.
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医学のあゆみ 255巻7号, 751-756 (2015);
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◎前庭覚の特異性はその皮質領野が複数あり,いずれも単一感覚を処理する純粋な一次感覚野ではなく,前庭覚に加えて視覚や体性感覚など複数の感覚が収束する高次感覚野の性質を有している点にある.複数の脳機能画像研究で同定された皮質前庭領野の分布を総括すると,前庭皮質は,運動前野,体性感覚野,頭頂葉後部皮質,PIVC(parieto-insular vestibular cortex),前帯状回,楔前部,海馬などの領域に分布していることがわかる.臨床例としては,前庭神経炎急性期においてPIVC の賦活と同時に視覚野の抑制が観察されている.このことは末梢前庭障害であっても大脳皮質感覚領野の活動に変化が生じ,その影響が前庭皮質にとどまらず視覚領野にも及ぶことを示す.前庭神経炎では左右の前庭機能に著明な不均衡が生じるにもかかわらず,視覚や体性感覚には変化がない.このような前庭系を構成する複数の感覚間のミスマッチが“めまい”感覚をもたらすと推測される.また,末梢あるいは中枢前庭機能の障害が高次脳機能の異常を引き起こす例があり,これらの病態に対して“高次前庭機能異常”という呼称も提唱されている.
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医学のあゆみ 255巻7号, 757-761 (2015);
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◎片頭痛とめまいの関連は古くから指摘されており,脳底型片頭痛という概念におさまらない病態の存在が指摘され,片頭痛関連めまいや片頭痛性めまいなどの用語や概念が提唱されていた.片頭痛性めまいで生じるめまいは,自発性あるいは頭位変換性めまいであり,発作持続時間は数秒程度から数日とさまざまであり,片頭痛に先行する例から頭痛に遅れて生じる例までさまざまである.そのため,本疾患の認識がないとその診断はかならずしも容易ではない.治療として片頭痛予防薬による予防が効果的であるが,トリプタン系薬物の有効性はかならずしも明確でない.片頭痛性めまいの頻度はきわめて多いと考えられ,この疾患概念を認識することはめまい患者を診療するうえで必須と考える.
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医学のあゆみ 255巻7号, 762-766 (2015);
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◎平衡リハビリテーションとは,中枢を介する前庭代償を促進させ,動的機能の回復のための適応現象を獲得し,患者自身の生活質の向上を目的とした運動療法である.平衡リハビリテーションの対象となるのは,良性発作性頭位眩暈症,片側あるいは両側前庭障害,Ménière 病,内耳炎,前庭神経炎などの前庭障害を起因とした疾患である.平衡リハビリテーションは片側前庭障害患者において安全かつ有効な治療法であることがランダム試験により証明されている.しかし,行うタイミング,強度,期間など一般的に受け入れられたガイドラインなどは確立されていない.一方,平衡リハビリテーションは自宅で行うことが中心になるため,患者自身のモチベーションを維持する必要がある.治療効果は,前庭障害の程度,年齢,患者の治療に対する意欲,あるいは心理状態に依存しているため,患者個々に適したプロトコールで介入することが早期回復につながるものと考える.
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連載
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補完代替医療とエビデンス 18
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医学のあゆみ 255巻7号, 771-778 (2015);
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◎補完代替医療(CAM)については米国の動向が紹介されることが多く,欧州の動向に焦点が当てられることは少なかった.そもそも欧州全体のCAM の状況は把握されておらず,2010~2012 年,欧州委員会(EuropeanCommission)の財政的支援のもと,欧州連合(EU)諸国のCAM の提供,利用,規制などを総合的に調査するCAMbrella プロジェクトが行われた.同プロジェクトの全8 作業パッケージのうち,本稿では「利用状況」(prevalence)について中心に紹介する.ここでは欧州のCAM の利用状況に関する研究のシステマティック・レビューが実施された.その結果EU 加盟国27 ヵ国の大部分でデータが得られず,多くの研究は方法論上の質が低く,利用率にも大きなばらつきがあった.ハーブ療法がもっとも利用頻度が高く,筋骨格障害の治療のためにCAM が用いられていた.CAM の利用率は0.3~86%であった.利用理由は,医師または西洋医学に不満があった,副作用が伴う医薬品を服用したくなかった,より自然な方法を好んだ,CAM 提供者との関係が良好などというものであった.
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輝く 日本人による発見と新規開発 22
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医学のあゆみ 255巻7号, 779-781 (2015);
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フォーラム
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医学のあゆみ 255巻7号, 782-784 (2015);
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医学のあゆみ 255巻7号, 785-786 (2015);
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パリから見えるこの世界 38
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医学のあゆみ 255巻7号, 787-791 (2015);
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書評
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医学のあゆみ 255巻7号, 792-793 (2015);
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TOPICS
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医用工学・医療情報学
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医学のあゆみ 255巻7号, 767-768 (2015);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 255巻7号, 768-769 (2015);
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社会医学
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医学のあゆみ 255巻7号, 769-770 (2015);
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