Volume 255,
Issue 11,
2015
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あゆみ IgA 腎症―研究と臨床Update
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医学のあゆみ 255巻11号, 1075-1075 (2015);
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医学のあゆみ 255巻11号, 1077-1082 (2015);
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◎ IgA 腎症は,わが国においてもっとも高頻度な腎炎であり,末期腎不全に陥る代表的疾患のひとつである.1995 年に,厚生労働省特定疾患進行性腎障害に関する調査研究班と日本腎臓学会の合同委員会により,はじめて「IgA 腎症診療指針」が公表され,2002 年には「IgA 腎症診療指針第2 版」が,さらに2011 年には「IgA腎症診療指針第3 版」が提示された.これらの診療指針は臨床や病理診断の場で広く活用され,わが国におけるIgA 腎症の診断・治療に大きく貢献してきた.2011 年にKidney Disease Improving Global Outcomes(KDIGO)より,臨床試験の体系的なレビューによる推奨レベルが示された,糸球体腎炎のためのKDIGO 診療ガイドラインが発表された.しかし日本の実臨床において,KDIGO 診療ガイドラインがそのまま当てはまるかは慎重な判断を要した.そこで,日本の実臨床により使用しやすいエビデンスに基づくガイドラインとして,厚生労働省進行性腎障害に関する調査研究班と日本腎臓学会は「エビデンスに基づくIgA 腎症診療ガイドライン2014」を作成した.本稿ではその特色を解説し,KDIGO 診療ガイドラインとの違いについても言及する.
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医学のあゆみ 255巻11号, 1083-1088 (2015);
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◎ IgA 腎症は世界でもっとも頻度の高い原発性糸球体疾患である.わが国の全国疫学アンケート調査から推算された本症の罹患率は,人口10 万人当り3.9~4.5 例/yr,毎年の新規受療者数は推計約6,000 名で,全腎生検診断例の約3 割を占める.日本腎生検レジストリー(J-RBR)登録症例5,679 例の解析では男女比1:1,平均年齢38.6±17.6 歳で,30~39 歳をピークとする一峰性の年齢分布を呈し,65 歳以上の高齢者が全体の約1 割を占める.IgA 腎症が多くを占める慢性糸球体腎炎による透析導入患者数はこの20 年間で38%も減少しており,既報からステロイド療法やRAS 阻害薬といった薬物療法により腎予後が改善してきている可能性が考えられる.最近,IgA 腎症診断後の30 年腎生存率が50.3%との報告や,本症による末期腎不全で透析を開始した患者の10 年後,20 年後生命予後がそれぞれ93.3%,65.1%との報告など,長期腎予後だけでなく透析導入後の生命予後についての報告もみられるようになり,本症への罹患から生命予後までの包括的なデータが揃いつつある.
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医学のあゆみ 255巻11号, 1089-1093 (2015);
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◎ IgA 腎症は,腎糸球体メサンギウム領域にIgA1 と補体C3 の顆粒状沈着を特徴とするメサンギウム増殖性糸球体腎炎である.IgA 腎症患者の血清では,ヒンジ部に糖鎖修飾の異常を呈するIgA1 が増加していることが報告されている.糖鎖異常IgA1 の産生部位は明らかになっていないが,粘膜面における産生調整が考えられている.とくに,Toll like receptor 9(TLR9)の関与が報告されており,粘膜での自然免疫系の活性化が腎炎惹起性IgA の産生を増加させるといった,特定抗原によらない腎症の発症・進展のメカニズムが検討されている.これまでの基礎研究から,TLR9 の活性化により糖鎖異常IgA1 の産生が上昇し,腎症が増悪することが示唆されているが,その詳細なメカニズムについては明らかになっていない.扁桃における糖鎖異常IgA1 を産生するB 細胞やTLR9 を発現している樹状細胞,サイトカインとの相互作用におけるさらなる検討により,IgA 腎症の病態解明および細胞・分子標的治療など,あらたな治療法が確立されることが望まれる.
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医学のあゆみ 255巻11号, 1095-1100 (2015);
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◎ IgA 腎症は,糸球体メサンギウム領域にIgA1 が優位に沈着するメサンギウム増殖性糸球体腎炎である.IgA腎症患者の血中には多量体IgA1 が増加し,糸球体にはおもに多量体IgA1 が沈着する.これまでの研究により,IgA 腎症患者の血中および糸球体に沈着するIgA1 には糖鎖異常IgA1 が増加していることが明らかとなった.糖鎖異常IgA1 が病因に深く関与していることが明らかであるが,本疾患の病態は糖鎖異常IgA1 の関与だけでは説明できない.まず,糖鎖異常IgA1 が産生されること(1st Hit),そして糖鎖異常IgA1 特異的抗体が産生されて(2nd Hit)免疫複合体を形成することが(3rd Hit),IgA 腎症の病態において重要であると考えられる.近年,著者らはこれらのkey molecule の測定系を確立し,IgA 腎症の非侵襲的診断や疾患活動性評価におけるバイオマーカーの有用性を報告してきたが,多施設大規模共同研究でのより精度の高い診断,早期スクリーニングシステムの構築が期待される.
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医学のあゆみ 255巻11号, 1101-1106 (2015);
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◎ IgA 腎症において,組織病変およびその重症度の評価は予後の予測,治療法の決定上,重要である.IgA 腎症の糸球体病変は,メサンギウム細胞増多,基質の増加,管内細胞増多,係蹄壊死,半月体(細胞性,線維細胞性,線維性),硬化(分節性,全節性),と多彩である.IgA 腎症の病理分類の中心はOxford 分類と,IgA 腎症診療指針第3 版の組織学的重症度分類である.Oxford 分類では臨床パラメータと独立して予後に影響する病変としてメサンギウム細胞増多(M),分節性糸球体硬化(S),管内細胞増多(E),尿細管萎縮/間質線維化(T)が選ばれた.日本の組織学的重症度分類は,腎予後と関係する半月体(細胞性,線維細胞性,線維性),硬化(全節性または分節性)を有する糸球体が全糸球体に占める割合により,4 段階に分類したものである.両者ともに長所・短所があるため,併記することでたがいの欠点を補い合うことができる.
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医学のあゆみ 255巻11号, 1107-1111 (2015);
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◎ 2014 年に『エビデンスに基づくIgA 腎症診療ガイドライン2014』1)が発行された.IgA 腎症の治療法としてはレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬,副腎皮質ステロイドをはじめとした免疫抑制療法,扁桃腺摘出術などが代表的である.とくに扁桃腺摘出術とステロイドパルス療法の併用はわが国では積極的に行われているが,諸外国では推奨されていない治療法であることは興味深い点である.今回のガイドラインでは過去の研究報告をもとに,残腎機能,尿蛋白量に応じた治療法が提示されている.また,その他の治療に関しても言及されている.本稿ではIgA 腎症ガイドラインに沿い,IgA 腎症の治療に関して解説していくとともに,IgA腎症治療における今後解決すべき課題を提示する.
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医学のあゆみ 255巻11号, 1113-1118 (2015);
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◎日本におけるIgA 腎症に対する標準治療になりつつある扁桃摘出術+ステロイドパルス療法であるが,その適応についてはコンセンサスがまだ不十分で治療目的により異なっている.腎機能障害の進行抑制を目的とする場合は,腎機能が保たれ尿蛋白が多めの症例は(今後進行することが予想されるため)適応を検討してもよいとされている一方,尿所見の正常化(寛解)を目的とする場合は,尿蛋白の量にかかわらず尿異常出現より早期の段階での治療介入が必要となる.実際の臨床の現場では,寛解を目的として本療法を施行する機会が増加しつつある.
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連載
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医学教育の現在――現状と課題 1
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医学のあゆみ 255巻11号, 1124-1129 (2015);
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◎医学部は入学者の大半が将来医師になることから,その入学者選抜が社会へ与える影響は大きい.文部科学省は入学者選抜について“公正かつ妥当な方法”で“能力・意欲・適性などを多面的・総合的に判定する”よう通知している.しかし,唯一最善の選抜方法が確定しているわけではない.選抜方法の特性を検討する際の観点として“妥当性(validity)”“信頼性(reliability)”“実現可能性(feasibility)”“容認可能性(acceptability)”が重要であり,これらのなかでとくに検討することが困難なのが妥当性である.海外の医学部の入学者選抜の方法は多様であり,それらの情報を共有することが相互の参考になる.日本の医学部入学者選抜で生じているあらたな課題のひとつが“地域枠”と“教育格差”である.少子化のなかで地域枠などにより医師の養成数が増えている一方で,医学部への進学を早い段階であきらめる子どもたちが増えている可能性がある.
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輝く 日本人による発見と新規開発 23
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医学のあゆみ 255巻11号, 1131-1134 (2015);
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フォーラム
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医学のあゆみ 255巻11号, 1135-1136 (2015);
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高齢者ケアの現状と課題 2
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医学のあゆみ 255巻11号, 1137-1139 (2015);
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パリから見えるこの世界 39
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医学のあゆみ 255巻11号, 1140-1144 (2015);
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 255巻11号, 1119-1120 (2015);
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神経内科学
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医学のあゆみ 255巻11号, 1120-1121 (2015);
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糖尿病・内分泌代謝学
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医学のあゆみ 255巻11号, 1121-1122 (2015);
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