Volume 255,
Issue 12,
2015
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あゆみ C 型肝炎新規治療と薬剤耐性
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1147-1147 (2015);
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1149-1154 (2015);
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◎インターフェロン(IFN),リバビリン(RBV)に続く,C型肝炎の抗ウイルス剤として2011年,第一世代のプロテアーゼ阻害剤テラプレビル(TVR)がPEG-IFN,RBVとの組合せ(三剤併用療法)で認可され,C型肝炎の抗ウイルス療法はあらたなステージに入った.TVR/PEG-IFN/RBVの三剤併用療法12週間+PEG-IFN/PBV12週間の治療では,初回治療例のSVRが73%に向上した.実臨床では薬剤投与量の工夫などから90%を超えるSVRが達成された.治療failure例では薬剤耐性ウイルスの出現を認めたが,自然経過で耐性ウイルスは野生型に復すること,またIFNfree治療の登場により,この問題は克服された.IFNフリー治療が登場した現在も,TVRがDAAs療法のさきがけとして果たした役割は大きい.
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1155-1159 (2015);
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◎テラプレビル,ボセプレビルなどの第一世代のプロテアーゼ阻害薬に対し,シメプレビル,アスナプレビル,バニプレビル,パリタプレビルなどの薬剤をいわゆる第二世代と呼称している.シメプレビル,バニプレビルはペグインターフェロン+リバビリンと併用するインターフェロン治療として,アスナプレビルとパリタプレビルはNS5A阻害薬と併用するインターフェロンフリー治療として使用されている.第二世代の薬剤は第一世代に比べ毒性が少なく,投与回数が少ないなどの臨床的な特徴を有している.耐性に対する遺伝的障壁が低い,すなわち治療非奏功時に耐性ウイルスが出現しやすいという点は第一世代と同等であるが,耐性プロファイルが異なっており,第二世代の薬剤ではほぼNS3/4A領域のD168変異に限局している.シメプレビル治療失敗例に対するアスナプレビル治療は非奏功に終わることが多いことが知られるようになっており,このことは耐性プロファイルを共有するDAAの再治療が難しいことを物語っている.
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1160-1164 (2015);
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◎C型肝炎ウイルスに対する治療薬は,近年飛躍的に進歩してきている.とくにウイルス蛋白を直接標的に開発されたDAAsの登場により,C型肝炎の治療は高い効果とともに,副作用が少ない治療へと進歩してきている.これらのDAA製剤は,単剤では十分な効果が得られなかったが,違う作用機序のDAA製剤を併用することによりIFNの効果が低いgenotype1型や前治療無効例に対しても高い効果が認められている.プロテアーゼ阻害剤(アスナプレビル)とNS5A阻害剤(ダクラタスビル)併用療法24週間投与の国内第Ⅲ相試験では,genotype1型高ウイルス量症例に対して81%~91%のSVR率であった.さらに,治療開始時のNS5A領域のL31またはY93のアミノ酸変異,あるいはNS3領域のD168のアミノ酸変異がない症例では,94%~100%のSVR率であった.一方,全体的に有害事象の発現率は低く,忍容性は良好であった.しかし,AST・ALT値の上昇,発熱,皮疹などには注意が必要である.また,肝硬変症例では全身状態を考慮して副作用には慎重に対処する必要がある.高齢化している日本のC型肝炎者の治療は,そのときにできる最善の治療を行っていくことが大切である.
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1165-1168 (2015);
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◎HCVのNS5A領域は塩基の変異に富み,ダクラタスビルなどのNS5A阻害薬が結合する二量体接合面にアミノ酸変異が生じると,その治療効果が減退する.とくにY93H/C変異は未治療例でも15%程度にみられ,L31M/V変異などとともに,DAA治の療効果を規定する要因として重要である.これらアミノ酸変異は周辺塩基の変異が多彩であるため測定が困難であるが,cyclingprobe法,INVADER法などによって,その定量評価が可能になった.NS5Aアミノ酸変異は,宿主のIL28B遺伝子関連SNPsとも関連し,DAA治療のみならず,インターフェロン治療効果にも影響する.その臨床的意義のさらなる解明が求められている.
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1169-1175 (2015);
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◎C型肝炎,肝硬変の治療は,インターフェロン(IFN)の治療からIFNフリーの直接抗ウイルス薬(DAA)の治療へと移行し,IFNが困難であった症例にも適応が拡大された.DAAは副作用が少なく非常に治療効果が高い一方で,大きな問題となるのが薬剤耐性変異である.さらに,一度耐性を生じると複数の部位に耐性変異が生じ交差耐性を示すことが問題となる.HCVは固体内で異なる変異体の集合状態(quasispesies)で存在するが,ディープシークエンスを用いることによって少数のクローンの解析や,継時的なquasispesiesの動態の解析が可能となった.耐性変異が治療終了後野生型に戻ってもquasispesiesの構成は元に戻らないことや,IFNベースとIFNフリーで耐性発現のメカニズムが異なる可能性も示唆され,今後のさらなる研究が期待される.
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1177-1180 (2015);
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◎C型肝炎ウイルスのウイルス学の進展に伴い,ウイルス蛋白を直接標的としたDAA薬剤の開発が急速に進行し,同薬剤を用いることにより治療効果が格段に上昇にした.一方で,これらの阻害剤に対する耐性ウイルスが存在する症例においては治療効果が減弱することが報告された.さらに重要なこととして,これらDAAsにタイプ1b型の,NS3プロテアーゼ阻害剤に対する耐性変異の自然界に存在する耐性変異ウイルスの頻度は低く,また核酸型のNS5B阻害剤に対する耐性変異はほとんど認められない.一方,NS5A阻害剤耐性変異であるNS5AY93H変異は,わが国において8~19%程度に存在することが報告されており,治療を行う際に注意が必要となる.
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1181-1188 (2015);
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◎わが国のgenotype1(GT-1)/C型慢性肝炎に対して,2014年9月よりNS5A阻害剤DCV,NS3/4プロテアーゼ阻害剤ASVの2種類の経口抗C型肝炎ウイルス(HCV)剤が使用可能となり,すでに4万人以上に使用されたと推測されている.一方世界では,核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害剤SOFを使用するレジメンが標準的であり,併用する薬剤(PI,NS5A阻害剤)やRBVや投与期間が異なるものの,さまざまなgenotypeで95%前後のウイルス排除率を示している.わが国でも,genotype2(GT-2)に対してSOF(ソバルディ(R))が2015年3月26日に承認,5月13日は薬価収載された(1錠=61,799円30銭).さらに,2015年7月3日にNS5A阻害剤レジパスビル(ledipasvir:LDV)とSOFの2種類の薬剤が合剤となったハーボニー(R)配合錠がGT-1に対して製造販売承認を取得,8月31日には1錠8万171円30銭で薬価収載されついに欧米と肩を並べる治療が可能となった.ハーボニー(R)配合錠は12週間内服で約680万という高額ながらも,DCV/ASVよりも治療効果は高く,1日1回の内服,治療期間も12週間も短縮され,今後はGT-1,2型ともにSOFを使用する治療が主流となる.本稿では,SOFの作用機序と特徴,GT-1,2型に対する第Ⅲ相試験の結果と耐性株の影響について述べる.
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1189-1193 (2015);
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◎近年,C型肝炎に対しインターフェロンを使用しない直接作用型抗ウイルス薬による治療法が開発され,抗ウイルス療法の有効性,安全性は著明に向上しつつある.直接作用型抗ウイルス薬は強力な抗ウイルス効果を有しているが,一部の症例では耐性ウイルスの出現が問題となっており,今後,より有効性の高い,新しい薬剤の開発が期待されている.第二世代NS5A阻害薬は,第一世代NS5A阻害薬と比べ高いジェネティックバリアを有し,第一世代NS5A阻害薬耐性変異に対しても高い有効性が示されている.MiravirsenはmicroRNA-122を阻害することによりC型肝炎ウイルスの複製を抑制する薬剤であり,耐性変異の出現はきわめて低く,直接作用型抗ウイルス薬との併用により高い治療効果が得られることが期待される.
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連載
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医学教育の現在―現状と課題 2
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1201-1206 (2015);
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◎プロフェッショナリズムは,専門職個人あるいは専門職集団のあり方を示す言葉で,普遍的な定義はなかなか困難であるが,医のプロフェッショナリズムは一人ひとりがいわばそれなりに心にもっていればよいという認識ではすまされない.患者・家族,社会に対して適切なチーム医療を提示するために,個々の医療専門および医療専門職集団や医療組織も共有・具備すべき資質であり気概である.個々人のレベル,組織のレベルでの振返りが重要であり,その理解には頭での認知的理解とともに,実践あるいは事例に伴っての心からの納得の両面が必要である.また,一人ひとりの医師のプロフェッショナリズムをもって実践も最低限(いわば標準的)のパフォーマンスの確保とともに,さらなる向上(高み)をめざす姿勢の両面がなくてはならない.内なるものを含む,評価しきれない資質をどう教育していくべきか,私見を交えて述べる.舌足らずの部分は,文献やネット検索で著者の論文を参照しながら補ってくだされば幸いである.
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フォーラム
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近代医学を築いた人々 47
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1207-1207 (2015);
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ノーベル生理学・医学賞2015
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1209-1211 (2015);
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高齢者ケアの現状と課題 3
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1213-1214 (2015);
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1215-1216 (2015);
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1217-1220 (2015);
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TOPICS
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生化学・分子生物学
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1195-1196 (2015);
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放射線医学
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1196-1197 (2015);
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脳神経外科学
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医学のあゆみ 255巻12・13号, 1197-1200 (2015);
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