Volume 256,
Issue 12,
2016
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あゆみ 自己抗体産生機序の新展開
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医学のあゆみ 256巻12号, 1185-1185 (2016);
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医学のあゆみ 256巻12号, 1187-1191 (2016);
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◎抗シトルリン化蛋白抗体(ACPA)の産生機序に関しては大きく2 つの仮説がある.ひとつは歯周病起源説で,口腔内常在菌であるP. gingivalis がもつシトルリン化酵素(PAD)によって,菌体自身あるいは周囲の蛋白がシトルリン化されて抗原性をもつというもの,もうひとつは,どこかの炎症局所で好中球が活性化されてNETosis が起こる場合に,ヒストンなどがシトルリン化され,抗原性をもつというもの,である.このいずれか,あるいはいずれもがシトルリン化蛋白の生成にかかわっており,いったんACPA が産生されれば,何かのきっかけで関節内に炎症が起こりシトルリン化蛋白が関節内で生成されると,ACPA の交差反応により関節炎が遷延すると考えられている.
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医学のあゆみ 256巻12号, 1193-1197 (2016);
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◎抗リン脂質抗体症候群(APS)とは,抗リン脂質抗体(aPL)に関連した血栓症および妊娠合併症を主症状とする自己免疫疾患である.aPL は陰性荷電リン脂質と血漿蛋白の複合体に対する自己抗体の総称で,β2 glycoproteinⅠ(β2GPⅠ)などの血漿蛋白を介して向血栓細胞に結合し,活性化させることでAPS の病態を形成する.aPL の産生機序については不明な点が多いが,環境要因としては感染微生物抗原と宿主抗原との免疫学的交差反応(molecular mimicry)や,微生物感染を契機とした血漿蛋白の構造変化によるエピトープの表出が報告されている.また遺伝的要因としては,いくつかのヒト白血球表面抗原(HLA)classⅡがAPS の疾患感受性遺伝子と報告されており,HLA classⅡがβ2GPⅠの一部のペプチド,あるいはそれに類似したペプチドを抗原提示する機序,さらにはミスフォールドしたβ2GPⅠを蛋白のまま抗原提示する機序が想定されている.ほかにもアポトーシスクリアランスの低下がaPL の産生に関与するとされている.本稿では,これらaPL の産生機序の詳細について概説する.
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医学のあゆみ 256巻12号, 1199-1203 (2016);
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◎抗Sm および抗U1RNP 抗体は膠原病における代表的な抗核抗体である.これらは,抗DNA 抗体と同様高力価IgG 抗体であることから,その産生にはT 細胞が関与していると考えられる.しかし,抗DNA 抗体の産生は共刺激分子(CD40L)や Toll-like recepto(r TLR)-9 に依存しているのに対し,抗 U1RNP 抗体ではかならずしもそうではない.また,抗Sm およびU1RNP 抗体の産生においては特異的な遺伝的素因(HLA)や後天的素因(一部のミネラルオイル)が報告されており,とくにインターフェロン-γやIL-12 の活性化が重要な役割を担っていることが示唆されている.
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医学のあゆみ 256巻12号, 1204-1208 (2016);
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◎抗MDA5/CADM-140 抗体は,典型的な皮膚症状と骨格筋の炎症に伴う筋力低下をきたす自己免疫疾患である皮膚筋炎(DM),特にそのサブタイプである典型的なDM 皮疹を呈しながら,臨床的に筋症状がまったくないか,あるいはごく軽微な症例であるclinically amyopathic dermatomyositis(CADM)に見出されたDM 特異自己抗体である.その後の研究で,その対応抗原がウイルス感染における自然免疫での感染防御機構で重要な役割を担っているmelanoma differentiation-associated gene 5(MDA5,別名IFIH1:interferon inducedwith helicase C domain 1)であることが明らかになった.自己免疫疾患発症の引き金のひとつとしてのウイルス感染が注目されるようになって久しいが,このあらたな自己抗体の発見は,DM の発症機序の解明に重要な手がかりをもたらす可能性を秘めている.
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医学のあゆみ 256巻12号, 1209-1213 (2016);
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◎抗好中球細胞質抗体(ANCA)は,ミエロペルオキシダーゼやプロテナーゼ3 などの好中球細胞質抗原に対する自己抗体であり,ANCA 関連血管炎における病原性の主体である.近年の研究により,その産生メカニズムに好中球細胞外トラップ(NETs)の関与があることが明らかとなってきた.感染刺激を受けた好中球は活性化され,やがて細胞死に至る.その際,好中球はDNA と細胞質内蛋白を混合し,NETs とよばれる網状構造物を細胞外に放出する.NETs は感染防御において重要な役割を果たしているものの,細胞内抗原を細胞外に曝露している状態でもあり,適切に処理されなければ,免疫系に認識され,自己抗体の産生が誘導されうる.本稿では,NETs を介したANCA の産生機序について解説する.
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医学のあゆみ 256巻12号, 1215-1221 (2016);
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◎神経疾患に自己抗体を見出すことは,病態機序の解明につながるだけではなく,免疫療法を施行する根拠となる.免疫性神経疾患には自己抗体が少なからず同定されているが,病的意義および産生機序まで明らかにされている抗体は少ない.本稿では,産生機序が想定される自己抗体に加えて,産生機序は不明であるが病原性自己抗体として近年認識されつつある抗体について解説する.とくに,免疫性中枢神経疾患では視神経脊髄炎(NMO),辺縁系脳炎に,末梢神経・筋疾患ではギラン・バレー症候群(GBS),慢性免疫性ニューロパチー,免疫性自律神経性神経節炎,重症筋無力症(MG)に焦点を当てて解説する.
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医学のあゆみ 256巻12号, 1223-1228 (2016);
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◎抗核抗体(ANA)は膠原病の診断や病型分類,予後の推定,場合によっては病勢の把握に役立つ重要な臨床検査項目のひとつである.HEp-2 細胞を基質とした間接螢光抗体法が汎用され,その染色パターンと患者の臨床像から,患者血清中の自己抗体を類推する一次スクリーニング検査として使用される.抗DFS70 抗体は間接螢光抗体法(IIF)により,間期細胞の核質と分裂期染色体が密に細かく斑紋状に(dense fine speckled)染色されることと,対応抗原(別名LEDGF/p75 ともよばれる)の電気泳動における分子量が70 kDa であることより命名されたANA のひとつである.本抗体のもっとも興味深い臨床的特徴は,膠原病患者よりも健常人における陽性頻度が明らかに上まわり,抗体価も高いものまで存在する点である.抗原の機能としてはRNA の転写促進,抗ストレス因子としての機能や,AIDS ウイルスの感染成立に重要な役割を果たすことなどが明らかになっているが,健常人における自己免疫現象との病理学的関連は不明である.
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医学のあゆみ 256巻12号, 1229-1234 (2016);
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◎腫瘍の新規診断マーカーとして癌患者の血清に検出される自己抗体が注目されており,分子生物学的な手法を使用した大規模な検索も行われている.癌に特異的に産生される自己抗体もある一方,癌患者の血清に自己免疫疾患に特徴的な典型的な自己抗体が検出される場合もある.腫瘍と自己免疫疾患について共通していえることは,免疫系が成熟した後にあらたに自己由来の分子が認識されるようになる点であり,とくに抗体の標的が選択される過程では何らかの共通点がある可能性がある.本稿では,癌患者の血清に出現する自己抗体と自己免疫疾患に特異的な抗体として知られる抗体群について,その成立の共通点と相違点をまとめ,腫瘍のマーカーとしての自己免疫疾患関連自己抗体に注目する意義について考察したい.
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連載
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医学教育の現在―現状と課題 8
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医学のあゆみ 256巻12号, 1241-1247 (2016);
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◎2010 年のECFMG 声明に端を発して,WFME のグローバルスタンダードに医学部が注目した.そのなかでは“行動科学・社会学”が,卒前教育のなかでより体系的に学習されることが求められている.また,病院の世紀が終焉を迎え,日本社会の“2025 年問題”に対応する医療のパラダイム・シフトにおいて,プロフェッショナリズム・医療倫理・NBM・医療安全などを包括して学習するための実学としての“医療社会・行動学(仮)”は必須であろう.実臨床に役立つ教材を方略などを含めて卒前医学教育で整えなければならない.
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フォーラム
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医学のあゆみ 256巻12号, 1249-1250 (2016);
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近代医学を築いた人々 50
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医学のあゆみ 256巻12号, 1251-1251 (2016);
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 256巻12号, 1235-1236 (2016);
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癌・腫瘍学
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医学のあゆみ 256巻12号, 1236-1238 (2016);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 256巻12号, 1238-1239 (2016);
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