Volume 257,
Issue 2,
2016
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あゆみ 急速進行性糸球体腎炎Update
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医学のあゆみ 257巻2号, 127-127 (2016);
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医学のあゆみ 257巻2号, 129-135 (2016);
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◎急速進行性糸球体腎炎(RPGN)は,腎炎所見を伴い数週から数カ月の経過で急速に腎不全が進行する臨床症候群であり,典型的な病理組織型は壊死性半月体形成性糸球体腎炎である.わが国のRPGN の臨床病型は抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性のANCA 関連血管炎(AAV)と,抗糸球体基底膜(GBM)抗体陽性の抗GBM 病で全体の約70%を占める.ANCA 陽性RPGN はヨーロッパと比べて,myeloperoxidase(MPO)-ANCA が圧倒的に多く,高齢者が多い.近年,RPGN およびAAV 診療に関連した診療指針,ガイドラインがあいついで刊行された.さらに2015 年7 月からRPGN が単独で指定難病にあらたに追加され,わが国のRPGN の診断基準が明記された.またAAV に新規でリツキシマブが保険適応となり,AAV 症例に使用可能となった.寛解導入および寛解維持のいずれにも期待されており,将来ANCA 陽性RPGN の診療が大きく変わる可能性がある.これまでわが国で行われてきたRPGN 診療の変遷とそこからみえた課題,将来の展望についてまとめた.
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医学のあゆみ 257巻2号, 136-140 (2016);
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◎急速進行性糸球体腎炎(RPGN)は,急性あるいは潜在性に発症する血尿,蛋白尿,貧血と急速に進行する腎不全をきたす症候群である.数週から数カ月の経過で急速に腎不全が進行するため,早期診断と適切な治療が大切である.2015 年にはRPGN と抗糸球体基底膜腎炎が指定難病にはじめて認定されている.日本腎臓学会主導で2007 年より開始された日本腎生検レジストリー(J-RBR)により,わが国のRPGN の頻度や疾患構成の特徴が明らかとなり,さらに最近のANCA 関連血管炎・ANCA 関連腎炎の観察研究から,RPGN の治療成績,すなわち寛解率や予後が明らかにされてきている.今後,これらデータの詳細な解析を進めることにより,RPGN のより有効な治療法の開発や合併症防止,生命予後,腎機能予後の改善へと繋げていくことが重要である.
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医学のあゆみ 257巻2号, 141-145 (2016);
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◎ANCA 関連血管炎(AAV)には,顕微鏡的多発血管炎(MPA),多発血管炎性肉芽種症(GPA),好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA),の3 疾患が含まれ,ANCA が陽性で腎血管炎以外の臓器障害を認めない腎限局型も本範疇とみなされている.AAV のなかで腎症を伴う際には,急速進行性糸球体腎炎(RPGN)として発症することが多い.血管炎の分類・診断に関しては,国際的に統一されたものがない.現在,新しい血管炎の概念・定義・分類基準・診断基準の作成のための国際共同研究が進行中である.AAV の疫学に関しては,欧米ではPR3‒ANCA 陽性のGPA が多く,アジアではMPO‒ANCA 陽性のMPA が多いことが明らかとなってきた.最近,日英間のMPA とGPA の臨床像,治療法と予後の比較研究結果も示されてきている.
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医学のあゆみ 257巻2号, 146-151 (2016);
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◎ANCA 関連腎炎では,血中での抗好中球細胞質抗体(ANCA)の出現により流血中の好中球から脱顆粒が誘発され腎の小血管に血管炎を起こす.その結果,腎の弓状動脈,小葉間動脈,輸入・輸出細動脈,糸球体毛細血管係蹄,尿細管周囲毛細血管,髄質内直血管,そして静脈のどれか,あるいはその組合せで血管炎が出現する.血管炎とは血管壁の炎症をさし,動脈炎では動脈壁のフィブリノイド壊死,糸球体毛細血管炎では糸球体毛細血管壊死または半月体性糸球体腎炎を呈する.これらの多彩な急性または慢性の腎病変を系統的に分類し症例を類型化することにより,予後の予測や治療反応性などの情報を提供し臨床に役立てるために作成されたのが国際組織分類である.現在,この国際組織分類の有用性や普遍性について,異なった民族や違った年代のコホートによる追試研究が世界的に行われている.
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医学のあゆみ 257巻2号, 152-158 (2016);
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◎ANCA 関連血管炎・腎炎のメカニズムを理解するには,①自己免疫異常をきたす背景としての環境・遺伝因子・感染症の関与,②T 細胞やB 細胞などの獲得免疫系の細胞と好中球,樹状細胞や血小板などの自然免疫系の細胞のクロストーク,③最終的に血管内皮障害を起こす機序,に分けて考えると理解しやすい.各領域で国内外において新しい知見が蓄積され,疾患のメカニズムが刻々とアップデートされるなかで,本稿では最新の話題を取りあげながら解説する.
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医学のあゆみ 257巻2号, 159-164 (2016);
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◎ANCA 関連血管炎(AAV)は多臓器障害性の稀少性・難治性疾患であり,診療科も多岐にわたる.腎臓専門医を対象に作成された「エビデンスに基づく急速進行性腎炎症候群の診療ガイドライン2014」の特徴は,①AAV による急速進行性腎炎症候群(RPGN)を含めたRPGN 全体の診断・治療アルゴリズムにCQ 項目の番号が記載され,使いやすく工夫されていること,②ANCA 陽性RPGN の治療アルゴリズムが重症度,年齢,透析の有無により治療法を選択できるように作成されていること,③日本の現況を考慮し副腎皮質ステロイド薬単独療法を選択できるようになっていること,④最近保険適用になったリツキシマブ治療についても述べられていることなどである.AAV でRPGN を認めた場合には診療ガイドラインを参考に,年齢や感染症の有無,社会的背景などの要素を考慮し,個々の症例に応じた治療を施行することが腎臓専門医に求められている.
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医学のあゆみ 257巻2号, 165-170 (2016);
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◎抗糸球体基底膜(GBM)抗体型糸球体腎炎とは,血清学的検査で抗GBM 抗体が検出され,組織学的にIgG の係蹄壁への線状沈着を伴う半月体形成性糸球体腎炎とされている.また,2012 年のChapel Hill ConsensusConference(CHCC)において,抗糸球体基底膜病として血管炎症候群における小型血管炎のひとつに位置づけられている.何らかの外的因子により,Ⅳ型コラーゲンα3α4α5分子のnon-collagenous-1 ドメイン三量体-三量体接合部が解離,その立体構造変化が加わることにより,抗原エピトープが露出して抗体産生が起こり,感受性のある個体に作用したときに発症するものと推測されている.本疾患においては,副腎皮質ホルモン大量療法,シクロホスファミドと血漿交換療法の併用が標準治療法とされている.わが国においては,治療開始時の腎機能はすでに悪化した状態であることが多く,また,その予後は5 年生存率53.5%,5 年腎生存率18.8%と不良であり,とくに肺病変合併例ではより予後不良である.そのため多くの症例で,より早期の診断と速やかな治療がなされる必要がある.
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医学のあゆみ 257巻2号, 171-175 (2016);
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◎免疫複合体型急速進行性糸球体腎炎(RPGN)をきたしうる腎疾患には,ループス腎炎(LN),IgA 腎症,紫斑病性腎炎などがある.本稿ではLN に関して,最新の治見と治療について解説する.LN ではISN/PRS 分類Ⅳ型(びまん性LN)などで,ときにRPGN を呈する.活動性LN に対するランダム化比較試験の成績をもとに,LN の診療ガイドラインが欧米の複数の団体より2012 年にあいついで発表された.これらのガイドラインでは,RPGN などの重症LN に対してはメチルプレドニゾロンパルスを含む高用量の副腎皮質ステロイド薬に,シクロホスファミド(CY)あるいはミコフェノール酸モフェチル(MMF)のいずれかを併用して初期治療を行うことが推奨されている.しかし,RPGN を呈するLN の腎予後はまだ不良である.RPGN を呈するLN も含め,活動性LN に対するより優れた治療の開発がまたれる.
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連載
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医学教育の現在―現状と課題 10
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医学のあゆみ 257巻2号, 183-189 (2016);
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◎女性医師の継続的社会貢献のためには,育児支援,復職支援などのさまざまな取組みと同時に,医師という職病の使命を正しく認識し,その責務を果たすための教育が重要である.医学教育学会女性医師キャリア教育検討委員会はこの目的のためにすべての医師が修得すべき能力を検討し,以下の5 つの学習目標を設定した.①医師の社会的使命(プロフェッショナリズム),②キャリアデザイン立案能力,③職業に対する多様な価値観を受容する能力,④支援に対する姿勢(支援は継続的社会貢献のための医師集団の責務であることの自覚),⑤社会的性差の認識とその対応能力.この5 つの学習目標は,医学教育にかかわるすべての組織が共有すべきものである.
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フォーラム
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医学のあゆみ 257巻2号, 191-192 (2016);
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パリから見えるこの世界 43
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医学のあゆみ 257巻2号, 193-197 (2016);
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書評
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医学のあゆみ 257巻2号, 199-199 (2016);
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TOPICS
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血液内科学
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医学のあゆみ 257巻2号, 177-178 (2016);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 257巻2号, 178-180 (2016);
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免疫学
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医学のあゆみ 257巻2号, 180-182 (2016);
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