Volume 257,
Issue 9,
2016
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あゆみ ここまで進歩した腎がん診療
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医学のあゆみ 257巻9号, 889-889 (2016);
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医学のあゆみ 257巻9号, 891-896 (2016);
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◎腎癌の画像所見に関する検討は,腫瘍の鑑別は,囊胞性,充実性に分けて考える.囊胞性腫瘍はBosniak 分類に従って診断を行う.充実性腫瘍は膨張性発育型か浸潤性発育型かに分けて考える.膨張性発育型は,①脂肪成分を検出できれば血管筋脂肪腫,②脂肪成分がみられず,不均一な濃染を呈する腫瘍を認めればまず淡明細胞型腎癌,③単純CT にて腎実質より高濃度を呈し,T2 強調像で低信号を呈する場合は良性の可能性が高い,の3 つが鑑別のポイントである.浸潤性発育型は基本的に悪性と考えてよい.
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医学のあゆみ 257巻9号, 897-901 (2016);
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◎分子標的療法の導入とともに有転移腎癌の予後は,サイトカイン療法時代に比べ大きく改善したと報告されている.そのようななかでさまざまなリスクファクターが見出され,報告されている.臨床的因子としては原発巣切除術実施の有無,病理所見,転移臓器部位・転移臓器数,炎症反応などがリスクファクターとして広く検討され,その有用性が検証されている.また,臨床的因子を用いていくつかの予後予測モデルが作成され,臨床的にも広く用いられている.一方,分子遺伝学的因子としても多くのものが検討されているが,リスクファクターとして有用かという点は十分検証されていない.今後,国内においても臨床データベースを作成するとともに,臨床検体の集積(tissue bank)を行うことで,より的確に予後を予測するリスクファクターの検出・検証が可能になることが望まれる.
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医学のあゆみ 257巻9号, 902-906 (2016);
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◎最近,腎細胞癌(RCC)の組織分類は形態学的および分子生物学的知見を加えて複雑化してきた.2011 年,わが国で出版された腎癌取扱い規約(第4 版)の病理組織分類は,国際保健機関(WHO)分類(2004 年)に準拠している.2011 年の時点ではXp11.2 転座型RCC,粘液管状紡錘細胞癌などが加えられた.さらに,国際泌尿器病理学会のコンセンサスミーティングからいわゆるバンクーバー分類が提唱され,次回WHO 分類の基盤となると予想される.本分類には,Xp11.2 転座型と6p21 転座型とを合わせたMiTF 転座型RCC,囊胞管状癌,後天性囊胞腎随伴RCC,淡明細胞乳頭状RCC が加えられている.今後,RCC の診療や基礎的・臨床的研究を行ううえで,国内外の組織分類のギャップは障壁となる.本稿では既存の組織型と,バンクーバー分類によって加えられた改訂点ならびに新規組織型について概説する.
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医学のあゆみ 257巻9号, 907-912 (2016);
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◎小さな腎癌の低侵襲治療として,ラジオ波凝固療法(RFA)と凍結療法のアブレーション治療がある.これら治療の適応は,高齢者で重篤な合併症をもつ患者,腎癌が多発・再発する可能性のある遺伝性疾患の患者,対側が腎摘された後の残腎に発生した腎癌の患者,腎機能低下の患者,腎部分切除術などの手術を拒否する患者などである.両治療法とも局所麻酔で経皮的にCT 透視下にモニターしながら施行でき,腎機能温存が可能であり,腎部分切除術と比較しても合併症発生率が少なく,治療成績も遜色がないことが報告されている.RFAに比べ凍結療法でやや局所再発率が高いが,両治療法とも何度でも容易に繰り返し治療することが可能であることが長所であり,再発が疑われた場合でも再度治療を行うことで局所制御が可能である.また,腎内に限局した径4 cm 以下の腫瘍(T1a)の患者において,高齢者で期待余命が短い場合や重度の併存症のためリスクが高い場合には,active surveillance という経過観察をする選択肢がある.
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医学のあゆみ 257巻9号, 913-918 (2016);
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◎腎癌に対しては手術的な治療が唯一の根治的治療として行われてきており,片側の腎を摘出する根治的腎摘除術が標準的術式であった.2000 年以降腎摘除後の慢性腎臓病(CKD)が注目されるようになり,心血管病変から非癌死が増加する可能性が指摘されるようになった.腎部分切除による腎機能温存が非癌死の抑制につながる可能性が高いとして,小径腎腫瘍に対しては腎部分切除が標準的術式となるに至った.また近年は,低侵襲手術として腹腔鏡下手術,さらにはDa Vinci システムを用いたロボット支援腹腔鏡下腎部分切除が導入され,開腹腎部分切除に代わりつつある.一方で下大静脈塞栓例,有転移症例に対する腫瘍減量腎摘除(CN)など,進行例に対する手術療法の有用性も引き続き指摘されている.分子標的薬の導入などもあるが,いぜんとして腎癌においては外科的治療が治療の主流であり,術式やアプローチの選択が今後の課題である.
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医学のあゆみ 257巻9号, 919-923 (2016);
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◎2008 年の分子標的治療薬の登場以来,国内の進行性腎癌に対する薬物療法の主軸は,それまでのサイトカインを用いた免疫療法からシフトした.さらに近年,わが国未承認ではあるが,immune check point をターゲットにした免疫療法が登場し,これまでの常識が塗り替えられつつある.本稿では,古くからあるサイトカインを用いた免疫療法を見直し,欧米人とは異なる日本人の腎癌の特徴を生かしたサイトカイン療法の工夫について述べる.
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医学のあゆみ 257巻9号, 925-930 (2016);
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◎わが国においても2008 年に腎細胞がん(renal cell carcinoma:RCC)に対して分子標的薬が導入され,進行RCC の治療はサイトカイン療法からパラダイムシフトと称するに足る劇的な変化を遂げた.現在,4 剤のチロシンキナーゼ阻害剤および2 剤のmammalian target of rapamycin(mTOR)阻害剤の計6 剤の分子標的薬が,進行RCC に対する治療薬として実臨床の場で広く使用されており,その結果,分子標的療法時代における進行RCC 患者の予後は,サイトカイン療法時代に比べ顕著な改善を認めるに至っている.しかし,リスクあるいは組織型に基づく薬剤選択基準はかならずしも明確ではなく,適切な逐次治療指針の確立が望まれている.また,このほかにも有害事象対策など,分子標的療法にはその施行に際して解決すべき多くの課題がある.本稿では進行RCC に対する分子標的療法の成績を概覧し,著者らの経験を交えながらその問題点を多角的に考察し,同療法の将来展望についても言及する.
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医学のあゆみ 257巻9号, 931-937 (2016);
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◎進行性腎がんに対する薬物治療は,サイトカインの時代から血管新生阻害薬を中心とした分子標的薬の時代に移行し,腫瘍縮小効果,無増悪生存期間のみならず全生存期間が改善された.しかし,分子標的薬単独での完治は望めず,いったん縮小した腫瘍もやがて増大し不幸な転帰に至っていた.そんななか登場したのが免疫チェックポイント阻害薬である.免疫チェックポイント阻害薬は無反応となっている腫瘍免疫を回復させる力を有し,抗腫瘍効果には持続性が認められている.免疫療法に特異的な事項としては,pseudoprogressionを考慮した効果判定基準や免疫関連有害事象などがあげられる.免疫チェックポイント阻害薬は有効な薬剤ではあるが,非常に高価であるため,医療経済的な問題も浮上している.本稿では,免疫チェックポイント阻害薬の作用機序,nivolumab の進行性腎がんに対する臨床試験の成績,治療効果判定の特殊性,有害事象の特殊性,PD-L1 組織染色のバイオマーカーとしての意義,医療経済的問題について解説する.
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輝く 日本人による発見と新規開発 28
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医学のあゆみ 257巻9号, 945-949 (2016);
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フォーラム
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外国人にやさしい医療―言葉の壁をこえて 5
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医学のあゆみ 257巻9号, 951-954 (2016);
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第80 回日本循環器学会学術集会レポート 2
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医学のあゆみ 257巻9号, 955-956 (2016);
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◎循環器疾患のなかでもっともホットな領域のひとつが肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)である.生命予後が不良な希少疾患という印象が強かったが,1990 年代の後半からPH 治療薬が続々と認可され,患者のQOL とともに生命予後が劇的に改善されるようになった.各演者の発表からPH診療のフロントラインを感じていただければ幸いである.
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医学のあゆみ 257巻9号, 957-958 (2016);
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医学のあゆみ 257巻9号, 959-962 (2016);
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TOPICS
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遺伝・ゲノム学
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医学のあゆみ 257巻9号, 939-940 (2016);
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生化学・分子生物学
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医学のあゆみ 257巻9号, 941-942 (2016);
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免疫学
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医学のあゆみ 257巻9号, 942-944 (2016);
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